花を護る騎士 ブレイドナイト   作:葵祈つばめ

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元々5はギャグが豊富だし、それが二年間だから笑い疲れますわ( ̄▽ ̄)


5GoGo!編アフター 2

かれんから電話をもらった日から六日後、つまり約束の日、俺はまたこの町へ来た。

 

「この町はいつ来ても素敵な町並みですね」

 

「まさかインタビューされる日が来るなんてね〜…遂に来ちゃったかなぁ…あたしの時代…」

 

「もう、えりかったら…」

 

「インタビューされるのは明だけなのよ」

 

…いつものメンバーで。

 

最初は俺一人で来る筈だったんだが、かれんから電話をもらったあの日あの時、俺はファッション部のドアの前で電話をしていた。

 

後でつぼみに聞いたらその時えりかは部室の中でドアに近い方で作業をしてたらしく、ふと俺の声がドアの向こうから聞こえてそのまま俺が電話をしているのを聞き耳を立てていたらしい。

それで俺が今日かれん達の元に行きインタビューを受ける事を知って面白そうだからと言う事で一緒に行きたいと言った訳だ。

 

俺は最初、連れてったらなにやら面倒くさそうな気がしたから渋っていたんだがえりかがギャーギャーと駄々をこね、つぼみに頼まれて渋々連れて行く事にした。

 

それを聞いた瞬間えりかは生徒会の仕事で部室に来れなかったいつき、まだ教室にいるゆりに伝えてくると言って部室から走ってった。

 

つぼみが、せめて服を完成させてから伝えに行ってくださ〜い!!と嘆いていた。

 

仕事を放っぽるなよ部長さん…

 

そしてこうなると多分、いつものメンバーで行く事になるんだと予想出来たんで一応かれんにその旨を伝えると、大丈夫ですよ返ってきた。

 

で、その後結局俺の予想は当たりいつものメンバーで行く事になったのだった。

 

はい、回想終了。

 

「っと、そろそろ行くとするか」

 

「はい」

 

「うん!」

 

「ですね」

 

「えぇ」

 

そうして俺達はナッツハウスへと向かった。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

道中、セレブ堂と言う店で見るからに甘くて美味そうなシュークリームがセールで売ってたんでそれを土産として買った。

 

一箱30個入りでこの安さはお得だな。

 

ついでに買い食い用として各々1個ずつ買って食ったんだが、えりかは最初の一口が大口だった故に中のクリームを全部溢した。

 

阿呆め。

 

「あ゙ぁぁぁ!クリームがぁぁぁぁ!」

 

「服に付かなかっただけマシだと思うんだな」

 

そして歩く事数分後、漸くナッツハウスに辿り着いた。

 

―チリーン―

 

「おっ邪魔しまっす〜!」

 

「来たか」

 

店内に入ると前回と同じくナッツさんしかいなかった。

 

…いや、上が何やら賑わっているから他の皆は二階か。

 

「今日はすまないが宜しく頼む」

 

「大丈夫ですって!あたしにかかればインタビューなんてへっちゃらでっしゅ!」

 

「…何でえりかが自信満々なんだよ。インタビューされるのは俺だっつーの」

 

これ言うのも何回目か…

 

「時間までまだもう少しある。上で寛いでいろ」

 

「分かりました。…あ、コレお土産です」

 

「態々悪いな」

 

そしてナッツさんはシュークリームの入った箱を仕舞いに行き、俺等は言われた通り二階へ上がった。

 

二階へ上がるとやはりと皆がいた。

 

「よぉ、来たぜ」

 

「あ!明さん!」

 

「約束通り来たぜ。おまけ付きで」

 

「すいません、付いて来てしまって」

 

「大丈夫!なんとかなるなる!」

 

「…あの自信はいったい何処から来るのか不思議でならないぜ」

 

「明さん、それがのぞみです」

 

「あぁ〜…」

 

悲しいかな、その一言で凄く納得出来る自分がいる。

 

「それよりも明さん、インタビューの内容についてなんですけど」

 

「ん?あぁ、そうだな。俺達の秘密がバレたりしたら大変だもんな」

 

俺はそう言ってかれんとソファに対面しながら座った。

 

…うぉ、ふかふか。

 

「はい。わたし達も以前それで苦労しましたから」

 

「あの時は確かナッツの機転でなんとかなったのよね」

 

「でもナッツさんあの後、ひどく疲れてたわ…」

 

…いったいナッツさんは何をしたんだ?

