俺はヨハネの四騎士に向かって跳躍し、そのまま“獅子斬童子”で、ヨハネの四騎士の腕を斬り落とす。
「ほら、こっちだぜ」
ヨハネの四騎士は標的を女の子から俺に変え、襲ってくる。
襲ってくる攻撃を躱しながら、優の方を見る。
優は女の子を抱きかかえ、すぐにシノアたちの下に戻って行った。
よし、すぐに終わらせよう。
次の攻撃を躱し、そのまま腕を斬り落とし、胴と脚を切る。
そして、ヨハネの四騎士は音を立てて地面に倒れる。
「やれ、“獅子斬童子”!」
“獅子斬童子”を両手で持ち、そのまま振り下ろす。
黒い霧のようなものが斬撃の様に飛び出し、ヨハネの四騎士の真っ二つになり絶命する。
「廉也、上です!」
シノアの声が響き、上を見る。
すると三匹の吸血鬼が剣を手に俺に、襲い掛かってくる。
俺は後ろに下がり、攻撃を躱し構える。
吸血鬼は俺を囲むように武器を構える。
「やれやれ。俺も大人気だな」
斬り掛かって来た吸血鬼の攻撃を受け止め、横から斬り掛かって来た奴に向け“六道煉獄”を抜き、引き金を引く。
吸血鬼の肩に弾が当たり、攻撃の手が止まるが、今度は後ろからもう一匹の別の吸血鬼が襲ってくる。
だが、優がいつの間にか俺の背後に立ち“阿修羅丸”を構える。
「力を貸せ、“阿修羅丸”!」
そして、刀を振ると黒い霧のようなものが出て俺達を守る。
吸血鬼はヤバイと判断したのか、下がり霧のようなものを回避する。
「助かったぜ、優」
「お前にだけ良い恰好させられるか」
そう言って、優は阿修羅丸を振り下ろし、斬撃を出す。
吸血鬼はそれを寸前で回避する。
「よし、優。撤退するぞ」
「は!?なんで?」
「相手は吸血鬼三匹。こっちは六人だが民間人もいる。民間人を巻き込むわけには行かない。撤退だ」
「………わかった」
優は大人しく従い、“阿修羅丸”を収める。
「はっ!家畜が、逃がす訳ねぇだろ」
優がその吸血鬼の言葉に動きを止め、振り向く。
「テメェ、今なんつった?」
優の殺気の籠った声と目に、吸血鬼はビビり、一歩下がる。
「引くぞ」
するとリーダー格と思しき吸血鬼がその吸血鬼の肩を掴み言い、吸血鬼どもは撤退をした。
俺達も女の子を連れ、一度渋谷の拠点まで戻ると、優は早々に三葉にビンタされた。
「いったいどういうつもりだ!お前の行動が部隊を危険にさらしたんだぞ!」
「…確かにお前の言う通りだ。だが、反省はしてない。あの子は救う必要があった。でも悪かったとは思っている。仲間の命を危険にさらした。殴って気がすむなら、いくらでも殴っていいぞ」
「……私はお前のような奴が一番嫌いだ。お前のような奴が部隊を全滅させる」
三葉は悔しそうに、拳を握り言う。
「あの…お兄ちゃんたち…」
不意に声が聞こえたので振り向くと助けた女の子が笑顔で言った
「あ、あの……助けてくれてありがとう!」
「気にすんな。やるべきことをしただけだ」
優はその少女に笑いながら言った。
すうと三葉も女の子に目線を合わせしゃがみ、手を握る。
「もう大丈夫。ここからは帝鬼軍が貴女を守るから」
「はい!」
そう言って、女の子はやってきた警備兵に連れられ壁の中へと連れて行かれる。
女の子の姿が見えなくなると、三葉は振り返り優に指を突きつける。
「だが、お前は嫌いだ!」
「…………へ?」
「ふんっ!」
そして、三葉はさっさと何処かへと行く。
「……なんなんだ?」
「三葉にも色々あるんだよ。ま、仲良くしてやってくれ」
そう優に言い。俺は三葉の後を追う。
案の定というか、三葉はすぐ近くで体育座りしてた。
「三葉」
「……お兄ちゃん」
「そうやって落ち込むと座り込むのは相変わらずだな」
