たまにはほのぼの系オンリーの小説が出ないもんかね(´・ω・`)
とある日の昼休み、ゆり達(俺、ゆり、ももか、菖、瑠璃、月音、萌香)と一緒にお喋りしていたらなんやかんやで“皆の渾名を考えてみないか?”ってな事になった。
ん?
なんやかんやって何だって?
なんやかんやはなんやかんや。
それ以上でもそれ以下でもねぇ。
故に考えるな、感じろ。
そうすればきっと理解する筈だ。
「明君?」
「…ん?あぁ、悪いちょっくら夕飯のメニューを考えてた」
「…さっき弁当を食べたばっかなのにもう夕飯の事考えてるんだね」
「独り暮らしだから夕飯のメニューは常に考えねぇとな」
「はーい!チェリーパイを食べたいでーす!」
「じゃあ私はピーチパイ!」
「それなら私はアップルパイを」
「なら私はミートパイね」
わぁお、全員見事にパイオンリー。
しかも打合せしてねぇのにこのチームワークとは流石仲良しガールズチームだぜ。
「…いや、何でパイに限定されてるのさ」
『さぁ?』
「えぇー……」
「ドンマイ菖君。…それで明君のジャッジは?」
「採用」
「「やったー♪」」
「案外言ってみるもんだな」
「そうね」
おーおー喜んでやがる。
俺は自分の夕飯として採用しただけで四人にご馳走する気なんて更々ねぇのにな(悪笑)
「…うわぁー、明君悪い顔してる」 ぼそっ
「…触らぬ神に祟りなし。俺は何も見てません」 ぼそっ
ケッケッケッケ。
あ、気付かれる前に話の修正をしとかねぇとな。
「で?どんな渾名にするんだ?」
「んー、実はもう考えてるんだけどね〜……」
そう言ってももかは制服のポケットから折り畳まれた紙を出してきた。
よし、修正成功。
「どらどら……」
で、ももかから紙を受け取り広げてみると以下の通りに書いてあった。
御剣明君→ナイト/アキちゃん
ゆり→ゆりっぺ
菖君→博士
瑠璃ちゃん→ルリルリ
月音君→むらさき君/つっくん
萌香ちゃん→モカ様/モカっち
「なんてこった……」
「あら……」
「………」
「あはっ♪」
「あはは……」
「ふむ……」
「どう?私的には結構自信があるわ!」
「とりあえず順番に説明してくれ」
「うん!…明君は名字の剣と雰囲気があの黒い騎士に似てるから“ナイト”!」
…ももかの何が恐ろしいって、無自覚(或いは天然)で確信を突いてくる所なんだよな。
「…もう一つは?」
「明君って見た目で結構誤解されがちだから可愛い渾名にすれば誤解されずに済むと思ったの!」
後、同じく無自覚(天然)で凄い事を言う所もだ。
まぁ兎も角、
「俺は気にしてねぇがサンキューなももか」
なでなで…なでなで……
「えへへへ〜……♪」
おーおー、顔がだらけきってるぜ。
「…今回はしょうがないから許すわ」 ぼそっ
「いつからゆりの許可が必要になったんだ?」 ぼそっ
「あはは♪ゆりちゃん可愛い♪」 ぼそっ
はて?
ゆりと萌香と瑠璃が何やら言っている様な気が……
「次はゆりよ!」
「お手柔らかにお願いするわ」
気のせいか。
「ゆりも明君と似た理由でもっとこの渾名にすれば印象が柔らかくなって良いと思うの!」
…“立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花”……なーんてな。
「それでその渾名を?」
「うん!」
「うふふ♪ありがとうももか」
なでなで…なでなで……
「えへへへ〜♪」
「…数秒前と殆んど同じ光景だ」
「成程、さっきの俺はこんな風だったんだな」
これは良い勉強になるな。
「で、次は誰だっけ?」
「菖だな」
「菖君は直ぐに決まったの!」
「あー、確かに菖は遺跡云々については詳しいからな」
「これ以上しっくりくる渾名は他には無いかもね」
何せ菖の遺跡云々の知識は担当教師を優に上回る程あるからな。
しかも担当教師よりもわかりやすいって事でテスト勉強の時なんかはクラスの奴が挙って頼ってたもんな。
「で、菖の感想は?」
「勿論、純粋に嬉しいよ。ありがとうももかさん」
「いぇい♪」
「んで、お次は瑠璃か」
「瑠璃ちゃんも菖君と同じ様に直ぐに決まったわ!」
「瑠璃だから“ルリルリ”。殆んどそのままだな」
「でも瑠璃らしくて良いんじゃないかしら?」
「だな。天真爛漫な瑠璃にはピッタリだな」
時々猪突猛進して此方を冷々させる時があるけどな。
「も〜、明君ったら褒めても何も出ないよ♪」
「出てもいらんつーの。…んじゃま、お次は月音だな」
「とりあえず、“むらさき君”について理由を聞きたいな?」
「むらさき君は月音君と萌香ちゃんの名字から思いついたの!」
『名字?』
…月音は“青野”、萌香は“赤夜”……なーるほど。
「青と赤を混ぜると紫になるからむらさき君か」
『あー……』
「そ!さっすが明君!」
「でも何で混ぜるのかしら?」
「だって月音君と萌香ちゃんはいつも一緒にいるでしょ?」
「うん」
「あぁ」
「だから混ぜてみたの!」
まぁこの二人は両家公認の恋人同士だからな。
確か互いが互いに一目惚れしたんだっけか?
