今回はスイート編アフター 7と同様、明の変則的な一人語りスタイルです。
みらい達との一件から数日後、俺は約束通りつぼみ達を引き連れ再び津成木町を訪れた。
そしてみらいの家で出張版!フェアリードロップ超ファッションショーinマジカルスペシャル(えりか命名)を開催し、途中何度かドタバタしつつも無事に終える事が出来た。
ショーが終わった後、皆でいちごメロンパンを食べに行こうかと話し合っていたら突然ソルシエールが現れた。
突然現れた事に驚きつつも話を聞くと、ソルシエールは俺達と出会った後になんやかんや紆余曲折の結果、今はみらい達が通っている魔法学校の教師になる為にリコのお姉さん――リズさんと同じ教育実習生として勉強中なんだと。
『どうやら私の扱う魔法は古式魔法の部類に入るらしくてな?リズに是非学校で古式魔法の教師として働かないかと誘われたんだ』
確かにソルシエールは魔法を発動する時に“キュアップ・ラパパ!”なんて言ってねぇもんな。
まぁソルシエールがキュアップ・ラパパって言うと服装と相まって中々メルヘンチックに感じて面白いんだけどな。
…話が逸れたな。
とりあえずソルシエールの近況はわかったが、何で急に現れたのかをまだ聞いてなかったんでその事を聞くと、リズさんが武術の使い手を探していたらしい。
リズさん曰く、魔法つかいは確かに強力な魔法を使う事が出来るけど接近戦には弱く、しかも魔法界には接近戦を得意としている存在がいないから生徒達に立ち回り方を教える術(すべ)が無くて常に困っていたんだと。
そんな時にソルシエールが以前プリキュアを襲ってきた時に俺とゆりの動きが他のプリキュア達より高かった事を思い出し、リズさんに話したら是非とも魔法学校に来て生徒達の為にご教授してくれないかって事なりソルシエールがその旨を俺達に伝える為に共通の友人であるみらい達の元へ移動魔法を使ってやって来たって流れらしい。
『と言う訳で、半ば強制的な形になるが引き受けてくれるか?』
『あぁ、良いぜ』
『私も構わないわ』
『ボクもです』
特に断る理由もなかったんで俺達は快くその誘いに乗る事にした。
んで、詳しい日時を聞いたらまさかのこれからだと言うから驚いたぜ。
『これからなのぉ!?』
『安心しろ。校長先生の許可は得ているから明達が魔法界に来ても何も問題はない』
そう言ってソルシエールは移動魔法を唱え俺達全員は魔法界へと連れてかれた。
魔法界には直ぐに着いたんだが、何故か知らないが気づいたら俺だけ魔法商店街の上空にいた。
『なんてこった……』
だがこの手の事には慣れっこだったんで直ぐ様変身しマントを出して事なきを得た。
そのまま暫く上空から魔法学校を探していると魔法の絨毯に乗った黒い小熊――クマタと出会った。
『黒か……』
『黒だな……』
クマタとは互いの色が黒色って事でシンパシー的な何かを感じたんで色々話をしていたらクマタが魔法学校の関係者(ソルシエールの助手なんだと)だとわかったんで事情を説明すると魔法学校まで案内すると言ってきた。
『丁度オレも用事を済ませてへ戻るところだったからな』
『成程』
てか、魔法学校って巨大な木の上にあんのな。
『…まるでジャックの豆の木に出てくる巨人の家だな』
『ん?何か言ったか?』
『いや、何でもない』
門を通り校内に入ると既にゆり達がご教授を始めてるらしくやけに賑わっていた。
『…ナイト、悪役の顔になってるぞ?』
『おっと失礼』
賑わっている中心地――広場に行くとリズさん・ソルシエールチーム対サンシャイン・ムーンライトチームが空中でドンパチをしていた。
『随分と盛り上がってるな』
『あぁ、だがもうじき終わるぞ』
よく見るとムーンライトがリズさんとソルシエールの魔法を捌きながら大技を決めるタイミングを狙っていた。
