終わりのセラフ~一刀一銃の使い手~   作:ほにゃー

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廉也の想い

「はっ……はっ……はっ……!!」

 

目を覚ました俺は、着の身着のまま部屋を出た。

 

部屋の外にいた兵は気絶させ、腰の通常呪術装備を貰い軍の施設から逃げた。

 

もう………あそこにはいられない。

 

見張りの兵を倒し、俺は外壁から飛び降り、防壁の外に出る。

 

「おっと!」

 

両脚から地面に降り、手を付く。

 

「……あの高さから降りて、骨すら折らないなんてな。流石は吸血鬼だな。いや、俺は吸血鬼でも人間でもない半端な存在だな」

 

自嘲するように笑い、俺は夜の街を歩いた。

 

行く当てはない。

 

とにかく、アイツらから離れたかった。

 

グレンから俺は自分が軍が施した強化手術の被験体だったと聞かされていた。

 

記憶が無いのも手術の影響と聞き、渡された薬も強化した体の力を最大限にまで高め、吸血鬼より強くなるとしか聞いてなかった。

 

だが、暴走をしたお陰で俺は全てを思い出した。

 

自分の正体、父親が何をしたのか、そして、自分の兄と妹のことを。

 

もし俺の正体を知ったらアイツらはどう思うだろう。

 

知りたくない。

 

誰にどう思われようがいいし、何を言われてもいい。

 

ただ、アイツらだけには嫌われたくない。

 

俺を嫌うアイツらの目は見たくない。

 

だから、俺は逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前、吸血鬼だったのか!だったら俺の敵だ!」

 

違う!俺は吸血鬼なんかじゃない!信じてくれ、優!

 

「敵の言う事に耳を貸すかよ!第一、お前は俺を殺そうとしただろ」

 

待ってくれ!違うんだ、君月!

 

「廉君、僕は君が信じられないよ」

 

与一、お前まで俺を避けるのか………

 

「アンタなんかを兄として慕っていた自分が愚かだった!私の前から消えてくれ!」

 

三葉………止めてくれ、止めてくれよ……………

 

「…………」

 

なんだよ、シノア。

 

俺をそんな目で見るなよ。

 

頼むから!お前まで俺を見捨てないでくれよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シノア!」

 

俺はめを覚ました。

 

「……………夢か」

 

あの後、俺は防壁から離れた後、廃墟と化したマンションの一室に入り、睡眠を取った。

 

嫌な夢を見た所為で寝汗が酷い。

 

だが、汗を流すシャワーなんぞない。

 

俺は使えそうな布を見付け、それで体を軽く拭く。

 

何処に行けばいいんだ…………

 

ベランダから顔を出し、廃墟の街並みを見つめる。

 

昔はここも賑わっていたんだと思うと、悲しくなってきた。

 

もし、八年前のあの日あんなことが起きなかったら俺はどう過ごしていたんだろうか?

 

シノアや優たちとは出会わず、自分の道を進んでいたのか?

 

それとも、違う形で出会っていたかもしれない。

 

「なんで、こんなこと考えてるんだろうな、俺は……………」

 

隣に通常呪術装備の刀を置き、俺は空を見上げる。

 

「キャアアアアアアアアアアア!!」

 

その時、静寂を引き裂くような悲鳴が聞こえた。

 

刀を手に辺りを見渡す。

 

すると眼下では、一人の少女が吸血鬼三体に襲われていた。

 

生き残りか!

 

助けないと!

 

そう思って、刀を手に掛けるが、思い留まる。

 

俺は、人間じゃない。

 

人間じゃない俺が人間を助けるなんて滑稽だよな。

 

それに、俺の武器はこの通常呪術装備の刀のみ。

 

こんな通常呪術装備の刀なんかでは吸血鬼三体と渡り合えない。

 

そう思い、助けようとした手を下ろし、見なかったことにする。

 

「誰が……助けて!」

 

下から助けを求める声が聞こえる。

 

ごめん…………俺にも事情がある。

 

許してくれ。

 

「誰も助けに来やしないよ。血、飲ませろよ」

 

「その前に楽しませてもらっていいか?」

 

「何?襲うの?物好きだね。こんなのまだガキじゃん」

 

「それがいいんだよ。それに、人間の雌ならどれだけボロ雑巾の様に扱っても問題無いしな」

 

その瞬間、俺はベランダから飛び降りる。

 

「はあああああああああああ!」

 

落下しながら刀を抜き、吸血鬼の腕を切り落とす。

 

「ぐあああああああああああああ!!?」

 

少女を掴んでいた吸血鬼の腕を落とし、少女を助ける

 

「よぉ、もう大丈夫だぞ」

 

俺は少女の頭を撫で、泣き止ませる。

 

やっぱ俺には見捨てられないな。

 

「俺が、守ってやるからな」

 

そして、俺は少女を後ろに下がらせ、刀を構える。

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