花を護る騎士 ブレイドナイト   作:葵祈つばめ

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つばめ:「今日出勤すれば明日は休み……」

明:「おー、GWフル出勤お疲れさん。で?今回はどんな話なんだ?」

ゆり:「どうして明が万能なのか、その理由がわかる話よ」

コロン:「へぇ、それは興味深いね」


〜探索〜

とある日の休日、昼過ぎになっても家でのんびりしていたら幼馴染み特権(合鍵)を使って突撃してきたゆり達の手によって俺は身柄を拘束された。

…まぁ、拘束っても監視役のつぼみやいつきと一緒にソファに座ってるだけなんだけどな。

 

「えりか隊長、明の身柄を拘束したわ」

 

「よくやったゆり隊員。それじゃあ手筈通り、散開して調査開始っしゅ!」

 

『了解』

 

少しぐらいは突撃してきた訳を話してもらえると思ったんだが、主犯の三人がすたこらさっささとリビングから出て行きやがったんで俺は罪悪感からか身体を縮こませていたつぼみといつきに聞く事にした。

 

「で?わざわざ不意討ちをしてまでやって来た理由は?」

 

「えっと、昨日の夜えりかとこの間の劇の事を話していたんですけど、明さんは劇中でバイオリンを弾きましたよね?」

 

「あぁ、弾いたな」

 

しかも(ヒロイン)と一緒にな。……あ、

 

「成程、だいたいわかった。突撃してきた理由は俺がバイオリンを弾けた理由を知る為か」

 

「それもありますけど、何故明さんはそんなにも色々な事が出来るのかが気になったんです……」

 

「あー……」

 

確かに自分でも中々の万能手だなって思う時があるからな。

つぼみ達が知りたいと思うのも無理ねぇな。

 

「それでいつきやゆりやももかを連れて調べに来たと?」

 

「はい……」

 

「…とりあえず理由はわかったが、なんで不意討ちを掛ける様に突撃したり俺を拘束したりしたんだ?」

 

まぁ、あの三人の事だからその方が面白そうとでも思ったんだろうな。

 

「えっと…、突撃したり明さんを拘束したりした方が面白そうってえりか達が……」

 

「成程、やっぱりな」

 

時々だが俺も似た様な事を考えたりするからえりか達の気持ちはわからなくもねぇな。

 

 

―もも姉副隊長!冷蔵庫の中にフルーツタルトが沢山あるっしゅ!―

 

―えりか隊長!それは明君の今日のおやつに違いないわ!折角だから1〜2個もらいましょう!―

 

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「飽き始めたのか腹が減ったのか、どっちが正解なんだろうな?」

 

『ご、ごめんなさい……』

 

「気にすんな。もう慣れっこだからよ」

 

んじゃま、

 

「明さん?」

 

「ついてこい。俺の秘密を教えてやるよ」

 

 

………

……

 

 

「老若男女無差別拳」

 

 

ゴゴンッ!!

 

 

『ぎゃん!?』

 

「安心しろ。一応加減はした」

 

「う〜…暴力はんた〜い!」

 

「そーだそーだ!」

 

「勝手につまみ食いしようとしてた奴等に言われたかねぇな」

 

『うっ……』

 

「今から俺の秘密を教えてやるからよ。食うのはその後にしろ」

 

『はーい!』

 

「ハッ、チョロいな」 (ぼそっ

 

 

………

……

 

 

「で?ゆりは俺の部屋で何をしてたんだ?」

 

「べ、別に何もしてないわよ……」 (ぷいっ

 

「へー、俺の秘密を探しに来たのに何もしてねぇとは随分と矛盾してるな」

 

「うっ……」

 

「…ゆり」 (じぃー

 

「…あによ」

 

「………」 (じぃー

 

「………」

 

「いや、なんでもねぇ。これからみんなに俺の秘密を教える所だからよ。ゆりもついてこい」

 

「え、えぇ……」

 

 

………

……

 

 

一階のキッチンでえりかとももかを捕え、二階の俺の部屋でゆりを捕まえた後、俺はみんなを地下の書庫へ案内した。

 

「ほれ、これが俺の秘密だ」

 

「す、凄いです……」

 

「見渡す限り本ばっか……」

 

「これ全部明さんの両親が?」

 

「あぁ、大学時代から集めてたらしいぜ」

 

「料理、スポーツ、音楽、楽器、裁縫、医療、経済、DIY、歴史、骨董、刀剣、家庭菜園、珈琲、礼儀作法、冒険記録、サバイバル術、植物図鑑、昆虫図鑑、動物図鑑、伝記、武術、人生哲学、啓発本、それ以外にもまだまだ沢山あるわ……」

