とある日の放課後、午後から急に降りだした雨によって傘を持ってない多くの奴は下校時に濡れ鼠になっていた。
まぁ中には運良く置き傘をしていた奴もいたんだが、そいつは友人達に群がられて結局皆揃って仲良く濡れ鼠になるという中々悲惨な目に遭っていた。
ん?
俺達の場合はどうなんだって?
つぼみ達はどうせえりかが置き傘をしてるから問題無し。
月音と萌香は知らんし、知りたくもねぇ。
菖は置き傘組の瑠璃の恩恵で濡れ鼠を回避。
んで俺、ゆり、ももかは……
“ぐぎぎぎぎ……!”
“妬ましい……!”
“羨ましい……!”
“彼処だけ鉄砲水が降って傘に大穴空いちまえ……!”
“馬鹿野郎!そんな事したら両脇の二人が可哀想だろ!”
「うふふふ♪」
「フフフ♪」
「…やれやれだぜ」
針の筵とはまさに今の俺の事を言うんだろうな……
「おりょ?どうしたの明君?」
「浮かない顔をしてるけど、雨は平気って言ってなかったかしら?」
「確かに雨は平気だが、この状況が平気じゃねぇんだよ」
何が悲しくて一本の傘を三人で共有してんだか。
「だって雨が降ってるから仕方ないでしょ♪」
「えぇ、ももかの言う通りだわ」
「それに明君がこんな大きいサイズの置き傘を持ってたんだから使わない手はないわ♪」
欲張って80cmサイズを買ったのが仇になったか……
「それとも明君は私達と一緒に傘を使うのが嫌なの……?」
げっ、出やがった、ももかの必殺技……
「………」
「………」
「………」
「………」
「……あきくん」
「……嫌じゃねぇ」
「ほんと!良かったぁ♪」
「フフフ、流石の明もももか相手じゃ形無しね」
「うっせ、ゆりだってそうだろうが」
「あら、そうだったかしら?」
「…こんにゃろ」
「フフフ♪」
どうにかしてゆりの余裕面を崩してやりて……って、
「オイももか、何で俺の腕にしがみついてんだ?」
「だって寒いんだもん」
「や、だからって……」
「言われてみれば私も何だか寒くなってきたわ」
ゆりもかい。
「……何よ」
「…いや、ももかと違って凄まじい程に棒読みだっなと」
「……何か文句ある」
おー、怖っ。
「…いえいえ、全く以てこれっぽちも文句なんてありませんよ」
ほんとはももかのと纏めてかーなーりあるが、言ったら面倒事になるのが目に見えるから言えるかっつーの。
「ほえ〜、やっぱり明君の身体ってすっごく逞しいよねー」
「そりゃどーも」
「……ほんと、何度もボロボロになりながらも………ばか」
“ギュッ……”
「…ゆり、腕の血液の流れを止めようとしないでくれ」
「ゆりが不良になった!?」
「そんわけないで…っくしゅ……」
「…大丈夫か?」
「えぇ、少し冷えただけよ」
「確かにちょっと冷えてきたかも……」
「なら急いで帰らねぇとな」
「それよりもここから一番近い明君家に行って温かいスープを!」
「悪いがスープなんざ昨日作ったヴェシソワーズぐらいしかねぇよ」
「えぇ〜!」
「…逆に何でヴェシソワーズがあるのよ」
「何となく作りたくなったんだよ。……とりあえずホットミルクなら用意出来るぞ?」
「さっすが明君!」
「悪いわね明」
「ん、気にすんな」
「それじゃあ急いで明君家に行こー!」
「おー」
「お、おー……」
“お前らいい加減にしろよ!!”
「「「あ、まだいたんだ……」」」
【終わり】
“相合”とは……二人以上で一つの物を所有し使用すること。
つまり、三人でも良いのです(´・ω・`)
オマケ
〜明の家にて〜
ももか:「ゆりー、見て見てー!白い髭ー!」
ゆり:「ふふふ、ももかったら」
明:「ほれ、土産用に特性クッキー作ったから持っていけ」
ももか:「わーい♪」
ゆり:「…ほんと、女心を粉々に砕く事をしてくれるわね」
明:「成程、ゆりはクッキーいらねぇんだな?」
ゆり:「い、いるわ……」
ももか:「うふふ♪ゆりったら可愛い♪」