明:「おー、ガンバレガンバレ」
とある日の昼休み、俺はゆりやももか、つぼみ達と一緒に中庭で弁当を食っていんだが……
「じぃー……」
何故かえりかが俺の弁当をじぃーっと見ていた。
てか、本当に“じぃー”って言いながら見る奴っているのな。
てっきり漫画や小説やアニメの中だけの事かと思ってたから若干感動したぜ。
「?どうしたんですかえりか?」
「さっきから明さんの弁当を見てるね」
「ふふふ、えりかもももかと一緒で明の弁当を狙っているのかしら?」
「明君の作る料理は美味しいもんね〜♪」
「そりゃどーも」
元々料理については小さい頃からお袋から手解き受けていたし、地下の書庫にはご丁寧に日本語翻訳された世界各国のあらゆる料理のレシピ本があったからな。暇な時はよく読んでたもんだぜ。
んで、独り暮らしになってからは必然的に毎日自分で作らなきゃいかんし、その頃からゆりやももかが俺ん家で飯を食い始めるようになったから嫌でも腕が上がるってもんだ。
「それに明は様々な料理を作る事が出来るわ」
「そーそー!和食、洋食、中華、イタリアン、フレンチ、アジアン、エスニック!まさになんでもござれのスーパーコック!」
『あははは……』
果たして料理免許を何一つ持ってない奴がコックと名乗って良いのだろうか疑問に思うが…まぁ、面倒だからこの話はこれで終わるとしますかな。
「話が脱線してきたから本筋に戻すぞ?えりかはなんで俺の弁当を見てたんだ?」
「や〜今日の明さんお弁当がすんごい豪華だな〜って」
『あー……』
「ふふふ」
「成程、そうゆう事な」
確かに今日の俺の弁当は和、洋、中のおかずが盛り沢山のてんこ盛り弁当だからな。えりかが驚くのも無理ねぇ。
「こんな事を言っては失礼ですけど…明さんは全部食べきるんですよね……?」
「あぁ、そうしねぇと腹一杯になんねぇからな」
まぁ、場合によってはたいして食わなくても腹一杯になる時もあんだけどな。
「よく“武術家には健啖家が多い”って言いますけど、明さんはまさにそれですよね……」
「しかもどんなに食べても体型が変わらないなんてズル〜い!」
「フッ、鍛え方が違うんだよ、鍛え方が」
「そうよね。世界広しと言えど、ここまで荒行を好むおバカさんは明しかいないわ」
『ゆり(っぺ)さん……』
ケッケッケ、相変わらず中々手痛い事を言ってくれるねぇ。
「あら?私、間違った事を言ったかしら?」
「いんや、はなまるが付くぐらいの大正解だぜ?」
「ふふふ、それじゃあ何か貰えるのかしら?」
「ん?ご褒美?」
「えぇ、折角はなまるを貰えたんですもの。何かご褒美があっても良いんじゃないかしら?」
おーおー、そう来たか。
「それなら昨日作ったフォンダンショコラをご褒美としてゆりにやるよ」
『フォンダンショコラ……!?』
「ふふふ、明ったらまた随分と凝った品を作ったわね」
「まぁな。自分でもそう思うぜ」
それにしても元々甘いもんが好きだったとはいえ、俺も随分と立派なスイーツ男子になっちまったなぜ。
「むぅ〜…私も明君のフォンダンショコラ食べた〜い!」
「あたしも〜!」
「ぼくも……」
「わたしもです……」
「やっぱりな」
まったく、俺の勘はほんとによく当たりやがるぜ。
「ふふ、その顔は何かある顔ね」 (ヒョイ!…もぐもぐ
「あぁ、実を言うと最初っからフォンダンショコラは人数分作ってある」
『それじゃあ……!』
「おう、今夜俺ん家に来れば食べられるぜ?」
『やったー!』
「あらあら、四人とも良かったわね」 (ヒョイ!…もぐもぐ
『うん(はい)!』
「ふふふ♪」 (ヒョイ!…もぐもぐ
「………」
泣けるぜ。
“ヒョ“ガシッ!”
『!?』
「盗人確保」
「ふふふ、捕まっちゃった♪」
やれやれ、俺と同じ様に優れたその身体能力を悪用しないでもらいたいぜ。
「明君の腕が一瞬見えなくなったかと思ったらいつの間にかゆりっぺの腕を掴んでる……」
「凄い…全然見えなかった……」
「ゆりさんって時々あたしよりも子供っぽくなるよね〜」
「あははは……」
けど、それがゆりの可愛いさの一つなんだと俺は思ってるけどな。
…まぁ、そんな事言うのは俺の柄じゃねぇし小っ恥ずかしいから絶対に言わねぇけど。
「んで?盗人のゆりは何か言う事は?」
「エビチリが私好みの辛さでとても美味しかったわ。後、手を離してくれると嬉しいわ」
っと、そういえば掴んだままだったな。
「ほれ、これに懲りたらもう二度と悪さするんじゃねぇぞ?」
「ふふふ、確りと肝に銘じとくわ」
『なんだか昔話みたいなやりとり(っしゅ)……』
「なら良し。…んじゃま、ももか達も俺の弁当食うか?」
『良い(の、ですか)!?』
「あぁ、好きなのを食べてくれ」
「それじゃあ私もエビチリ〜!」
「あたしはハンバーグっしゅ!」
「わたしは玉子焼きを!」
「ボクはごぼうサラダを!」
「どーぞどーぞ」
ぶっちゃけ、昨日の昼にももかから“明日のお昼はえりか達と一緒に食べましょ!”って聞いた時点でこうなる事は分かってたからな。
若干多めに作っておいて正解だったぜ。
『お〜いし〜!』
おーおー、揃いも揃っていい笑顔してくれやがるぜ。
「ふふふ、明の弁当を食べたら午後はお昼寝しない様に気を付けないといけないわね♪」
「特にえりかとももかがな」
「あい……」
「ふっふっふ〜!私は明君やゆりっぺに起こしてもらうからだいじょ〜ぶ!」
「ふふふ、当てにされてしまったわね」
「ならしょうがねぇ。その時は一緒にやるぜゆり?」
「えぇ、方法はやっぱりアレかしら?」
「あぁ、アレだぜ」
「ほぇ?アレってなぁに?」
「それは、」
「勿論、」
『痛い方法(だ、よ)』
「やっぱり真面目に起きてま〜す……」
『あははは……』
【終わり】
オマケ
〜教室の窓から……〜
菖:「いや〜…あの光景はどう見ても……」
瑠璃:「ピクニック中の家族にしか見えませんな〜」
月音:「あはは、お嫁さんが二人いるけどね」
萌香:「フフッ、明達なら良いんじゃないか?」
月音:「だね。…ねぇ萌香さん、」
萌香:「なんだ月音?」
月音:「今度、休みの日に心愛ちゃんを連れてピクニックしに行こうよ」
萌香:「あぁ、そうだな。三人で行こう」
月音:「………」
萌香:「………」
菖:「嫌な予感がする……」
月音:「萌香さん……」
萌香:「月音……」
月音:「萌香さん……」
萌香:「月音……」
月音:「萌香さん……」
菖:「やっぱりね……」
瑠璃:「いや〜こっちも明君達に負けず劣らずのラブラブっぷりですな〜」