花を護る騎士 ブレイドナイト   作:葵祈つばめ

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書けたぁ


5GoGo!編

「…甘いもん食いてぇ」

 

特に和菓子。

 

団子、大福、餅、すあま、饅頭、羊羹、ねりきり…

数えだしたらきりがない。

 

「食いに行くか」

 

でも和菓子屋って何処にあるんだ?

 

少なくともこの町では見たことないな、和菓子屋って。

 

となると、隣町とかだよな。

 

「…あ、そういえば、アイツの実家が確か和菓子屋つってたな」

 

前に聞いといて正解だったな。

 

「なら、行くとしますか」

 

そうして俺は家を出て、駅へと歩き出した。

 

その後、電車に乗りガタンゴトンと揺られて数十分、俺は目的地である町に着いた。

 

「よし、行くか」

 

目指すは、

和菓子屋・小町

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

早速俺は小町へ向けて町を歩いているのだが、

 

「しっかし、相変わらずこの町は独特な造りをしているよな」

 

こうゆうのを“和洋折衷”って言うんだっけか?

 

滅多に旅行とか行かないからなんか得した気分だな。

 

ま、行った場合必ずと言っていいほどドンパチする羽目になるけどな。

 

えりかの言葉を借りるなら、“私達は凄いことをしてしまった・・・・”だな。

 

「…しかも、あん時のゆりの顔ったらな…くっくっくっ」

 

てな感じで、思い出を振り返りながら歩いていたら眼前に小町の看板が見えた。

 

「お、着いた、着いた」

 

幸い店は開いているようだ。

 

俺は店の戸を引き、店内へ入っていった。

 

「いらっしゃいませ〜」

 

さぁて、和菓子を堪能しますかな

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「ありがとうございました〜」

 

「まんぞく、まんぞく」

 

店を出て開口一番で此れが出た。

 

それにしても小町の和菓子はとても美味しかった。

殆んど俺好みど真ん中だったもんな。

 

「さて、腹は満たされた事だし、これからどうするか」

 

………。

 

「とりあえず、腹ごなしを兼ねて町をぶらぶらするか」

 

そう決めた矢先だった、

 

―ぐしゃ!―

 

「…ん?」

 

何かが頭に当たった。

 

「何だ?」

 

手に取り見てみたらそれは袋詰めされた一束分のビーズだった。

 

「ビーズ?何でだ?」

 

俺は不思議に思い、上を見回した。

そうしたら、見覚えある橙色の鳥が飛んで行くのが見えた。

 

………、

 

普通ならカラスだと思うが“この町”で、“ビーズ”、しかも落としたのが“橙色の鳥”となれば答えは簡単。

「シロー…いや、この場合はシロップか」

 

まぁ、ぶっちゃけどっちも同じなのだが。

 

「となると、このビーズは彼処へ持って行けば良いと」

 

丁度、腹ごなしを兼ねてぶらぶらする予定だったからな。

 

「さてと、行きますかな」

 

目指すは

アクセサリーショップ、ナッツハウス。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「到着っと」

 

あれから数十分歩いて

ナッツハウスに辿り着いた。

 

「店は開いてるな」

 

おじゃましまーす

 

―チリーン―

 

「いらっしゃいませ」

 

店内にはナッツさんしか居なかった。

 

「明か。久し振りだな」

 

「ナッツさん、お久し振りです」

 

「今日はどうした?一人で此処に来るのは初めてだな」

 

「小町で和菓子を食って、その後落とし物を拾ったんで届けに」

 

「落とし物?」

 

「そ、コレです」

 

俺はナッツさんに袋詰めされた一束分のビーズを見せた。

 

「シロップが飛んでいるのを見たんで、恐らく何らかの拍子に落としたのかと」

 

頭に当たった事は偶然だから語る必要ないな。

 

「そうか。すまなかったな」

 

「いえいえ。…そういえば皆はどうしたん…」

 

ですか、と言おうとしたら…

 

「ナッツさん、そろそろお店を…」

 

店の奥からこまちが出てきた。

 

さらに、

 

―チリーン!!―

 

「たっだいま〜」

 

「こら、のぞみ!」

 

「ナツ、店番ありがと」

 

「結構、買い込んだわね」

 

「買い忘れは無いかしら?」

 

ドアが勢い良く開き、

のぞみ、りん、ココさん、かれん、くるみが店内に入ってきた。

 

…挟まれた。

 

そしてナッツさん以外が俺に気付いた。

 