そしてサンシャインの捨て身の突貫にリズさんとソルシエールが怯んだ瞬間ムーンライトが大技を決めた。
『ぐっ!』
『きゃあ!?』
ムーンライトが決めた大技をソルシエールは間一髪の所で魔法を放ち衝撃を相殺したが、リズさんは間に合わず衝撃によって乗っていた箒から落ちてしまった。
『ナイト!』
『あぁ!』
だが、俺が即座に翔けリズさんを受け止めた。
『大丈夫ですか?』
『あ、貴方は……』
『通りすがりの騎士(ナイト)です。…なーんてね』
そこから後は兎に角まぁ大変だった。
なにせ、いきなり現れた黒い騎士が憧れのリズさんをお姫様抱っこしたもんだから生徒達のボルテージが最高潮になり瞬く間に詰め寄られあれやこれやと質問責め。
『むぅー……』
しかもムーンライトさんがすんごい目で此方を見るから堪ったもんじゃねぇ。
てか、こうなった原因はムーンライトにあって俺は悪くねぇっつーの。
『ソルシエール』
『あぁ。…皆そこまでにしてくれ』
クマタとソルシエールのお蔭で漸く解放された後、俺達は校長先生の元へと案内された。
まぁその時につぼみが校長先生にアレしてその後に落ち込んだんだけどな。
『はぅ〜……』
『ドンマイつぼみ』
校長先生は今までに何度か俺等の世界(ナシマホウ界)に来た事があるらしく武術の事を含めて話が弾んだんだが、俺やゆりを接近戦の特別講師としてスカウトしときた時には……なぁ?
『なに、あくまで可能性の話じゃ。そんなに気にしないでくれ』
校長先生はそう言って笑っていたが本音はどーなんだかな。
『はっはっはっは!』
その後、校長先生と別れた俺達は再び広場にいた。
『えっと、今から明君と勝負をしたい生徒は……』
『はい!!』
『なんてこった……』
『人気者だな』
『だな』
結局、広場にいた生徒全員と勝負する羽目になった。
『最初に言っておく、俺はかーなーり強い!』
そこからはもう凄まじかった。
『オラオラオラァーッ!逃げてねぇで纏めてかかってきやがれぇ!!』
『ひぃぃぃぃ!?』
結論だけ言うと勝敗は俺の完全勝利だった。
『ふぃ〜、中々楽しかったぜ?』
『す、凄い……』
『やるな……』
『あの時(奇跡の魔法)ナイトと直接戦わないで本当に良かった……』
勝負が終わった後は校内を案内してもらったり商店街を訪れたりと非常にわくわくもんな時間を過ごした。
『あら、貴女中々センスがあるわね♪』
『ファッション部部長として当然っしゅ!』
『…“類は友を呼ぶ”ってまさにこの二人の事を言うんだろうな』
『あははは……』
そして帰る時は……
『ふふふ、助けてくれたお礼よ』
“ちゅっ……”
『お、お姉ちゃん!?』
『また来てね明君♪』
…行きと違って俺もみらいやつぼみ達一緒に帰ってこれたとだけ言っておく。
それ以外は何も言いたくねぇ。
『…フフフ、明?ちょっと“お話”しましょ?』
『…なんてこった』
まさか最後の最後でこうなるとはな。
これだったらまた俺だけ違う場所に飛ばされたかったぜ。
『大丈夫よ、痛みは一瞬だから』
『………』
………、
泣けるぜ。
【終わり】
この作品のリズは漫画版のまほプリ同様、みらい達がプリキュアだと言う事を知っています。
後、ソルシエールのポジションと魔法とクマタのポジションはオリジナルです。
でも、アニメの最終話でソルシエールが食堂にいたから多分教師になってる筈。
そしてアラモードの漫画(特装版)を買ってオマケの小冊子を読んだけどやっぱりあゆみがいなかったね。
…“歴代プリキュア勢揃い”って言ってるのに( ̄▽ ̄;)
てか、ナッツがメンズビーチウェアコンテストに優勝してハートキャッチ組はフラダンスねぇ( ̄▽ ̄)
あ、リズがキスしたのは明の頬ですので(´-ω-`)