二人か三人増える気がするねぇ。
そういえば、 高橋李依さんはGoプリの女生徒役で出てたし、堀江由衣さんはハピチャーの劇場版に出てたな。
…遊佐さんェ
「パン食いに行こう」
玄関を出ようとドアノブを掴んだ瞬間に俺はそう決断した。
何故だか急にパンを食いたくなったからだ。
「行き先は…と、考えるまでもないな」
パンだけに、パンパカパーンと閃いたからな。俺はほくそ笑み、玄関から外へと出て駅へと歩き出した。
その後、電車に乗りガタンゴトンと揺られて数十分、俺は海原市は夕凪に着いた。
「よし、行くか!」
目指すは、PANPAKAパン!
………
……
…
…そういえば、長いことあの町に暮らしているのに、一回もパン屋を見たことがないな。
趣味のぶらり散歩やつぼみ達と一緒に町をぶらぶらしてんのに。
後、我ながら寒いな。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
PANPAKAパンへ向けて俺は町を歩いていたが、ふと歩みを止めて呟いた。
「しっかし、良い景色だよなこの町は」
海と山に囲まれた自然豊かな町、
見渡す限り青と緑、
「…自然なだけに、自然とこの景色を描きたくなるな」
「わかります、その気持ち」
「ん?」
本日二度目となる寒い発言をしたら後ろからまさかの賛同の声が。
気になって後ろを振り向くと、
「ふふっ」
トートバッグを肩にかけた舞が居た。
「よう、舞」
「お久し振りです明さん。今日はどうしてこの町に来たんですか?」
「ん、パンを食いたくなったから、PANPAKAパンへ食いに来た」
「そうなんですか」
「そ。んで、そっちは?」
「実は私もこれからPANPAKAパンへ行くんです」
「なんだ舞もか。なら一緒に行くか?」
「そうですね。行きましょう」
そうして俺は舞と一緒にPANPAKAパンへ行くことにした。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「ほんと、この町の景色は良いもんだな」
「明さんもそう思いますか?」
「あぁ。絵にしたら中々良い感じの作品になりそうだな」
…そういえば、
「舞は確か絵を描くのが趣味だったよな?」
「はい。しかも美術部です」
ほぇー、
「どうだ、絵を描くのが趣味で尚更美術部の人間としてこの町を見た感じは?」
「いつでも筆が進む素敵な場所ですね」
尤も私は鉛筆ですけどね、と舞は言った。
「成程、だから今みたいにスケッチブックを持っているのか」
身長差故に舞を見下ろす形になるので、舞のトートバッグからスケッチブックを確認できた。
「出掛ける時はいつも持ってますね」
ほぉー。
「後で見せてくれるか?」
「ちょっと恥ずかしいですけど、良いですよ」
「サンキューな」
舞と約束をしその後も道中、二人で色々な話をした。
学校での話から始まり咲の失敗談、プリキュア、近隣の人気のお店、芸術等々他愛ない話をして花を咲かした。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
数十分後、ようやくPANPAKAパンにたどり着いた。
扉を開けずとも中からパンの良い匂いがする。
「見事な程、腹を刺激する匂いだな」
「…ちょっと言い方過激じゃないですか?」
「そうか?」
空腹だからかと思いながら思いながら俺は扉を開けた。
−カラコロカーン〜−
「いらっしゃいませ〜」
扉の上に付いている来客を告げるベルが鳴り、店員が応える。
「空いてますね」
「意外だな」
店内は俺ら以外の客は居なかった。
「あ、舞!」
と、舞を呼ぶ声が聞こえた。
出所を探していると、
咲がレジに居た。
「よっ、咲」
「あ!明さん!お久し振りです」
「咲、随分お店空いているわね」
「二人が来る前まではすんごい賑わってて大変だったんだ。で、ようやく落ち着いたの。いや〜本日もPANPAKAパンは、絶好調なり〜!」
舞に言われ咲は笑顔で答えた。
「成程。確かに結構売れたようだな」
見れば何個か容器が空である。かなりの賑わいだったと推測出来る。
「明さん、安心してください。パンはまだまだ沢山ありますから」
と咲は言った。
なら安心。
「んじゃ、俺らもパンを買いますかな」
「そうですね」
その後、俺と舞はトレーとトングを手に取って各々パンを選んでいきレジに向かった。
順番は俺の後ろに舞。
「明さん、沢山買いましたね!」
カウンターレジに居る咲がそう言う。
「まぁな」
「それじゃあ…」
「あ、待った」
咲が会計しようとしたが、俺は待ったをかけた。
そして後ろに振り向き舞に言った。
「舞、奢ってやるよ」
「そ、そんな!自分で買いますから!?」
舞は遠慮するが、
「良いから、良いから。大人しく奢られとけ」
と俺は言い、舞のトレーを取りカウンターの上に自分のと一緒に置いた。
