「うがああああああ!」
「うあああああああ!」
廉也と優は叫びにならないような雄叫びを上げ、互いを攻撃する。
優は自身の鬼呪装備“阿修羅丸”を手に戦っているが、鬼呪装備を持ってない廉也の方が優勢だった。
「うがあああ!!」
廉也が拳を握る優の顔を殴ろうとする。
優は廉也の拳を受け止め、“阿修羅丸”で廉也の左腕を斬り飛ばす。
その瞬間、廉也は優の腹目掛け蹴りを入れ、距離を取ると空中で取れた左腕を受け止め断面にくっ付ける。
すると、左腕は何事も無かったかのようにくっ付く。
そして、再び拳と刀のぶつかり合いが始まる。
「撤退するよ」
その様子を遠くから見ていたフェリドがミカの肩を掴んで言う。
「放せ!僕は僕は優ちゃんを助けるんだ!」
「気持ちはわかるけど、今はムリムリ…ほら見てよ、人間どもの欲望があんなにも醜く一つの形になって暴れてるんだよ」
ミカの視線の先には、家族だった優が異形な姿となり、彼が今の家族と言い、同じく異形な存在となった少年と戦っている
「……くそ、人間どもが……!!」
「あはぁ、どう?そろそろ人間が嫌いになってきたでしょう?人間が嫌い、でも吸血鬼も嫌い。じゃあ一体君は何になるのかなぁ〜〜?とても楽しみだ、じゃ帰ろうか。」
そしてフェリドはミカの腕を引っ張る。
「放せっ!」
それでもなお抗おうとするミカの首をフェリドは掴む。
「はい、うるさーい。もう十分はしゃいだだろ、黙れよガキ」
「……くっ!」
そして、ミカはフェリドと共に、その場を後にした。
「廉也……優さん……一体何が……!」
シノアは噛まれた首を押さえながらよろよろと立ち上がる。
「ありゃ、暴走してんだ」
グレンは座り込みながら息絶え絶えの状態で言う。
「暴走……?どういうことですか?中佐」
「説明する義理は無ぇ。だが、一つ分かることを言えば、どちらかが勝てば、次に狙われるのは俺達だ」
グレンの言う通りだった。
あの時、廉也が君月を襲ってたのは近くにいた君月が廉也に呼び掛けた為、襲った。
どうやら自分に接触してくる者は敵味方関係なしに攻撃してくるようだ。
そして、今の優も少なくとも話に応じてくれるほど理性があるとは思えない。
「シノア。二人を助けたけりゃ、今から言う事をよく聞け。おそらく、この勝負優の方が負ける。そして、優が負けた直後、廉也は深夜の鬼呪装備で狙撃され、処分されるだろう」
その言葉に目を見開き、辺りを見渡す。
そして、あるビルの屋上で光る物を見つけ、そちらを睨むように見る。
「廉也を死なせたくなけりゃ命張れ。廉也を止めるんだ」
「でも………どうやって……?」
「ありゃ、廉也の精神が乱れて中で暴れてるような状態だ。手段は何でもいい。廉也を落ち着かせるんだ。そうすりゃ、廉也の暴走は止まるはずだ」
グレンがそう言った直後、決着が着いた。
廉也が優の“阿修羅丸”を弾き飛ばし、そして蹴り飛ばしたのだ。
そして、優は暫く身じろぐが、すぐに動きが止まり、黒い羽根のようなものが消え、いつもの姿に戻った。
そして、優を蹴り飛ばし、ゆっくりと廉也が足を地面に下ろそうとした瞬間、シノアは廉也の後ろから抱き付いた。
廉也はそんなシノアを排除対象を見なしたのか、シノアを殺そうと暴れ出す。
だが、それでもシノアは廉也を離そうとしなかった。
「大丈夫……大丈夫ですから………落ち着いて下さい」
「……う…あ……!」
「誰も………貴方を傷つけませんから………私が、させません……」
シノアがそう言った瞬間、廉也の体からすっと力が抜け、廉也は倒れそうになる。
倒れそうになった廉也をシノアは地面に崩れ落ちるようにして受け止める。
「……よかった」
そう言ってシノアは涙を流して廉也を抱きしめた。
「…………はぁ、これから面倒くせぇことになりそうだな」
グレンは人知れず、ため息交じりに呟いた。