花を護る騎士 ブレイドナイト   作:葵祈つばめ

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珍しく深夜投稿じゃないヽ( ̄▽ ̄)ノ


プリンセス編

何か体が無性に甘い物を求めてるな。

 

今日は一人だし、そうだな……和菓子でも食いに行くか。

 

和菓子ならこまちの店がうってつけだが、今回は別の所へ行こう。

 

“和菓子屋・はるや”

 

店名から分かるようにはるかの実家だ。

 

以前はるかに聞いたら地域では中々評判の高い店だそうだ。

 

過去にみなみ、きらら、トワも訪れたらしく、その時は店の手伝いをしたそうだ。

みなみやトワが何かしらやらかしたかもしれないが多分その日は店の売上は良かっただろう。

 

あ、そういえばはるかには妹がいるとも聞いたな。

 

「っと、そろそろ行くとするか」

 

そうして家を出て俺は駅へと向かった。

 

その後、駅に着き電車に乗りガタンゴトンと揺られて数十分、俺は夢ヶ浜に着いた。

 

「よし、行くか」

 

目指すは、和菓子屋・はるや

 

………

……

 

あ、はるやの場所知らねぇや。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「お、着いたか」

 

あの後交番に行って地図を書いてもらい、それを見ながら街中を歩くこと数分。

無事に目的の場所へ辿り着いた。

 

ん〜、和菓子屋こまちも見た目こんな感じだったな。

やっぱ和菓子を扱う店だから和のイメージを強調するのか。

 

まぁ其については今度調べてるとして、

 

―ガラガラガラ!―

 

「いらっしゃいませ〜!」

 

今は和菓子和菓子っと。

 

………

……

 

「ご馳走さまでした」

 

「また来てくださいね」

 

「はい。その時は友人も連れてきます」

 

「ばいばい。明さん!」

 

「おう。またな、ももか」

 

―ガラガラガラ!―

 

ふぃ〜、食った食った。

 

ん?随分親しくなったって?

まぁ簡単に言うとあれだ、はるかが家族に友人である俺等の事を話してたらしく俺が友人の一人だと分かると滅茶苦茶歓迎された。

 

はるかマークのどら焼き貰ったもん。

後、お土産用に紙袋いっぱいのどら焼きも。

 

これは明日つぼみ達に渡すとして…折角来た事だし街を散歩でもするかな。

 

そう考えた時だった。

 

―♪〜♪〜♪〜♪〜―

 

携帯が鳴った。

 

「ん?電話か」

 

相手は…カオルさん?

 

「もしもし」

 

『よぉ、青年。久し振り〜』

 

「はい。お久し振りですカオルさん。今日はどうしました?俺に電話なんて」

 

『あ〜それだけど、青年今何処にいる?』

 

今?

 

「夢ヶ浜って言う街にいます」

 

『おっ!グットタイミング!青年はマーブルドーナツって知ってる?』

 

マーブルドーナツ…。

確かこの町で評判のドーナツ屋だったよな。

後、本店の他にワゴン車による移動店舗もあるとか。

 

「はい、一応は。あ、ひょっとしてカオルさん、そのドーナツ屋と縁があったりします?」

 

『青年鋭いね〜。その店ね、おじさんの友人がやってる店なのよ』

 

「そうなんすか」

 

やっぱりか。

 

『それでね、最近会ってなかったからちょっとおじさんの代わりに様子を見て来てほしいんだよ。おじさん今忙しくて手が離せないからさ』

 

―……?……―

 

―…!!……?…―

 

ホントだ。

携帯越しに何やら喧騒が聴こえる。

 

「てか、カオルさん今四つ葉町にいないんですね。今頃ラブ達がショック受けてるんじゃないですか?ドーナツが食べれないって」

 

『大丈夫〜。今日が休業だって前以て言ってあるからさ』

 

「成程。…あ、様子見の件なら良いですよ。丁度此れから街を散歩するつもりでしたから」

 

『ありがと〜青年。今度食べに来たらサービスするよ〜』

 

