花を護る騎士 ブレイドナイト   作:葵祈つばめ

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やっぱ深夜投稿になるのよね・・・(;´Д`)


ドキドキ編アフター 2

マナから連絡をもらってから数日後、俺はつぼみ達を連れて再びありすの屋敷を訪れた。

 

「あーりーすー、あっそびましょー」

 

―しょー…しょー……ょー……ょー……―

 

『…明さん……』

 

「随分と懐かしい事してるわね」

 

「この間一緒に来たマナがこうやってありすを呼んでたからな。ちょいとやってみたくなった」

 

童心忘るべからずってな?

 

「因みにマナがやった時ありすは、」

 

―は〜あ〜い〜♪…い〜…い〜…い〜…―

 

「と、こんな感じで応えてたぜ」

 

「…そう言えばありすはそうゆう子だったわね」

「はっはっは」

 

淑やかでお茶目。

中々楽しい性格じゃねぇか。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

その後、前回お世話になったメイドの咲夜さん(何気に今回が互いに初の自己紹介)が出迎え、俺達は今現在屋敷の中を移動中。

 

「た、高そうな絵画や壺が沢山です…!」

 

「この鎧って本物ー?」

 

「えりか!?触ったら駄目だってば!」

 

―わー!わー!ぎゃー!ぎゃー!―

 

屋敷に入ってからつぼみ、えりか、いつきはご覧の有り様。

 

そうなる気持ちはわからなくもないが、少しは落ち着けないもんかね?

 

「クス…、大丈夫ですよいつき様。これ等全ての品々は良く出来た模造品ですので」

 

ほれ見ろ。

咲夜さんに笑われてんぞ?

 

「ごめんなさい、騒がしい子達で…」

 

「いえ、大丈夫ですよゆり様。マナ様達と同様、賑やかな子達だなぁと思ったので」

 

因みに自己紹介の時に知ったんだが、咲夜さんは

俺やゆりと歳が近いらしい。

 

具体的な数字は本人の要望でNGとさせてもらう。

 

「そうですか…」

 

「はい。三人共とても可愛い子達ですね。あ、勿論ゆり様もとても可愛いですよ」

 

―にっこり!―

 

「…ありがとうございます……」

 

くっくっく……、

ゆりさん照れてやんの。

 

「…なによ」

 

「いや別に?」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

―ブゥン!!―

 

ゆりが廊下に飾ってある西洋刀を俺目掛け降り下ろしてきた。

 

―パシィ!―

 

が、難無く白羽取り。

 

「失礼、手が滑っちゃったわ」

 

「滑ったならしゃーねーな」

 

「「「えぇー……」」」

 

や、だって俺とゆりのド突きド突かれって日常的なもんじゃん?

 

「クスッ、お二人は仲が良いのですね」

 

今の行動をそれで済ますとは、咲夜さんも中々やりますね。

 

「きゃっ!?」

 

―カチ!―

 

ん?

 

「大丈夫つぼみ?」

 

「どうしましょうえりか!?何か押してしまいました!?」

 

―ゴゴゴゴゴッ!!―

 

さっきのに続いて何やら物騒な音が。

 

「…咲夜さん、この音はいったい?」

 

「…実はこの屋敷には様々な仕掛けがありまして……」

 

「その一つを偶然つぼみが起動させてしまったと?」

 

「はい」

 

「うぅ〜…申し訳ありません…」

「気にすんな。えりかが押さなかっただけマシだから」

 

「明さん酷い!?」

 

「そうよ。これがもしえりかだったら後でお話よ」

 

「ゆりさんまで!?」

 

何かえりかが騒いでるが、んなの知ったこっちゃない。

恨むなら日頃の行いを恨むんだな。

 

「それで咲夜さん、つぼみはいったい何の仕掛けを起動させたんですか?」

 

「先程の音ですから…」

 

―パカッ!―

 

―ゴロゴロゴロゴロ!―

 

咲夜さんが説明しようとした矢先、前方の天井が一部下がり、そこから大玉が転がってきた。

 

