花を護る騎士 ブレイドナイト   作:葵祈つばめ

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皆さん、お待たせしました!
【花を護る騎士 ブレイドナイト】再開します!


スイート編アフター 2

エレンから電話がきたのは響達とセッションしてから5日後、つぼみ達と植物園で放課後ティータイムをしている時だった。

 

電話の内容はエレン、アコ、ハミィの故郷メイジャーランドを治める王族に仕えている騎士…三銃士と勝負してくれませんかと。

 

なんでも、その三銃士は最近城の兵以外での勝負相手を探していたらしく、エレン達が丁度城に着た際に誰かいないか聞き、その結果俺に白羽の矢が立ったわけだ。

 

丁度、近々カップケーキを食いに加音町へつぼみ達と行こうとしていたし、なにより面白そうだからその話にOKし、明後日に加音町へ行く旨をエレンに伝えた。

 

何故一日空けたのか、それは前の日に明堂院流道場で身体を解す為だ。

 

本流は当たり前だが、我流も身体が固まったままでは録に動く事は出来ない。

それに我流の最大の利点は型に捕らわれない自由自在な動きだからな。

 

まぁそんな事よりも、まさか本物の騎士と戦う日が来るとはな。

柄にもないが、楽しみすぎて俺の心のビートはもう…止められないぜ!

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

明堂院流道場で身体を解した翌日、約束の為に俺達は調べの館の裏に集まった。

集まったのが裏って事はそのメイジャーランドへの移動手段はアレだよな?

 

「それじゃあレッツゴ〜!ニャ〜!」

 

そう言ってハミィが天へと続く光の鍵盤を出現させた。

 

「さて、妖精学校の時と同様、先に行かしてもらうぜ」

 

そう言って俺はハミィに続き光の鍵盤に乗った。

 

何故先に行かしてもらったかは察してくれ。

 

 

………

……

 

 

その後暫くしてメイジャーランドに到着。

そして城に着いたらアコの案内で先ずは王様と王妃様の元へ行き互いに自己紹介。

そして王様…メフィストさんが娘であるアコの紹介した時、俺とつぼみ達は改めてアコがお姫様だと言う事を思い知った。

 

因みにメフィストさんによるアコの紹介、最初は良かったんだが途中からメフィストさんがどれだけ娘のアコを愛しているのかを熱く語り、恥ずかしさのあまり顔を真っ赤に染めたアコが怒鳴る光景を目の当たりに。

 

響達曰く、この光景はメフィストさんとアコのお決まりのやり取りらしい。

その事を知っている響達は平然としていたが、アコが怒鳴る姿を初めて見る俺とつぼみ達は驚いた。

 

まぁでも、大人ぶったり強がったりしててもアコはまだ子供、だから怒鳴るのは当然と言えば当然だな。

 

まぁ少なくとも…

 

「ん?明さん?」

 

「や、なんでもない」

 

えりかよりかは充分大人だからな。

 

「おぉ〜、私の可愛いアコよ!可愛い可愛いアコよ!可愛い可愛い可愛いアコよ!!!」

 

「パパーッ!!!」

 

…まだ続いてたか。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

程無くしてアフロディテさんの一声でメフィストさんとアコのやり取りは終了し、アコの案内で俺達は闘技場へと移動した。

 

 

………

……

 

 

「む、漸く来たか」

 

俺達が闘技場へ着くと舞台には三人の男達が居り、さっきと同じく互いに自己紹介。

 

因みに三人の自己紹介は、やよい聞いたら喜びそうな仕方だった。

 

唯一惜しむのは背後で爆発が起きなかった事だ。

それさえあれば完璧だった…。

 

 

………

……

 

 

【回想】

 

「高音のファルセット!」

 

「中音のバリトン!」

 

「低音のバスドラ!