 

「…本当になんでもありね。因みに聞くけど、明君はこれらの本を……」

 

「ああ、全部読破済みだ」

 

『そうなん(だ、ですね)……」

 

「今でこそ落ち着いてるが昔は好奇心旺盛だったからな。色々な本を読めて心が躍ったぜ」

 

書庫のお蔭で殆んどたまにしか本屋には行かねぇぐれぇだからな。

 

「つまり明君の頭の中にはあらゆる知識が詰まってるって事なのね……」

 

「…どおりで明が色々な事が出来る訳だわ」

 

「ケッケッケ、そう言われると照れるじゃねぇか」

 

「…褒めてないわ。それよりもどうして今まで書庫の事を教えてくれなかったのよ」

 

「ん〜…これらの本って親父とお袋が今日(こんにち)までこつこつと貯めてきた謂わば“財産”みたいなもんだろ?たとえ親しい間柄であっても見せたくねぇって気持ちが無意識ながら俺の中にあったんだろうな」

 

「…今は無いの?」

 

「無いと言えば嘘になるが…ゆり達になら構わねぇよ」

 

まぁ、ゆり達以外…なぎさ達や博士達になら見せてるかもな。

 

「そう…、ごめんなさい。明の気持ちを考えもせずに私達は……」

 

『ごめんなさい……』

 

「気にすんな。それに今まで言わなかった俺の方こそ悪かったな」

 

「…ふふふ、両成敗かしら?」

 

「かもな。…んじゃま、仲直りの印にフルーツタルトでも食うとすっか」

 

『さんせ〜い!』

 

ハッ、チョロいな (2回目

 

「もう、えりかとももかさんってば〜」

 

「あはは!」

 

「ふふふ、別に私達は仲違いしたわけじゃないのに仲直りなんて可笑しい話ね」

 

「バーロ、野暮な事言うんじゃねぇよ」

 

「ふふふ、それもそうね」

 

「だろ?んじゃま、早く行こうぜ?」

 

「えぇ♪楽しみだわ♪明の手作りフルーツタルト♪」

 

「ねぇねぇ明さん!タルトはどんな味があるの〜?」

 

「ん?味はオレンジ、バナナ、メロン、ブドウ、イチゴ、パイン、マンゴー、リンゴ、キウイ、ピーチの10種類があるから好きなのを選んでくれ」

 

『はーい!』

 

「因みに聞くけど、なんでこの10種類なのかしら?」

 

「俺の好みだ。いいだろう?」

 

「まるで何処かの巨大企業所属の天才科学者みたいな台詞ね……」

 

「レモンのか?」

 

「えぇ。…そういえばフルーツのレパートリーにレモンが入っていないわね」

 

「バーロ、レモンは蜂蜜浸けにして昨日ゆりにあげただろうが」

 

「あら、そういえばそうだったわね」

 

「え〜!ゆりっぺずる〜い!」

 

「ふふふ♪ご馳走様♪とても美味しかったわ♪」

 

「おう、お粗末様でした」

 

 

【終わり】




オマケ1

〜その後〜

ももか:「ゆ〜り〜♪」

ゆり:「な、なによ……」

ももか:「一人で明君の部屋にいたって事は……うふふ♪」

ゆり:「…あによ」

ももか:「ゆりのえっち♪」

ゆり:「なっ!?も〜も〜か〜!」

ももか:「キャー♪ゆりっぺが怒った〜♪」 (ダッ!

ゆり:「待ちなさい!だいたい明の部屋にならももかだって入った事とあるでしょ!」 (ダッ!


オマケ2

〜隠された真実〜

コロン:「ところで明?さっき“昔は好奇心旺盛だったからな”って言ってたけど、本当にそれだけなのかな?」

明:「…ケッ、無駄に鋭いやつだな」

コロン:「ハハ、それはお互い様だよ?」

明:「…そーいやそーだったな」

コロン:「それで?本当の理由はなんだい?」

明:「……俺が色々な事が出来る様になればゆりをまた笑顔にさせられるって思ってたんだよ」

コロン:「成程、確かにあの頃のゆりは英明さんが行方不明になって悲しんでいたからね。…ハハハ、相変わらず明は優しい男だね」

明:「……うっせ、この事はゆりには絶対言うなよ?」

コロン:「あぁ、約束するよ」


オマケ3

〜壁に耳あり〜

“……うっせ、この事はゆりには絶対言うなよ?”

“あぁ、約束するよ”


ゆり:「…ばか、そんな事しなくても明が側にいてくれるだけで私は……」

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