明:今度は何を観たんだ?
つばめ:…雪空のともだち。…ひなたとの別れ、ポルン……
明:あ、それは駄目だ……
ゆり:えぇ、それは駄目よ……
とある日の休日、珍しく荒行をする気が湧かなかった俺は朝からあっちこっち散歩をしていた。
「♪〜♪〜」
意外かも知れないが、荒行をして身体を鍛える以外にも今みたいにのんびりする事も俺は好きなんでこうして鼻唄交じりに散歩をしてるってわけだ。
「さてっと、次は何処へ行くとすっかな」
気分次第で東西南北をエンヤコラ、風の流れる浮き雲の如く俺はたださすらうだけってな。
“くぅ〜……”
「…その前に何か食わねぇとな」
なんともまぁ締まらねぇ有り様だが、考えてみれば朝から何も飲まず食わずで散歩をしていればそりゃあ腹も減って当然だわな。
「どっかで昼を済まさねぇとな……」
んー、何処にすっかなー……
………
……
…
「うまうま……」
あの後、昼飯を求めてぶらぶら歩いていたら丁度良くのクレープの移動販売のワゴン車が公園にいるのを見つけたからクレープを昼飯として買い、そのまま公園のベンチで甘いランチを堪能していた。
「昼間から食うクレープも中々良いもんだな」
けど、休日の昼間の公園で男が一人でクレープを食ってるってのも端から見ると中々シュールな光景だよな。
ほれ、向こうの砂場で遊んでたちびっこ達が珍しい目で俺を見てやがる……
―………?―
―…!……!―
「…さっさと食って場所を変えるか」
さーて、次は何処に…ん?
「わぁっ!」
「おっと……」
「だーれだ?」
なんてこった、まさかいきなりももかに目隠しされるとはな。
「あ、クレープだ!いっただっきまーす♪」
しかもクレープを食われた。
「うーん!おいしー!」
「ももか、気が済んだなら手を離してくれねぇか?」
「ぶ〜!なんでもうわかっるの〜!」
「そんなの声を聞けば一発でわかんだろ」
「…えっと、二人掛かりでやってるとは思わなかったの?」
「一人しか気配を感じなかったからな」
「明君って相変わらず無茶苦茶だよね……」
「止せやい、照れるじゃねぇか」
「褒めてないんだけねぇ〜」
そう言いながらももかは手を離し、こちら側に来て俺の隣に座った。
「改めてこんにちは明君♪」
「おう。今日はオフだったのか?」
「ううん。午前中だけ仕事があったわ。今は帰り途中」
「成程、それで偶然俺が公園のベンチに座ってるのを見つけたから襲ってきたと?」
やれやれ、ももかさんったら大胆なんだから困ったもんだぜ。
「えへ♪」
だが可愛いから許す。
「でも明君ってば少しも驚かないからショック〜」
「いやいや、結構驚いたぜ?何せあの一口でクレープの露出部分の大半を食われたんだからな」
「ぶ〜!そっちじゃなくて目隠しした方〜!」
「今までに何度かやられているからな。もう慣れちまったぜ」
ある時は今みたいにももか一人、またある時は瑠璃とで二人、またある時は萌香とゆりとで三人、そして四人でやりにきたの時は……ほんと、ご苦労様としか言えなかったぜ。
「むー!こうなったら意地でも明君を驚かしてみせるわ!」
「へー、いったいどんな事をして楽しませてくれるんだ?」
「それはまだ考えてない!」
「…ノープランかよ」
「けどいつかぎゃふんと言わせてみせるわ!」
正直、徒労に終わると思うがここはももかの熱意を買うとするか。
「まぁ頑張れ。……うまうま」
「あっ!私も食べる〜!」
「一応言っておくが、自分で新しいのを買えよ?」
「はーい!」
「俺も新しいの買おっと」
「あははっ、明君食べるの早過ぎ〜」
「そりゃあ誰かさんに露出部分の大半を食われたからな」
「てへ♪ごめんね明君♪」
「可愛いから許す」
「やったぁ〜♪」
ほんと、ももかには敵わねぇぜ。
「あ〜きくん♪」
「んだよ」
「ううん♪なんでもな〜い♪」
………
……
…
その後、二個目のクレープを食った俺は“私も一緒に散歩する〜!”と言い出したももかを連れて再び散歩をし始めた。
だが、何故かは知らんが行く先々で友人と会い、そのまま散歩のお供となり最終的には俺、ももか、ゆり、菖、瑠璃、月音と萌香の七人で散歩する事になっていた。
「それにしてもうまい具合に集まったな」
「集まったって言うより遭遇って感じだけどね」
「エンカウントって言うとそれっぽいよね!」
「ふむ、それを聞くと退治したくなるな」
「誰を?」
「それはやっぱり……」
“じぃー……”
「ちょ、なんでみんなして俺を見るのさ!?」
『さぁ?』
「さぁ?て……」
「はっはっは、まぁドンマイ」
そして俺達は瑠璃の提案で散歩の締めとしてカラオケに行き、そりゃあもう盛大に盛り上がった。
………
……
…
「「♪〜♪〜♪〜♪!!」」
「おー、随分とノリノリだな」
「あっはははは!」
「それにしてもこのメンバーでカラオケに来るのって初めてだよね?」
「そうだな。ゆり、今日はとことん付き合ってもらうぞ?」
「えぇ、お手柔らかにお願いするわ」
「あぁ、任せておけ」
「ふぃ〜、歌った歌った〜!」
「ん〜!楽しい〜!」
「丁度終わったか…、なら次はゆりと明に歌ってもらうか」
「さんせーい!」
「異議なーし!」
「ゆりさんと明君のデュエット……」
「あははっ!楽しみだね!」
「ふふふ。明、準備は良いかしら?」
「おう。いつでも良いぜ!」
“♪〜♪〜♪〜”
「私と!」
「俺の!」
「「歌を聞けぇ!!」」
【終わり】
油断すると本当に泣いてしまうからプリキュア(本編・映画)は凄い……
オマケ
〜アフレコ〜
ももか:「ねぇ、このカラオケってアフレコ機能で遊べるんだって!」
瑠璃:「折角だからやってみようよ!」
ゆり:「けど誰がやるのかしら?」
萌香:「それなら今から一人ずつ歌って得点が一番高かった奴にやらせるか」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
明:「なんてこった……」←一位
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
CP:『――――。人が人を裁くなど――――。法によって――――!』
明:『――――!?――――が?冗談言うな』
CP:『――――、君は……』
明:『いつだって、――――じゃねぇか』
CP:『だからと言って――――!法が間違っているなら――――。そのために、僕は、――――!』
明:『――――。お前は助かった命に、いつか法を正すから、――――って言うのか!』
CP:『そうは言わない!』
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
瑠璃:「凄い……」
ももか:「かっこいい……」
ゆり:「あき……」
萌香:「ほう、中々上手いもんだな」
月音:「…前から思ってたけど、明君ってダークヒーロー系が不思議と似合うよね」
菖:「…うん、俺も時々そう思ってた」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
CP:『わかっていながら君は手を汚す道を選ぶのか』
明:「選ぶんじゃねぇ。もう選んだんだよ」