『あ、明!(さん!)』

 

「よぉ、久し振り」

 

「今日はどうしたんだい?一人で此処に来るのは初めてじゃないか」

 

「小町で和菓子を食って、その後落とし物を拾ったんで届けに」

 

ナッツさんの時と同じ事を聞かれたから、俺は同じ事をココさんに話した。

 

「あ、うちに食べに来てくれたんですね」

 

「おぅ。どら焼き美味かったぜ」

 

「ふふ、ありがとうございます」

 

…和菓子が“小町”で、こっちが“こまち”。

む、ややこしや。

 

「落とし物?」

 

「コレだ」

 

そう言ってナッツさんがココさんにビーズを見せた。

 

「確かビーズの担当って…」

 

「うららとシロップよ」

 

後ろでのぞみとりんがそんな事を言っていた。

となると、落としたのはうららの可能性が出てきたな。

 

あららのうららめ。

 

てか、

 

「ビーズ担当ってことは、他にも何か担当があるのか?」

 

「そうなんだ。ナッツハウスで新しい取り組みをするからその為に担当を決めて準備してたんだ。と言っても、材料調達班、店番班、おやつ調達班の三班だけどね」

 

と、ココさんが説明してくれた。

 

「成程」

 

「私とココとりんちゃんがおやつ調達担当!」

と、のぞみ。

 

「成程。りん、ストッパーお疲れさん」

 

「…分かりますか、明さん」

 

案の定、りんはげんなりしていた。

 

…のぞみ相手にココさんはあんま止めないからな。

 

「ナッツさんが店番を担当、私は奥で在庫の確認をししてました」

 

と、こまち。

 

「成程。だから俺が入ってきた時、店内にはナッツさんしか居なかったのか」

 

「そして、私とくるみ、うららとシロップの二班が材料の調達担当」

 

「簡単なビーズの調達はうららとシロップにしてもらって、私とかれんがその他の細かい材料の調達です」

 

と、かれんとくるみ。

 

「ナイス采配」

 

流石はしっかり者組

 

それにシロップは元々運び屋らしいからな、調達は得意だろう。

 

まぁ、ミスったが。

 

「で、新しい取り組みって、いったい何です?」

 

ナッツハウスはアクセサリーショップだからそこら系統で何か始めるんだろうな。

 

「それはね…」

 

「ココ。皆帰ってきた事だ、此所で立ち話するよりも奥で話したらどうだ?」

 

ココさんが説明しようとしたが、ナッツさんがそう言ってきた。

 

「それもそうだね」

 

「それじゃあ、みんな奥へレッツゴ〜」

 

のぞみの一声の元、俺らは店の奥へ移動した。

 

「ところで、店の方は良いんですか?」

 

「あぁ。元々これから閉める予定だったからな」

 

「成程」

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

ナッツハウスの奥へ来たらそこには大きな作業台が置かれていて、うららとシロップが調達したビーズを袋から出し、一袋ずつ置いていた。

まぁ、姿はシローだが、シロップでいいか。面倒だし。

 

「よぉ、二人とも」

 

声をかけられた二人は作業を止めて此方を見た。

 

「あ!明さん!」

 

「おぉ、明さん久し振りだな!」

 

あはは。

 

「ところで二人とも、ビーズは全部あるかい?」

 

「それが、一袋足りないんです」

 

「っかしいぜ」

 

ココさんに聞かれた二人はそう返した。

 

あぁ、足りないことには気づいてんのか。

 

「足りない分はコレだろ?」

 

ナッツさんが二人に例のビーズを見せた。

 

「あぁ!?それです!!」

 

「何で!?」

 

「落ちていたのを偶然この町に来ていた明が拾って、此所へ持ってきてくれたんだよ」

 

ね?とココさんは俺に言ってきた。

 

「あぁ」

 

「そうだったんですか!明さん、ありがとうございます!」

 

「助かったぜ、明さん!」

 

「まぁ、気にすんな」

 

それよりも、

 

「こんな大きな作業台まで用意してやる新たな取り組みっていったい何です?」

 

「それは私が説明しよう!」

 

「お〜、のぞみ先生、よろしく頼む」

 

どうやらのぞみが説明してくれるらしい。

 

「アクセサリーショップ・ナッツハウスが新たに取り組むのは…」

 

「………」

 

「………」

 

「って、一拍溜めんのかよ」

 

あ、ツッコミ入れちまった。

 

「お、明さんナイスツッコミ」

 

「明さんが居れば私達の負担も軽くなるわね」

 

りんとくるみが何か言ってるが、俺は知らんし、

巻き込むなよ?