「コレですね。因みに大玉はゴム製ですので当たったとしても軽傷で済むので安心して下さい」

 

「そっか。なら安心だね」

 

「安心出来るか!」

 

「皆、逃げるわよ!」

 

「クスッ、賑やかで楽しくなってきましたね」

 

「何処がですか!?」

 

―ゴロゴロゴロゴロ!―

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「オォォォォッラァッ!!」

 

―ズドォンッ!―

 

―…ゴロ……ゴロ………―

 

「「「と、止まった……」」」

 

「流石ね」

 

「お見事です明様」

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

―コンコンコンコン!―

 

「失礼します」

 

―ガチャ!―

 

「お嬢様、明様達をお連れしました」

 

「ご苦労でした咲夜」

 

「咲夜、先程仕掛けの一つが作動したようですが?」

 

もうセバスチャンさんの耳に届いてんのか。

 

「それは……」

 

斯々然々、以下省略だ。

 

「…と言うわけです」

 

「なんと……、アレを一人で止めるとは……」

 

「明さん腕は大丈夫ですか?」

 

「流石に止めた直後はちょっと痺れたが、もう大丈夫だ」

 

「うぅ…、明さん申し訳ありませんでした……」

 

「気にすんな。…それよりも…」

 

―ちらっ―

 

「「…!…!…!」」

 

―うずうず!うずうず!―

 

「亜久里と一緒にうずうずしてるその子は?」

 

「この子は……」

 

再び斯々然々、以下省略だ。

 

「…です」

 

「成程な」

 

「そう言うわけでよろしく!」

 

―すっ―

 

ん?

あぁ、握手ね。

 

「おう、よろしくな。レジーナ」

 

―ぎゅっ―

 

君と手と手繋いだらもう友達だよ、っと。

 

しかし前に大まかな事は聞いてたが改めて聞くとなんともまぁ、泣ける話だぜ。

 

「ぐすっ!亜久里ちゃんとレジーナちゃんにはそんな事が…!」

 

―がしっ!―

 

あれま。

つぼみさん二人に抱き着いて泣いてらっしゃるよ。

 

「ちょ、つぼみ!?」

 

「く、苦しいから!」

 

「レジっちにデコ里!辛い時は“先輩”であるあたしの胸で存分に泣くっしゅ!」

 

―がしっ!―

 

えりかもかい。

しかも然り気無く“先輩”を強調してるし亜久里に続きもうレジーナにも渾名を付けてやがる。

 

「あははは…」

 

「…やれやれね」

 

「まったくだ」

 

そうなる気持ちはわからなくもないが、もう少し落ち着けないもんかね?…って、さっきも言ったなこれ。

 

「…お嬢様」

 

「わかりましたわセバスチャン。…それでは明さん」

 

「ん?」

 

「着いて早々申し訳ないのですが料理の準備を…」

 

「OK。また厨房へ「いえ、違います」…違うのか?」

 

「はい。今回は人数が多いのでこの場で作って戴こうと」

 

「…つまり、仮設キッチンでオープンクッキングって事か?」

 

「はい」

 

「成程」

 

見られるのは若干恥ずかしいが、確かにそれなら出来上がりを即提供出来るからだな。

 

「因みにその仮設キッチンは…」

 

「ニッコリ♪」

 

「だよなぁー…」

 

「明、後ろ後ろ」

 

「………」

 

わーい、いつの間にか用意されてらー。

 

「いったい何時の間に用意したんだか…」

 

「明さん達が入ってきて少し経った辺りから屋敷の人達が用意し始めてました」

 

「凄い速さだったよねー」

 

「うん。あまりの速さに言葉を失ったわ」

 

と、六花、マナ、真琴談。

 

成程。

三人が静かだったわけはそれでか。

 

「「「パーフェ!パーフェ!パーフェ!」」」

 

いい加減待ちきれなくなったのか、レジーナ、亜久里、えりかがパフェコールをし始めた。

 

小学生と同レベルで騒ぐ中学生って…

 

