「情報によると吸血鬼は七人。我々より多いので、眠ってると思われるこの時間に奇襲攻撃を仕掛けます。陣形を崩さず、互いを守り、絶対はぐれない様に」
シノアの命令を聞きながら、地下に降りるとそこには同じ服を着た民間人が沢山いた。
こんなにいるのか。
「行くぞ」
そんな民間人を横目に、俺達は吸血鬼が居るB3フロアへと向かう。
一向に吸血鬼の姿は確認できず、ただ囚われてる民間人しか見当たらない。
民間人は俺達をまるで異物を見るかのように見て来る。
「どうしてここにいる民間人は逃げ出さないんだ?」
「外には化け物どもが徘徊してるからな」
「あの人達は吸血鬼の庇護を受けているんです」
「血を提供することでか」
「だから私たちで解放するんだ」
俺達にとって吸血鬼は敵で、吸血鬼に囚われてる人々は解放し保護しないといけない。
だが、誰しも解放を求めてる訳じゃない。
中には帝鬼軍より吸血鬼に守られる方がいいと考える奴等もいる。
それも仕方がない。
なんせ、吸血鬼は人間の七倍強いと言われてる。
強い吸血鬼と、その吸血鬼よりはるかに弱い人間。
どちらに助けを乞うのかは分かり切ってるだろう。
まして戦う手段の無い人間にはな。
改札口辺りまで近づくと、開けた場所に出た。
全神経を研き澄ませ注意する。
すると奥から吸血鬼が一人現れる。
そして、吸血鬼はこちらに気付く。
「攻撃準備!」
三葉が言い、全員が鬼呪装備を出す。
「応援を呼ばれる前に倒すぞ!」
三葉がそう言い終るや否や、優は飛び出し、“阿修羅丸”抜く。
吸血鬼は剣を抜き応戦しようとするが、優の方が速く、優の刃は吸血鬼の体を貫く。
「こ……この家畜が………!」
「その家畜に殺されるのはどうだ、吸血鬼!」
優は“阿修羅丸”を振り上げ、吸血鬼の体を斬り、殺す。
吸血鬼の体が空中に溶け込むように消える。
「このバカが!あれほど独断専行はするなと言っただろ!」
三葉がまたしても優の独断専行にキレ、叩こうとする。
しかし、優は三葉の攻撃を受け止める。
「独断専行じゃねぇ。敵は非武装だった。それに抜刀命令も待った。お前も戦場でグダグダ言ってんじゃ――!」
すると優は、三葉を引き寄せ、後ろに下がらせる。
三葉の背後から攻撃しようとした吸血鬼の剣を受け止め、腹に蹴りを入れる。
「いいね、こういうのを待ってたんだよ!四年もな!」
そう言って、優は走り出す。
「は!馬鹿め!そんな大振りで!」
吸血鬼は横薙ぎに振るわれた刀を防御しようと剣を構える。
だが、優の一太刀は吸血鬼の剣ごとへし折り、体を切り裂く。
「な、なんだあの力は……!」
三葉が優の力量に驚きを隠せないでいる。
「いやいや~、グレン中佐の秘蔵っ子ですから期待はしていましたが、まさかここまでとは」
シノアがわざとらしく拍手をしながら言う。
「凄いよ、優君!」
「ま、俺より弱ぇけどな」
「ああん?ならテメーの実力見せてみろよ」
「んだと?俺が本気出したらどうなるかわかってんのかコラ?」
「やってみろよ」
戦場で気の抜けた喧嘩をする優と君月を三葉は呆然と見ていた。
「どうだ?グレンのお気に入りの、チームワークなんぞ皆無な問題児たちは?」
「だから、みっちゃんに育ててもらおうと思ったんじゃないですかね」
シノアにそう言われ、三葉は少し優たちを見た後、声を掛け喧嘩を止める。
任務を再開し、フロアを調査し、吸血鬼を捜索する。
そして、動きを止め振り返る。
「おでましか」
残りの吸血鬼四匹が俺達の前に現れ、俺達は武器を抜き、構える。
その瞬間、俺は三葉の腕を掴み、引き寄せる。
引き寄せつつ、“六道煉獄”を抜く。
それと同時に、背後の窓ガラスを突き破り吸血鬼が現れる。
「な!?」
吸血鬼は俺が銃を向けていることに驚きの声を上げる
「死ね」
引き金を引き、弾が吸血鬼の頭を撃ち抜く。
吸血鬼はそのまま息絶え、体を消す。
「……何故奇襲に気付いた」
リーダー格の吸血鬼が俺に尋ねて来る。
「帝鬼軍に囮の人間が奪われた。となれば、情報は普通漏れると考えるのが普通だ。なのに警備は手薄だった。となれば、自分達のデリトリーに誘い込んで、奇襲するってのが思いつくのは普通だ」
「くっくっくっ!なるほどな。だが、これは予想できたか?」
そう言って吸血鬼が指を鳴らすと、俺達の背後や横から吸血鬼が現れる。
数は、二十はいるな。
「こ、この数、情報と違う!」
与一が弓を構えながら狼狽える。
「その情報……一体何処からのもんだ?」
そこで全員が気付く。
あの女の子に嘘の情報を掴まされたのだと。。
「人間ってのは醜いよな。家族や仲間を人質にされたら平気で同族を売るクズだ」
「貴様ら、子供を脅して!」
三葉が怒りを露わにして斬り掛かる。
が、大振りの攻撃は簡単に躱され三葉は首を掴まれ持ち上げられる。
「はっは!本当に、人間は醜いよ。ちょっと煽っただけで簡単に暴れる。醜く野蛮だね~」
「き、貴様………!?」
「このまま捻り殺してあげるよ」
そう言って吸血鬼が腕に力を込めた瞬間、優が走りだし、三葉の首を掴んでる吸血鬼を斬り殺し、三葉を救う。
「お前ら、今何つった?人間が醜い?家族や仲間を人質にされたら平気で同族を売るクズ?ああ、そうさ人間は醜いさ。家族や仲間の為なら平気で嘘を吐くし、時には鬼にでも悪魔にでもなる。それが醜いって言うなら。その醜さに怯えながら死ね、ヴァンパイア!」
優は“阿修羅丸”の力を引き出しながら言う。
「………はっ、死ねだって?二十人の吸血鬼相手に、家畜の人間六人で勝てるとでも?」
リーダーの吸血鬼が、笑いながら言う。
「このメンバーなら何とかなるっと言いたいですが、流石に二級武装の吸血鬼のみとは言え、数が多いですね。と言う訳で、廉也。頼めますか?」
シノアが俺の方を見ながら言う。
それも、勝利を確信したような笑みで。
「はっ!誰に言ってるんだ?任せとけ。十五匹は俺が片付ける。お前達は残りの五匹を頼むぜ」
そう言い、右手に“獅子斬童子”、左手に“六道煉獄”を持つ。
「では、始めましょう!」
「やるぞ!吸血鬼どもを殲滅だ!」
原作とは展開を変えました。
吸血鬼の人数もです。
次回は、廉也の実力をお見せします。