花を護る騎士 ブレイドナイト   作:葵祈つばめ

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御待たせしました。

望まぬ残業や遅れてハマったぷちます(本・DVD)に時間を持ってかれて執筆が遅れてしまいました。
因みに私はちひゃーが一番ツボです。

そして今月29日、友人に飯を奢る代わりとして、一緒にキュアモフルンを観に行ってもらうことになりました。

流石に私一人では観に行く勇気が無かったので感謝です。

後、ブレイドナイトの呼び名をルミナスやローズの様に短く、“ナイト”にしました。


スイート編アフター 4

ゲストの役目を終えたブロッサムと一緒に皆がいる席に戻って10分間の休憩。

 

「お疲れナイト、ブロッサム」

 

「おう。軽く一勝してきたぞ」

 

「ありがとうございます。メロディ」

 

「リズムはまだ気絶中か?」

 

「はい」

 

見ればリズムは未だに満面の笑みのまま気絶していた。

 

「なんてこった ……」

 

「起こそうとしたらそのまま寝かせてあげなさいってミューズが」

 

と、ビートが教えてくれた。

 

「成程な。で、ミューズの本音は?」

 

「このまま寝かせておいた方が騒がしくないし、静かですから」

 

「…おぉう」

 

流石はプリキュア一の毒舌家。中々の御言葉だぜ」

 

「ふーん、それって明さんの本心?」

 

「ん?違う違う、俺じゃない。前にマリンが言ってたんだよ。“ちんちくりんはプリキュア一の毒舌家だよね”ってさ」

 

「そう、えりかがね…。…ありがと明さん」

 

「おう。…って、ん?」

 

ちょっと待て、おかしいぞ。

マリンの事については俺の独り言なのに何で会話が成立したんだ?

 

「………」

 

恐る恐る周りを見るが誰もいない。

 

…ちょっとしたホラーだ。

 

「どうしたんですかナイト?」

 

「…なぁブロッサム、メロディ。俺は今、誰と話してたんだ?」

 

「ミューズとですけど……」

 

「…ひょっとして気付いてなかったんですか?」

 

「あぁ。完全に独り言だと思ってたからな」

 

…ん?まてよ?

独り言が声に出てたと言うことは……

 

「ミューズに全部聞かれて……」

 

「ます」

 

なんてこった……

 

「ということはミューズは今……」

 

 

―サンシャイン……―

 

―うん?どうしたのビート、ミューズ?―

 

 

「あ、いた」

 

ビートとミューズは司会席の方にいた。

てか、ミューズは兎も角何でビートもなんだ?

 

 

―ちょっとマリンに話が―

 

―ん?どったのビートにミューズ?―

 

―聞いたわよ?マリンがわたしの事をプリキュア一の毒舌家って言ってるって―

 

―げ!?なんでその事を!?―

 

―後、ちんちくりんともね。…ちょっと話があるからついて来なさい―

 

―や、もうすぐ時間に…ちょ!?痛い痛い!?腕引っ張んな!?腕痛いからぁ!!―

 

―いいから早く来なさい―

 

―たしゅけてビート!サンシャイン!―

 

―ふふふ、エレン?―

 

―ごめんマリン―

 

―ビート!?―

 

 

「…流石は元猫。ミューズの笑顔の裏に気付いたか」

 

そうなると頼みの綱はサンシャインになるが……

 

 

―サンシャインはぬいぐるみ好きだったわよね?この城のわたしの部屋にあるぬいぐるみコレクションを何個か譲るわ―

 

―可愛いのある?―

 

―もちろん。それにフワフワなのやフリフリなのもあるわよ?―

 

―………―

 

―………―

 

 

はたしてサンシャインはミューズの提案に屈するのか否か……

 

 

―サ、サンシャイン……―

 

―ごめんねマリン♪―

 

―サンシャイン!?―

 

 

屈した。

そしてサンシャインはとても幸せそうだぜ。

 

 

―さぁ行きましょマリン?―

 

―ちょい待ち!!あたしがいなくなったら司会をする人が!―

 

―エレンがやるわ―

 

―いるのかこんちきしょぉぉ!―

 

 

成程。

だからいたのか。

 

 

―それじゃあサンシャイン、ビート。後よろしく―

 

―いいいいいいいいいいやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!―

 

―いってらっしゃい♪―

 

―ドナドナド〜ナ〜ド〜ナ〜―

 

 

ビート、その曲のチョイスはどうかと思うぞ……

 

「ナイト、そろそろ時間よ」

 

ムーンライトのスルースキルの高さ……

 

「…おう。…てか、結局休憩しないで時間になっちまった」

 

「休憩する程疲れてないでしょ?」

 

「それはそうだけどよ……」

 

なんだかなぁ……

 

 

―ピンポンパンポ〜ン!―

 

 

ん?

