明:「今年も俺達はドタバタやらかしていくんでよろしくな〜」
つばめ:「さて、今日行けば漸く年末年始の7連勤が終わる……」
明:「ケッケッケ、お疲れさん」
とある平日の昼、俺は高等部の屋上でももかと瑠璃と萌香が何やら盛り上がってる現場に遭遇した。
「あっ♪明君!」
「よぉ、三人揃って仲良く日向ぼっこ中だったか?」
「それもあるが、丁度今ももかから明の話を聞いていた所だ」
「俺の話?」
何か話のネタになるような事をした覚えはねぇが……あ、調子乗ってミルフィーユ作ってみた時の話か?
「あぁ、3年前の明の話だ」
「おっと、これはなんとなく嫌な予感」
君子危うきに近寄らず、こりゃ逃げた方が良さそうだ。
「そーいや明さん塾があんだった。てな訳で…ってなんてこった……」
「フッ、逃しはせん。なぁ瑠璃?」
「お〜!」
「…泣けるぜ」
逃げる為に回れ右したら何という事でしょう、瑠璃さんが階段への逃げ道である扉の前に立ち塞がっているではありませんか。
恐ろしく速い移動、俺でなきゃ見逃しちゃうねぇ。
「というわけで明よ、大人しくこの場に残って話を聞いてけ」
「へーへー、お手柔らかに頼むぜ。てか、3年前の何の話してたんだ?」
「それは勿論、明君とももっちの出会いのお話〜!」
「なーるほど」
そーいや、ももかとの出会いも3年前…俺らが中学2年の時だったな。
改めて思うと14歳ってのは人生が変わる歳なのかねぇ。
「確か、その頃のももっちは明君達とは違うクラスだったんだよね?」
「あぁ、同じクラスになったのは3年からだったからな。まぁでも、ももかの存在や噂は2年の頃からこっちのクラスにも知れ渡ってたぜ」
「その時既にカリスマモデルの地位にいたらしいからな。凄いことだ」
「えっへん♪」
ケッケッケ、ナイスえっへん。
動きに合わせてご立派なたわわが揺れたぜ。
「でも、やっぱりその頃からももっちと周りとで距離があったんだよね?」
「う〜ん…、高校生になってから程じゃなかったけどそれなりにね〜…。あ、でも、男子達が……」
「ほう?」
「ほほう?」
おーおー、萌香さんも瑠璃さんも恐いお顔しなさって。くわばらくわばら。
「同年代や上級生がやたら告白してきたりちょっかいかけてきたりして大変だったな〜……」
「なんと!?」
「…明は知っていたか?」
なんてこった、こっちに飛び火してきたぜ。
「当時は噂で耳に入ってた程度だな」
「…成程。違うクラスなら仕方ないな」
「そーゆーこった」
つーわけで萌香さんや、その氷柱みたいな鋭い目で俺を見なさんな。
クールビューティフェイスのその眼差しは中々に迫力があるでんて。
「でも、そのおかげで明君と出会えたの♪」
「ほぇ?」
「そうなのか?」
「さーて、どうだったかねぇ。記憶が曖昧なんで明さんは何とも言えねぇぜ」
あ?
いつもの捻くれパターンですっとぼけてるんじゃねぇのかって?
オーケーオーケー、その挑発あえて乗ってやんよ。
屋上来いや…ってここ屋上だったな。ケッケッケ、こりゃ失礼。
「フッ、明がとぼけてお茶を濁すのは分かりきっていた。というわけでももか、全て話せ」
「うん♪アレは春頃だったな〜。私が放課後図書室で調べ物をしてる時にとある上級生が話しかけてそのまま目の前の席に座ろうとしたの」
「この段階で既に不快だな」
「ケッケッケ、萌香だったら睨みつけてきそうだな」
「明君シャラッ〜プ」
「へーいへい」
「それで“嫌だなぁ……”って思った時、“悪い悪い、探すのに手間取っちまったぜ”って言って2、3冊本を持った明君が現れたの!」
「フッ」
「おぉ〜!」
「そういえばそんな事してたな」
1冊じゃなく2、3冊なのがミソ、ここテストに出るから覚えとけ。
「それでその上級生は明君の顔見て去って行ったんだけど……まだ終わらなかったんだよね」
「あぁ、カウンターの図書員に話しかけたりあちこちの棚に行ったりして様子見してたな」
「とことんしつこい奴だな」
「モテなさそ〜」
「ケッケッケ、ちげぇねぇ」
同じ男である俺から見てもよろしくねぇ行動だったからな。
ありゃ確かにモテなさそうだぜ。今は知らねぇけど。
「でもそれに気付いた明君がまたまた魅せてくれたの♪」
「ほう?」
「ほほう?」
「ほほほ〜う?」
ノリ、大事、絶対、ってな。
「ちらっと時計見て“そろそろ時間か。んじゃま、ゆりを待たしてるから行こうぜ”って言って一緒に図書室から出てくれたの♪しかも出てからもずっと私に話しかけてくれてたわ!」
「ほぉ、中々やるな」
「明君男前〜!」
「まぁ、そーでもしねぇとまた近付いてくる可能性があったからな」
それにしつこい奴はとことんしつこいって言うから念の為の保険ってヤツだぜ。
「それでも私は嬉しかったわ♪口実じゃなくて本当にゆりっぺと待ち合わせしてたのには驚いたけどね〜」
「ん?撒く為の嘘ではなかったのか?」
「残念ながら本当だぜ。そもそも、本来なら図書室の用も手早く片してゆりと合流する予定だったんだよ」
おかげで合流した時のゆりがな?
ありがてぇ事に事情をすぐに察してくれたがソレはソレのコレはコレ、その後軽食奢ってよーやく許してくれたぜ。
「それじゃあ何で明君はももっちを助けたの〜?」
「…さーな。もう3年も前の事だからすっかり忘れちまったぜ」
仮に覚えてたとしても絶対言わねぇ……と言いてぇ所だが、なーんかだいぶ前にどこかで行っちまった気がするんだよなぁ。
いや〜我ながら困った困った、承◯郎はオラったオラった。
「え〜!?」
「やはりと言うべきか相変わらず捻くれている奴だな」
「でもそこが明君の良い所なんだよね〜♪」
「フッ、違いない。それで?その時の事が明の事が気になった 1回目のきっかけなのだろう?2回目以降はどんな事があったんだ?」
おーおー、なんてこった。
「まだ聞くつもりなのな」
「当然だ。折角の機会だからとことん聞いてやろう。なぁ、瑠璃?」
「そ〜だそ〜だ〜!聞き終わるまで昼休みは逃がさないぞ〜!」
「望むところよ♪私がどれだけ明君に心奪われたか、たっぷりご馳走してあげるわ♪」
「というわけで、明は引き続き大人しくしているんだな」
「逃げようとしても無駄無駄無駄ぁ!」
「ケッケッケ、泣けるぜ」
【終わり】
オマケ1
〜捻くれフィルター無しver〜
明:「俺はあの頃から仕事も勉強もちゃんと両立させてるももかの事を尊敬してた。んで、そのももかが困ってたから助けた。ただそれだけだ」
瑠璃:「おぉ〜!」
萌香:「フッ、捻くれていてもやはり義に厚い奴だな」
オマケ2
〜もしも…〜
瑠璃:「その上級生が悪化して現れたらどうする〜?」
明:「そりゃ勿論ももかを護るぜ。ももかは俺の大切な存在だからな」
萌香:「成敗ついでに目の前で熱いキスを決めてしまえ」