終わりのセラフ~一刀一銃の使い手~   作:ほにゃー

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叫び

前線につくとそこには吸血鬼に剣を向けられているグレンの姿があった。

 

「まずい!グレン中佐が…!」

 

「全員すぐに薬を飲んでください!中佐を救出して離脱します!」

 

シノアの言葉を聞きすぐに用意してあった薬を口の中に放り込む。

 

そして飲むと同時に、タイマーを起動させる。

 

タイムリミットは十五分。

 

それまでに、奴等を倒せるか?

 

そして、全速力でグレンの元へ向かう。

 

だが、それでも一歩遅くグレンの前にいる吸血鬼は剣を構えてグレンの胸へ剣を突き刺す。

 

途端にグレンの胸から血が流れる。

 

「なっ………!てめぇ…グレンになにしてんだあぁぁあ!」

 

優がキレ、“阿修羅丸”を抜き、吸血鬼に狙いを定める。

 

吸血鬼はグレンを刺したまま振り返る。

 

すると、驚いた表情になった。

 

そして、吸血鬼は抵抗も反撃もせず、胸を優の刀で貫かれる。

 

「……え?ミカ?」

 

優の口からそう聞こえた。

 

「何してる!早く呪詛を流して殺せ!」

 

グレンが優に叫ぶが、優は何もせず無反応だった。

 

「チッ!」

 

グレンは胸に刺さった剣を掴み、自分の刀を手に取って、優がミカと呼んだ吸血鬼に斬り掛かる。

 

が、吸血鬼は寸前で剣を躱し、空中を飛んで攻撃を躱す。

 

グレンは、怪我した胸を押さえながら優を殴る。

 

「ふざけんな!てめぇなんで…殺さなかった!?」

 

「い、いや………」

 

優が何かを言おうとすると、グレンは口を押さえ膝を着く。

 

口から血が吐かれた。

 

「優、お前自分が何をしたのか分かってるのか!」

 

俺は優の肩を掴み言う。

 

「あの吸血鬼はグレンに手傷を負わせるほどの奴だ!そんな奴を生かしておけばどうなるかは分かるだろ!」

 

俺が叫び終わると同時に、皆も集まってくる。

 

「バカ優!どうして鬼呪を発動しなかった!」

 

「優君、どうしたの!?」

 

普段から吸血鬼を殺すと言ってる優らしくなく、全員が聞く。

 

「………ミカが……俺の家族があそこに………」

 

ミカってさっきも言ってたよな。

 

まさか、あの金髪の吸血鬼、優の家族だって言うのか。

 

「お前……ミカなのか?」

 

優が金髪の吸血鬼に尋ねると、吸血鬼は俯き立ち上がった。

 

「あれ百夜 優一郎君でしょー?いやーまさかの運命の再会。涙が出ちゃいそう〜。で…どうするんです?たぶん優ちゃん、人間どもに利用されてますよ?」

 

銀髪の吸血鬼が隣にいる金髪の吸血鬼、ミカに問いかける。

 

「当然、救う」

 

「醜い人間どもの手から?」

 

「ああ」

 

「でも、彼も人間ですよ。人間は決して僕らの仲間にはならない」

 

銀髪の吸血鬼が、そう言ったあとポンと手を叩く。

 

「そうだ。じゃあクルルが君にしたように僕が優ちゃん達を吸血鬼にしてあげま…」

 

その瞬間、ミカは素早く動き銀髪の吸血鬼の首元を掴む。

 

「僕の家族に手を出したら、殺すぞ」

 

獅子のような鋭い目でミカは睨む。

 

「ふふふふ、冗談ですよ〜珍しく熱くなっちゃって。ま、じゃあ手を貸してあげましょうか。他の人間は僕が止めてあげるから、君は君の大切なお姫様達を奪ってきなよ」

 

ミカは持っていた剣を握りしめると鍔から茨が生え腕に絡みつく。

 