 

「「「我らメイジャーランド三〜銃〜士〜♪」」」

 

【完】

 

 

………

……

 

 

まぁそれは兎も角、自己紹介の後はお待ちかねの勝負…じゃなくて、勝負の内容について三人との話し合い。

 

そして話し合いの結果、以下の内容になった。

 

・明はブレイドナイトは変身して勝負

・勝負は交代制で一対一

・勝負は剣術のみ

・判定は10カウントダウン、ギブアップ、場外

・一人で三人と勝負する俺には各勝負後に10分間の休憩

 

んで、いきなり始めるのも酷っつーわけで30分程時間を空けてから開始する事になった。

バスドラ達は舞台の反対側で何やら会議をし、俺はアコに木刀を二振り用意してもらい、いつきを相手に舞台の上でウォーミングアップ。

 

「いくぜ、いつき!」

 

「御手柔らかにお願いします!」

 

 

………

……

 

 

20分程いつきを相手にウォーミングアップをし、後は勝負に備えて身体を休めようと舞台から降りるとゆりとアコ、そしてピーちゃん以外の姿が見えなかった。

 

しかもゆりは苦笑いをし、アコは何故か呆れていた。

 

「ん?どうした?」

 

「あれ?他の皆は?」

 

「あそこです」

 

俺といつきの質問に対してアコはそう言いながらある方を指差した。

 

何故アコが呆れているのか、ウォーミングアップ中に何があったのか不思議に思いながらも俺といつきはアコが指差す方を見た。

 

そして其所には、

 

『イェーイ!』

 

学校行事で使うテントを設置しハイタッチしているつぼみ、えりか、響の姿が。

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

この場にいる全員が無言。

ラジオだったら完全に放送事故だな。

 

「…何事だ?」

 

「明さんといつきが準備運動をしてる時に響が“せっかく此所で(闘技場)でやるならそれっぽくしようよ”って言い出して、それにエレンとえりかが賛成した結果……」

 

「あぁなったと?」

 

「はい」

 

「じゃあ奏とエレンは?」

 

「…パパとママを呼びに行きました」

 

「………」

 

「………」

 

「…お互い苦労するよな」

 

「…はい」

 

…やっぱ、何処のチームにも苦労人は必ずいるんだよな。

 

 

―来たぞ〜!私の可愛いアコよ!可愛い可愛いアコよ!可愛い可愛い可愛いアコよ〜!!!―

 

 

あ、メフィストさん達が来た。

 

「…パパのバカ」

 

「ドンマイ、アコ」

 

「明、そろそろ始まるわ」

 

「へーい」

 

 

………

……

 

 

『プリキュア・オープン・マイ・ハート!』

 

「何で変身?」

 

『レッツプレイ!プリキュア・モジュレーション!』

 

「響達まで」

 

 

………

……

 

 

―…ワイワイ…ガヤガヤ…ゾロゾロリ…―

 

 

「なんてこった……」

 

 

………

……

 

 

『さぁ!始まりました!三銃士vsブレイドナイトの親善戦!司会はこのあたし、キュアマリンがお送りするっしゅ!』

 

 

―ワアァァァァー!!!―

 

 

「まさか観客がいる中、しかもモニターに映されながら勝負する事になるとは……」

 

メフィストさんが此所へ来る前にメイジャーランドの国民に呼び掛けたらしく、今この闘技場の観客席には溢れんばかりのメイジャーランドの国民が。

 

流石に国王自ら呼び掛けをしちまった以上、俺には拒否権は無い。

大人しく受け入れるしか道は無かった。

 

…それにしても流石は音楽の国。人だけじゃなく音譜や楽器の姿をした国民がいるとは。

 

『続いて解説の担当はキュアサンシャイン!』

 

『よろしくお願いします!』

 

因みに俺も変身をしようとしたが、えりかに止められた。

なんでも、観客の前で変身した方が演出上盛り上がるんだと。

 

『そしてゲストにはメイジャーランド国王メフィストさんに女王アフロディテさん!』

 

『うむ!よろしくである!』

 

『ふふふ、よろしく』

 

「…どうやらメフィストさんは娘の姿が見えなければ親馬鹿モードにはならないみたいだぜ…て、ん?」

 

てっきりミューズが隣にいるかと思って話し掛けたが、いつの間にかミューズはいなくなっていた。

 

「ミューズは?」

 

「もうすぐ出番なのでハミィやビートと一緒に裏へ」

 

「出番?」

 

「ほら、始まりますよ?」

 

『まず最初にオープニングセレモニーとして遂に実現したハミィ、キュアビート、キュアミューズのドリームチームに幸福のメロディーを歌ってもらうっしゅ!』

 

マリンのそんな紹介の元、ハミィ、ビート、ミューズは舞台の中央に。

 

「…いつの間にそんな演目を」

 

「明さんとサンシャインがウォーミングアップをしてる時に」

 

「…さいで」

 

『今日この日の為に何日も前から辛い練習を繰り返してきたドリームチーム…観客の皆さんはその勇姿をしかと目に焼きつけるっしゅ!』

 

 

―ワアァァァァー!!!―

 

 

「随分なマイクパフォーマンスだな」

 

「マリンですからね」

 

『セレモニーの前に会場のお客様にお知らせします。セレモニー中大声を出す等の行為は控えてください』

 

…メフィストさんの事か?