 

『お知らせします。司会のキュアマリンが諸事情で退席したので、今後の司会は私、キュアビートが務めます』

 

『まもなく時間になります。選手、審判の方は舞台集まってください』

 

「行くか」

 

「えぇ」

 

「てか、マリンは大丈夫なのか?」

 

「大丈夫よ。いくらミューズでも流石に手加減はするわ」

 

 

―三拍子、1、2、3!フィナーレ!―

 

―あばばばばばばばば!?―

 

 

「………」

 

「………」

 

「ムーンライト?」

 

「…ぷい」

 

「おい」

 

顔を逸らしやがった。

 

「…ほ、ほら!もうすぐ始まるから気持ちを切り替えなさい!」

 

うわぁ……

 

「…何よ」

 

「いや別に?」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

あ、嫌な予感。

 

「てい」

 

「っと」

 

案の定、嫌な予感が的中。

ムーンライトが足払いしてきやがった。

 

「おいこら」

 

「失礼。ちょっと目眩が……」

 

「へーへー」

 

涼しい顔してるくせに白々しい奴め。

 

『さぁ!役者は舞台に集まった!只今から第二回戦目を始めます!』

 

「ビートめ、随分とノってるなぁ」

 

「大方、アレじゃないかしら?」

 

「アレか」

 

「アレよ」

 

「………」

 

「………」

 

「「音吉さんの本」」

 

「………」

 

「………」

 

「ははっ」

 

「ふふっ」

 

笑っちまうぜ。

 

『選手、審判は各々所定の位置についてください』

 

「それじゃあナイト、頑張ってね」

 

「おう。…ムーンライトも噛まないように頑張れよ」

 

「…忘れなさい」

 

「へーいへい」

 

そして俺達は各々所定の位置に。

 

「さて、次の相手は?」

 

「次の相手は私です!」

 

『親善戦の二戦目のカードは中音のバリトン対ブレイドナイト!』

 

『そして二回戦目のゲストですが、此方も一人が諸事情で退席したので、もう一人のゲスト、キュアメロディにはお一人でお願いします』

 

『ミューズの分も頑張りまーす!』

 

あ、ミューズがゲストだったのか。

 

『それではムーンライト、開始の合図をお願いします』

 

「えぇ」

 

さて、ムーンライトが噛むか否か楽しみだぜ。

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「始め!」

 

「いきます!」

 

「いくぜ!」

 

 

―ダッ!―

 

 

『両選手合図と共に走り出しました!』

 

『先程とは違い今回は攻めのナイト選手。ファルセット選手に使った手は通用しないと考えての行動でしょうか?』

 

そう思うじゃん?

ところがぎっちょん、違うんだな〜。

 

ファルセットさんの時も俺は最初から攻める気だったがムーンライトのせいで動けなかっただけ。

 

でも今回は噛まなかったから俺も最初から攻めることが出来る。

 

しかし残念。

またムーンライトの“はじゅめ”を聞きたかったぜ。

 

 

―ギロリ!―

 

 

あ、すっごい恐い。

 

「はぁっ!」

 

 

―シュ!―

 

 

「おっと!」

 

 

―ガキン!―

 

 

意外と速い突きに驚きながらも俺はハートフルブレイドでバリトンさんの細剣を弾いた。

 

「今のはちょっと驚きましたよ!」

 

そして弾いた勢いをそのまま利用して右足を軸にしてその場で左回りの一回転。

 

横凪ぎの一閃を放った。

 

「オラァ!」

 

「なんの!」

 

 

―スッ!―

 

 

バリトンさんは得物の細剣を弾かれて体勢が崩れているにもかかわらず後ろに跳び、紙一重でその一閃を避けた。

 

だが、

 

「“紙一重”じゃあ駄目だな」

 

「ぐっ!」

 

『おぉっと!?バリトン選手が片膝をついた!攻撃は確かに避けた筈なのにいったいどうした!?』

 

『凄いですね。どうやら剣圧さえも脅威となるようです』

 

『や、直ぐにわかるサンシャインも凄いんだけど…』

 

「俺の刃の切れ味を舐めんなよ?」

 

この手の台詞は人生で一度は言ってみたいやつだよな。

 

「っく…なかなかやりますね」

 

『まだダメージは残っているようですがバリトン選手、立ち上がりました!』

 

「私としたことが油断しました……」

 

「そりゃ愚の骨頂ってやつですよ?」

 

「まったくもってその通り…ですが!」

 

『バリトン選手、構えました!』

 

「今からの私に油断はありません!」

 

 

―ダッ!―

 

 

『そして駆けた!』

 

くるか!

