花を護る騎士 ブレイドナイト   作:葵祈つばめ

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明:「今、カラオケにクーナの歌が映像付きであるんだってなー」

美希:「あたしを見ながら言わないでください……」


〜土産〜

とある日の休日、俺はちょっとした土産を持って修練の場に来ていた。

 

「おーい、誰かいるかー?」

 

 

“シーン……”

 

 

普段だったら誰かしらいる修練の場だが、今回は珍しく誰もいなかった。

 

てか、あのミラージュ一の戦闘狂のムーンライトミラージュがいないとはな。

 

「おーい、留守かー?」

 

 

“シーン……”

 

 

とりあえずボケてもみたが、やはり誰も現れなかった。

 

「…いねぇなら仕方ねぇ。今日は引き上げてこのクッキーはゆり達にやるか」

 

 

“ゾワ……!”

 

 

「っ!」

 

帰ろうとした直後に背後から気配を感じ、振り返ると俺目掛けて右ストレートを繰り出そうとしているムーンライトミラージュがいた。

 

「なんてこった……」

 

「フフフ!」

 

ムーンライトミラージュはしてやったり顔で笑っているが、生憎大人しく食らう気は更々ないんで、瞬時にアクセサリーから変化させたハートフルブレイドの腹で受け止めさせてもらった。

 

 

“ギギギギギギ……!”

 

 

んにゃろう……、

 

受け止められたにも関わらずごり押ししてきやがった。

 

 

「フフフ、こんにちわ明」

 

「よお、随分とまぁ手厚い歓迎だな」

 

「えぇ、折角明がお土産を持って来てくれたんですもの。それ相応のおもてなしをするのは当然だわ」

 

「その為にミラージュ達と協力してか?そりゃあまた随分と立派なおもてなし方だな」

 

「えぇ、満足したかしら?」

 

 

“ギギギギギギ……!”

 

 

「あぁ、わざわざ土産を持って来た甲斐があったぜ」

 

なにせ朝から作った自慢の品だからな。

 

「あら、どんなお土産を持って来たのかしら?」

 

「枸杞の実を使ったクッキーだ」

 

「枸杞?」

 

「漢方薬にも使われたりする代物だ」

 

「よくそんな実を持ってるわね」

 

「こう見えて色々な所にコネがあるんでな」

 

「知ってるわ」

 

「だよな。……で、」

 

 

“ギギギギギギ……!”

 

 

「いつまでこうしてるつもりだ?」

 

両手なら兎も角、片手だけってのは流石の俺でもな?

 

「あら、明が力負けしてくれたら終わるわよ?」

 

「なんてこった……」

 

この俺に自分から負けろってか?

 

冗談じゃねぇ、寝言は寝てる時に言いやがれっての。

 

「悪いがお断りするぜ」

 

「そう、それは残念だわ」

 

 

“ギギギギギギ……!”

 

 

「…ちぃ……!」

 

「フフフ、生身でもここまで耐えられるなんて随分と強くなったわね」

 

「…そりゃあ伊達に鍛えてねぇからな」

 

「フフフ、変身したらどれだけやれるのか楽しみだわ」

 

「…なら今すぐにでも変身して見せてやろうか?」

 

「えぇ、お願いするわ」

 

そう言ってムーンライトミラージュは自ら身を退いた。

 

「…結局俺が力負けしなくても退いたな」

 

「さぁ?何の事かしら?そんな事より早く変身してちょうだい」

 

「…へーへー」

 

若干納得いかねぇが、一々噛みつくのも面倒なんで俺は手早くブレイドナイトへと変身……

 

「あ、その前に土産渡しとくぞ?」

 

「えぇ、私の心象空間に置いとくわ」

 

そう言ってムーンライトミラージュは風呂敷を持って一端姿を消した。

 

………、

 

今の内に変身しておくか。

 

「ブレイドナイト・オーバーリミット!」

 

 

………

……

 

 

「お待たせ、…あら、もう変身したのね」

 

「あぁ。待ってる時間が勿体なかったんでな」

 

「別に直ぐに戻っこれるのだから時間は掛からないわよ。それより明の変身を見逃てしまうなんて残念ね」

 

