「ただいま。」
家に着いた俺は一息つこうとリビングへ向かう。
「おかえり。」
爺ちゃんが隣のキッチンから声をかけてくる。
「ごめん、最近任せっばなしだな。」
「いいさ、最近はいつも大変そうだ。家にいるだけの儂がやった方がいい。今日は任せなさい。」
「・・・ありがとう。」
俺はソファに体を預ける。
今までとは違う。自身の危険が明確になってしまった。
・・・駄目だな。気を緩めた途端これじゃ。
キッチンから包丁の音が響いてくる。
一定のリズムで聞こえる音に、つい眠ってしまいそうになる。
「なあ爺ちゃん。」
「ん?なんだい。」
聞きたかった。
俺は今、ハッキリとした楽しく生きるという目的を持った。そしてそれがどれだけ困難な事かも理解した。
俺は果たしてやり遂げられるだろうか。
「爺ちゃんはさ。どうにもならない、でも諦めたくないって時、どうした?」
爺ちゃんは、一瞬とても嬉しそうな表情をして、少し考えた。
「難しい質問だ。何が正解かなんて、終わってから気づくこともあれば、永遠に分からないこともある。」
「・・・」
そうだろう。何事も人間が観測するには世界は広すぎる。だから俺も恐れている。今まで築いたものが一瞬で壊れるのを。
「でももうイタルは気づいてるんじゃないかい?」
「え?」
「イタルはもう自分の信じるものがあって、それを達成するために必要な方法を知ってるってことだよ。」
俺が?
確かに進みたい道は決めた。
でも俺が出した答えなんて大したものではない。
「爺ちゃん、俺は何も分かんないよ。結構考えたけどさ。どうにも思いつかない。」
事実、俺はどうすればいいか分かっていない。
自分や、自分の周りが危険だとわかっただけ。
身を守る術が見つからない。
「それだよ。」
「?」
「イタル、イタルは自分がどうすればいいか分からないから、儂に聞いたんだろう?それは十分、一つの方法だよ。」
「!?でも、そんなの誰だってできるさ。俺は自分で何とか出来ないのが情けないよ・・・。」
「そんなこと気にするな。イタルはそれでも諦めたくないんだろう。」
そうだ。俺はどうしようもなく弱い。人一人の力なんて大したことないだろう。
でも、協力すれば少しは前に進めるかもしれない。
「後は行動あるのみだ。後悔しないよう。今を、精一杯ね。」
「・・・ああ!」
やっぱり難しいものは難しい。
出来ないかもしれないんだろう。
でも諦めるかは別だ。
今までも俺はそうやって生きてきた筈だから・・・
俺はさっきより前向きになった心に心臓の熱を感じていた。
***
「おーい。来たぞ。」
「ん?おお!!イタル!いらっしゃい!」
俺はルネッタ食堂に来ていた。
「相変わらずのテンションで安心したよ。というか前回より高めじゃないか?」
「そりゃ楽しみにしてたからね!つい嬉しくなるってものさ!」
ふむ、なかなか直球な感情表現だ。照れる。
「ふっふっふぅ~っ!惚れた?」
「本当、相変わらずだよ。」
俺は微笑んだまま、そっと手を伸ばし、アイアンクローを食らわす。
「ちょっ!?まっ!?」
ルネッタはしばらくすると動かなくなった・・・。
***
「と、いうわけだ。」
俺は今、ここに来た目的を果たしていた。
「異能じゃなくて神器か・・・。私の予想通り神様からの贈り物だったわけだ!」
「まあ、そうなるな。」
俺は魔法使いから聞いた事を話ていた。
コイツも神器を持っている以上、狙われるかもしれないから。
「とにかく、出来るだけ気をつけることだ。それに相談ぐらい乗ってやる。」
「ふふぅ、ありがとう!」
にやけるように笑うルネッタ。
・・・キモいぞ?
「それは酷くない!?」
「いや、さっきの反省を生かしてみた。本当はちょっとドキッとしたさ。」
「イタルは心で嘘つけるの!?」
下手に照れてどや顔させるわけにはいかないからな。
「とにかく、今日はそれだけだからさ。帰るよ。今日もうまかった。」
「そう?今日は調子いいと思ったんだ~!」
俺は扉に手をかける。
「イタル、またね!」
「ああ、またなルネッタ。」
ヒロインは未定です。ええ。
かすみさんか、ルネッタさんか、原作キャラか。
それこそまだ他のキャラの可能も。