絡みつくと、持っている剣の刀身が赤くなっていった。

 

そして銀髪の吸血鬼も剣を抜き、刀身を撫でる。

 

「では、やりますか。優ちゃん以外の人間どもを皆殺しにしましょう~」

 

剣を手に近づいて来る。

 

「私をお呼びと聞きましたが…第七位始祖様」

 

急に聞こえた声。

 

その声には聞覚えがあった。

 

新宿の防壁前で対峙した吸血鬼、クローリーだ。

 

クローリーはこの間の、金髪と青い髪の二人の女吸血鬼を連れて、銀髪の吸血鬼に近づく。

 

「ああ、クローリー君かぁ。待ってたよ〜。君たちがいたらもうゲームセットだねぇー、彼らを殺す必要もない。よし、家畜にしよう。殺さず生捕る。吸血鬼殲滅部隊家畜化計画〜」

 

「悪くないねぇ」

 

くそっ、貴族クラスが三人も増えやがった。

 

一人でもキツイってのに……………

 

「終わりだ………!」

 

グレンが立ち上がり叫ぶ。

 

「総員離脱態勢!新宿は放棄する!」

 

「ち…ちょっと待ってくれよ!向こうにミカが…!俺の家族がいるんだ!だから撤退は……」

 

「いい加減にしろ、優」

 

俺は優を睨みつけ言う。

 

「お前の身勝手で、殺せた貴族クラスの吸血鬼を殺せなかった。その上、お前の我儘で全員の命を危険に晒す気か?」

 

そう言うと、優は悔しそうに俯く。

 

「撤退だ!陣形を崩さず、第二防衛ラインまで撤退!」

 

グレンの指示に従い、全員が撤退を開始する。

 

だが、吸血鬼はそれを見逃そうとせず、追い掛けて来る。

 

俺達の進行方向に銀髪の吸血鬼が見える。

 

「逃がさないよ〜ん。」

 

「お前……フェリド・バートリー!」

 

優はその銀髪の吸血鬼を知っているのか“阿修羅丸”を抜き、斬り掛かる。

 

「くそっ!」

 

それを見てグレンが悪態を吐きながら刀を抜き、後を追う。

 

優の攻撃をすべて躱し、フェリドは笑う。

 

 

「速〜い。けどまだ若い」

 

そこで、グレンが横から攻撃を仕掛けるが、それすらも尋常ではない速さでよけてフェリドはグレンの後ろに現れる。

 

「そして、ライオンも手負いじゃ剣線が鈍るねぇ」

 

「!!」

 

そして、フェリドはグレンを蹴る。

 

「グレン!」

 

助けに行こうと走り出そうとするが、俺達の前にクローリーと二人の女吸血鬼が立ち塞がる。

 

「今度は逃がさないよ」

 

俺は気付かれないようにシノアの近くに移動し、小声で話す。

 

「シノア、グレンが危ない。それに、優もだ。一瞬でいい、隙を作ってくれ。その隙に、グレンと優を助ける」

 

「分かりました」

 

そう言うと、シノア、三葉、君月の三人が飛び出し、与一が弓で援護する。

 

君月は一人で金髪の女吸血鬼相手に奮戦し、三葉は青い髪の方、シノアはクローリーと戦い、与一がそれを援護していた。

 

君月がなんとか金髪の方の獲物を押さえ、三葉とシノアもなんとか獲物押さえ込む。

 

「廉也!」

 

その瞬間、俺は全神経を足に集中させ、その場を離れグレンの下に移動する。

 

「グレン!」

 

「廉也……俺ことは良い!」

 

落ちた刀を拾いグレンが言う。

 

「お前は優を追え。あの金髪の小僧吸血鬼に拉致られた」

 

「何!?」

 

遠くを見ると、ミカが優を連れ移動していた。

 

「早く行け!手遅れになるぞ!」

 

グレンの言葉に従い、俺は優たちの後を追う。

 

二人の後を追うと、二人は朽ちたガソリンスタンドの屋根の上で話していた。

 

気付かれないように、俺は下からミカの背後に回る。

 

この距離ならやれる。

 

そう思い、ゆっくりと“六道煉獄”を取り出す。

 

「あそこにいちゃダメなんだ。人間に利用される。だから…」

 

人間に利用?

