次は一週間ほど先になります。
『おい、イタル!今日も神器持ちを探すぞ!』
「えぇ、今日休みじゃん。」
『ばっかお前、仲間探す方が大事だろ?』
朝、八時にソウタから電話がかかってきた。
はぁ、目標が出来て行動するのはいいけど、ちょっと面倒だな。休みの日は寝たいんだが。
「・・・オーケー、つき合うよ。」
『ああ!かすみちゃんはもう呼んである。十時に駅前集合な?』
全く、ゆっくり寝かしてくれよ。
***
俺が渋々でかける支度を終え、ドアに手をかけると、後ろから声をかけられた。
「イタル。」
「ん?なんだよ爺ちゃん。」
爺ちゃんはどこか真剣な雰囲気で、なにかあっただろうかと思い聞き返す。
「行ってらっしゃい。最近は物騒だからね、気をつけること。」
「・・・ああ、行ってきます。」
爺ちゃんの雰囲気に違和感を覚えつつ、俺は駅に向かった。
***
俺たちは駅前で張り込み続け・・・
「いませんねぇ。」
「だねぇ。」
「ああ。」
みんなして駅前でだらけていた。
これだけ探していないのだ。
やはり神器持ちなんてそういるものでもないのだろう。
「・・・なぁ、俺たちって生き残れると思うか?」
ソウタから言われた言葉は三人の空気を真剣なものにさせた。
「生き残れるか、ねぇ。高校二年生の会話じゃねぇな。」
「おいおい、もうちょいましな答えを聞かせろよ。」
少し笑って返した俺を咎める眼で見てくるソウタはどこか緊迫感があった。
「・・・そうだな、俺に言える事は少ないな。」
俺はこのことに関して、無責任なことはいえないと思っている。下手な事を言えばコイツらの命を脅かすんだ、こんな時ぐらい強気なことを言ってやりたいがな。
「あの、この話は・・・止めませんか?私たち今までだって大丈夫だったんですから。それに、今やれることはやってます!」
かすみは恐らくそう自分で落としどころを見つけ、自分を納得させているのだろう。まあそれが出来るかすみは強いほうだろう。
「そうか・・・・そうか・・・・・。」
納得できないか・・・
ソウタはいつもそうだ。心配ばかりして、常に最善であろうとする。
その姿は強いように見えるが、俺はいつか潰れてしまうのではないかと心配してしまう。
・・・少し話すか。
「俺さ、昨日またあの魔法使いと会ったんだよ。」
「「!?」」
あまり巻き込みたくはない。これは俺がやりたかったからやっただけだ、だから全てを話しはしない。
「少し話したよ。三大勢力っていわれてる天使、堕天使、悪魔の話だ。」
二人はこの世界に人ならざる者がいること、魔法などの強力な力があることぐらいしか知らないだろう。
だからはリリーから聞いた事を伝える。
「天使ってのは神からの命令で堕天使や悪魔を殺すことが主らしい。ま、堕天使なんてのがいる時点で怪しいもんだが。それに教会には天使に協力する悪魔払い(エクソシスト)ってのもいるらしい。」
天使は三大勢力の中では一番人間に優しい存在だろう。人間に害する事の多い堕天使、悪魔を殺すのだから。ただ、それでも人間からすれば脅威ではあるが。
「で、堕天使はその神の命令、というよりはルールに逆らった奴のことだ。コイツらが一番ヤバい。神器を持つものを殺す、実験するなんてことをするらしい。それに奴らを縛るルールがあまりないらしい。堕天使の長の提督様はそういうのを嫌うらしくてな。」
俺たち(神器持ち)にとって、もしかすると最も危ない相手かもしれないのが堕天使だからな。
二人も不安が表情に出ている。
「悪魔は欲望が強い傾向があるんだそうだ。人間に対して契約を持ちかけ、その対価を生きる糧にする。よく魂を奪われるとかいう話があるけど、金なんかでもいいらしい。で、ソイツらを牛耳ってるのが魔王だ。今の魔王は人間を無闇に殺すのは止めてるらしいが、あまり支持されてねぇのか好き勝手やってる悪魔は多いそうだ。」
神器持ちにとって恐ろしいのが堕天使なら、人間にとって恐ろしいのが悪魔だろう。悪魔にとって人間はエサだ。奴らの気分しだいで無力な人間はあっさりと喰い殺される。
「・・・天使に保護してもらうということは出来ないんですか?」
「どうだろうな・・・だが、天使や教会はそう甘い所ではない、と話していた。下手に関わるのは良くないだろう。」
「はは、なるほど。なかなか絶望的だな・・・。」
ソウタも想像してはいたのだろう。嫌な予想が当たったような気持ちだろうか。
「俺が聞いた限りで提示出来る注意点は三つだ。」
俺は俺たちの敵となりえる存在の話をした。
だから今度は俺なりの考えを話す。
「一つ、怪しい誘いにはのるな。悪魔が絡んでる可能性がある。二つ、教会には近寄らない。天使や悪魔払いなんかがいた場合巻き込まれるかもしんねぇ。三つ、出来るだけ身を隠す。これは堕天使に感づかれないためだ。」
これらの注意点はパッと思いついた物だ、完全ではない。
だが、具体的な注意点に少し二人が元気を取り戻したのを感じる。
「三人で考えよう。やれることはきっとある。」
俺にも、ソウタにも、かすみにも出来ることはまだあるはずだ。
「・・・クソ、最近お前に励まされてばっかだな。」
「ふふ、本当ですね。助けて貰ってばっかりです。」
「ん?」
声が小さくて、聞こえないんだが。
なんだ、内緒話か?
「いいや、なんでもねぇ。なあ、神器ってさ、結局どういうものなんだ?」
「神の作った道具・・・かな?人間の感情なんかに反応するみたいだ。持ち主次第で、禁手(バランス・ブレイカー)っていう進化みたいなこともするらしい。」
「そうか・・・ならさ、使っていく内に強くなったりするのか?」
「まあ使いこなせば強くなるはずだな。」
「ならそれぞれ練習しとこうぜ?俺はもっと見える範囲を広くしたりさ。」
「なら私はもっと大きくしたり堅くしたりですかね?」
「イタルは・・・分かんないんだっけ」
「まあな。でもあの時、何となく感じた。コイツがあれば大抵の攻撃はなんとかなるかもしんねぇ。」
俺は自慢げに腰巻きを取り出す。
しかし腰巻きとは言ったけど完全に外して使ってるな。
「よし!また一歩前進だな!!・・・ってあ!?」
「ん?どした?」
俺がいきなり驚いたソウタに聞くと、少し嬉しそうな顔で返してきた。
「神器持ち見つけた!!」
はは、さらに一歩前進ってか?
今回の話は説明が主です。
天使、堕天使、悪魔についての説明は私の曖昧な知識からですが、これであっていたとおもいます。
次回は、神器持ちとの対話ですね!