 

「で、インタビューの内容なんですけど、増子さんの事だから…」

 

…ふむふむ、成程。

 

「かれんさん!あたしはどうすれば?」

 

「えりかは…」

 

「フェアリードロップでも紹介しとけ」

 

「あいあいさ〜!」

 

あ、そうだ。

 

「インタビューは此所で受けるとして、その際かれん達は一階に居ててくれないか?」

 

「何故です?」

 

「対象を一人だけにすれば記者も粗探しは出来ないだろ」

 

「え?え?どうゆうこと?」

 

ん、のぞみを含め気付いてない奴がいるから説明しとくか。

 

「もしもだが、記者の質問が俺達の秘密に近かった場合、俺は平然として受け答えしていても周りの誰かが焦っている等の妙な反応をしていたら“これは何かあるな”と記者に気付かれるだろ?」

 

「はい」

 

「だが周りに誰もいなくて、しかも対象が平然として受け答えしていたら?」

 

「…記者は気付きませんね」

 

「そうゆうことだ。後、一人だけの方が記者も下手な事は質問できないからな。なんせ答えるが一人しかいないんだから、機嫌を悪くさせてインタビューを中断なんて事は向こうも望んじゃいねぇだろうしよ」

 

『おぉ〜』

 

俺が説明し終わると皆は驚いていた。

 

…驚きすぎじゃないか?

 

「凄いですね明さん。そこまで考えてるなんて…」

 

「そうか?普通だと思うが?」

 

何せ、俺達の秘密はあまりにも大き過ぎる。

リスクは減らせるだけ減らさないと俺達が危ないんだ。

 

俺はそう思いながらその後もかれんとインタビュー対策をし続けた。

 

だいたいの対策を済ませ終わると約束の時間になろうとしていたから皆に一階へと降りてもらった。

 

そしてその時が来た。

 

ナッツハウスにやって来た記者は最初一階にいたつぼみ達と挨拶をした。

 

記者はつぼみ達にも興味を持っていた様だが先約は俺、後にしてもらった。

多分だが、記者はいつきの事を見て美少年だと思っている。

本当は美少女だと言う事を知った時、どんな反応をするか、いつきには悪いが楽しみだぜ。

 

そんな事を思っていたら記者が二階へと上がってきた。

 

さて、始めるとするか。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「どうも始めまして!みんなも知りたい!私も知りたい!サンクルミエール通信編集長、増子美香です!続けて読めば〜、マスコミか!!」

 

…何かこれまた随分と濃い記者が現れたな。

 

「…あぁ。俺は御剣 明。宜しくな」

 

「それじゃあ幾つか質問をさせてもらいますね」

 

「おう」

 

そうしてインタビューが始まった。

 

「お名前は先程聞いたので、…失礼ですが歳はいくつですか?」

 

「17」

 

「えっ!?高校生ですか!?」

 

このリアクションもう飽きてきたな。

悲しいかな、これが馴れか。

 

「高校はどちらですか?」

 

「希望ヶ花市の私立明堂学園」

 

「水無月さん達と交流を持った経緯は?」

 

来たか。

かれんとの対策をしている時に出てきた注意案件。

 

だが、対策済みだ。

 

嘘をつく時は本当の事を混ぜるのがセオリー。

 

「つぼみとえりかが以前フェアリーパークでかれん達に助けられたのが始まりだな。で、それから後日かれん達と会って交流を持って今に至るってところだな」

 

これは本当。

つぼみとえりかから聞いた事だからな。

 

「助けられた?」

 

「そ。二人がパーク内ではぐれて互いが互いを探しあっている時に、つぼみが同じくはぐれたのぞみを探していたかれん達と出会ってな。歳が近い事も手伝って直ぐに仲良くなって、無事にえりかとのぞみを見つけてめでたしめでたしってな」

 

これが嘘。

だが以前かれんから聞いたのぞみの国宝級のドジが活きる。

それにこの記者…増子って言ってたな…も、のぞみのドジを知っているらしいから尚更だな。

「無事に見つかって良かったですね」

 

「あぁ」

 

「交流を持った経緯は分かりました。では次は御剣さんに幾つか質問をさせてもらいますね」

 

