終わりのセラフ~一刀一銃の使い手~   作:ほにゃー

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救いの手

「こいつ……帝鬼軍の人間か?」

 

「いや、一人しか見当たらないし、大方帝鬼軍の人間から武器を剥ぎ取った人間でしょ」

 

「テメー………よくも俺の腕を……!」

 

吸血鬼三人は殺気立ちながら俺と少女を見る。

 

「大丈夫だ、俺が守る」

 

少女を俺の後ろに隠し、正面に刀を構え、辺りを確認する。

 

この人数とこの戦力差。

 

まともに戦っても勝ち目はない。

 

なら逃げるのか一番だ。

 

だが、逃げて何処に行く?

 

この世界、人間にとって優しい場所なんて無い。

 

防壁まで連れて行くか?

 

そすれば確実にアイツらに、シノアたちに会うことになる。

 

それは避けたい。

 

だが、そんな俺の我儘でこの子を危険な目に晒す訳にはいかない。

 

なんとかこいつらの隙をついてこの子を防壁まで連れて行かないと。

 

防壁まで連れて行けば見張りの兵が気付いて、助けに来てくれるはずだ!

 

俺はゆっくりと刀を下ろし、そのまま土を巻き上げる。

 

「こっちだ!」

 

少女の手を取り、近くの廃墟ビルに逃げ込む。

 

このままここを通り抜けて、橋を渡り切れば防壁が見えて来る。

 

後は其処を全力で走れば逃げ切れる!

 

「おっと、逃がさねぇよ」

 

だが、吸血鬼は先回りをして俺の前に立つ。

 

「くっ!」

 

吸血鬼三人は俺達を囲むように武器を構える。

 

「もう面倒だし、こいつら殺そうよ」

 

見た目的に十代後半ぐらいの青い髪吸血鬼がレイピアを振り回しながら言う。

 

「男の方は構わないだろう。だが、子供は別だ。血を提供してもらうからな」

 

眼鏡を掛けた知的そうな吸血鬼は剣を構えつつ言う。

 

「この男だけは俺が()る。お前らは手を出すな」

 

金髪に色黒の吸血鬼が歯を剥き出し、怒りを露わにして言う。

 

待っていても殺されるだけだ。

 

なら、先手必勝だ!

 

少女を背中に背負い、刀を握りしめる。

 

「しっかり捕まって、目を閉じてろ」

 

そう言い、青い髪の吸血鬼に突っ込む。

 

レイピアを弾きながら、腹部に蹴りを入れ、進路を確保する。

 

「くそっ!待て!」

 

俺を追って来ようと走り出す吸血鬼の攻撃をギリギリで躱し、刀を振り、その吸血鬼の顔を浅く切る。

 

怯んだすきに、足を蹴り飛ばし、俺は走り、走り際に刀で支柱を何本が斬り倒し、道を塞ぐ。

 

廃墟ビルを出て橋を渡り、防壁が見える。

 

少女を背から下ろし、目線を合わせながら言う。

 

「このままあの大きな壁に向かって走れ。そうすれば後は帝鬼軍の人が保護してくれる」

 

「あの……お兄さんは?」

 

「………俺は、あの吸血鬼の相手をしないといけないんだ。誰かがあの三人を引き付けないと逃げきれないしね」

 

「でも、それだとお兄さんが………!」

 

「……………君が全速力であそこまで行って帝鬼軍の人に事情を説明するんだ。そすれば、俺は助かる。だから、頼めるかな?」

 

「は、はい!」

 

「よし!なら早く行くんだ!」

 

そう言って、少女を急かし、走らせる。

 

「…………ここが俺の死に場所かもな」

 

そう呟き、刀を持ち振り返る。

 

そこには、さっきの三人が居た。

 

「あの子供は逃がしたのかい?」

 

「なら、こいつを殺して早急に捕まえるべきだな」

 

「殺してやるよ、家畜が」

 

「………………ああ、来いよ。殺してみろ、吸血鬼」

 

刀を手に俺は吸血鬼三体と戦う。

 

薬も無い。

 

鬼呪装備も無い。

 

あるのは通常呪術装備の刀のみ。

 

それだけで三人の剣を受け流し、斬り掛かるも、分が悪く、一人も倒せないままだ。

 

瓦礫や土などを目くらましに使い、廃墟の街を逃げ回る。

 

「くっ!」

 

「おらおら!死ねよ、家畜が!」

 

「臓物まき散らしながら、醜く死ねよ!」

 

「そろそろ死んでもらいたいね」

 

三人の攻撃は連携が取れていた。

 

疲労が徐々に蓄積し、俺はとうとう膝を着く。

 

「終わりだ!」

 

勢いよく剣が振り下ろされる。

 

刀で防御しようと構えるが、剣はやすやすと刀をへし折る。

 

これで武器は無くなった。

 

「ま、人間にしてはよくやったよ。だから、楽に死なせてやる」

 

金髪の吸血鬼が剣を高く上げ、振り下ろそうとする。

 

俺はこのまま死ぬのか?

 

それでもいい。

 

死ねば、アイツらに会う事も無い。

 

俺は諦め、目を閉じる。

 

「あばよ」

 

剣が振り下ろされるのを感じた。

 

そして、その瞬間、俺の中に死にたくないと言う欲望があるのを感じた。

 

仮に、死ぬのだとしても吸血鬼なんかに殺されたくない。

 

ならせめて、最後まで抗って死んでやる!

 

振り下ろされた剣を左手を付き出して受け止める。

 

剣は俺の腕に食い込み、血が流れる。

 

刃の折れた刀を持ち、吸血鬼の脇腹に突き刺す。

 

「死ねええええええええ!」

 

「く……くそがああああああああああ!」

 

吸血鬼は剣を俺の腕から引き抜くと、俺を蹴り飛ばす。

 

俺は数回地面を転がり、瓦礫の山に体をぶつけ止まる。

 

「家畜如きが………まぁいい。これで終わりだ」

 

体が痛く、もう動けない。

 

少しは抗えたかな。

 

そう思い、俺は目を閉じる。

 

だが、いつまでも痛みが体を襲わなかった。

 

目をゆっくりと開けると、吸血鬼と俺の間に誰かが立っていた。

 

紫がかった灰色の髪に、髪の一部を編み込んで後ろ髪を大きな濃い紫色のリボンを結んだ小柄な少女。

 

「間一髪でしたね…………廉也」

 

柊シノア。

 

彼女が吸血鬼の攻撃を受け止めていた。

 




鬼呪装備は憑依タイプの場合だと、鬼の悪意が強いと消したり出したりはできないそうです。

廉也の鬼呪装備は特殊で、廉也の体も普通の人間とは違うのでその辺の設定はあんまり関係ないつもりです。
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