「ドンマイ。機会があればその内見れる筈だ」

 

相変わらず互いに軽口を言い合いながらも俺達は適度に距離を開け、そして……

 

「ルールは?」

 

「目潰し及び急所突き意外は何でもありのどちらかがギブアップするまでのデスマッチ!」

 

「勝っても負けても恨みっこなしの純粋な勝負!」

 

「さぁ!」

 

「心行くまで!」

 

「「楽し(みましょう!)もうぜ!」」

 

最高に良い笑顔のまま俺達は駆け出した。

 

「ハアァァァァアッ!!」

 

「オオォォォォオッ!!」

 

 

………

……

 

 

「フフフッ!相変わらず中々やるわね!」

 

「ハハハッ!お前もな!」

 

 

………

……

 

 

「フフフ!楽しいわね!」

 

「あぁ!そうだな!」

 

 

………

……

 

 

「ちぃ!」

 

「フフフ!もう疲れたのかしら!」

 

「はっ!冗談!」

 

 

………

……

 

 

「くっ!」

 

「オイオイもう疲れたのか?」

 

「まさか!」

 

 

………

……

 

 

「「…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ……」」

 

 

………

……

 

 

「アァァァァアッ!!」

 

「オォォォォオッ!!」

 

 

………

……

 

 

“いい加減にしなさい……!”

 

 

「アンジェミラージュ……」

 

「なんてこった……」

 

 

………

……

 

 

「それであまりに煩いもんだからアンジェミラージュにお説教されたのね」

 

「…途中から初代のミラージュと二人掛かりでな」

 

「あらあら」

 

「しかも罰として一週間修練の場への立ち入りを禁止されちまった」

 

「ふふふ、お気の毒様」

 

「あぁ。……ゆり、暫くは頼んでも良いか?」

 

「えぇ、全て受け止めてあげるから存分に私にぶつけてきなさい」

 

「サンキューなゆり」

 

「…ふふふ、私の影にばっかり良い思いはさせないわ……」 (ぼそっ

 

「ん?何か言ったか?」

 

「いいえ?ところで何でまたそんなクッキーを作ったのかしら?」

 

「最近ももかが疲れ気味に見えたからリフレッシュさせようと思って作った」

 

「成程ね。でも、何でミラージュ達に?」

 

「いつも荒行で世話になってるからそのお礼にな」

 

「…ミラージュ達ってクッキー食べれるのね」

 

「あぁ。しかも本来は摂る必要の無い存在だから食べても身体には何も影響しないらしいぜ」

 

「羨ましいわ。何も気にせずに明の料理を好きなだけ食べれるだなんて……」

 

「ゆりさーん、顔が怖いですぞー」

 

「そもそも、明がそんなに料理が上手なのが悪いのよ」

 

「おぉう、火種が此方に飛んできやがった……」

 

「これからは手を抜いて作りなさい」

 

「なんてこった……」

 

「若しくは私が作るから明は作るのを止めなさい」

 

「…泣けるぜ」

 

 

 

【終わり】

 




オマケ

〜姦しトーク〜

ゆり:「ふぅ……」

萌香:「ん?どうしたゆり、疲れているのか?」

ゆり:「えぇ、最近明が激しくて……」

龍璃:「なんと!まさかゆりっぺと明君は!?」

ゆり:「え?……あ、ち、違うわよ!?ただ明の荒行に付き合ってるだけよ!?」

龍璃:「だよね〜」

萌香:「だがゆりはそっちの気があるらしいから満更でもないんじゃないか?」

龍璃:「成程!明の激しい攻めにゆりっぺは嫌がっていても内心ではk」

ゆり:「っ!」 (ゴンッ!

龍璃:「うえぇぇぇん……」

萌香:「自業自得だな」

ゆり:「それより萌香?今の戯言について説明してもらえるかしら?」

萌香:「落ち着けゆり。前にももかが冗談で言っていただけだ」

ゆり:「そう…フフ、ももかが……フフフ……」

龍璃:「…ももっち今日来るっけ?」

萌香:「いや、確か今日は一日仕事だった筈だ」

ゆり:「フフフ、明日が楽しみだわ……」

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