 

『それでは準備が終わったようなので!ハミィ!ビート!ミューズ!張り切ってどうぞ!』

 

『………』

 

「………」

 

『……♪〜』

 

お、始まった。

 

『♪〜♪♪♪♪〜♪♪♪♪〜』

 

 

………

……

 

 

『♪♪♪♪〜♪〜♪♪♪〜♪♪♪♪〜♪♪♪♪♪〜』

 

 

………

……

 

 

『♪〜♪♪〜……』

 

 

―ワアァァァァー!!!―

 

―パチパチパチパチ!―

 

 

歌が終わると観客は割れんばかりの歓声と拍手でハミィ達を称えた。

中には歌を聴き、感動して涙を流している観客も。

 

…多分、いや、確実にメフィストさんは感動のあまり号泣してるだろう。

 

『うおぉぉぉ!!!アコー!!!!』

 

『メフィストさんマイク入ってますから!?』

 

ほらやっぱり。

てか、感動して引っ込んでた親馬鹿モードが出てきてるし…。

 

『…ぐすん…とても素敵だったわ』

 

そしてミューズは顔を真っ赤に染めてハミィとビートと共に戻って来た。

 

「お疲れさん」

 

「とっても楽しかったニァ〜♪」

 

「ん〜、昔を思い出したわ〜♪」

 

「………」

 

余韻に浸るハミィやビートと違ってはミューズは黙ったまま席に座った。

 

「ドンマイ、ミューズ」

 

「…はい……」

 

『さぁ!次はお待ちかねの三銃士vsブレイドナイトの親善戦!』

 

 

―ワアァァァァー!!!―

 

 

来たか。

 

「いよいよですね!明さん!」

 

「明さん!頑張ってください!」

 

「明さんならあの三人なんか楽勝ですよ!」

 

「御武運を!」

 

まだ勝負は始まってないのだが、皆既に盛り上がっていた。

 

「………」

 

あ、ミューズ以外な。

 

『選手と審判は舞台の中央へ集まってください』

 

「審判?誰がやるんだ?」

 

「私よ」

 

「そうか。適任だな」

 

審判を務めるのはムーンライトだった。

 

「私が審判をするからには容赦しないわ」

 

「へーへー」

 

そしてムーンライトと共に舞台の中央へ。

既に中央にいたバスドラさん達と順に握手。

 

「改めて今日はよろしく頼む」

 

「共に楽しみましょう」

 

「負けませんからね」

 

「はい」

 

『選手同士の握手が済んだ所でサンシャイン!ルール説明よろしくっしゅ!』

 

『うん。ルールは四つ。

一つ、ブレイドナイトは変身して勝負

二つ、勝負は交代制で一対一

三つ、勝負は剣術のみ

四つ、判定は10カウントダウンとギブアップ

五つ、一人で三人と勝負するブレイドナイトには各勝負後に10分間の休憩

…以上です』

 

『それじゃあ早速明選手にはブレイドナイトへ変身してもらうっしゅ!』

 

『明選手以外は一度舞台から降りてください』

 

それを聞きそそくさと舞台から降り、俺だけが舞台に残った。

 

『それじゃあ明さん!変身するっしゅ!』

 

「へーい」

 

そして俺は首にぶら下げた竜胆の形をしたアクセサリーに手を触れた。

 

「現れろ!ハートフルブレイド!」

 

直後、アクセサリーは光だし竜胆の鍔が付いた日本刀…ハートフルブレイドへと形を変えた。

 

そして俺はハートフルブレイドを頭上へ掲げ、円を描いた。

 

「ブレイドナイト・オーバーリミット!」

 

直後、頭上の円が蒼白く光だし真下に下がりだした。

 

その場で円が通り抜けるのを待つ俺。

手、顔、胸と通り抜けた箇所から徐々にブレイドナイト時の姿へと変身していき円が足下まで辿り着いた時、変身が終わった。

 

「花を護る騎士、ブレイドナイト!」

 

さぁ、いっちょやるか!

 

 

【続く】

 




続きます!

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