「もう…えりかは……」

 

「あははは…」

 

「恥ずかしいわ」

 

「だな。…んじゃま、ちゃちゃっと作るとしますかな」

 

「あ、別室に着替えを用意しているのでそれをお召しになってくださいな」

 

「咲夜、明様を御部屋へ」

 

「はい。明様、此方です」

 

「…っす」

 

…締めた気が緩んだ。

 

 

………

……

 

 

「とてもお似合いですよ明様」

 

「どうもっす」

 

「これならお店を開いても大繁盛間違いなしです」

 

「そっすかね?」

 

「えぇ。…もし将来お店を開く事になりましたら是非お嬢様にお声を」

 

「声かけたら店一軒丸々用意しそうだな…」

 

「確実にしますね」

 

「っすよねー……」

 

 

………

……

 

 

『か、格好いい(ですわ)……!』

 

「そりゃどーも」

 

俺が再び部屋に入ったら全員(セバスチャンさんと咲夜さんとゆり以外)が声を揃えてそう言った。

 

ん?ゆり?

 

―パシャリ!―

 

「送信、っと」

 

―♪♪♪♪〜―

 

「これで良いわ。…あら、素敵ね明」

 

『うわぁ……』

 

恐ろしい速さで俺の写真を撮り、直ぐ様送信していた。

 

「ももかに送ったのか?」

 

「えぇ。明のパティシエ姿なんて滅多に見られるもんじゃないもの」

 

「…さいで」

 

因みに今着ているパティシエの服、前回同様ジャストサイズだし色は全部黒。

 

咲夜さん曰く、俺の為にありすが作らせた特注品だそうだ。

 

場所と材料を用意してくれるだけでもありがたいのに、わざわざ新しい服を用意するとは。

 

ほんと、ありすには頭が下がるぜ。

 

「サンキューな、ありす」

 

「ふふ♪胸がキュンキュンする様なパフェを期待していますわ♪」

 

「ソレあたしの台詞!」

 

「あぁ、任せとけ。…“プリキュア5つの誓い!一つ!愛は分け与えるもの!”だっけ?」

 

「惜しいですわ明さん。正しくは“愛は与えるもの!”ですわ」

 

「ソレな。こんな俺の愛で良いなら幾らでも与えてやるぜ」

 

―パチン♪―

 

そう言いながらサービスで滅多にやらんウィンクを一つ。

 

さて、皆の反応は…

 

『っ!?』(ばきゅーん!)

 

わぁお。

全員見事に真っ赤っかだぜ。

 

「…不覚、写真を撮り損ねたわ……」

 

「はっはっは。残念だったな」

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「………」

 

―カシャカシャカシャカシャカシャカシャ……!―

 

―トントントントントントントントン……!―

 

―ぬりぬりぬりぬり……―

 

『は、速い(ですわ)!?』

 

「ほっほっほ、中々やりますな」

 

「流石です。明様」

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「ほれ、俺特性スイーツスペシャル、御上がりよ」

 

『おぉ〜!!』

 

最初はパフェを作ってたんだが、途中からテンション上がっちまってパフェ以外にもケーキやパンケーキ、クレープやプリンまで作っちまったぜ。

 

「ブラボーですわ!これぞまさにスイーツのパラダイスですわ!!!」

 

「全部食べていいんだよね!?いいんだよね!!?」

 

わぁお。

テンション高。

 

「おう。皆も溶けないうちに召し上がれ」

 

『わぁーい!!』

 

 

………

……

 

 

「お粗末様」

 

それなりの量があったが、皆(特に俺、亜久里、レジーナ)の圧倒的な食欲でスイーツ達は早々と無くなった。

 

そして食い終わった俺達は食後の紅茶で腹休み。

 

『はぁ〜〜……』

 

「満腹満腹……」

 

「ですわ……」

 

「あたしも……」

 

スイーツに関してはライバルである亜久里といつの間にか懐かれたレジーナと三人揃ってソファーでゆったり寛ぐ。

 

ん、やっぱ紅茶はアールグレイだな。

 