「あぁ」

 

「趣味や特技は何ですか?」

 

趣味や特技か…

 

「趣味は料理、鍛練、散歩。特技も料理で後、武術だな」

 

「ほほぅ。両方に料理が入ると言う事は腕には自信をお持ちなんですね?」

 

「自信っつーよりも、ただ小さい頃からし続けてるだけの事だからそう考えた事は無いな」

 

「料理のレパートリーは幾くつあるんですか?」

 

「数えた事は無いが、和洋中は基本、ケーキやデザート、パフェ等も何でもござれだな」

 

―!?!?!?―

 

何やら一階から妬みの念が…

 

「そこにケーキやデザート、パフェが入ると言う事は、御剣さんは甘いもの好きなんですね」

 

「あぁ」

 

「因みにこの町にはセレブ堂と言う店があるのですが御存じですか?」

 

「あぁ。此所へ来る途中にシュークリームを食ったからな」

 

土産を買った事は増子には言う必要は無いな。

 

「和菓子屋・こまちについては…」

 

「勿論知ってる。先週どら焼きを食いに来てたからな」

 

「成程、この町の甘いもの事情は網羅しているんですね?」

 

「あぁ」

 

「流石は甘党男子ですね」

 

「辛いのも普通にいけるけどな」

 

「そうですか。…では、次の質問にいかせてもらいますね」

 

「あぁ」

 

その後も質問は続いたが殆どが普通の質問だった為、対策は出ずに終わった。

 

「質問は以上です。御剣さん、本日はご協力有難う御座いました」

 

「あぁ」

 

「これで今回のサンクルミエール通信も大ヒット間違いなしです!」

 

「満足してくれたなら何よりだ」

 

「早速記事を作らなくては!それでは御剣さん、失礼します!」

 

そう言って増子は風の様な勢いで一階へと降りていった。

 

「ふぃ〜…」

 

何か疲れた…

 

ソファに寄り掛かって身を休ませていたらかれんが上がってきた。

 

「お疲れ様です。明さん」

 

「あぁ。…増子は帰ったか?」

 

「一階でつぼみ達と話をしています」

 

「あぁ…さっき後回しにしてもらったからな」

 

さてさて、いつきの事実を知って驚くか否か…

 

「美少年じゃなくて美少女なんですか!?!?」

 

…ふっ、驚いたな。

 

「まぁだいたいの奴は驚くわなぁ」

 

「そうですね。わたし達も最初は驚きましたから」

 

「つぼみは最初、男だと思って一目惚れをしたらしいぜ」

 

「そうなんですか…」

 

「で、その後に真実を知って落ち込んだらしい。“ああ…あ…あ…私の初恋が…私の初恋があああ…3分で終わってしまいましたぁ…わ、私…もう…立ち直れません…”ってな」

 

ソースはえりか。

 

「明さんはどうだったんですか?」

 

「俺?」

 

「はい」

 

「俺は事前に聞いていたからなんとも無かったな。中学時代、まだブレイドナイトになって間もない頃に薫子さんに言われて明堂院流の門を叩きに行く時に“明君と歳の近い女の子がいるから仲良くしてあげてね”ってな」

 

「中学時代の明さんとゆりさん…ちょっと想像出来ませんね」

 

「そうか?身長をかれんぐらいまで下げれば想像出来るだろ?」

 

「…身長を下げる…」

 

そう言ってかれんは想像し始めた。

 

「………」

 

そして

 

「…ふふふっ」

 

笑った。

 

何故に?

 

「…何を想像したんだよ」

 

「ごめんなさい、身長を下げても中学生には思えなくて…」

 

おそらくこの場にりんがいたなら“かれんがそれを言いますか”って言いそうだな。

 

まぁ俺は言わんがな。

 

「中学生の頃明さんとゆりさんはどんな感じだったんですか?」

 

ん〜

どんな感じ、か…

 

「…だいたい今と変わりはないな」

 

…あ、でも、

 

「アレがあったな」

 

「アレ?」

 

「今でこそ平然としているけど、俺等が初めて変身した時ゆりは自身の姿を見て照れてたな」

 

「…そ、そうなんですか…」

 

「おう。結構可愛い反応だったぜ」

 

はっはっは、と笑う俺だがこの瞬間、一つのミスをした。

 

