明:「牙狼の真似してタイトルを二文字縛りにするからだ」
とある日の放課後、俺はファッション部には行かずに博士と瑠璃を連れてばんちょー君が所属している中等部の漫研を訪れていた。
「おーっす、ばんちょー君いるか?」
「あっ!明さん!」
「言われた通り二人を連れてきたぞ」
「今日はよろしくね!ばんばん君!」
「事情は明君に聞いたよ。俺で良ければ全力で協力するよ」
「ありがとうございます瑠璃さん!菖さん!」
「んじゃま、全員揃った事だし早速行くとすっか」
「うん!」
「あぁ!」
「はい!」
………
……
…
さて、場所が変わって今度は中等部の屋上にやって来た俺達。
ここでいったい何をしているかと言うと――
「で、ナイトのこの台詞の後にプリキュアが突撃しようとするのを騎士が止めてそのままコントみたいやり取りを始める流れになります」
「ふむふむ、成程ね〜」
「…なんだかセイバーに親近感を感じてきた」
とまぁ、こんな感じでつぼみやえりかと同様、ばんちょー君の漫画の手伝いをしてるって訳だ。
実は昨日の放課後、珍しく一人で帰ってると公園のベンチに座って空を見上げつるばんちょー君を見つけてな?
気になって声を掛けたら何やら浮かない顔をしてたんで話を聞いてみると、今描いてる新作の漫画が詰まったんでどうしたもんかと悩んでたんだと。
「それでその後は――」
「ふむふむ……」
「成程ね……」
今回の漫画は主人公のブレイドナイトが別世界に逃げた悪の親玉を追い、その世界の騎士やプリキュアと共に悪の親玉を倒すシリアス展開とナイトと騎士とプリキュアの三人が繰り広げるコミカル展開が見所(或いは読み所)らしいんだが、生憎ばんちょー君はその手のコミカルに関わった事がないらしくてな?
それが原因で騎士とプリキュアの動かし方が分からなくてしょんぼりしてたんだと。
けど、ばんちょー君が話してくれた騎士とプリキュアの性格がうまい具合に博士と瑠璃にハマっている事に気づいた俺が二人を各々のモデルにして実際にやってみたらどうだと提案したらばんちょー君は喜色満面、すっかり元気になりやがった。
んで、その後は方向性が見えてテンションが上がったばんちょー君を宥め、明日の放課後…つまり今日の放課後に二人をばんちょー君の元に連れてくる約束をしてその日は解散した。
「――――?」
「――――?」
「――――!」
そして今日の昼休み中に二人に事情を説明し、見事に協力を得て放課後にばんちょー君の元を訪れたって訳だ。
「明さん!」
「…お?説明は終わったか?」
「はい!…ですが、」
「ん?何か問題があんのか?」
「実は明さんにナイトのモデルをやってほしいんですが……」
「良いぜ、やってやるよ」
「本当ですか!?」
「あぁ」
ぶっちゃけ、俺がナイトだからな。
そんなのは朝飯前だぜ(笑)
「んで?俺はどうすれば良いんだ?」
「えっと、ナイトは――――」
おーおー、ばんちょー君ったら眩しいぐらい顔を輝かせて説明してくれるぜ。
「――って、流れです」
「オーケー。んじゃま、いっちょ飛ばしていくか」
「よ〜し!それじゃあ私も飛ばしていっちゃうよ〜!」
「や、番君のシナリオ通りにやろうよ!?」
「これです!俺が求めていたのはこの感じだ!」
【終わり】
オマケ
〜名付け〜
明:「因みにばんちょー君や?騎士とプリキュアの名前は決まってんのか?」
番:「……あ」
明:「なんてこった、忘れてたんだな」
番:「……明さん、何かありますか?」
明:「そうだな……、騎士はナイトと同様大樹の騎士だから“ユグドセイバー”なんてのはどうだ?」
番:「お〜!」
明:「んで、プリキュアは……“キュアドラゴン”?」
番:「キュアドラゴンですか?」
明:「そ。このプリキュアは聖母龍(マザードラゴン)に育てられたって設定だろ?だからキュアドラゴンだ」
番:「成程。明さんって考えるのが上手ですね」
明:「友人に小説家の卵がいるからな」