ゆり:「私達の日常話も人気が出るようになりたいわね」
つばめ:「うぐぐ……」
とある平日の夜、自宅のリビングで寛ぎながら次はどんなケーキを作ろうか考えていたらゆりが携帯に電話をしてきた。
「こにゃにゃ“ブツン!”ちわ〜」
やれやれ、折角人が“♪〜〜♪♪〜♪〜”っと、
「もしもし、俺は明。今ゆりのお家“ブツン!”の前にいるぜ〜」
ハッハッハ、さっきといい今といい、中々絶妙なタイミングで切りやがるぜ。
“♪〜〜♪♪〜♪〜”
「へーい」
『…ようやくまともに出たわね』
「あぁ、これ以上遊んだらゆりが泣き出しそうな気がしたからな」
『…フフフ、良い度胸ね。明日会うのが楽しみだわ』
おーおー、携帯越しでもわかる凄まじい怒気。
こんな怒気を感じたら俺の硝子の心はドキドキってな。
『…今何かくだらない事を考えたわね』
「まぁな」
『…否定しないのね』
「事実だからな。…で?何か用か?」
『特にこれと言った理由は無いのだけど、何故だか明の声が聞きたくなったのよ』
「二回も即切りしたくせにか?」
『それは明がくだらない事を言ったからよ』
「そうかい。てか、何で俺の声を?」
『…今家にお父さんもお母さんもいないのよ』
「あー、そういえば学会云々で今日は泊まるって聞いたな。…確かコロンも今日は薫子さんの所に泊まるんだったよな?」
『えぇ、久し振りにコッペ様と語り合うらしいわ』
「てことは今夜はゆり一人か。…ひょっとして電話してきたのは一人で寂しいのが我慢出来なくなって、その気持ちを紛らわす為だったりすんのか?」
『………』
「ん?」
『………』
「ゆーりー?」
『…えぇ、そうよ。寂しいから電話したのよ……』
わ、声ちっさ。
『…でも、明はあの時から毎日一人なのよね……』
「あぁ」
『…私はお父さんとお母さんが仕事でいなくてもコロンが一緒にだから一人じゃないけど、明はいつも一人……』
おいおい、なんてこった。
『…ごめんなさい』
「何でゆりが謝んだよ」
『…だって、明が一人で生活してる原因を作ってしまったのは……』
「“私のせい”ってか?バーロ。一人で生活する事を決めたのは俺の意志だ。ゆりが罪悪感を感じる必要はねぇ」
『………』
「てゆーか、寂しいならうちに来い。そして一緒に飯を食え」
今のゆりは一人でいる寂しさから心が参っちまってやがる。だから誰かが一緒にいてやらねぇといけねぇ。
『…良いの?』
「あぁ、来い来い。和食、洋食、中華、アジアン、エスニック、イタリアン、フレンチ、他多数。ゆりが今食いたいもんを食わせてやるよ」
それに誰かが言っていた。
“病は飯から。食べると言う字は人が良くなると書く”ってな。
まぁ、それとは多少意味が違うが一緒に飯を食えばゆりも安心して心が落ち着くだろうからな。
「それに今ならデザートも付いてくるぜ?」
『…ふふふ、貴方って人は……』
「お、ようやく笑いやがったな」
携帯越しだから顔は見えねぇが、やっぱり笑顔が一番だ。
『えぇ、明のお蔭でね』
「そりゃあ良かったぜ」
…実を言うと、ちょっくら泣きそうなゆりもそれはそれで俺の嗜虐心的なのを掻き立てて心が躍りそうになるんだが、これは俺が鬼畜ドSなのか、ゆりが男心を刺激する隠れMなのかひじょーに気になる所だな。
「それで?ゆりのリクエストは?」
『それじゃあ今日はパスタ料理をお願いするわ』
ん、パスタ料理な。
「パスタだったら何でも良いか?」
『えぇ、そこは
「りょーかいだ」
確か生クリームがまだ残ってたから作るのはアレで決まりだな。
『それじゃあ今から支度して行くわ』
「おう、また後でな」
『えぇ、後で』
ブツン!…ツー、ツー……
「さてっと、先ずは冷蔵庫の中身の確認っと」
流石にパスタだけってのも格好がつかねぇからそれ以外にも1〜2品作らねぇとな。
「っと、アレに合うもん且つゆりが好きなのは何だったかなー……」
【終わり】
オマケ1
〜その後〜
明:「…やけに大荷物だな」
ゆり:「…お願い、今日だけ泊まらせて……」
明:「なんてこった……」
ゆり:「あき……」 (うるうる
明:「…わーったよ」
オマケ2
〜添い寝〜
ゆり:「…一人で寝るのは寂しいの。だから、一緒に寝て?」 (うるうる
明:「…ぐっ、なんつー破壊力……」