「ならつぼみ達も連れてきますね?」

 

『OK〜』

 

あ、そうだ。

 

「様子見だけで良いんですか?写真とかは?」

 

『あ〜撮れたら撮っといて。おじさんから頼まれたって言えば分かるから』

 

「分かりました」

 

『あ、そうだ。青年今夢ヶ浜の何処にいる?』

 

「はるやって言う和菓子屋の前ですね」

 

『あ〜、それなら店を正面にして西に向かって数分歩けば公園があるから其所に行くと良いよ。今の時間なら移動店舗が其所で販売してるからさ』

 

「公園…。分かりました」

 

『で、移動店舗の店員さんに聞けば本店の場所が分かるからさ』

 

「分かりました。早速向かいます」

 

『宜しく〜。じゃあおじさんは仕事があるから此で』

 

「はい」

 

―ツー、ツー、ツー―

 

「さて、公園行くとするか」

 

携帯を閉じて俺は公園へと向かった。

 

………

……

 

ももか(えりかの姉)と、ももか(はるかの妹)か。

…ややこしいな。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

んで、公園に来てみればカオルさんの言ってた通り移動店舗が来ていた。

 

偶然にもまだ客は誰もおらず、聞くにはうってつけのタイミングだ。

 

さて、先ずは店の人に事情を説明しなきゃな。

んで、その後に商品を買ってカメラで写真を撮る。

 

えぇっとカメラ、カメラ、カメラはどこに……って最初からカメラなんて持ってねぇや。

 

どうする?

携帯で撮るか?

いや、それは何か失礼な気がするな。

 

「しょうがない。コンビニでカメラ買うか」

 

それが最良だよな。

 

そして俺は踵を返してコンビニを探し始めた。

 

………

……

 

無事にカメラを買ったことだし、今度こそはっと。

 

軽く決意を改めて俺は店員さんに声をかけた。

 

「いらっしゃいませ!」

 

「すいません、自分、カオルさんからの使いでして…」

 

………

……

 

その後店の備え付けの椅子に座りコーヒーで一服。

結論から言うと、

また歓迎された。

 

なんでも、カオルさんはマーブルドーナツの方々にとって危機から救ってくれた恩人らしい。

んで、俺はその恩人の友人って事で。

 

…カオルさんいったい何者なんだ?

さっきの電話の喧騒も今思い返せば接客してる感じじゃなかったし。

 

…それについては今度聞くとして、とりあえず

カオルさんに報告しとくか。

 

「…何かしらの仕事中かもしれないしメールの方が良いよな」

 

報告内容は3つ。

 

・本店は今日、休業日

・写真は出来上がり次第持っていきます

・マーブルドーナツさん方からカオルさんへの伝言

 

「…よし、送信っと」

 

此れでカオルさんからの頼まれ事は完了した。

 

「さてっと、ドーナツ食うとするかな」

 

さっきはるやで食ったばっかだが、陳列品の誘惑に負け全種類一個ずつ買っちまった。

 

ドーナツは定番からオリジナルとラインナップは豊富だ。

 

おそらく一番人気は店名にもされているコレだよな。

でなきゃ商品名にしない筈。

 

んで、とあるドーナツの名前を見て内心驚いてしまった。

 

“マーブルスクリュー”

 

敢えて言わしてもらおう。

ぶっちゃけありえなーい、と。

 

だがしかし、これに関しては深く意識してはいけない気がする。

 

何故かって?

俺の第六感がそう言っているからだ。

 

俺は自分の第六感を信じ、そして意識から逸らすためにドーナツを食った。

 

「…うまうま……」

 

当たり前だがカオルさんの店とは異なる味わい。

だがしかし、美味しい事には変わらない。

これなら結構な数を食えるかもな。

 

そう思いながら早々と一個目を食い終わり、次のを食おうとしたら、

 

「明さ〜ん!」

 

「ん?」

 

呼ばれて後ろを振り向けば、はるか達が駆け寄ってきてた。

 

『ごきげんよう、明さん』

 

