花を護る騎士 ブレイドナイト   作:葵祈つばめ

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Goプリの最終回、
やっぱり泣いてしまった。


Max Heart編

「…たこ焼き食いてぇ」

 

辺りをぶらぶら散歩してたら何故だか急にたこ焼きを食いたくなった。

 

…何故だ?

 

「でも、この町にたこ焼き屋ってあったか?」

 

…無いな。

 

唯一あってコンビニのだな。

 

「食うなら屋台の出来立てが食いたいんだよな」

 

さーて、どうしたもんか…。

 

………

……

 

「あ」

 

閃いた。

 

「彼処に行けば食えるじゃん」

 

今の俺の要求に一致する、まさに理想的なあの場所が。

 

「そうと決まれば…」

 

俺は決意を固めて駅へと歩を進めた。

 

その後、電車に乗りガタンゴトンと揺られて数十分、俺は若葉台駅に着いた。

 

「よし、行くか」

 

目指すは、タコカフェ!

 

………

……

 

…確か移動式だったけど、大丈夫だよな?

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「…あった」

 

駅から不安を抱えながら此処まで歩いてきたが、どうやらその不安は不要だったようだ。

 

俺の前方数メートル先に目当てのタコカフェがあった。

 

と言うか、以前なぎさが言ってたな。

“行けば大体ここに居る”って。

しかも、タイミングが良かったのか客は誰も来ておらず、アカネさんとひかりがテーブルで茶を飲んでいた。

 

てか、なぎさとほのかも来てないのな。

 

…休憩中だったか?

 

そう思いながら近付いていくと何かを察知したのか、アカネさんが此方に気付いた。

 

…商売人センサーに引っ掛かったか?

 

「お、明君」

 

「え?…あ、明さん!」

 

遅れてひかりも気付いた。

 

「アカネさん、お久し振りです。ひかりも元気してたか?」

 

「はい」

 

「明君今日はどうしたの?」

 

「散歩してたら何故だか急にタコカフェのたこ焼きを食べたくなりまして、来ました」

「わざわざ遠くから嬉しいねぇ。今日は客足もこんなんだから、暇してたんだよ」

 

あらら。

 

「明さん、ご注文は?」

 

ひかりが聞いてきた。

 

そうだな…腹の具合的に、

 

「たこ焼き三箱」

 

だろう。

 

「はい、わかりました」

 

そしてひかりは、注文です、とアカネさんに伝えた。

 

「はいよ。…おぉ、明君三箱もいくか」

 

「はい。なぎさ程じゃないですけど、ここのたこ焼きは美味しいので沢山食べれますから」

 

「いやぁ〜、そこまで言ってくれるとは嬉しいねぇ。あ、飲物はサービスするよ」

「ありがとうございます」

 

ほんと、アカネさんの気前の良さには頭が上がらん。

 

「出来上がるまで椅子に座って待っていて下さい」

 

「あいよ」

 

ひかりに促されて俺は大人しく椅子に座って待っていた。

 

注文を承けたアカネさんは手際良くたこ焼きを作っていく。

 

良い匂いが腹を刺激する。

 

そして待つ事三分後

 

「ひかり、運んで〜」

 

「はい」

 

ひかりが出来上がったたこ焼き三箱とサービスの飲物を持ってきた。

 

「お待たせしました」

 

「おぉ〜」

 

目の前には出来立てのたこ焼きが贅沢に三箱も。

 

「ではさっそく」

 

いただきます、と手を合わせて1つ目のたこ焼きに爪楊枝を刺し食す。

 

「…あふ、あふ…うまっ」

 

当たり前な事だがたこ焼きは出来立て、つまり、熱かった。

 

「ふふっ、明さん変な声」

 

ひかりが控えめに笑っていた。

 

…なんかおもいっきり笑われるよりも恥ずかしい。

 

「…誰だって出来立てを口に入れりゃあこうなる」

 

「そうですね、ふふっ」

 

「まだ笑うか、こんにゃろ」

 

と、その時だった。

 

―くぅ〜〜〜―

 

「お?」

 

「っ!?」

 

何やら可愛らしい腹の音が。

 

さて、音の発信源は…て、考えるまでもないな。

隣から聞こえたし。

 

隣を見れば案の定、赤面したひかりが腹に手を当てていた。

 

「…食うか?」

 

俺はそう言ってたこ焼きを見せる。

 

「えぇっと…」

 

ひかりは困惑顔でアカネさんの方を見るが、

 

