キャラ崩壊が心配だなぁ。
その後、連絡先を交換した俺達は解散し、俺は今日もリリーと悪魔探しを始めたのだが・・・
「どうして・・・?他にも悪魔を追ってる者がいるってこと?」
リリーは何かぶつぶつ呟きながら、何もない地面を調べている。
どうやら問題発生のようだ。
俺には分からないが、ここに真新しい悪魔の血や魔力などの力の痕跡があったらしい。
もちろん俺達は関わっていないので、第三者の介入という可能性がでてきたのだ。
「何にしても先にやられると仕事にならないわ。急ぐわよ。アンタも警戒してなさい。」
「心配してくれんのか?」
「違うわよ!邪魔にならないよう引っ込んでろってこと!」
最近はリリーのことも分かってきた気がする。
いつも投げやりな感じの割に相手を気遣う優しい奴というのが俺の評価だ。
かわいいね、うん。
可愛すぎて悪戯したくなってもしょうがない程度には。
「リリー、ありがとう。」
「んーッ!!」
真っ赤になって俺を叩いてくる。
悪戯成功!
まあ、ここからは手伝っている(というか、ついて行ってるだけな)以上は邪魔しないようにするけどな。
***
「いた。」
リリーが悪魔を察知し、何か意味ありげな文字の刻まれた鉄の杖を取り出す。
・・・またあからさまな廃ビルにいるなぁ。
やっぱり俺が見つけられずにいたのは、人払いとかのせいってことかねぇ。
「数は?」
「二人よ。面倒だからあんたは下がってなさい。」
「俺としては少しは戦ってみたいんだが・・・。」
二人ということで、警戒を強めているのだろう。
しかし、リリーについてきたのは、悪魔のことを知ると同時に自身の実力を上げるためなのだが・・・
「だめよ。」
「そっすか。」
即答だった。
まあ俺も命は惜しいし、迷惑は余りかけたくないのだがな。
「気をつけろよ?お前が死ぬとは思えないけどな。」
「当然。」
自信満々といった返しだが、これでもかと相手を観察し、警戒はしてるあたり流石プロといったところだろうか。
リリーは息を潜め、素早い動きでビルに入って行った。
はぁ、リリーについて行けば何か掴めると思ったんだがなぁ。分かったのは俺の力不足とリリーの性格ってか?
「ままならねぇなぁ。」
俺は頭をボリボリとかいて身を潜めようと反転する。
・・・しかしその先は、激しい閃光と爆発音によって妨げられた。
「うぉぉぉぉぉ!?」
背後からの爆風で、完全に不意をつかれた俺はバランスを崩し、膝をつく。
「クッ、リリー!」
まず間違いなくリリーが向かった方向からの爆発だ。今までこんなことはなかったということは、何かしら危うい状況かも知れない。
しかし、どうするべきか。本来なら、大した力のない俺が行くのは邪魔でしかない。
・・・それでも、何も出来ないかもしれないが、何か出来るかも知れない。
「なら行くしかないだろ!」
どっちが最善かより、どっちをやりたいかだ!
***
「で、来た。」
「馬鹿じゃないの?」
馬鹿で悪かったな。
リリーを見つけたが、無事そうだな。
「状況は?」
「片方はやったわ、でももう片方が親玉だったみたい。」
「それで反撃されたと?」
「そう言うこと。」
親玉ってことは、まず間違いなく、今までで一番強いのだろう。
なんで来ちゃったのよ、と頭痛の種が増えたという顔のリリーに苦笑で答える。
「はぁ、まだ奴は生きてるわ、下がってなさい。」
「・・・ああ、そうだな。」
リリーが無事なら俺がこれ以上でしゃばる理由もないか。
「随分と余裕だなぁ。」
「あんたこそ、待ってたんでしょ?」
「フヒャ、人の関係を見てからの方が壊した時の快感が俄然変わるのさ。」
ソイツはいいご趣味で。リリーは不快そうな顔をしている、多分俺も。
「あっそ。」
「ぐぉ!」
リリーが素早い動きで魔法のビームを放つ。
それをギリギリ避けたが実力を察したのか、はぐれ悪魔の顔つきが変わる。
「思ったより速いじゃないか。」
「威力も試してみる?」
「結構だぁぁァァアアア!」
悪魔は咆哮を上げ、体から湯気をスモークのように噴出し、膨張していく。
その姿は、ゾンビ映画の巨大クリーチャーといった感じだろうか。
「これが本当の化けの皮が剥がれる。」
「あんたは黙ってなさい!」
「まあ出来るだけな?」
「そうしなさい。」
はは、怖さには慣れてきたんだがな。今度は変なテンションになっちまってつい。
そんなやりとりのうちに湯気は晴れ、約3メートルの巨大が姿を現す。
「いちいち大袈裟なのよ!」
「タダ オオキクナッタト オモウナヨォォォオオオ!!」
その瞬間、悪魔が消えた。
「は?」
「あんたその図体で速すぎよ!」
「ヨクイウ マサカウケラレルトハナ!!」
声に反応して、視線をリリーにやると、怒涛の攻撃を仕掛ける悪魔とそれを対処するリリーをギリギリ視認することが出来た。
速すぎて訳わかんねぇ。
しかし・・・
「アンタもうバテたの?」
「ウガァァァァ!?」
それでもリリーが強い。
あの速さに一歩も引くことなく迎えうち、そして捉えてしまった。
「強い。」
この一言につきる。今までこんなに近くでは見れなかったし、戦いらしい戦いもなかったから分からなかった。
「これ、マジで俺要らねぇ「コノママデハスマサンゾォォォォォオオオ!!」あ?」
「しまっ!?」
頭がアラームを鳴らし、危険を知らせている。
見える、悪魔が俺に突っ込んできてる。
今までろくに見えなかったんだがなぁ、不思議と奴の顔まで良く見える。
必死な顔で目の前のチャンスを掴もうって目だ。
マズいな、体が動かない。いや、周りが遅く見えてるだけか。もともと俺の体はこんなだった。
これで死んだらダサいなぁ。
なんて・・・
「諦められるかよぉぉぉぉおおお!?」
「アガァァァァ!?」
燃える、燃える、燃える。
体中のカロリーを費やしているよう、全身から炎が吹き出ているよう。
そんな感覚と共に停止していた体が嘘のように動きだし、目の前の敵を殴り飛ばす。
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ。」
「い、至?」
息が、酸素が足りない。
しかし少しだが、頭が空気を取り入れ、回りが見え始める。
「お、れは、はぁ、はぁ・・・。」
なんだこれは。
俺にこんな力はなかったはずだ。
リリーが目を見開き、引きつった顔のまま、俺の額を指差す。
俺はそれにつられるように、手を伸ばし、触れる。
そこには、力を誇示するように佇む赤黒い角が一本生えていた。
至、角が生える。