 

その言葉に俺は動きを止め耳を傾ける。

 

「振り返らないで!後ろには何もいない!」

 

「でも……俺の仲間が……家族が………!」

 

「家族は僕と優ちゃんだけだ!いいから僕と一緒に――」

 

「黙れ、吸血鬼」

 

俺は我慢できず、ミカの背後に立つ。

 

「なっ!?」

 

ミカは剣を抜こうとするが、俺の方が速く俺の裏拳はミカを殴り飛ばす。

 

「ミカ!」

 

飛ばされたミカに駆け寄ろうと優が動くか、それを止め、俺は優を殴った。

 

「れ、廉也………!」

 

「いい加減しろ!」

 

倒れた優の胸倉を掴み引き寄せる。

 

「相手が家族だろうと、吸血鬼の言葉に惑わされるな!それでも、月鬼ノ組か!」

 

その言葉に優の目が見開かれる。

 

「仲間を守るんだろ?誰も殺させやしないんだろ?なら、今お前が何をするのか分かってるだろ!」

 

「お、俺………」

 

優は自分の手を見つめ黙る。

 

その時

 

「シノアさん!」

 

与一の声が聞こえた。

 

慌てて戦場の方を見ると、シノアがクローリーに捕まり、首を掴まれ持ち上げられていた。

 

「シノア!」

 

俺はシノアの下に走り出そうとするが、その直後何者かに背後から襲われる。

 

「がっ!?」

 

「廉也!」

 

優が“阿修羅丸”で、その何者かに斬り掛かろうかとするがあっさりと避けられ優も殴られる。

 

「ゆ……優!!」

 

動きだ押すとするが、脇腹を靴のつま先で蹴られ、俺は口から胃液を吐き出した。

 

「汚いな~」

 

そう言って、その何者かは俺をひっくり返し、首を踏む。

 

「ぐっ!?」

 

「家畜のくせにぎゃあぎゃあやかましいよ。鳴くならブヒブヒって言えよ」

 

襲って来たのは吸血鬼で、その吸血鬼は明らかに下級の奴なんかじゃなく貴族クラスだった。

 

少なくともあのクローリーて奴と同じぐらいだ!

 

俺は手で、その吸血鬼の脚を掴み退かそうとするが、力がうまく入らず退かせない。

 

「あの女、そんなに大事?なら、いいもの見せてあげるよ」

 

そう言うと足で俺を動かしながら俺の顔を屋根から突き出すようにする。

 

俺の頭は重力に従い、下に下がる。

 

そして、見えたは君月と与一、三葉の三人が吸血鬼に襲われ血を吸われている姿だった。

 

「あ゛っ………がっ………!」

 

声を出そうと必死に喉を動かそうとするが、吸血鬼の踏む力が強く喋れない。

 

“獅子斬童子”と“六道煉獄”はさっき、やられた拍子に落したらしく、俺の傍には無かった。

 

助けられない……帝鬼軍最強なんて言われてるのに、仲間が危ないって言うのに、俺は闘えないのかよ……………

 

そして、クローリーはシノアの首を掴んだまま地面に押し倒す。

 

手で口を塞ぎ、ゆっくりと牙をシノアの首筋にに近づける。

 

「……や……!」

 

牙とシノアの首筋の距離が残り数cmになる。

 

「や……め………!やめろおおおおおおおおおおおお!!」

 

やっと叫べたと思ったと同時に、とうとうシノアの首筋にクローリーの牙が食い込んだ。

 

その瞬間、俺は意識を失い、腕の力が抜け、掴んでいた吸血鬼の脚を離した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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