花を護る騎士 ブレイドナイト   作:葵祈つばめ

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予定を早めて今日、キュアモフルンを観てきました。
読者方の中にはまだ観てない方がいるかもしれないので感想は短く簡潔にします。

…感動した!


スイート編アフター 5

親善戦も残すは後一戦となり、会場は今日一番のの盛り上がりを見せている。

 

どれくらい盛り上がっているかと言うと、会場で売り子が商売を始めるほどだ。

 

更に言うとこの闘技場の外ではメイジャーランド全体がお祭り一色になっている。

 

いつの間にそんなことになったのか、マリンと話を済ませたミューズに聞くと、どうやらメフィストさんが言い出したらしい。

 

“親善戦もいよいよ最後の一戦になったか。…よし!折角だから祭りを開き更に盛り上げ、国民を楽しませようぞ!”って。

 

それにしても驚いたのはメフィストさんや国民の行動の速さ。

 

俺とバリトンさんが勝負している時にメフィストさんが祭りを開く旨を一般兵経由で国民へ伝えさせ、戦いが終わった頃にはもう祭りが開かれていた。

しかもメフィストさんは自ら率先して屋台を出していて、結構繁盛してるとか。

 

「…出会った時は親馬鹿な国王さんかと思いきや中々どうして、立派な王だな」

 

と、独り言を言いながら俺は宛がわられた部屋でふかふかのソファーに座りながら紅茶を堪能している。

 

「ふぃ〜、…やっぱり紅茶と言えばアールグレイだな」

 

因みに言うと、今は変身を解いている。

特に何もしないのに変身したままってのも可笑しな話だからな。

 

………

 

さて、そろそろ何で俺が今会場ではなく宛がわられた部屋にいるのかを説明するとしようか。

 

理由は簡単、最終戦の為だ。

 

親善戦は祭りの中で一番の目玉らしく、最終戦は中継して国中に放送する事に。

 

因みに今は始まりから一回戦目、二回戦目を闘技場の内外に設置したモニターで放送しているらしい。

 

なんでも、惜しくも闘技場に入れなかった人達の為にだと。

 

そして選手には万全の状態で勝負に挑んで欲しいとの事で、休憩時間も10分から一時間に増え選手にはメフィストさんから直々に宛がわられた部屋を休憩の場として使っている。

 

因みに案内してくれたミューズ曰く“この部屋は王族と対等、若しくはそれ以上の客人の為に宛がう部屋”らしい。

 

説明を聞いた時は流石に驚いたが、そこは据え膳食わぬはなんとやら。

ありがたく厚意に甘えることにした。

 

「…それにしても静かだな」

 

当たり前な事だが、今この部屋には俺一人しかいない。

 

俺と同じく一旦変身を解いたつぼみ達は俺に気を使ってくれたのか部屋には付いて来ず、各々やる事をやっている。

 

アコ、ピーちゃん、ハミィは音吉さんを呼びに加音町へ。

 

響、奏、エレン、つぼみ、えりか、妖精達はカップケーキの売り子を。

 

いつきとゆりは最終戦の打ち合わせ。

 

…本来なら司会のえりかも打ち合わせに参加しなきゃいけないのだが、そこはあのえりか。

いつきに任せて売り子の方へ。

こりゃ後でゆりからお灸を据えられるかもな。

 

「…ふぁ〜…」

 

…少し紅茶を飲み過ぎたか?

 

「時間は…まだまだあるか……」

 

………

 

「よし、寝よ」

 

時間が近付けばきっと誰かが様子を見にくてくれる筈だ。

 

俺、信じてる!

