誰だこれ?
「お前が好きだ」
シノアの腕を掴んだまま、告白をする。
シノアは一瞬唖然とすると辺りを見渡し、俺と自分以外に誰もいないことを確認する。
そして、誰もいないのを確認すると、一瞬にして顔を真っ赤にした。
凄いな。
一瞬でリンゴの様に真っ赤だぜ。
「な、なななななな!!何を言ってるんですか!?」
「何ってお前が好きって言ったんだけど」
「ど、どうして今そんなこと言うんですか!」
「そりゃ、今自覚したからな」
俺はシノアの腕から手を掴むのに変え、語るように言う。
「シノアがクローリーに血を吸われた時、俺は怒りよりもショックを受けた。お前を守れなかった。そして、クローリーへの殺意が湧くと同時に、俺は暴走した。君月や与一、三葉が襲われた時よりも俺は怒り狂ってた。俺の中では、お前の事が誰とも比べられないぐらいに大切な存在なんだ。だから、俺は暴走したんだ」
自然とシノアを握る手に力を込める。
「シノア。もしかしたら俺はこの先、また暴走をするかもしれない。でも、好きなお前の声なら俺はきっと止まれると思う。だから、俺の傍で一生俺を支えてくれ。そして、俺はお前を一生護る」
シノアの目を見つめ、真っ直ぐに自分の想いを言う。
シノアは口をあうあうと動かし、俯いてしまった。
シノアを見つめてると、シノアは徐々に顔を上げ、俺と目が合うとすぐに俯く。
数分ほどそんな事をしてると――
「………ったら………」
蚊が鳴く様な声でシノアが何かを言い出す。
「私なんかで…………良かったら…………」
「ああ。ありがとうな」
そう言って、俺はシノアを引き寄せ抱きしめる。
「ひうっ!!」
「…………ありがとう」
もう一度、お礼を言い髪を梳く様に撫でる。
シノアは暫くの間驚き、焦っていたが、徐々に落ち着いたのかシノアも俺の脇の下から手を入れ、俺を抱きしめる。
俺の胸に頭を預けるようにして来るから顔は見えないが横から見えてる耳はこれでもかってぐらいに赤い。
そんなシノアがとても愛おしく感じ、無理矢理顔を上に向かせる。
「シノア、顔見せろよ」
「い、嫌です!絶対嫌です!」
シノアは顔を見られまいと抵抗するが、結局は俺に顔を見せる形で上を向かされる。
顔を真っ赤にし、目には若干涙が浮かんでいた。
「何泣いてるんだ?」
「……そりゃ、泣きますよ。………好きな人に告白されて、嬉しくて泣かない人はいませんよ…………」
本当に可愛い奴だ。
「れ、廉也!」
「ん?」
「……私の事を一生護るって言うならその………しょ、証拠を見せてください」
そう言うと、シノアは目を固く閉じ、顎を突き出すようにする。
シノアが何を求めているのがすぐにピンと来て、俺はシノアの頬に触れる。
シノアの肩がビクッっとなるが、そのまま俺はシノアの髪をシノアの耳に掛けるように動かし、唇を近づける。
その時
「おい!見えねぇって!」
「バカ優!声がでけぇ!」
「君月もでかいぞ!」
「三葉さんも十分に大きいよ」
部屋の外から聞覚えのある声が聞こえる。
シノアは俺から離れると、扉に近づき、勢いよく開ける。
すると、そこには優。君月、三葉、与一の順でトーテムポールになり、耳を立てていた。
「……こっそり何をしてるんですか?」
シノアは“四鎌童子”を出し、四人を脅すように殺意を向ける。
「逃げるぞ!」
君月の声を合図に四人は走り出す。
「あ!待ちなさい!」
「シノア、廉也と仲良くしろよ!」
「お兄ちゃんを悲しませたら承知しないからな!」
「取り敢えず、結婚式には呼べよな!」
「えっと、お幸せに!」
一人一言ずつ、言いたいことを言って全力で逃げる。
「あの人たちは………逃がしませんから!」
シノアは今にも走り出しそうな雰囲気を出す。
俺は後ろからこっそり近づき、そして―――
「シノア」
「なんでs…ん!!?」
振り向くと同時に、俺はシノアにキスをする。
驚き目も見開くシノア。
だが、徐々にシノアは目を閉じ、強張った体の緊張も解けて行く。
何十秒、何分にも感じたキスをし、俺達は唇を離す。
シノアは自分の唇に触れ、そして俺を見上げる。
「これからもよろしくな。シノア」