何故かれんが声を詰まらせた事に気付かなかったのか。

 

答えは直ぐに分かった。

 

「随分と懐かしい話をしているわね、明?」

 

いつの間にか俺の背後にいたゆりが俺の肩に手を置き、そして、

 

「あら?随分と肩が凝っているわね。私がマッサージしてあげるわ」

 

―ギューッ!―

 

思いっきり手に力を込めやがった。

 

「…お?ゆりは話が終わったのか?」

 

「…えぇ。今えりかがフェアリードロップの事を彼女に話しているわ」

 

―ギューッ!!―

 

「…そうか。それにしてもゆり、随分と嬉しそうだな。どうした?何か良い事あったのか?」

 

「…えぇ。明のお陰で忘れかけていた事を思い出せたわ」

 

―ギューッ!!!―

 

「…それは良かったな。なんなら他の事も思い出させてやろうか?」

 

「…あら嬉しい。お願い出来るかしら?」

 

―ギューッ!!!!―

 

「…おぅ。任せとけ」

 

「…嬉しいわね。今度は何を思い出せるか」

 

―ギューッ!!!!!―

 

「…はっはっは」

 

「…ふふふふふ」

 

―ギューッ!!!!!!―

 

「明さん!ゆりさん!今聞いた事は忘れますからもう止めてくださいっ!見ていて辛いですっ!!」

 

「…どうしたかれん?俺はただゆりの物忘れを助けてただけだぜ?」

 

「…そうよかれん。最近物忘れで困っていたから助かるわ」

 

―ギューッ!!!!!!!―

 

「…はっはっは」

 

「…ふふふふふ」

 

―ギューッ!!!!!!!!―

 

「お願いですから止めてくださいっ!!」

 

涙目で言われたら流石の俺等も意地の張り合いを止めるしかなかった。

 

あ〜痛かった。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

えりかからフェアリードロップの事を聞き終えた増子が漸く帰り、のぞみが“みんなでお土産を食べちゃうぞ、けってーい!”とお馴染みの宣言をし、特に断る理由も無かったから皆で食う事にしたのだが…

 

―ど〜ん!!―

 

「凄い光景だな…」

 

テーブルの上にはシュークリームの山が。

 

原因は俺とかれん。

 

ナッツハウスへ来る途中に俺が皆で食う用にシュークリームを買ったのだが、どうやらかれんもナッツハウスへ来る途中に俺と同じくシュークリームを買ったらしい。

 

その結果、シュークリームの山が出来上がった。

 

「全部で60個あるが、此方も人数いるし、まぁ大丈夫だろ」

 

「そうそう!なんとかなるなる!」

 

そう言う事で、

 

『いっただっきまーす!』

 

食うとするか。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

皆で食う事数十分、山は崩れ去った。

 

「ふぃ〜…食った食った」

 

「満足満足〜」

 

「大満足です〜!」

 

「あれだけ食べればそうなりますよ…」

 

俺、のぞみ、うららに対してりんはげんなりしながらもツッコんだ。

 

因みに俺達三人は各々10個ずつ食った。

 

「甘いもの限定でなら俺はまだまだ食えるぞ?」

 

「わたしも〜!」

 

「わたしもです〜!」

 

「いや、もういいですから…」

 

あらら。

 

「それにしても、のぞみとうららは兎も角、明さんはよくそれだけの数を食べれましたね」

 

「甘党男子だからな」

 

「僕もシュークリームは好きだけど、今はそんな数は無理だよ」

 

ココさんはそう言いながら自身のお腹を擦っていた。

 

「“今は”って事は前は食べてたんですよね?」

 

「う、…うん」

 

あ、

これは前に何かあったんだな。

 

「かれん、前にココさんに何があったんだ?」

 

「ココは前にシュークリームの食べ過ぎでお腹が…」

 

「あの時の凄かったよねぇ…」

 

「ポッコリお腹のポンポコでした…」

 

「ほんと目の当たりにした時は結構ショックだったわ…」

 

「…大事件が起きたんだな」

 

「しかもその時のココはシュークリームしか食べていない偏った食生活を過ごしていました。このままでは体を壊すかも知れないから、偏った食生活を改善すると張り切ったくるみとは裏腹に、ココはシュークリーム禁止令に肩を落としました」