 

「はっ!」

 

 

―ビュン!―

 

 

『さっきよりも速い刺突です!』

 

「っ!」

 

『ナイト選手、今度は弾かずに避けました!』

 

「まだです!」

 

 

―シュ!シュ!シュ!シュ!シュ!―

 

 

「うぉ!?」

 

『バリトン選手、怒濤の連続突き!』

 

『先程届いた資料によると、三銃士は各々の三つのタイプに特化した戦士で、先のファルセット選手はテクニックタイプ、今のバリトン選手はスピードタイプ、後のバスドラ選手はパワータイプだそうです』

 

『あ、ほんとだ。スピードに関しては三銃士一って書いてある』

 

「成程、スピードタイプか……」

 

てか、いつの間に資料を用意したんだ?

 

「ハァァァァッ!!」

 

『バリトン選手、更に剣速を上げました!』

 

「っと!」

 

 

―ギン!ギン!ギン!ギン!ギン!―

 

 

『対するナイト選手は避け続けるのが難しかったのか、捌き始めました!』

 

『凄い集中力ですね。一瞬でも気を緩めたら致命傷は免れません』

 

『ナイトは兎も角、バリトンってこんなに凄かったんだ……』

 

「ハァッ!

 

 

―ズドンッ!―

 

 

「…ッ」

 

『あぁっと!?ナイト選手、捌ききれずに突き飛ばされました!』

 

『ナイト選手にとって今日初めてダメージとなりましたね』

 

 

―ズァァァ!―

 

 

『ナイト選手、数メートル程下がりましたがなんとか持ちこたえました!』

 

「どうですか私の実力は!と言いたい所ですが……」

 

「あぁ、そうだな」

 

『ナイト選手、無傷!無傷です!』

 

「やはりですか」

 

「その口ぶりだとわかったてるみたいですね」

 

「連続突きを捌かれた時点である程度は察しましたよ。…自分で言うのもなんですが、速さにはそれなりに自信があったもので」

 

「確かにあの速さなら自慢にするのも無理はありません。だが、それだけじゃ……」

 

『ナイト選手、構えました!』

 

「足りないな!」

 

 

―ダッ!―

 

 

『そして駆けました!』

 

「オラァ!」

 

 

―ブォン!―

 

 

『速い!』

 

「ぐっ!」

 

 

―ズァァァ!―

 

 

『なんと言うことでしょうか!?ナイト選手の一撃を防いだにもかかわらずバリトン選手、吹き飛ばされました!』

 

「わかりましたか?バリトンさんよ?」

 

「…成程、そうゆうことですか」

 

「確かにバリトンさんの速さはたいしたもんです。けど、所詮はただ“速いだけ”」

 

『!そう言うことですか!』

 

『えっ?どうしたのサンシャイン?』

 

『確かにナイト選手が言うように、バリトン選手の速さは目を見張るものです。ですが、ただ1つだけ、足りないものがあるんです』

 

『足りないもの?』

 

『“重さ”です』

 

「そう。今サンシャインが言ったように、バリトンさんの攻撃には重さが足りてない」

 

「………」

 

『確かに速さは重要ですが、速いだけではたいした威力は望めません。そこに重さが加わることによって初めて威力が出るんです』

 

『速さと重さ……』

 

『ん〜…ボクシングみたいなもん?』

 

『うん。メロディの例えで合ってるよ』

 

「重さ、ですか。…それなら私の武器や体格にも問題があるようですね」

 

「はい。…なんかすいません。さっきから偉そうなこと言って」

 

「いや、寧ろありがたいです。自分の弱点に気付けましたから」

 

「そうですか」

 

「えぇ。それに形は違えど我等は同じ騎士、ゆえに遠慮や敬語は不要です」

 

笑いながらそう言うバリトンさんの姿は俺の目には格好良く見えた。

 

「わかりました。お言葉に甘えて遠慮はしません。けど、敬語はこのまま使わせてもらいますよ、バリトンさん!」

 

「っふ、意外と真面目なんですね!」

 

 

―ダッ!―

 

 

『両選手、駆けた!』

 

「「ハァァァァッ!!」」

 

 

―ドン!ガン!ギン!ギン!ガンガンギギーン!ギンギラギン!!―

 

 

『凄い!どちらも譲らない激しい攻防!』

 