まったく、甘酸っぱい二人だぜ。
「…なんだろう、今猛烈に明君にツッコミたくなった」
「…私もだ」
「何でやねん」
はっはっは、代わりに俺が二人にツッコんでやったぜ。
「それでももか?もう一つの意味は?」
「もう一つは月音君の名前から思いついたの!」
“つくね”だから“つっくん”か……
俺だったら“つくね”だけに“焼き鳥”って渾名を付けるかもな(笑)。
「…なんだろう、また明君にツッコミたくなった」
「気のせいだ。それよりも感想は?」
「勿論嬉しいよ。けど、呼ぶなら二つ目のにしてほしいかな?」
「ありがとうつっくん!」
あれま、早速使ってやんの。
「そして最後は……」
「私だな」
おぉ、真打ちの登場ってか?
「で、何で萌香だけ様付けなんだ?」
「中々思いつかなくて気分転換に文化祭の時の写真を見てたら思いついたの!」
文化祭、写真、様付け……
「お化け屋敷で萌香が着てた吸血鬼の格好か」
「そう!それを見た瞬間この渾名を思いついたの!」
「成程な。確かにあの格好の萌香は様になってたもんな」
「そうね、萌香の見た目と相まって中々迫力があったわ」
「実際、後輩の女の子達は黄色い声を出していたもんね」
「それで萌香ちゃんもスイッチが入っちゃってね」
「活き活きと言ったんだよね?」
「あぁ、確か“私に血を吸われたいか?”だったか?」
「後、“この身の程知らずが!”もな」
その結果女の子達のテンションが更に上がって、更に噂を聞きつけた他の子達もやって来て最終的にはお化け屋敷が学年一の売り上げを出したから凄いもんだぜ。
「それともう一つは萌香ちゃんの意外と無邪気でノリが良いからモカっちにしてみたの!」
「フッ、そうあんまり褒めるなよ」
「や、褒めてないと思うよ?」
そう言えば前に月音が言ってたな。
確か“出会った頃の萌香さんは今よりクールだった”だっけか?
そう考えると人って変わるもんだな。
「それで、萌香ちゃんの感想は!」
「あぁ、勿論気に入った。呼びたい時には遠慮なくその渾名で呼んでくれ」
「やったー!ありがとうモカっち!」
って、早速呼ぶのかい。
キーンコーンカーンコーン♪
「っと、もう昼休みが終わりか」
「なんだかあっという間な気がするね」
「それだけ渾名に夢中だったって事だね」
「だな」
なにせ六人分だもんな。
……ん?六人?
「それじゃあ午後の授業も頑張って夜は明君家でパイを堪能ね!」
「やっほーい♪」
「楽しみだな」
「ふふふ、期待してるわよ明?」
…あらら、この四人はもうパイの話かよ。
しかも完全にパイを食える気でいやがる。
『よろしく(ね・な)明(君)!』
ところがぎっちょん、そうはいかねぇんだな。
「何でだ?」
「えっ……」
「だって……」
「確かに今夜の夕飯はパイだが、お前等の分なんてねぇぞ?」
『えっ……?』
さぁ、絶望の時間だ!
「だって俺、ご馳走する約束なんてした記憶がねぇからな(悪笑)」
『えぇぇぇぇ!?』
「うわぁー、悪い顔……」
「あははは……、四人共ドンマイ」
「そ、そんな……」
「でも確かに明君の通り……」
「これはしてやられたな……」
「泣けるわね……」
「ケッケッケッケ♪残念だったな」
「「うわぁー、明君から悪魔の羽と尻尾が見えるよ……」」
【終わり】
今回渾名が決まりましたが今後出すつもりは……
明:無いのな
はい……(´・ω・`)
オマケ1
〜ももかの渾名〜
明:「さっき気づいたんだが、ももかの渾名をまだ決めてねぇな」
明以外:『あ、確かに……』
明:「とりあえず、ももかの渾名は“モモっち”で良いよな?」
ゆり:「あっさり決まったわね」
瑠璃:「明君、その渾名の訳は?」
明:「ももかは子供っぽい所があって可愛いらしいから」
ももか:「んもぅ、明君ったら♪」
オマケ2
〜放課後〜
ももか、瑠璃:『やーだ!やーだ!食ーべーたーいー!』
明:「はぁー、いい加減諦めろ」
ももか:「うっ〜、こうなったら明君に弄ばれたって言いふらしてやるー!」
瑠璃:「そうだそうだー!言いふらしてやるー!」
明:「あ゙ぁ゙?」
ももか、瑠璃:『ひぃぃぃ!?』
ゆり:「今のは完全に二人が悪いわね」
菖:「だね。…あれ?そう言えば月音君と萌香さんは?」
萌香:「パイが食えぬなら代わりに月音を食うとするかな」
つくね:「はは、逆に僕に食べられない様に気をつけてね萌香さん?」
萌香:「月音……」
月音:「萌香さん……」
萌香:「月音……」
月音:「萌香さん……」
萌香:「月音……」
月音:「萌香さん……」
菖:「うん。俺は何も見てないし何も聞いてません」
オマケ3
〜渾名決め裏話〜
前日の夜、ももかの部屋にて――
ももか:「う〜ん、明君は……」
“ダーリン”
ももか:「駄目!これは無し!」
“ナイト/アキちゃん”
ももか:「うん!これで良し!……でも、」
“ダーリン”
ももか:「あきくん……」