花を護る騎士 ブレイドナイト   作:葵祈つばめ

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つばめ:「いや〜、平日の午前中だったから子連れがいなくて助かりましたぞ〜」

明:「結局何人いたんだ?」

つばめ:「私入れて3人!」

明:「なんてこった……」

ゆり:「それよりも次回のオールスターズ映画の情報はどうだったかしら?」

つばめ:「ドリスタの時と同じタッチで出てくるのも三作組だけみたい」

明:「魔法つかい組、アラモード組、ハグッと組だけか」

ゆり:「まぁ予想通りね」

明:「アラモードの映画はどうだった?」

つばめ:「甘かった」


〜付添〜

とある日の放課後、俺はゆりと一緒に馴染みのスーパーに来ていた。

 

まぁ、来ていたと言っても俺は今回は特に買うものがないんだけどな。

 

「ゆり、何で俺を此所へ連れてきたのかそろそろ説明してもらえるか?」

 

たぶん、荷物持ち要因だと思うけどな。

 

「さっきお母さんからメールでお買い物を頼まれたんだけど、ちょっと数が多くてね?」

 

「ふむふむ」

 

「しかも中には重い物もあるから明に手伝ってほしいのよ」

 

「成程」

 

やっぱりか。

 

俺も何度か経験があるから一人買物のしんどさはよくわかる。

 

特に大量に買うもんがある時はな?

 

生活する上で必要な物ってのはわかっちゃあいるが、いつもの買物に比べて二割三割増しでしんどいもんなんだよな。

 

「此所まで連れてきておいてだけど、手伝ってくれるかしら?」

 

「阿呆、今更なに畏まってんだ。んな事しなくても買物ぐらい手伝ってやるっつーの」

 

「それもそうね。ふふふ、ごめんなさい明」

 

「まったくだ。…で?何を買うんだ?」

 

「ちょっと待って確かメモが……先ずは一番近いお野菜から見に行きましょう」

 

「オーライ、それじゃあ行くか」

 

「えぇ」

 

 

………

……

 

 

で、買物が始まったんだがゆりは何故か事あるごとに俺に買うものを選ばせてきやがった。

 

最初に向かった野菜売り場の時は……

 

「明、大根はどれが良いかしら?」

 

「真っ直ぐ伸びて丸みのあるもの」

 

「胡瓜は?」

 

「太さが均一で触るとより痛いもの」

 

「キャベツは?」

 

「葉の緑が濃く、みずみずしくて芯が変色してないもの」

 

 

んで、魚売り場の時は……

 

「明、どっちのお刺身が良いかしら?」

 

「筋が平行で柵の形が長方形で鮮やか赤色、そしてパックにドリップが出てないもの」

 

「お魚は?」

 

「目が膨らんでる奴。若しくは赤目よりも白くて透明なもの。後、香りが良いもの」

 

 

更に肉売り場の時なんかは……

 

「牛肉は?」

 

「柔らかいのが食いたきゃ、霜の白いのが繋がってるもの。硬いのが食いたきゃ繋がってないものにしろ」

 

「豚肉」

 

「淡く、やや灰色がかったピンク色」

 

「鶏肉」

 

「肉の色がピンク系で艶のあるもの。後、皮が黄色いもの」

 

「ひき肉」

 

「牛、豚、鶏、共通で色が全体的に均一なもの」

 

 

とまぁ、こんな感じでな?

 

てか、肉に関してはもうどれが良いとか関係なしの状態だったもんな。

 

「はぁー……」

 

「明?ため息なんかついて……あ、心配しなくてもお菓子一つぐらいならお菓子を買ってあげるわよ?」

 

「お、ならちょっくら選んでくる…って、なんでそうなるんだよ」

 

「違うのかしら?」

 

なんてこった、ゆりの奴が久し振りにデカイのをぶちこんできやがった……

 

「当たり前だ。えりかやももかと一緒にすんなっつーの」

 

「ふふふ、冗談よ」

 

「…泣けるぜ」

 

俺とは違ってゆりは真顔でさらっと言いやがるからおっかねぇぜ。

 