 

「ココさんには悪いが同情はしないな」

 

「ですがココはシュークリーム禁止令を出されて落ち込み、くるみが作ったバランスの良い食事を食べなくなりました。日に日に弱っていくココを心配に思ったのぞみが皆でココが元気になる料理を作ろうと」

 

良い子だなぁ〜のぞみ。

 

「でも、その料理作りで色々と問題があったのよねぇ…」

 

説明役がかれんからりんに代わった。

 

「例えば?」

 

「うららが果物を出した方が良いって林檎の皮を剥いたら実まで剥いちゃって…」

 

「今ならあの時とは違って皮だけを剥けます!」

 

「…林檎の兎は?」

 

「無理です!」

 

「声高らかに言うんじゃないわよ…」

 

「りんに同意」

 

「…話を戻しますね。かれんさんは旨味成分と栄養価の高い味噌汁を作ろうとして煮干しでダシを…」

 

「ん?鰹節じゃないの?」

 

自分のやり方と違うのか、えりかが疑問気にそう言った。

 

「確か、煮干しでダシを取ると旨味成分のイノシン酸とグルタミン酸ペプチドを大量に含んだ体に良い味噌汁が出来るんだっけか?」

前に読んだ料理本にそんな事が書いていた気が。

 

「へぇ〜」

 

えりかは納得した様だ。

 

今後、味噌汁を作る時は是非とも試してもらいたいな。

 

「明さんの言う通りです。それでわたしも煮干しを入れたのだけど…」

 

「かれんさんは博識の割りに“適量”と言う概念を知らなくて煮干しを一袋丸ごと」

 

「あ〜そりゃダメだ」

 

「やっぱりそうですよね。わたしもその後反省しました。医者を志す者として軽率過ぎたと…」

 

あらら。

かれんが落ち込んだ。

 

「でも、助けようとしたんだろ?」

 

「…はい」

 

「なら良いじゃないか。完璧な人間なんていやしない。誰だって失敗をするもんだ」

 

「そうよ。明も中学の頃、その見た目の悪さでクラスに中々馴染めなかったものね」

 

「そうそう。声をかけただけで皆怯えて苦労したぜ…って!ゆり!」

 

「あら失礼」

 

アシストサンキュー、ゆり。だが、その事は使わないで欲しかったぜ…

 

「明さんも失敗する事があったんですね…」

 

「まぁな。…とりあえず、失敗したら改善して次に活かせば良いんだよ。失敗を経ずして成功はないんだからさ。元気出せって」

 

「…はい。ありがとうございます」

 

ん、

立ち直ったな。

 

「それに、ちょっとドジなかれんってのも中々可愛いらしくて良いんじゃないか?」

「…出た」ボソッ

 

「…出ました」ボソッ

 

「…出たわね」ボソッ

 

「さて、この流れで行くと次はこまちだな。…何故か何をしたのか想像出来るんだが…」

 

「いつになったら明は自分が恥ずかしい事を言っているのに気付くのか見物ね」

 

『あははは…』

 

「ん?どうした皆?」

 

『いや別に何も』

 

「?…で、りん。こまちは何を?」

 

「あ、はい。こまちさんはお粥に羊羮を」

 

「ですよねー」

 

ブレないよな〜…

 

「でも意外と美味しかったですよ?」

 

「マジですかくるみさん?」

 

「はい」

 

「…小豆粥があるから羊羮粥もアリか?」

 

「アリです。明さん」

 

「いや、こまちさんナシです」

 

「そう、残念だわ」

 

「…その後も色々とありましたけど、ココは無事にダイエットに成功しました」

 

めでたしめでたしってか?

 

「ほんと、あの時は皆に迷惑をかけたね。だから明も食べ過ぎには気を付けるんだよ?」

 

「俺は鍛えてるんで大丈夫っす」

 

「え〜!怪しい〜!」

 

「でも明さん体格が良いから大丈夫じゃないかな?」

 

「アクション俳優さんにも負けず劣らずのプロポーションです!」

 

「一目見ただけじゃ分からないわね」

 

「実際に見て確認するしかないのかしら?」

 

「それしか無いわね」

 

…自己申告じゃあ駄目なのか。

 

「つぼみ達は確かファッション部よね?着替えとかで見た事は無いのかしら?」

 

「着替える時はカーテンを閉めるからまず無いな」

 

「採寸時には?」

 

「我等がえりか部長は見ただけで対象のサイズが分かる眼の持ち主だからな。渡される服はいつもピッタリサイズだ」

 

「メジャーなんてあたしには不必要!因みに明さんの今のサイズは〜…」

 

そう言ってえりかはゆりの時と同じ蟹歩きをしながら俺を測ってきた。

 

この蟹歩きは必ずなのか?