「良いから、良いから。どうせお客は誰もいないんだし」

 

と、笑いながら言っていた。

 

「だってさ、どうする?」

 

「…いただきます」

「ん、了解」

 

俺はもう一本あった爪楊枝でたこ焼きを刺し、ひかりに渡した。

 

「ほれ」

 

「…あ、…ん」

 

ひかりはそのままたこ焼きを食った。

果たして俺の様に、あふと言うか…

 

「…あ…ふ、あふい、です…」

 

言った。

 

「な?言うだろ?」

 

「…はい。言いますね」

 

「………」

 

「………」

 

………。

 

「フッ」

 

「ふふっ」

 

俺とひかりは顔を見合せ同時に笑うのだった。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

その後、俺、アカネさん、ひかりの三人でテーブルを囲って話に花咲かせていたら、馴染み深い声が聞こえた。

 

「アカネさーん!ひかりー!」

 

「なぎさ、ちょっと待って!」

 

声の聞こえた方を見ると、なぎさとほのかが走って此方へ来ていた。

 

「あ、明さん!久し振り!」

 

「…はぁ、はぁ…あ…明さん…」

 

「おう、久し振り。…ほのか、イスに座って先ずは息を整えてからでいいから」

 

「は…はぃ…」

 

イスに座ってすー、はー、と深呼吸をして息を整えているほのかと違って、なぎさは来て直ぐにたこ焼きを頼んでいた。

 

食意地張り過ぎだ。

 

「ふぅ」

 

「あ、落ち着いたか?」

 

「はい。改めて、お久し振りです、明さん」

 

「おう。元気してたか?」

 

「はい。明さんもお変わりないようで」

 

「まぁな」

 

等とほのかとやりとりをしていたら、たこ焼きと飲物を持ってきた。

 

「ほのか、たこ焼き持ってきたよ」

 

「…わぁお」

 

「…あははは」

 

あえて言わせてもらおう。

 

「屋台のたこ焼きを一人でそんなに食う女子はいない」

 

何箱あんだよ。

 

「いやだなぁ〜明さん。一人で12箱食べるわけないですよ」

 

「ほぅ」

 

「これ等はほのかとひかりの分」

 

なぎさはそう言って、二人に1箱ずつと飲物を渡した。

 

「ありがとう、なぎさ」

 

「えぇっと…」

 

ほのかは礼を言い、ひかりはまた困惑するが、

 

「いいよ、ひかり。今日はもうお客さん来なさそうだから、店たたんじゃおう」

 

アカネさんがそう言ったのでひかりはいただきく事にした。

 

「わかりました。なぎささん、ありがとうございます」

 

「いいって、いいって。んで、残りが私の」

 

って、おい。

 

「それでも10箱かよ」

 

「明さんも食べる?」

 

「既に購入済みだ」

 

まだ2箱残ってら。

 

「そう。それじゃあさっそく、いっただっきま〜す!」

 

イスに座ってたこ焼きを食べ始めるなぎさ。

 

「じゃあ私も」

 

「いただきます」

 

ほのかとひかりも食べ始めた。

 

…俺も残りを食うか。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「うま、あふ、うま、あふ、あふ、うま」

 

爪楊枝二刀流でたこ焼きを次から次へと食べるなぎさ。

 

「よくもまぁ、次から次へと食べるな。熱くねぇのかよ」

 

「ふぉふぁふぁふぇぅふぇふぁふぁふぁ!ふぉふぇふぃ、ふぁふぁふぇふぁふふぉふぁふぉふぁふぃふぁ、ふぁふふふぇふぉふぉふぃふぃふぃふぁふぁ!」

 

「分かるか!!」

 

口の中にたこ焼きを大量に入れて喋るから何も分からん。

 

「“お腹減ってたから。それに!アカネさんのたこ焼きは、熱くても美味しいから!”ですって」

 

直ぐにほのかが翻訳した。

 

「おぉ〜」

 

「ほのかさん凄い」

 

俺とひかりはほのかの凄さに驚いた。

 

「…んくっ!しかも今日朝から何も食べてなかったから」

 

口の中の大量のたこ焼きを呑み込んだなぎさがそう言った。

 

「何でです?」

 

と、ひかりが聞いた。

 

「なぎさったら、私一緒にたこ焼き食べに行こうって約束しておいて、時間になっても来なかったの。だから、なぎさの家に行ってみたら」

 

「寝てたと?」

 