そう言って、三葉の隣に座る。
「アイツ………嫌いだ」
「あの時の自分に似てるからか?」
そう聞くと、三葉は黙って俯く。
「何度も言うが、あれはお前の所為じゃない。あの時、仲間を助けようとしたお前の判断は間違ってない」
「でも、それでお兄ちゃんは大怪我を…………」
あの時とは、今から三年ほど前のことだ。
俺が懲戒任務に当たって居た時、俺が居た懲戒部隊には当時新入りだった三葉が居た。
最初の頃、三葉は俺の事をやたらライバル視していた。
あの日、俺の部隊が懲戒任務中にヨハネの四騎士三体と遭遇した。
俺は副隊長だった男に三葉を含め三人で一体を任せ、俺は二体を相手に戦っていた。
二体を倒し、もう一体の方の援護に向かおうと思ったら、仲間の一人がヨハネの四騎士に捕まっていた。
三葉はその仲間を助けようと走り出そうとしていたが、副隊長にそれを止められた。
「一人で先走るじゃない!陣形を崩すな!」
「仲間が捕まってるのに、何が陣形ですか!」
三葉は副隊長の言葉を押しきり、単独でヨハネの四騎士に戦いを挑んだ。
三葉は仲間を捕えてる腕を斬り落とし、仲間の救出に成功した。
その時、ヨハネの四騎士は三つ葉目掛け、腕を槍の様にし、突き刺そうとした。
だが、助ける際に、武器を大きく振りかぶっていたので、ヨハネの四騎士の攻撃への防御が間に合わなかった。
俺はヨハネの四騎士への攻撃をするよりも、三葉の前に素早く移動し、三葉の代わりにその攻撃を受けた。
ヨハネの四騎士の腕は俺の腹部を貫き、その時に飛び散った血が三葉の顔を濡らした。
俺は口から血を吐きながらも、“獅子斬童子”で腕を斬り落とし、“六道煉獄”でヨハネの四騎士を撃ち殺した。
「隊長!?」
副隊長は倒れた俺を見て、慌てて抱き起す。
「騒ぐな、傷に響く。悪いけど、救護班呼んでくれ」
「了解です!早く、救護班を!」
その後やって来た救護班に俺は連れられ、そのまま軍の医療施設で緊急手術と緊急入院をした。
俺はある事情で普通の人間より回復力と生命力が高いこともあり、一日で復活していた。
グレンからは溜まってる休暇の消費もかねて一瞬間ほど入院してろって言われた。
俺が目覚めて二日後、病室に三葉がやって来た。
三葉は俯きながら命令違反したこと、そしてその結果、俺が重傷を負ったことを謝罪した。
俺はそんな三葉を責めるつもりも罰するつもりもなく、ただ頭を撫でた。
「お前は間違ってない。お前のお陰で仲間が一人死なずに済んだ。そして、俺も生きてる。結果オーライだ。よくやったな」
そう言うと、三葉は涙を流し大声で泣き出した。
それからというもの、三葉は俺の事をお兄ちゃんと言って慕うようになった。
「もう済んだことだろ。それに、あの時の間違いを活かそうとお前は、今回行動出来てた。成長したじゃねぇか」
「でも………」
「ああ、面倒な奴だな」
そう言って俺は三葉の頭を掴み脇に挟んで髪の毛を掻き回すように頭を撫でまわす。
「わっ!わわわわっ!」
「いいからそんな落ち込むんじゃねぇよ!」
「ちょ、止めろ!髪の毛が!お兄ちゃんの、バカ!」
「お前は何も間違ってない。そして、優も間違ってない。お前と優に必要なのは仲良くなってチームプレイすることだ。新人をうまく制御できなかったからで落ち込むな。仲良くなれば自然とうまくいくからよ」
「…………うん」
三葉は恥ずかしそうに、顔を赤くしながら頷く。
「さ、皆の所に戻ろうぜ」
「うん…………何時まで頭撫でてるんだ?」
「俺が飽きるまで」
「離せ!」
ぎゃあぎゃあと騒ぎながらも抵抗しようとしない可愛い妹分を立たせ、俺達は皆の下に戻った。