「咲、会計頼む」
「明さん格好いい!流石大人!」
「や、まだ高2だからな」
その後、俺は手早く会計を済まし、舞の分のパンが入っている袋を舞に渡した。
「ほれ」
「ありがとうございます」
さてと、
「店で食うのも良いが、俺としては何処か外で食いてぇんだが、舞はどうする?」
「私もそれで良いですよ」
「あ、それなら三人で大空の樹の下で食べようよ!」
と、咲が言った。
「咲、お店は平気なの?」
「全然大丈夫!」
「なら行くか」
と、店を出ようとしたら
…
「あ、明さん!ちょっと待って!」
咲がストップをかけた。
「ん?どうした?」
「私の分のパンも良いですか?」
「…咲、流石に失礼…」
「良いぞ」
「やったー!」
そうして咲はパンを選び出した。
待ってる間、舞が訊ねてきた。
「あのぅ…明さん」
「ん?どうした?」
「…奢って貰った身で言うのも変ですけど、良いんですか?」
「全然OK」
「…そうですか」
そうしている内にパンを選び終わった咲が俺を呼んだ。
「明さん、お願いします!」
「おーおー、また随分沢山選んだな」
「お腹減ってるので」
「…もぅ、咲ったら」
その後会計を済まし袋を咲に渡した。
「ほれ」
「ありがとうございます!」
そんじゃま、
「大空の樹の下へ行きますか」
「はい!」
「はい」
そうして俺達はPANPAKAパンを出て大空の樹の下へと向かった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
そんなこんなで大空の樹の下に着いたわけだが、
「おぉ、相変わらず心奪われる幻想的な佇まい」
目の前の大空の樹対してに俺は若干テンションが上がっていた。
「…明さん、なんかテンション上がってるね」
「…意外と子供っぽい所があるからね。…それも素敵な所だけど」
二人が何か言っているが、声が小さくてよく聞こえん。
「何か言ったか?」
「い、いえ!!」
「何も言ってないですよ!?」
「そーかい」
「其よりも早く食べましょう」
「咲の言う通り、明さん食べましょう」
俺は二人に手を引かれ、樹の根に腰を下ろした。
「隣、良いですか?」
「おー、いいぞ」
舞が隣に座った。
「私はこっち!」
咲は樹に寄り掛かって座った。
そうして俺達はパンを食べ始めた。
「うまうま」
「いつ食べても咲の店のパンは美味しいわね」
「ふぉふぅふぇふぁ、ふぁふぃふぁんふぉふぅふぁふぁんふぇふぃふぁんふぇふぅ?」
口ん中にパンを含んだ咲が何か言っているが、まったくもって分からん。
「舞、分かるか?」
「私もちょっと…」
「…んぐ…ぷはぁ。そういえば、明さん今日は何で来たんです?」
口ん中のパンを飲み込んだ咲がそんなことを訊ねてきた。
てか、最初っから飲み込んでから喋れや。
「腹ぁ減ったから散歩がてら何処かで何か食おうと考えてたら、急にPANPAKAパンのパンが食いたくなったから来た」
「ほうほう」
「んで、PANPAKAパンに来る途中でこの町の景色を眺めていたら舞と逢って、聞いたら舞もPANPAKAパンへ行こうとしてたから一緒に来たわけだ」
あ、そういえば…
「忘れるとこだった。舞、スケッチブック見せてくれるか?」
危ない危ない。
「どうぞ、約束でしたからね」
俺は舞からスケッチブックを受け取り早速見始めた。
ペラ…ペラ…ペラ…ペラ…
「ほぅ…凄いな」
ペラ…ペラ…ペラ…ペラ…
「ははっ」
中々に面白い一枚を見つけた。
「この狸、咲だろう?」
「あ!わかります!咲をイメージしたキャラクターを描いてみたんです!」
「私は狸じゃなーい!!」
その後も俺らはスケッチブックを見たり、パンを食ったり、お喋りしたりして過ごした。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
その後いつの間にか陽が暮れ始めていたので名残惜しかったが各々帰路に就いたんだが、俺は未だに町をぶらぶらしていた。
「…茜色に染まる景色も中々どうして心に響いてくるものがあるのかねぇ」
歩みを止め、眼前の景色に俺はそう呟いていた。
暫く経った後に俺は帰路に就いた。
頭の中に今日見た景色や舞の描いた絵、そして心に浮かんだ絵を思いながら。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
翌日、俺は時間がある時にちょいちょい絵を描いていた。
色鉛筆なのはご愛嬌ってやつだな。
まぁ、描き終わった直後つぼみ達に絵を見られたがな。
みんな呆然として驚いてやがった。
失礼な奴等め。
因みにそうだな、
タイトルを付けるとするならこう名付けるな。
“大樹に集う希望の光”
ってな。
【完】
ぶっちゃけこの話、七時間前に書き上がりました。
深夜テンションておっそろしぃ〜( ̄▽ ̄;)