 

…なんつってな。

 

「………」

 

 

………

……

 

 

「…Zzz…Zzz……」

 

 

…Zzz…Zzz…Zzz…

…Zzz…Zzz…

…Zzz…

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「…Zzz…Zzz……」

 

「さぁ、えりか」

 

「うぅ〜…」

 

「ファイトですえりか!当たって砕けろです!」

 

「ふふっ、砕けたら海に流してあげるわ」

 

「うっさい!ちんちくりん!…えぇい、こんちきしょー!もうどうにでもなれー!」

 

「…Zzz…Zzz……」

 

「いざ!」

 

 

―ドワァァァァ〜ン!―

 

 

ワアァァ〜ン……

ワアァ〜ン……

ワア〜ン……

 

 

「…うるせぇ」

 

頭が割れそうだ……

 

「おはよう明。気分はどうかしら?」

 

「…良いわけないだろ」

 

目を開けると部屋の中にはつぼみ達がいた。

 

そしてえりかの手には銅鑼と桴。

 

「…どうせやるならフライパンとお玉にしてくれ。そっちの方がまだマシだ」

 

「ごめんなさい。折角音楽の国に来たのだから、楽器を使わないと」

 

「使わんで良い。てか、何でこんな事を?」

 

「打ち合わせから逃げたえりかへの罰よ」

 

罰ね。

 

「…それは良いが、何で俺を巻き込むんだよ」

 

「明の寝顔を見ていたらつい」

 

「衝動犯め」

 

「高鳴る胸の鼓動を止められなかったわ」

 

「純情か」

 

「勘違いしないで。えりかへの罰としてやっただけで、明の寝顔を誰にも見られたくないなんて思ってないわ」

 

「ツンデレか」

 

「別に明の寝顔が可愛らしかったって思ってるんだからね」

 

「まさかのデレデレか」

 

「そして後悔はしてないわ」

 

「最後の最後ですら反省の色は無しか。…まぁでも、わざわざ呼びに来て、方法は酷いが起こしてくれたのは事実だから一応、感謝するぜ」

 

よっこいしょっと。

 

あ〜良く寝た。

 

「ねぇ、つぼみ?ゆりさんてあんな性格だったっけ?……」ボソッ

 

「明さんが関わる時だけ変わるんですよ……」ボソッ

 

「意外……」ボソッ

 

「ん?どうした?」

 

つぼみとアコが何やらこそこそと。

 

「「な、なんでもないです!」」

 

「そうか。…にしても、よく銅鑼があったな」

 

「おじいちゃんの趣味です。この城の楽器庫にはおじいちゃんがこれまで集めた世界中の様々な楽器が保管してあるんです」

 

「成程。てことは、調べの館にある楽器はその一部ってわけか」

 

「はい。…そう言えばおじいちゃんが驚いてました」

 

「ん?」

 

「明さんが楽器を弾けることに」

 

あぁ、あの日の。

 

「まぁ、俺が楽器を弾けるなんて意外かもしれないもんな」

 

はっはっは。

 

「あ、そうだ明さん。もし良ければまた一緒に弾きませんか?」

 

「あ、私も私も!」

 

「私もやりたいです!」

 

「ハニャ〜♪ハミィもまた歌いたいニャ〜♪」

 

あの日の話で思い出したのか、エレン、響、奏、ハミィからお誘いが。

 

「良いぜ。また合わせるか」

 

『はい!』

 

「ニャップニャプ〜♪」

 

「…盛り上がってる所悪いけど少し良いかしら?」

 

「ん?どうした?」

 

見ればゆりを筆頭につぼみ達が驚いた様子で俺を見ていた。

 

ん?

あぁ、そうか。

 

「そういえば言ってなかったな。実は俺、楽器弾けんだ」

 

『えぇぇ〜!?』

 

そんなに驚く事か?