「…三人共見事にリラックスしているわね」

 

「…不思議と亜久里ちゃんとレジーナに挟まれている明さんに違和感を感じないわ」

 

「おいこら、そりゃどーゆう意味だ」

 

「差し詰め、明は二人のお兄さんってところね」

 

『あ〜〜』

 

「や、あ〜〜て…」

 

あ、でもこの間も言われたんだよな…

 

「因みに二人はどう思うかしら?」

 

や、聞くなよゆり。

 

「明さんがわたくしのお兄様ですか……」

 

「明がねぇ〜……」

 

「………」

 

「素敵ですわ!」

 

「スイーツが美味しいかったからOK!」

 

あらま。

 

「良かったじゃない明」

 

「俺の何処が良いのかねぇ?」

 

「そうですわね…。やはりゆりさんと同様、強さ、美しさ、志の高さが素晴らしいですわ」

 

「男なのに美しいって言われた……」

 

『あははは……』

 

「他にも物腰が大人びていますし、手先が器用ですし料理もお上手。更にレディーへの心構えも持っていますし、ぶっきらぼうですが目の前に困っている人がいたら見過ごせない「ねぇねぇ亜久里」…なんですの、レジーナ?」

 

「その辺にしておいたら?明の顔、真っ赤だよ?」

 

「え?」

 

「………」

 

―カァ〜〜〜〜〜!―

 

『っ!?』(ばきゅーん!)

 

「…見るな」

 

―パシャリ!―

 

「送信、っと」

 

―♪♪♪♪〜―

 

「これで良いわね。…ふふ、明?随分と可愛いかったわよ」

 

「…言うな」

 

「…明さんって意外と照れ屋なんですね」

 

「これはちょー!きちょーな瞬間!」

 

「あははは…」

 

「ふふふ♪明、今どんな気分?」

 

「…聞くな」

 

純粋なお世辞は苦手なんだよ……

 

「…どうしよう六花、胸のドキドキが止まらない……」

 

「…大丈夫よマナ、わたしもだから……」

 

「ふふふ♪明さんの意外な一面が見れました♪」

 

「…楽しそうだねありす」

 

「こう言った可愛いらしさも魅力の一つですわ」

 

「あ、まだ言うんだ」

 

―♪♪♪♪〜―

 

「ん?何の音?」

 

「私よ。ももかから返信来たわ」

 

 

ごめんゆり!

撮影中だったからメールに気がつかなかったの

(´;ω;`)

 

写真見たわ!

パティシエ姿の明君かっこよすぎー!o(><)o

 

後、照れてる明君かわいいー!(≧∇≦)

 

明君のこと、ますます好きになっちゃった!

 

きゃー!言っちゃった!恥ずかしいー!

(ノ><)ノ

 

 

「…テンション高いな」

 

「ふふふ、良かったわね明」

 

「…うっせ」

 

てか、誰か助けてくれ。

俺のライフはもうゼロだ…

 

「更に明さんはユーモアのセンスも中々のものなのですわ」

 

「ユーモア?」

 

「えぇ。…ゆりさんお願いしますわ」

 

「わかったわ。…レジーナ、今日のスイーツはどうだったかしら?」

 

「え?…お、美味しかったわ」

 

「つまり、レジーナは喜んだわけよね?」

 

「う、うん」

 

「ほら明、出番よ」

 

「…レジーナに喜んでもらえて“うレジーナ(嬉しいな)”」

 

『プッ…、っく…くくくっ……』

 

「お見事ですわ」

 

「…亜久里に褒められた驚きで俺の口が“亜ん久里(あんぐり)”」

 

『ぷぷっ!!』

 

「ふふふ、絶好調ね」

 

 

 

【完】

 




Q、何故レジーナは明とゆりに接する時は大人しいのか?

A、明は美味しいスイーツを作ってくれたから。
(呼び捨てだが、明は気にしてない)

ゆりは怒らせたらヤバイと本能が警鐘を鳴らしたから。


ふぃー…(´Д`)

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