りん、あかね:『作文!?』
ゆり:「因みに今回はハートキャッチアフターやスマイルアフター1でも少し触れた明の両親の話よ」
明:「いや〜照れちゃうぜ」
ゆり:「おバカ」
とある日の夜、俺は自宅でつぼみ達四人に何度目かにの夕飯をご馳走していた。
みんなでわいわいがやがやと賑わってる最中にえりかがポロっとこんな事を俺に聞いてきた。
「明さんの両親って今何処で何してるの?」
「ん?…あぁ、そういえば言ってなかったっけ」
「うん」
んー、両親の話って事になると……
「明、心配しないで。私は大丈夫だから」
「わかった。なら話すとするか。……むかーしむかし、あれはまだ俺がブレイドナイトになる前の平凡な中学二年生の時じゃった……」
『あ、普通に説明してください』
「…へーい」
なんてこった、まさか三人同時に言われるとは……
「ふふふ、普通に…ね?」
おー恐っ。
「わーったよ。…ゆりの両親と俺の両親は実は大学時代からの友人なんだ」
『そうなん(だ)ですか』
「あぁ。んで、互いに家庭を持ってからも交流は続き、俺とゆりが中学二年生になったある日、植物園で働いてたゆりのお父さん…英明さんが心の大樹云々について調べる為に海外へと旅立った」
「明さんのお父さんは?」
「地元の大学で教鞭を振るってた。んで、とある日英明さんがフランスに行ったきり行方がわからなくなった」
「どうしてその事がわかったんですか?」
「どうやら英明さんは毎回旅先から親父へと手紙を送ってたらしくてな?それが急に送られなくなったから、英明さんが行方不明になったってわかったんだと」
けどまぁ、仕方ねぇよな。
何せその時にサラマンダーと出会って英明さんがサバーク博士になっちまったんだからよ。
あ、因みにこれは前にサラマンダー本人から聞いた話だ。
「そして親父とお袋は大学時代からの友人が急に行方不明になったもんだから、心配になって直ぐに英明さんを探しに行く旅の準備をしたんだ」
「友達思いなんですね」
「でも明さんの事はほったらかしにしたけどね〜」
『えりか!』
「…ごめんちゃい」
はっはっは、ドンマイえりか。
「けど事実だからな。それに今のうちに一人暮らしを経験させる良い機会だとか言ってたし、俺もその頃からある程度の事は既に出来るようになってたからな」
「…豪胆なご両親ですね」
「…そして明さんは流石としか言い様がないですね」
「止せやい、照れるじゃねぇか。…こほん、まぁでも一応、何か困った時はゆりのお袋さんに頼めって事になってたから問題なかったな」
「と言っても、明が頼ってきたのは学校関連の手紙の時ぐらいしかなかったわよね?」
「さぁな。そんなのもう忘れちまったぜ」
「明……」
ゆりがなんか変な目で俺を見るが、知らん知らん。
無視だ無視無視。
「お金とかはどうしてたんですか?」
「恥ずかしながら両親の蓄えからちょこちょこ使わせてもらってた。親父やお袋も旅先でちょこちょこどうにかしてたらしい」
「いったいどうしてたんでしょうね?」
「一度だけ気になって電話したんだが、ふざけた事を言い出したから直ぐ切った」
「…なんて言われたんですか?」
「“そうか、そんなに気になるか……。だったら教えてやるぜ!俺達夫婦の聞くも涙、語るも涙の父の武勇伝を!”」
『まるで明さんみたい……』
「親子だからな」
そう考えると俺の軽さは親父からの遺伝だな。
「まぁでも毎月一定額は振り込んでくれてたし、不定期だが電話もしてたからな」
それに昔から親父もお袋も俺以上に万能だったから心配はまったくしてなかったな。
「明さんはゆりさん家で暮らそうとは思わなかったの?」
「バーロ。いくら幼馴染みだからってそりゃ流石に不味いっつーの」
それに昔からよく言うだろ。
“男女七歳にして席を同じうせず”ってな?
