1話 なんだよこれ
「なあ、聞いてんのか?」
「ああ、一応な。」
俺、赤木至は昼休みを友人の新井颯汰と話していた。
高校二年生の春。
学校にも慣れ、真面目な奴は気を引き締め、不真面目な奴は一息ついている頃だろう。
ちなみに俺は後者だ。
「マジなんだって!なんつーかオーラ?みたいなのが見えるんだよ!」
「中二病か?それか変な宗教に騙されてんの?」
「信じろよ!親友だろ!?」
そんな、すがるような目で見られましても。
俺が呆れた視線を向けていると。
「よし!なら証拠を見せてやるよ!」
「証拠ねぇ・・・」
「最初からそうしろよ」、とは言わない方がいいのか?
「最初からしなくて悪かったな!」
「スマン、つい。」
心の声が漏れていたようだ。
まあ隠すつもりもないが。
「俺なりに考えたんだが、どうやらこの眼鏡のおかげで見えるみたいなんだ。」
「へ~。」
確かに何時もと眼鏡が違うが、別に変わったところはないように見える。
「・・・クッソ、絶対驚かせてやる。見てろよ!」
そう言うと、ソウタは何やら唸りはじめ・・・・・
・・・・・しばらくすると眼鏡が消えた。
「・・・・・随分と地味な手品だな。」
「ちょ、それはないだろ!?消えたんだぞ!?」
「へぇ、で、タネは?」
「タネも仕掛けもありませぇぇぇぇぇん!!」
なんだコイツ、必死過ぎるだろ。
なんか可哀想になってきたわ・・・。
「そうだよな、よくわかったよ。」
「そうか?本当に?」
「ああ、本当だ。」
全く、高校からとは言え、お前には世話になったからなぁ・・・
「大丈夫、カウンセリングってのはなかなか効果があるらしいぜ?」
「そんな事だろうと思ったよチクショォォォォォオオオ!!」
勢いよく立ち上がり叫ぶソウタ。
コイツ今日叫んでばっかだな、ここ教室だぞ。
ソウタは自分の叫びで静まり返った教室を見て、首をすくめて座った。
***
「・・・確かに消えてるな。」
「だろ?何なんだろうなコレ。」
本人曰わく、自分の中に戻ってくる感じらしい。
あの後、確認したが、消える原理は全く分からなかった。
目の前だろうが、手で抑えようが、一瞬で消えてしまう。
「そもそもどこで見つけて来たんだよ。」
「分からん、気づいたらあったんだ。」
なんだそりゃ。意味分からん。
答えがでなさそうなので、別の質問をしてみるか。
「そういえばオーラがどうとか言ったよな?」
「おお、そうだよ!今まで見た感じだと生き物なら見えるはずだ!」
「なら俺はどうなってる?」
「よし、まかせろ!」
そう言って眼鏡をかけると、俺をジッと観察し始めた。
「・・・・・ん?」
「どうした?」
ソウタは不思議そうに俺と周りの奴を見比べ始めた。
・・・なんか変なのか?
「・・・なあイタル。」
「・・・なんだよ、勿体ぶることかよ。」
「お前も・・・俺の眼鏡みたいなの持ってないか?」
「・・・・・はぁ?」
「いや、何となく感じるんだよ、お前からこの眼鏡と同じような雰囲気がさ。」
「んなこと言われても持ってねぇぞ。」
やっぱりなんかの宗教の勧誘じゃねぇの?とか思っていると、
「いや、やっぱり胸の中心辺りに少しだけど確かに感じるんだよ。」
「体の中にあるってことか?」
「いや、多分だけど、俺みたいに取り出せるんじゃないか?試しにやってみろよ、教えるからさ。」
ソウタに言われ、大人しく言うとおりに念じてみると・・・・
・・・・・俺の腰にボロボロの布が巻きついていた。
「おお、マジで出た!」
「・・・嘘だろ?」
「本当、俺の思った通りだったな!」
・・・・俺はしたり顔のソウタにツッコムこともせず驚いていた。
今までなら何とかドッキリや、嘘ですむかもしれなかった。しかし自分の意志で取り出し、さらに感じてしまったのだ。これは自分の物で、自分の一部だと。その時、改めてこれは現実なんだなと感じた。
その後、チャイムとともに昼休みが終わったことに気づき、俺は急いでボロ布を自分の中にしまい、周りに見られていないかと今更警戒すると、また放課後に話すことをソウタと約束した。
すいません、短いです。
基本こんな感じかも。