普段、えりかのせいで疲れてんだから。

 

「あはは、一度やってみたかったんだよね」

 

「そーかい」

 

「コホン、改めて、ナッツハウスが新たに取り組むのは、ビーズストラップの自作工房で〜す!」

 

声高らかにのぞみはそう言った。

 

「ビーズストラップの自作工房?」

 

思わずオウム返ししてしまった。

 

「ここからは僕が説明するよ」

 

と、ココさんが引き継いだ。

 

「のぞみが説明するよりもココの方が分かりやすいからね」

 

「りんちゃん!いくら私でも分かりやすく説明出来るよ!」

 

りんの茶々にのぞみはそう言うが、のぞみよ、後ろを見てみろ。

ココさんとナッツさん、後、俺以外は凄く微妙な顔してるからな?

 

…っと、説明、説明。

 

「ココさん、説明お願いします」

 

「うん。わかった」

 

そしてココさんによる説明が始まった。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「…てわけだよ明」

 

「成程」

 

お客自身でオリジナルの作品を作る、か。

ビーズストラップなら此所の客層的にウケは良さそうだな。

 

「出来た〜!」

 

ん?

 

「どうした?」

 

「コレ!」

 

そう言ってのぞみは一つの作品を見せてきた。

 

「…コレは」

 

「凄い!僕だ!」

 

そう、

のぞみの作品は妖精時のココさんをデザインしたビーズストラップだった。

 

てか、作業早いな。

俺がココさんの説明聞いてる間に作ったのかよ。

手馴れてるな。

 

「私らも出来たよ」

 

そう言ってりん達も作品を見せてきた。

どれどれ…

 

りんは薔薇

うららは妖精時のシロップ

こまちは妖精時のナッツさん

かれんは妖精時のミルク

くるみは青い薔薇

 

「皆凄いな」

 

お世辞抜きで。

 

「明も作ってみたらどうだ?」

 

「え?」

 

ナッツさん何を…

 

「そうだね、折角だから明も作ってみようよ」

 

ココさんまで…

 

「よ〜し、ビーズストラップ工房の記念すべき一人目のお客様は明さんでけって〜い!」

 

『yes!』

 

「オイ」

 

その後、あれよあれよという間に作ることになってしまった。

しかも、のぞみ達全員によるアドバイス付き。

 

「…さて、何を作るか」

 

早速壁にぶち当たる俺。

 

「変に難しいのを作るよりも、明さんにとって馴染み深いのにした方が作りやすいと思いますよ?」

 

と、こまちからアドバイス。

 

「成程、…馴染み深いのか…」

 

その後ものぞみ達からアドバイスを貰ったり、小休止に買ってきたおやつを食べたりしながら俺は作り続けた。

 

「チョコをかけるな!カレーをかけるな!というか、その二つどっから用意した!そして然り気無く細かく刻んだ羊羹を混ぜるな!いつ刻んだ!!」

 

「いや〜本当」

 

「助かります」

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

「うし、これで最後の一つが完成」

 

あ〜疲れた。

 

「明、お疲れ様」

 

「まさか五つも作るとはな」

 

「しかも初めてで」

 

ナッツさんの言う通り、俺はビーズストラップを五つ作った。

 

その出来映えは、

 

『可愛い!!!』

 

のぞみ達を見ればすぐ分かる。

 

「明さん上手!!」

 

「ですです!」

 

「しかも可愛い!」

 

「…初めてでこの仕上がり」

 

「…戦力になるわね」

 

「…期待の新星」

 

「おーい、そろそろ持ち帰りたいんだが?」

 

作ってる時は気付かなかったが窓から見える空は茜色に染まっていた。

 

「え?明さんもう帰るの?」

 

「もう、って。…窓や時計を見てみろ」

 

それを聞いたのぞみ達は皆、窓や時計を見た。

 

そして、

 

『え…えぇぇ!?』

 

予想通りの反応をした。

 

それからののぞみ達の行動は素早かった。

各自荷物を纏めてあたふたと帰り始めた。

 

まぁ、かれんは近くだし、くるみに至っては…な?