「それで?明はどうしてため息なんかついたのかしら?」

 

「どうしたもなにも、何で毎回毎回俺に聞いてくんだよ。目利きならゆりだって出来るだろうが」

 

「ふふ、明ならお得意の“直感”で私よりも良いものを選ぶと思ったから任せたのよ」

 

「…なんとなく含みを感じる言い方だな」

 

「そうかしら?」

 

「あぁ、特に直感の部分をな」

 

もしかしなくてもゆりの奴、俺の直感を馬鹿にしてやがるな。

 

「ふふふ、私は素敵だと思うわよ?明のその“直感”」

 

ほらなやっぱり。

 

「何せ私も欲しいって時々思うぐらいよ」

 

「冗談だろ?」

 

「えぇ」

 

「こんにゃろう……」

 

「ふふふ、さぁ買物を続けましょう。明、卵はどっちが良いのかしら?」

 

「知るかっつーの!」

 

 

………

……

 

 

結局、その後も俺はゆりに振り回された。

 

しかも帰り道でもゆりは買物での一件が余程楽しかったのかまだ笑っていた。

 

しかもあまりに笑うもんだから買ったもんは俺が持つ羽目になっちまった。

 

「ふふふ♪」

 

「ったく、いつまで笑ってんだよ」

 

「だって本当に楽しかったんですもの」

 

「買物がか?」

 

「それもだけど、なにより明がね?」

 

「俺が?」

 

「えぇ、普段は私達を振り回す明が私に振り回される姿がとてもね?」

 

「なんてこった……」

 

ほんと、今日のゆりはデカイのをぶちこんできやがるぜ……

 

「ふふふ♪」

 

だが、いつまでもそうしてられると思うなよ?

 

「それに明だってなんだかんだ振り回されても楽しかったでしょう?」

 

そっちがその気なら此方にだって考えがあんだからな。

 

「あぁ、そうだな。ゆりの言う通り楽しかったぜ。何せゆりの笑顔を見れたんだからな」

 

「っ!?」

 

「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合。この言葉にピッタリのゆりがあんなに無邪気に笑うんだからな。いやはや、思わず心がときめいちまったぜ」

 

「そ、そう……」

 

「あぁ、ゆりのあんなに笑顔を見られるんだったら振り回されるのも悪くねぇな」

 

「………」

 

「買物ついでにゆりは振り回される俺の姿を見れて俺は無邪気に笑うゆりの姿が見れる。まさに一石二鳥だ」

 

「………」

 

「だからゆり、今日は誘ってくれてサンキューな。そしてこれからも一緒に買物に行こうぜ?」

 

「…考えておくわ」

 

ケッケッケッケ、反撃成功だ。

 

「…随分と悪い顔してるわね」

 

「生まれつきだ」

 

「そう……、お母さんが待ってるから早く帰りましょう」

 

「へーいへい」

 

ケッケッケッケ、照れちまって可愛い奴だぜ。

 

「後、家につくまで黙っててもらえるかしら?」

 

「へーい」

 

おーおー、今日も夕焼けが綺麗だぜ。

 

 

【終わり】




オマケ

〜目利き(別パターン)〜

【野菜売り場】

ゆり:「明、大根はどれが良いかしら?」

明:「ゆりの足より太いもの」

ゆり:「…胡瓜は?」

明:「ゆりの肌とは違って触るとチクチクするもの」

ゆり:「……キャベツは?」

明:「ゆりの握り拳より重いもの」

ドゴォ!!

ゆり:「これより重いものなんてあるのかしら?」


【魚売り場の場合】

ゆり:「どっちのお刺身が良いかしら?」

明:「たまに赤面したゆりと同じ色のもの」

ゆり:「……お魚は?」

明:「ゆりのそのまるで白魚のような肌と同じ色のもの」

パァン!!

ゆり:「失礼、虫がいたから」


【肉売り場の場合】

ゴンッ!!

明:「なんてこった、何も言ってねぇのにか……」

ゆり:「あら失礼」

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