『…なんか変なの混じってない?』

 

『気のせいだよ』

 

「オラァァッ!」

 

 

―ギィン!―

 

 

『バリトン選手、押し返された!』

 

「っく、…やはり勝てそうにはないですね」

 

「降参しても良いんですよ?」

 

「まさか。たとえ敵わぬ相手でも退くわけにはいきません!」

 

 

―ダッ!―

 

 

『バリトン選手、再び駆けた!』

 

「…本物の騎士はやっぱり違いますね」

 

「受けてみなさい!私の一撃を!」

 

『おぉっと!バリトン選手、本日最高速度の刺突です!』

 

「見せれられた分、今度は此方が見せてあげますよ!」

 

「ハァァァァ!」

 

「本物の速さってやつを!」

 

 

―フッ!―

 

 

「!?」

 

『ナイト選手が消えたぁ!?』

 

『これは一回戦目のファルセット選手の時と同じ状況ですね」

 

「ならば!」

 

バリトンさんは背後からの一撃を警戒して素早く振り向くが、

 

「なっ!?」

 

『いない!いないぞ!?ナイト選手はいったい何処へ消えたんだ!?』

 

「っく!」

 

『バリトン選手、背後にナイト選手がいないとわかると直ぐに辺りを警戒し、探し始めました』

 

その判断は正しい。

 

が、もう遅い。

 

 

―ザン!―

 

 

「っう!?」

 

 

―ザン!ザン!―

 

 

「ぐふっ…!」

 

 

―ザン!ザン!ザン!―

 

 

「がはっ!?」

 

『あぁっと!?いったい何が起きたのか!?四方八方、様々な位置から現れるナイト選手の斬撃がバリトン選手に襲い掛かる!』

 

『何あれ!分身の術!?』

 

『いや、あれは残像だよ!』

 

「これで決める!」

 

 

―ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!―

 

 

『うそ!?更に速くなるの!?』

 

『速い!速過ぎる!あまりの速さでナイト選手が最早黒い影にしか見えない!』

 

『恐ろしい速さです。いったい何れ程の荒行の果てにあの速さを手に入れたんでしょうか……』

 

「ハァァァァッ!とどめだ!!」

 

 

―ザンッ!―

 

 

「ぐはっ!!」

 

「これが本物の速さってやつですよ、バリトンさん」

 

「み…見事で…す……」

 

 

―ドサッ!―

 

 

『バリトン選手、最後は姿を現したナイト選手のとどめの斬撃でダウン!』

 

『審判によるカウントが始まります!』

 

「カウント、1、2、3……」

 

「流石に立てないだろ。これ食らってまだ立てる奴がいたらそいつは化けもんだ」

 

「8、9、10!カウント10!勝者!ブレイドナイト!」

 

『親善戦第二回戦目の勝者はブレイドナイト選手!』

 

『こうなるのはわかってたけど、ちょっと凄かったね……』

 

『ナイトが何故プリキュアが誇る双璧の一人と言われているのか、その理由がわかりましたね』

 

『そうね』

 

『………』

 

『どうしたのメロディ?』

 

『双璧……って何?」

 

『…【双璧(そうへき)】とは、どちらも優れていて優劣のつけがたい二つの物や人のことよ』

 

『へぇ〜!そうなんだ!』

 

『因みに言うと双璧のもう一人はムーンライトよ』

 

『あ、納得』

 

『あははは……』

 

「おーい、話は終わったかー?」

 

『あ!?すいません!仕事に戻ります!』

 

「是非ともそうしてくれ」

 

てか、誰もビートがことわざ辞典を持っている事にツッコまないのな。

 

まぁ、俺もツッコまないが。

 

『えぇっと、親善戦第二回戦目の勝者はブレイドナイト選手!』

 

そっからやんのかい。

 

『解説のサンシャインさん、バリトンさんの敗因は…と言っても』

 

『さっきナイトやバリトンが全部言っちゃったよね』

 

『あははは……』

 

あらま、サンシャイン仕事奪っちまったか。

 

『…じゃあ早くナイトを休憩させたいし、…終わる?』

 

『…終わろっか』

 

『…終ろうね』

 

やる事がなくなったから逃げたな。

 

だが、俺としては早く休憩に入りたいから大助かり。

 

『ではこれで親善戦第二回戦目を終わります。司会は私、キュアビート。そして』

 

『解説は私、キュアサンシャイン』

 

『ゲストは私、キュアメロディでした』

 

『それでは皆さん』

 

『『『ありがとうございました』』』

 

 

【続く】




スマイル編アフター、祭りか田舎かどないしよ……

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