「おぅ、久し振りだな。四人とも元気にしてたか?」

 

「はい!」

 

「そうか。とりあえず先に買うもん済ましてこいよ。積もる話はその後だ」

 

「わかりました」

 

と、はるか達は一端商品を買いにいった。

 

パフとアロマは俺と一緒にお留守番。

 

「パフ、アロマ。今なら店員もはるか達の相手をしてるから喋っても平気だぞ」

 

「パフ〜」

 

「ようやく喋れるロマ」

 

「久し振りだな。元気にしてたか?」

 

「パフ達はいつも元気に楽しくいるパフ」

 

「ロイヤルフェリーとして日々修業に励んでいるロマ」

 

この兄妹、真逆の事を言っている気が……。

 

「御待たせ〜」

 

ん、はるか達が買い終えたか。

 

「店員さん、椅子動かしますけど良いですか?」

 

「はい、良いですよ」

 

店員に許可を貰ったので近くのテーブルから椅子をはるか達分拝借した。

 

てか、いまだに俺等以外誰も客がいないとはな。

 

「ほれ」

 

「有り難う御座います」

 

「気にすんな」

 

そうしてはるか達は各々椅子に座った。

 

 

店員

 

    __

きらら/ \はるか

   |  |

 トワ\__/みなみ

    俺 

 

 

「はるかときららはまた随分と買ったな」

 

みなみとトワは三個だが、はるかときららは六個だ。

 

「えへへへ」

 

「明さんだって全種類買ってんじゃん」

 

「あぁ…誘惑に負けた」

 

「ま、その気持ちは分かるけどね。あたしも美味しさのあまり買い過ぎる時があるし」

 

「良いのか?モデルなんだろ?」

 

「ふふふ、明さん、あたしは“買い過ぎる”とは言ったけど“食べ過ぎる”とは言ってないけど?」

 

「あ、言われてみれば」

 

「例え買い過ぎても確りとした計算の元、バランス良く摂取する。あたし、完璧!」

 

お前は美希かっつーの。

 

あ、でも美希と同じモデルか。

 

「へぇ〜。流石は人気モデル」

 

「ふっふっふ〜」

 

「でも、きららこの間部屋で、“少し食べ過ぎたかな〜”と言っていましたわよね?」

 

「ちょっ!トワっち!?」

 

と、ここでトワからそんな情報が。

 

「きらら…」

 

「きららちゃん…」

 

「きらら…」

 

ドーナツを食べながら話を聞いていたはるかとみなみも俺と同じ様な目できららを見ていた。

 

「きららったらわたくしが、ドーナツの食べ過ぎは気を付けるようにと言っていたのに耳を貸さずに……」

 

およよ…と、トワは更にそんな事を言い、きららはわー、ぎゃーと騒ぎ、はるかはきららを抑えていた。

 

「…何か暫く会わない内にトワのノリが変わってないか?」

 

俺がそんな事を隣のみなみに尋ねると、

 

「はるかときららのお陰ですね」

 

と、三人を見て微笑みながらそんな事を。

どうやら暫く会わない内にみなみの母性力は更に上がったようだ。

 

「…成程。何と無く理解した」

 

視線を三人に向ければきららは依然はるかに抑えられたままで、そしてトワに両頬を引っ張られていた。

 

…カメラで撮っておこ。

 

―パシャリ!―

 

「ちょっ!?明さん!?」

 

「まぁ記念にな。ほれ、チーズ、っと」

 

その後も更に三枚程写真を撮った。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

写真を撮った後もきららをそれなりに弄りながら楽しく皆でドーナツを食い、話の種は俺になり、俺は皆と会う迄の今日の出来事を話した。

 

「そうですか。それで今日は明さん御一人なのですね」

 

「おぅ」

 

コーヒーを一口、

うん。苦、美味。

 

「此所のドーナツもだけど、はるやのどら焼きも美味かったぜ。土産もこんなに沢山」

 

俺はそう言いながら足下の紙袋を持ち上げ見せた。

 

「…あはは、お父さん張り切りすぎだよ」

 

