明:「それと今回の話を以て、ゆりは眼鏡キャラを卒業するからよろしくな」
とある日の朝、俺は久し振りに…って訳でもねぇが、一緒に登校しているゆりのある事が気になっていた。
「じぃー………」
「…後ろ向きに歩いてると転ぶわよ?」
「結構鍛えてますからモーマンタイ。仮に転んだとしてもそこからバク転して鮮やかに建て直してやるよ」
「明なら本当にやりそうだわ……」
ケッケッケ、伊達に荒行で心身を鍛え抜いてねぇぜ。
「まぁ、冗談はさておき、眼鏡を掛けてねぇゆりを見るのは小学生の時以来だからな。そりゃあ気にもなるぜ」
「そうかしら?ムーンライトの時は勿論、体育の時だって掛けてない時があるわよ?」
「バーロ、ムーンライトの時は変身して見た目が変わってるし、体育の時は男女別だから見れたとしても遠くからだっつーの」
「ふふふ、そうだったわね」
「だろ?…で?なんで眼鏡を掛けてねぇんだ?」
ぶっちゃけ、変身する際の眼鏡の行方も気になるがそれについては高確率で当たる俺の直感が警鐘を鳴らしてるからノータッチだ。
「そうね…、言っても良いけど笑わないかしら?」
「おう、笑ったら帰りになんか奢ってやるよ」
「わかったわ。…実は今日の朝、寝ぼけて眼鏡を叩き割ってしまったの
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「…何か言いなさい」
「眼鏡に合掌。南無南無南無三……」
まさか俺の幼馴染みがいつの間にかドジッ子属性になっているとはな。
だが、ドジなゆりってのも、それはそれでアリかもな。
あ、でも、ももかが既にドジッ子枠にいるから被っちまうな。
「今、明が何か変な事を考えた気がするわ……」
「なんてこった、明さんは何も考えてねぇぜ?」
おーおー、さっすがゆりさん。
俺に負けず劣らずな優れた直感を持ってらっしゃる。
「そう……」
なんてこった、ゆりさんってばまだ疑ってらっしゃるぜ。
しゃーねぇ、ここは話題を変えるとすっかな。
「話は変わるけどよ、いつまでゆりはその“伊達眼鏡”を掛け続ける気なんだ?」
「本当に話が変わったわね。しかもその事を聞いててくるなんて……」
「悪いな。失礼な事だってのは分かってるけどよ、気になっちまうんだよ」
ゆりが伊達眼鏡を掛け始めたのは中学に上がった頃。
それまで眼鏡を掛ける様な素振りを全く感じなかったゆりが急に眼鏡…しかも伊達眼鏡を掛けた日には流石の俺も驚いたぜ。
因みにこの事はコロンとももかも知ってたりする。
「ふふふ、気にしないで。いつかは明に聞かれると思っていたから」
「そうなのか?」
「えぇ、小さい頃から一緒にいた私が急に伊達眼鏡を掛け始めたら気になるのも当然だわ。でも、明が理由を聞いてこなかったから言う機会を逃していたの」
なんてこった……
「下手に聞いたらゆりを傷つけるかと思ったから聞かなかったんだが、どうやら俺の思い過ごしだったみてぇだな」
「ふふふ、明が空回りしたなんて初めてじゃないかしら?」
「あぁ、ゆりが初めて俺を空回りした記念すべき人物って事だ」
「あら、それなら何か記念品を貰えるのかしら?」
おーおー、記念品ときたかー。
「そうだな……、何か食いたいもんがあれば今晩作ってやるから、それで良いか?」
ぶっちゃけそれが一番手間が掛からなくて楽だからな。
「えぇ♪構わないわ♪」
「んじゃま、昼休みか放課後までに食いたいもんを考えておいてくれ」
「ふふふ♪何を作ってもらおうかしら♪」
………
「ゆり」
「?」
「やっぱり伊達眼鏡掛けてない方が昔のゆりみたいで可愛…いや、綺麗だぜ?」
「あ、ありがとう……」
「それに、俺は伊達眼鏡を掛けてないゆりの方が好きだ」
「っ!?…い、いきなりそんな事言わないでよ……!?」
「ケッケッケ♪」
「……明日から伊達眼鏡はもう止めるわ」 (ぼそっ
「ん?何か言ったか?」
「な、なんでもないわよ、このバカ明!」
【終わり】
オマケ
〜そもそも……〜
コロン:「確か、ゆりが伊達眼鏡を掛けた理由は“目立たない様にする為”だったかな?」
ゆり:「え、えぇ、中学生になる頃には明はもう格好良かったから……」
コロン:「一緒にいると周りから嫌でも注目されるもんね」
ゆり:「………」 (こくり
コロン:「でも、それなら一緒にいなければ解決してたんじゃないかな?」
ゆり:「…そんな事出来るわけないでしょ」 (ぷい
コロン:「ははは!そうだったね」