「……私は別に構わなかったのに」 (ぼそっ
『…ゆりさん?』
「な、なんでもないわ。明、話の続きを……!」
「おう?…そして俺は一人暮らしをしながら勉学に励みながら家事をこなし、なんやかんや色々あってブレイドナイトになったんだ」
「…途中で一気に飛ばしましたね」
「話の尺の都合上仕方ねぇ事だ。…そしてその後も色々あって高校二年生生になってつぼみ達と出会って、またまたなんやかんや色々あって惑星城での一件になったんだ」
「ダークプリキュアがゆりさんの遺伝子から作られた存在……」
「そしてサバーク博士の正体がゆりさんのお父さん……」
「それらを知ってかなり苛ついてた時に英明さんがある行動で俺の堪忍袋の緒がついに切れちまったぜ」
『ある行動?』
「デューンの攻撃によるダメージで変身が解けて動けなくなった私達三人をデューンの追撃から身を挺して守ってくれたの」
「守ってくれた事には感謝だが、英明さんはそれまでの罪の意識からかそのまま爆発に巻き込まれようとしたんだよ」
『そんな……』
「だから爆発する直前にプッツンした俺が走りながら変身して英明さんの首根っこを引っ張って遅れて走ってきたゆりにパスして助けたんだ」
『おぉ〜!…あ、でも爆発は?』
「ブレイドストライクで防いだ」
『おぉ〜!』
「つってもダメージはあったからまた変身が解けちまったけどな」
「でも怪我しなかったんだから良かったんじゃない?」
「かもな」
あん時はデューンも驚いてたし、やっぱ最後に笑うのは頑丈な身体の持ち主なのかもな。
「んで、その後に英明さんを怒鳴りながら殴った」
『殴ったんだ……』
「老若男女無差別拳じゃなくて本気の方でな」
いや〜あん時が人生で一番キレた瞬間だったな〜。
「えっと、ゆりさん的には明さんの殴りは……」
「ありがたかったわよ?だって私も会えたら一発殴りたいって常々思っていたから」
『そうなんだ……』
「お父さんも明に殴られたのが結構効いたらしくて感謝していたわ」
「そりゃ良かったぜ」
「……ただ、余計な事を言ったりするけどね」 (ぼそっ
『…ゆりさん?』
「な、なんでもないわ。明、話の続きを……!」
なーんかさっきもこんなやり取りがあった気が。
「あ・き?つ・づ・け・て?」
まぁ良いか。
「んで、その後はみんなでデューンとドンパチして勝ってめでたしめでたしってな?」
「え、えっと、明さんの両親には連絡したんですか?」
「おう。惑星城からこっち(希望が花)に戻ってから直ぐにな」
「それで、両親は何て?」
「“そうか、あの馬鹿が見つかったか。…じゃあ折角だから俺達このまま旅を続けるから後宜しく”だと」
『あははは……』
「そして一週間ぐらい前に親父から手紙が来た」
「何て書いてあったのかしら?」
「長いぞ?……“いい加減旅をするのも疲れてきたし、途中で知り合った友人達の手伝いをする為に俺達はアメリカで暮らす事にしたからそっちは任せた。泣くなよ明、男にはいずれ別れなきゃならない時がやってくるもんだからな。あ、金は変わらず送るからそれで生活してくれ。後、何か困った時は英明に頼んじまえ。PS、こんな駄目な俺達の我儘に付き合わせてしまって本当にすまん”……だとさ。まったく、本題とPSが逆だっつーの」
『あははは……』
「でも、明は寂しくない?だってもう三年も会ってないのよ?」
「一年経った時点で既に寂しく無くなった」
「そう…、でももし何か困ったらお父さんだけじゃなく私にも頼って?明には今まで助けられてばかりだったから今度は私が明を助けるわ」
「わたしもです!」
「あたしも!」
「ボクもです!」
「…サンキューな」
なんてこった、一瞬だが柄にもなくうるってきちまった。
それにしてもゆりは兎も角、つぼみ達がこんなに立派になるとはな。
兄貴分としてこんなに嬉しい事はないぜ。
「よーし、それじゃあデザートは大サービスとして俺が作ったチーズケーキをご馳走してやるよ」
『やったぁ〜!』
「因みに小さい頃、初めてチーズケーキを食べたゆりはそのあまりの美味しさにそからほぼ毎日のように俺にチーズケーキを作ってと迫ってきたんだぜ?」
「ちょっと!?それは言わない約束だった筈でしょ!」
「悪い、つい口が滑っちまった♪」
『ゆりさん可愛いです!!』
「だ、黙りなさい!」
「バーロ、ゆりが可愛いのは当たり前の事だろ」
「っ!あ〜き〜!!」
「ケッケッケ♪」
【終わり】
オマケ
〜明の怒り〜
英明:「ゆり、母さんを頼んだぞ……」
明:「ちぃ!」 (ダッ!
ゆり:「明!?」
明→ナイト:「オォォォォッ!!」
英明:「なっ!?」 (グイッ!
ゆり:「お父さん!明!」
ナイト:「ブレイドストライク!!」
◆ ◆ ◆ ◆
ナイト→明:「…はぁ…はぁ…はぁ……」
ゆり:「明……」
英明:「明君…“ドゴッ!”うっ!?」
明:「生きることから逃げんじゃねぇよ!償うならテメェの一生を懸けて償いやがれ!」
英明:「明君……」
明:「お願いです…もうこれ以上、ゆりを悲しませないでください……」
ゆり:「明……」