 

「見えた!明さんのサイズ!」

 

「それで結果はどうだったのえりか?」

 

「このバランスの良さ!まさしく野性動物級!」

 

「え?え?どうゆうこと?」

 

「要するに、無駄が無い筋肉の付き方をしてるってことね

 

野性動物ね…

 

「明さんの武術は我流で、しかも本能的な動きをしましすからね」

 

「明の勘の良さは粗野性動物と同じよ」

 

「そっか。いつきとゆりさんは武術の心得が」

 

「はい。ボクは明堂院流の武術を。ゆりさんは空手を」

 

「そして明はその両方を学んで独自の動きを身に付けたのよね」

 

「あぁ」

 

自分、器用ですから。

 

なんつって。

 

「と言う事は明さんは太ってはなく、寧ろ鍛え上がってるってこと?」

 

「明さんお腹見せて〜!」

 

「それでも結局見たいのね…。明さん、良いですか?」

 

「あぁ。見せないと話が終わりそうにないからな」

 

そう言って俺は服の裾を上げた。

 

『お〜!!!』

 

「どうだ?」

 

「すごーい!」

 

「六つに割れてる…」

 

「ガッチリお腹のカッチカチです!」

 

「でも綺麗よね」

 

「肌も綺麗だわ」

 

「しかも腰も細い」

 

「お、男の人の、お、お腹!?」

 

「つぼみ、慌てすぎだって」

 

「うん。見事に鍛え上げられています」

 

「その肉体と見た目から考えると明は動物で例えるなら狼ね」

 

『あ〜〜』

 

「満場一致かよ…」

 

そう言って俺は服の裾を下げた。

 

「それにしても凄い筋肉だったわね。しかもさっきあれだけの数のシュークリームを食べたのに変化が無いなんて」

 

「消化が良いんだろ。結構鍛えてますから」

 

「因みに体脂肪率はどれぐらいなんですか?」

 

「2か3のどっちかだな」

 

『羨ましい…』

 

おぉう、

目が怖いぜ。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

そしてその後、何故か俺は林檎の皮剥きと味噌汁作りの御手本を見せる事になった。

 

やれやれだぜ。

 

「ほれ、林檎の兎と味噌汁の完成だ」

 

「可愛い〜!」

 

「です〜!」

 

「しかも作るのが速いし形も綺麗だわ」

 

「この味噌汁、とても美味しいです」

 

「本当に料理が上手ですね」

 

「準お世話役のわたしも頭が下がる程の腕前です」

 

「このお味噌汁、心がほっこりします〜…」

 

「うっま〜い〜…」

 

「ちょっと女の子として自信を無くしちゃうね」

 

「女子力高過ぎね」

 

「因みにこんな兎も作ってみた」

 

皆の前に新たに出したのは林檎の歩兵兎。

丁度、林檎の蔕がベレー帽の役割を果たしている。

 

「こっちも可愛い〜!」

 

「です!です!」

 

「や、明さん器用すぎ」

 

「普通の包丁しか使ってないのにこの出来映え」

 

「食べるのが勿体無くなるわ」

 

「格好良し、体良し、腕っぷし良し、性格良し、料理良し、手先良し。まさに、完璧ですね」

 

「…そこまで大量に言われるとお褒めの言葉で溺れそうだぜ。林檎だけにアップルアップル(あっぷあっぷ)、なんつって」

 

『…………』

 

「プッ…、っく…くくくっ……」

 

「あ、やっぱりゆりしか笑わんか」

 

「明さん…それ言ったら台無しですよ…」

 

 

【完】

 




フェリーチェ、ハートキャッチ組よりもお花が咲いちゃてるな( ̄▽ ̄)

しかし、映画が出来たと言う事は、もうプリキュアは増えないのか?
あの魔方陣のハートの数がプリキュアの人数を表しているのかと思ったのに…

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