「まぁ良いんじゃないか?子供思いの良い父親さんで」

 

俺はそう言いながら紙袋を足下に置いた。

 

「四つ葉町のドーナツか……」

 

「美味いぜ。なんせ、ラブ達はほぼ毎日の様に食ってるらしいからな」

 

情報源はカオルさん。

 

「美希も?」

 

「おそらくは。“確りとした計算の元”でな」

 

「明さん!」

 

「きらら、どうどうですわ」

 

「あたしは馬じゃないわよっ!」

 

「ケッケッケ」

 

ん、このドーナツもうまうま。

 

―♪〜♪〜♪〜♪〜―

 

 

「あら?なんですの?」

 

「あ、悪い。俺だ。ちょっと席外すぜ」

 

そう言いながら立ち上がり皆とは少し離れ携帯を手にする。

 

ん、ももかから電話か。

 

「もしもし?」

 

『あ、明君。ちょっと頼みがあるんだけど?』

 

「何だ?また宿題手伝ってほしいのか?」

 

やれやれだぜ。

 

『今日は違うわよ!』

 

“今日は”ねぇ…。

 

「そうかい。で?」

 

『明君、夢ヶ浜のマーブルドーナツって知ってる?』

 

「知ってるも何も、今まさにマーブルドーナツを食ってる最中だが?」

 

『やった〜!それじゃあ……』

 

「いや、言わなくていい。だいたい分かったから。あれだ、ドーナツを2〜3個買えば良いんだろ?」

 

『何で分かったの!?』

 

てことは……

 

「大方、カメラマンしてるカオルさんからドーナツの話を聞いたか」

 

「えっ!何で明君カオルさんの事を知ってるの!?」

 

やっぱりか。

 

「まぁ、カオルさんは友人だからな」

 

『そっか〜。じゃあカオルさんが言ってた友人の青年って、明君の事だったのね』

 

「納得したか?」

 

『えぇ』

 

「なら良かった。んで、ドーナツは何個買えば良いんだ?」

 

『3個!味は明君に任せるわ』

 

「あいよ」

 

『それじゃあね!』

 

―ツー、ツー、ツー―

 

「さてっと」

 

携帯を閉じて俺は席へ戻った。

 

「誰からの電話だったの?」

 

「友人。ちょっとドーナツの買い物を頼まれた」

 

俺はそう応えそのまま店員さんの方へ行った。

 

「マーブルドーナツとベリーチョコレート後、マーブルスクリューを各々1個ずつください」

 

「はい!何度も購入していただいて有り難う御座います!」

 

我ながら珍しく散財してるよなぁ……。

 

そう思いながら買った品の入った袋を持って席についた。

 

「お待っとさん」

 

「それにしてもその友人さん、明さんが此所にいるとよくわかりましたね」

 

「いんや、唯の偶然」

 

「えっ、それじゃあ、もしいなかったら?」

 

「いなくても結構は買いに来てたな。今日は特に予定が無かったからな」

 

さてっと、残りのドーナツも食いきらないとな。

 

…うまうま。

 

「先程から思っていましたが、よくそれだけの数を食べれますわね」

 

「しかもうちでどら焼きを食べてるのに」

 

「まぁ、誘惑に負けたってのもあるし、俺が甘いもん好きってのもあるからな。それによく言うだろ?“甘いもんは別腹”ってさ」

 

「きらら、そうなのですか?」

 

「いやまぁ言うけどさ…。流石にそんなには…」

 

「でも、きららちゃんもかなり食べる時があるよね?」

 

「うっ、はるはる…」

 

「ふふふっ」

 

今日はきららが弄られる日なんだな。

 

…うまうま。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

その後もドーナツを食い続け、漸く最後の1個になった。

 

さぁ、フィナーレだ。

 

フィナーレを飾るドーナツはこの味、

 

「シュガープレーン」

 

 

【完】




カラオケで夢は未来への道を歌うとだいたいサビで声がごきげんようする( ̄▽ ̄;)

ドリーミングは平気なんに。

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