 

「じゃあね!明さん!また来てね!」

 

「おう、つぼみ達も連れて来るぞ」

 

「ツッコミご苦労様です!次来たらまたツッコミお願いします!後、うちの花屋に!」

 

「ツッコミの代行以外は了解。つぼみも行きたいだろうしな」

 

「明さん、今日はありがとうございました!また来てくださいね!」

 

「ん、気にすんな」

 

「明さん、また是非和菓子屋・小町へいらしてくださいね。勿論、つぼみちゃん達も」

 

「次は団子と抹茶を食うかな。まぁ、俺一人でも行くぞ」

 

「明さん、時間がありましたら是非、ナッツハウスの戦力に加わってください」

 

「時間あったらな」

そうしてのぞみ達は帰って行った。

 

さて、

 

「じゃあ俺も帰りますね」

 

「分かった。はい、コレ。各々に分けておいたよ」

 

と、ココさんとナッツさんから紙袋を五つ受け取った。

 

「ありがとうございます」

 

「気にしなくて良いよ。今日はありがとう。また来てね」

 

「はい。次は皆を連れて来ます」

 

「今日はシロップとうららがすまなかった。礼を言う」

 

「もう気にしないでくださいナッツさん」

 

「そうか、分かった。また来い」

 

「明さん!今日はほんっとうにありがとうございます!」

 

「もういいから、運び屋として次からは気を付けろよ」

 

「明さん、戦力として加わるの楽しみにしていますね」

 

「…期待度高いなぁ」

 

そして俺はナッツハウスから帰り始めるのだった。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

翌日の放課後、俺は植物園でつぼみ達とお喋りしていた。

 

「昨日はどうだったんだ?」

 

「とても楽しかったです!」

 

「収穫が沢山な会だったっしゅ」

 

「またやりたいよね」

 

「賑やかで楽しかったわ」

 

「シプレ達は此所でおばあちゃんやコッペ様と遊んでたですー」

 

「ですぅっ」

 

「でしゅ」

 

「うん」

 

「ふふ、久し振りに賑やかで楽しかったわ」

 

「………」

 

各々楽しんでてなにより。

 

「明さんはどうしてたんですか?」

 

と、つぼみが聞いてきた。

 

「和菓子屋・小町でどら焼き食った後、ナッツハウス行ってた」

 

「明さん、お土産は?」

 

「あるよ」

 

「…あるんだ」

 

「ぬかりないわね」

 

ほい、と俺はつぼみ、えりか、いつき、ゆり、薫子さんに紙袋を渡した。

 

「ありがとうございます!」

 

「やった〜!」

 

「うわぁ、ありがとうございます」

 

「私にも?」

 

「あらあら、嬉しいわね」

 

紙袋を受け取ったつぼみ達は早速中身を取り出した。

そして、

 

『か、かわいぃ!!』

 

「…!」

 

「おやおや」

 

ハッハッハ。

 

「つぼみ〜、中身は何だったですー?」

 

「えりか、どうしたんですぅっ?」

 

「いちゅき?」

 

「ゆり?」

 

そしてシプレ達も中身を見て、

 

『っ!!』

 

ハッハッハ。

 

「ちっちゃいシプレたちがいるですー!」

 

「コッペ様もですぅ!」

 

そう、俺が作ったのは、

シプレ、コフレ、ポプリ、コロン、コッペ様のビーズストラップだ。

 

「どうだ?」

 

「凄いです、明さん!」

 

「これ全部、明さんの手作り?」

 

「おぅ」

 

「…凄い」

 

「ふふ、ほらコッペ、あなたそっくり」

 

つぼみやシプレ達はストラップを見てはしゃぎ、薫子さんはコッペ様に見せていた。

 

「………」

 

あ、コッペ様がストラップ見た。

 

「………」

 

んで、今度は俺を見た。

…なんか怖。

 

「コッペが“ありがとう”だって」

 

「…分かるんですね」

 

流石パートナー。

 

「…ねぇ、明?」

 

「ん?」

 

「今度コロンのぬいぐるみを作ってくれないかしら?」

 

おぉう、

目がマジだ…

 

「明さん!シプレのぬいぐるみもお願いしても良いですか!」

 

「私もコフレのを!」

 

「ポプリのを!」

 

「私もコッペのをお願いしようかしら」

 

「お願いするですー!」

 

「ですぅ!」

 

「でしゅ!」

 

「頼むね、明」

 

「………」

 

「りょ、了解」

 

その後も俺達は植物園でお喋りしたりして楽しい時間を過ごしていた。

 

「…明日の放課後、ぬいぐるみの材料買いにいこ……」

 

 

【完】

 




原作の主要キャラが多いと、どうしても削られるキャラが出てくるんだよな( ̄▽ ̄;)

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