 

「…鍵盤ハーモニカやリコーダーってオチじゃないわよね?」

 

「小学生かっつーの。…太鼓、ギター、ピアノ、キーボード、バイオリン、ドラム、ハーモニカ、オカリナ、笛等々だ」

 

「そう…、歌が上手い事は知っていたけど、意外だわ」

 

「まぁ今まで言ってなかったからな」

 

『えっ!?明さん歌も上手いの!?』

 

「あ、そういえばその事も言ってなかったな」

 

「ほんとなんですか明さん!?」

 

「あぁ。今まで何度も何度も、ももかに付き合わされてカラオケに行ったからな…」

 

「途中から明の歌声目当てで行っていたわね」

 

オイコラ。

 

「都合良く省くな。目当ては俺の歌声だけじゃなくて、ゆりの歌声もだったろうが」

 

「あら、そうだったかしら?」

 

こんにゃろう。

 

「…何だか明さんとゆりさんの意外な一面を知りました」

 

「「そうか(かしら)?」」

 

『はい』

 

なんてこった……

 

しかし自分でもそう思うから否定はしない。

 

「因みにですけど、お二人はどんな歌を歌うんですか?」

 

「俺は“dance at dawn”だな」

 

「私は“星空の帰り道”よ」

 

「まさかのまこぴーの歌……」

 

「後、ももかは流行りの歌とか真琴やうららの歌を歌うな」

 

「そうね」

 

毎度毎度、よくもまぁあんなに沢山歌えるぜ。

 

「んで、最後は三人で歌うってのがいつもの流れだな」

 

「えぇ。“友達という魔法”…素敵な歌だわ」

 

「しかもその歌は男一人、女二人の編成だから丁度俺達と合うんだよな」

 

「あ、その歌ならわたし知ってます!」

 

「わたしもです!」

 

「わたしも!」

 

「わたしも」

 

「わたしです」

 

「あたしも」

 

「ボクも」

 

意外と皆知ってるもんだな。

 

「盛り上がってる最中悪いけど、明」

 

「ん?どうしたコロン?」

 

「随分話し込んでるけど、時間は大丈夫かな?」

 

………

 

『あ……』

 

凄い。

この場にいる全員がハモった。

これがいつぞやの特撮で言っていた

“完全調和(パーフェクト・ハーモニー)”

…じゃないな。

 

兎も角、

 

「銅鑼と桴を早く片付けて会場に急ぐぞ!」

 

『Yes!』

 

「オイ」

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「…セーフ。後5分残ってたぜ」

 

『プリキュア・オープン・マイ・ハート!』

 

『レッツプレイ!プリキュア・モジュレーション!』

 

「…またこの展開か」

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

『レディ〜〜ス!ア〜ン〜!ジェ〜〜ントルマン〜!た〜だ今から〜!親善戦第三回戦目のぉ〜!は〜じまりだぁ〜〜!!!』

 

 

―ワアァァァァ!!!―

 

 

『司会はぁ〜!こぉ〜のわぁたし〜!キュ〜〜ア!マ〜〜っがは!げほっ!げほっ!』

 

『マリン!?』

 

………

 

調子に乗って異種格闘技戦の様な叫び方をしたマリンは見事に自爆した。

 

「「…はぁー……」」

 

そしてムーンライトとブロッサムは揃って深い溜め息を吐いた。

 

「アホ。もしくはバカですね、バカ」

 

悪いが俺もミューズに同意見。

 

「うぅ〜…同じチームとして恥ずかしいですぅ……」

 

「まったく、あの娘は……」

 

「気持ちはわかるが受け入れろ。あれがマリンだ」

 

『そして引き続き解説は私、キュアサンシャインが行います』

 

『それでは皆さんお待ちかねの!選手、入〜場〜!』

 

もう叫び方を変えたか。

 

『メイジャーランドが誇る三銃士最後の一人、低音のバスドラ!』

 

「うおぉぉぉ!!」

 

『バスドラ選手、凄い気合いですね』

 

勝っても負けてもこれが最後の一戦だからな。心情、御察しするぜ。

 

「っと、そろそろか……」

 

『プリキュアが誇る双璧の一人にして、唯一の黒一点、ブレイドナイト!』

 

「おーい、もう変身して良いかー?」

 

『はい。お願いします』

 

「へーい」

 

んじゃ、やるか。

 

「現れろ!ハートフルブレイド!」

 

 

【続く】

 




そういえば、日向みのりの声が齋藤さんでしたね。
忘れてました( ̄▽ ̄;)

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