明:「それとつくねも本来の月音に変えたぜ」
とある日の休日、思いの外天気が良かったんで俺はゆりとコロンを誘い散歩がてら心の大樹の元を訪れていた。
「――?――!」
「――♪――!」
心の大樹はその見た目に反して意外と話し好きな大樹でな?
ついさっきまで俺やゆりと一緒に懐かしい思いで話に花を咲かせていんだが、久し振りに話し過ぎて疲れちまったらしく今はぐっすりとお休み中だ。
「Zzz…Zzz……」
あ、今のはコロンな?
こいつは心の大樹とは違い、心地好い陽気にやられて来るなり早々に寝落ちまいやがった。
「―!――〜〜!―」
「―♪―――♪」
心の大樹とコロンが寝ちまったが、俺とゆりの思い出話はまだまだ止まらず、心の大樹の根本に腰を下ろし心地好い風に当たりながら大きな木が出てくる某童謡の如く仲良く遊んで(お喋りして)いた。
「…明」
「ん?」
「ありがとう」
「おいおい、いきなりどうした?」
「話してて思ったの。明には今まで助けられてばかりだなって……」
そう言ってゆりは空を見上げながらぽつぽつと語りだした。
「お母さんの事、お父さんの事、コロンの事……そしてそれ以外にも沢山の事で私は明に助けられたわ」
「………」
「明は捻くれてるから私が大袈裟に言ってるだけって思っているだろうけど、私は本当に明に助けられたって思っているわ」
「ケッケッケ、捻くれてるは余計だっつーの」
「ふふふ、ごめんなさい♪」
やれやれ、普通に言えば良いモンをわざわざ余計な一言をつけるとかいったい誰に似たんだか。
………
あ、俺か。
なら仕方ねぇな。
「ね、ねぇ、明?」
「ん?」
「わ、私に何かしてほしい事ってあるかしら?」
なんてこった……
や、膝を抱えて真っ赤な顔を隠しながら俺を見るゆりは中々眼福なんだけどな?
「とりあえず、いったい何をどうしたらそんな事になるのか説明してもらっても良いか?」
「あ…明には助けられてばかりだから、そ、その、お礼をしたくて……!」
「………」
「な、何か言いなさいよ!?」
「可愛い」
「っ〜〜!?い、いから早く何かお願いしなさい!」
「へーい」
んじゃま、なーにをしてもらっかなー……
「………」
「………」
「………」
「………」
「ケッケッケ♪」
「っ、悪い顔……」
「おーおー、言ってくれるねぇ。けど、拒否権はねぇからな?」
「わ、わかっているわ。や、やるなら早くやりなさい……」
「へいへい。んじゃま、顔をあげて目を瞑れ」
「っ!?わ、わかったわ……」
一瞬驚きつつも言われた通り目を瞑るゆりの健気なさを微笑ましく思いつつ、俺はゆっくりと顔をゆりに近づけた。
「………」
「っ〜〜!」
目を瞑っていても気配で何かを察したゆりは声にならない悲鳴をあげるが、
「静かにしろ」
と、いつもより冷たい声音で黙らせた。
「………」
「そう。それで良い」
そしてゆりが静かになったのを確認し、俺はゆりの両頬に手を当て――
“ふに!”
「ふぁ!?」
ゆりの両頬を引っ張ってやった。
「ふぁ、ふぁふぃ!?」
目を開け驚きながら俺を見るゆり。
この様子だと完璧に勘違いしてやがったな。
「ケッケッケ、見事に乗せられちまったな?だいたい、そんな罪滅ぼし的な形で俺がそんな事をするわけねぇだろ」 (ふに〜!
「ふぁ、ふぁふぃ〜……!!」
ケッケッケ、ゆりさんってばさっきよりも顔が真っ赤っかだぜ。
「いや〜それにしてもゆりさんってば意外とえっちなんだな」 (ふに〜!
「ふぅふぅふぁふぃふぁふぁ!ふぇっふぃ!ふぅふぇふぇ!」
「どーどー、そんなに興奮しなさんな。たとえゆりがえっちでもそれはそれで心を揺さぶられるものがあって俺は好きだからよ」 (ふに〜!
「ふぅふがぁ〜〜!!??」
ケッケッケ、ゆりってば本当に可愛い奴だぜ。
【終わり】
オマケ1
〜その後・ゆりの場合〜
ゆり:「っ〜〜〜〜!!」 (ぎゅ〜〜……!!
コロン:「どうやら今回は明に一本取られたみたいだね。それと、そんなに強く枕に顔を当てて息苦しくないかい?」
ゆり:「っ〜〜〜〜!!」 (ぎゅ〜〜……!!
オマケ2
〜出歯亀〜
影ナイト:「ハーハッハッハッ!最高だ!最高だぜ表俺とゆり!」
影ムーンライト:「フ、フフフ、駄目、お、お腹が痛い……!」
ダーク:「ふむ、中々の甘さだな」