病院から出た俺は、少しだけ散策していた。
街の中心から離れるにつれて、人や車の音が遠ざかり、少し自然が増えてくる。
こういう落ち着いた空気は割と好きだ。
「ん?」
俺が大きく伸びをしていると、見慣れない建物が見える。まだ真新しい。
よく見ると、店のようだ。
「こんなところに店なんてなかったよな・・・。」
日頃から散歩していることの多い俺が今更気づくとは・・・!?と、小さく衝撃をうけた俺は、この店に少し寄ってみたくなった。
「喫茶店か?いや、レストラン?」
見ると看板には【ルネッタ食堂】と書かれていた。
「なんだろう、なんか納得いかない・・・。」
若者向けのおしゃれな感じに、外国のような独特な雰囲気。ドンと立てられた看板には食堂と書いてあった。
「食堂よりレストランじゃねぇの?いや、勝手なイメージではあるけどさ。」
俺はその違和感にますます興味をそそられ、店に入った。
「いらっしゃいませ!」
「!どうも・・・。」
余りに元気な声に思わず返事を返してしまった。
店員はこの若い女性だけらしい。
客も他にいないせいか、心なしか肩身が狭い。
「どうぞ!」
「は、はい。」
俺は相手のテンションについていけず、進められるままにカウンター席に座る。
「注文が決まったら呼んでください!」
「・・・うっす。」
そういってメニューを受け取り、開く。
「っ!?」
店内で声には出さなかったが、この店メニュー多いな。
どこの国の料理?と思うものが小さめの字で、十ページほど続いた。
お、日本食や、カレーや、ラーメンとかありふれたものもあった。
俺はその中から選ぼうと思ったが、最後の″店長のオススメ″なるものが気になった。
「あ、気になります?」
「へ?あ、はい、そうですね」
「良ければどうぞ!」
あまりにぴったりのタイミングで声を掛けられて驚く。
どうやら相当選んで欲しいようで、身を乗り出してくる。
「じゃ、じゃあそれで。」
「!ありがとうございます!!」
なんか調子を狂わされてばかりだ。
まあ興味があったのは事実だが、なんか流されたようで情けない。
注文を終えたので、あらためてイスに深く座る。
この店は少し変わってるな~と思いつつも、面白いとも感じる。
見た目と名前の違和感や、外国人と思われる店長のテンション、この辺にはないタイプの店だな。
・・・
しばらくボーッとしていた。
はぁ、なんだろう。最近は面倒事が多くて、こうゆっくりする時間も久し振りに感じる。
もう異能関係はしばらく勘弁してほしいが・・・
「へ?異能!?」
「!?」
俺は隣からの声に思わず立ち上がる。
「へぁ!?」
見ると、この店の店長が立ち上がった俺に驚いたのか慌てて持ってきた料理を落としそうになっていた。
「・・・俺、声に出してなかったよな?」
「え?その・・・うん。」
どういうことだ?コイツも異能持ちか?偶然?また?考えを読んだのか?でもコイツは何かそれらしい物は持ってないしな・・・。
「す、凄い!やっぱり私と同じような人がいたのね!」
「はぁ?」
それからは怒涛の勢いだった。
「あ、あのね?私も異能?異能だよね?それ持ってるの!私のはさっきあなたが言ってた、じゃない、考えてた通り相手の考えてることが分かる力なの!昔は・・・気味悪がられたりしたんだけど、素晴らしい力だと思うわ!きっと神様からの贈り物ね!そういえはあなたそれらしいものを持ってないって言ってたけど、普通は形のある物なの?私は多分この瞳だと思うわ!使えるようになった日に眼の色が黄色・・・琥珀色かしら?になったの!そういえばその日は、
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***
要するにまとめると、
・心を読める異能持ち
・瞳が異能の形
・きっかけは料理人を目指した時
ということらしい。
ていうか本当に外国人?と流暢な日本語に疑問に思っていると。
「私はイタリア人よ!日本語は必死に勉強したんだから。」
胸を張る彼女。ああ、そういえば筒抜けなのか。
下手なことは考えられないなと思いながらツッこむ。
「それ、止められないのか?」
やはり心を覗かれるのは不快だし、いい趣味とはいえないだろう。
「ごめん、出来ないかな。子供の時やったことあるけど、いきなり眼が無くなるんだ。・・・ごめんね。」
どうやら相当特殊なようだ。まさか眼自体が異能だとは・・・。
それに眼が無くなるって・・・それ以前の眼は上書きされたってことか?
「いや、実はその日はちょっと遊んでる拍子に眼を潰してね。このままじゃ料理人になれないかもって思ったんだけど、その時この眼になって見えるようになったんだ!」
なかなかおかしい。眼が潰れても料理のこととは・・・重症だな。
***
「今日はありがとう!こんな話しが出きるとはおもわなかった!日本に来たのも何か運命的なものを感じるわ!!」
「いや、俺もなんだかんだ楽しかったからな。」
彼女、ルネッタ・ファーノの用意した料理はうまかった。
俺が疲れていることに気づき、元気のでる料理を作ってくれた。
彼女の眼は人の考えてることを読む。それによってその人にあった料理を作っているようだ。
「良かったら、またきてね。」
「そうだな、たまに寄らせてもらうよ。」
そういうと、俺はあらためて帰路についた。
異能の存在に飲み込まれ、どうすればいいか分からなかった俺とは違い、彼女はきっとこの異能をこうやって人の為に使ってきたのだろう。
「さて、明日からも頑張らないとな。」
自然と力がはいる。
ああいう奴がいるんだな・・・・。
「俺も何かできるだろうか・・・?」
彼女の姿は、俺にはとても尊いと感じさせるものがあった。
最初は男性のつもりだったんですが、書いてたら女性になってました。な、なにを言ってるか分からねーと(ry
次回は展開が動くだけに頑張って書けたらいいなぁ。