「そうです」

 

ほのかの説明を聞き、途中でなんとなくオチが分かったので言ってみたら、正解だった。

 

「ほんっとうにゴメン!ほのか!」

 

そう言ってなぎさは手を顔の前で合わせ謝る。

イスに座ってなかったら土下座しそうな勢いで。

 

「はい、はい。たこ焼き奢ってくれたことだしもう気にしてないわ」

 

そう言ってほのかは、たこ焼き1つ口に入れて、おいしーと食べていた。

 

「ほのか〜」

 

「ただし、次からはちゃんと起きること」

 

「頑張る!」

 

「…目覚まし時計を使った方が良い気が」

 

「同感だ」

 

やれやれだ。

 

「うっ!…そ、そういえば明さん今日はどうしてタコカフェに!?」

 

「…なぎさ」

 

「…なぎささん」

 

露骨に話を逸らしたな。

まぁいいが、

 

「ん。散歩してたら急にたこ焼き食いたくなったから食いに来た」

 

「わざわざですか?」

 

「おう」

 

「いやぁ、ほんとありがたいねぇ」

 

ほのかが驚き、俺が頷き、アカネさんが喜んでいた。

 

「それなら!」

 

突然なぎさが大声を出した。

 

「なんだ急に」

 

「私のオススメのチョコソースたこ焼きを明さ「いらん」…まだ言ってる途中です!?」

 

「何か妙な単語を聞いたから遮った。後悔はしてない」

 

「「あはは……」」

 

ほのかとひかりが苦笑いしてるが、そんなの関係ねぇ。

 

妙な物食わされてたまるか。

 

「でも既に用意完了してます!」

 

「はい、お待ち」

 

いつの間にかアカネさんが持ってきた。

 

「アカネさん…」

 

「いやぁ面白そうだから」

 

「さぁ、明さん!」

 

そう言ってなぎさが俺に食わそうとする。

 

…やめろ。

 

「自分で食うから、食わそうとするな」

 

改めて、俺の目の前にはソースの代わりのチョコソースがかかったたこ焼きが。

 

「…旨いのか?」

 

「そりゃもちろん!猿も木から落ちるほどの旨さなんだから!」

 

…成程、

 

「不安だ」

 

「…なぎさ、意味違うから」

 

「…なぎささん、相変わらずですね」

 

 

「…ラクロスの時は頭も切れるのに」

 

ほのかやひかり、アカネさんもご覧の有り様だ。

 

「い、いいから!!明さん!食べてみて!」

 

「…へいへい」

 

食べないとなぎさの気が収まらないから嫌々ながらも俺は食うことにした。

 

…もぐ…もぐ…もぐ…

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

四人が俺を静かに見ていた。

 

…ごくん…

 

「どうだった、明さん?」

 

「…ありえなーい」

 

何言ってんだ俺。

 

「あっはっはっは!」

 

「ふふふ」

 

「ふふっ」

 

「はっはっは」

 

全員して笑いやがった。

 

「はぁ…やれやれだせ」

 

俺は空を仰ぎそう呟くのだった。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

その後も暫く四人と話に花咲かせて楽しんだ。

 

帰る時、俺は断ったんだが三人が駅まで見送りに来た。

 

「今日は楽しかったぜ。ありがとな」

 

「また来てね!明さん!」

 

「あぁ」

 

「で、またチョコソースたこ焼きご馳走します!」

 

「やめてくれ」

 

一度で充分だ。

 

「次は他の皆さんもご一緒に」

「あぁ。わかった」

 

言えば絶対行くってだろうな。

 

「これ、アカネさんからのお土産です。皆さんで食べてください」

 

「わざわざ悪いな。有り難く頂いていくぜ。アカネさんに有難うございますって、伝えといてくれ」

 

ひかりから袋詰めされた土産用のたこ焼きの箱を受け取り俺は駅の中へと歩き出した。

 

『さようならー!明さーん!』

 

後ろから三人の声が聞こえた。

流石に振り向くのが恥ずかしかったから片手を挙げて答えた。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

翌日、土産を渡しながらなぎさ達と話した事をつぼみ達に話した。

 

えりかがチョコソースたこ焼きに興味を持ったので近い内にまたタコカフェに行くだろう。

 

楽しみ半分、不安半分な気持ちだぜ。

 

【完】

 




あ〜早くオールスターズの新作観てぇ。

闘うかは分からんがエコーも出んだよなぁ。

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