花を護る騎士 ブレイドナイト   作:葵祈つばめ

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つばめ:「私的に“彼”は小学生には見えないので13歳という事にしました」

明:「そうなると年の割りに(?)背が低いのは余計な力を植え付けられた事による副作用的なヤツか」

ゆり:「ぐすん、可哀想に……」 (嘘泣き

???:「清々しい程の嘘泣きだな」

???:「…なんか、ゆりの性格が明に似てきた気がする」


〜引越〜

とある日の放課後…もとい夕方、俺やつぼみ達は英明さんと薫子さんに呼ばれて植物園に来ていた。

 

「そういえば、前にも今と同じ様な事があったわね」

 

「あぁ、あん時は妖精化したダークとの再会…しかも顔面ダイブのサプライズ付きだったな」

 

「くっ!30分前から木の上でスタンバイしていた」 (ぺしぺし

 

「そうかい、そりゃご苦労だったな。けど次からは遠慮願うぜ」

 

何せ、妖精とのファーストインパクトはプリキュアネタであってナイトネタじゃねぇからな。

 

もしも次にあん時と同じ事があんならそん時は是非ともゆりにやってもらいてぇぜ。

 

その方が俺なんかがやるよりもよっぽど需要があるからな。ケッケッケ……

 

「ところで、どうしてお祖母ちゃんと英明さんはわたし達を植物園に呼んだんですか?」

 

「もしかしてまたあたし達に会わせたい妖精がいるの〜?」

 

「そ、そんな、まだ会う準備が出来てないのに……!」

 

「落ち着けいつき。まだそうだとは決まった訳じゃねぇだろ。てか、そんな事言ってっとポプリが拗ねちまうぞ?」

 

「明の言う通りでしゅ!ポプリはぷくぷくぷくのぷく〜!でしゅ!」 (ぷく〜!

 

おーおー、こりゃまた見事にポプリの頬が丸く膨らんでら。

 

「はぁ〜♪ぷっくりしてるポプリも可愛い…じゃなくてゴメンねポプリ!?やっぱりポプリが一番だよ〜!」

 

「やれやれ、相変わらずいつきは可愛いもの好きだね」

 

「ふふふ、そうねコロン。…あ、ごめんなさい薫子さん、お父さん。話の腰を折ってしまって」

 

「うふふ、気にしなくていいわよゆりちゃん。みんなが賑やかで仲良しなのは良い事だわ」

 

「それに今のゆり達を見ていると私達や彼等も楽しくなってくるからね」

 

『彼等?』

 

「あぁ。…二人とも、もう出てきても良いよ」

 

おろ?

コッペ様の後ろから二人分の足跡が……って、なんでい。誰かと思ったらまたお前らか。

 

「…全く、いつまでも待たせ過ぎだ」

 

「まぁまぁ、面白か「オリヴィエ〜!!」わわっ!?つぼみ!?」

 

おーおー、あのオリヴィエが反応出来ずにハグされるたぁつぼみも成長したな。

 

やっぱ、不定期だがゆりから手解きを受けた甲斐があったみてぇだな。

 

「オリヴィエ〜!また日本に来ていたんですね〜!」 (ぎゅ〜!

 

「つぼみ!?会う度に抱き着いてこないでってば!?」

 

「おぉ〜!いいぞつぼみ!もっと強く熱くオリヴィエに抱き着くっしゅ!」

 

「あはは、程々にね……」

 

ふむ、オリヴィエの事はつぼみ達に任せるか。

 

あ、勘違いのねぇように一応言っておくが、オリヴィエに対しては俺が絡むよりもつぼみ達が絡んだ方が良いと思っただけで、別にそっちの方が良い感じに面白そうだなんて事はこれっぽっち…それこそ心の種程も考えてなんてねぇからな?

 

と、無駄に長いうえにいったい誰が得すんのかわからねぇ野郎のツンデレ擬きは口には出さず俺の心中に止めておいてそれよりも今は……

 

「サラマンダー、今回も前みてぇに観光しに来たのか?」

 

「あぁ、そうだ。…と、言いたい所だが、生憎今回来た理由は観光ではない」

 

「あら、それならいったいどうしてこの町に来たのかしら?」

 

「それはオリヴィエを学校へ行かせる為だ」

 

「え?」

 

「成程、だいたいわかった」

 

『本当(に、か)?』

 

なんてこった、ゆりとサラマンダーの二人からは言われるとはな。

 

「あぁ、いくら院で生活してるつってもオリヴィエはサラマンダーと違ってまだ子供。子供なら学校へ行くのは当然って訳だ」

 

況してや、オリヴィエはサラマンダーと出会ってからはずっと旅続きだったから学校へは尚更行かねぇとな。

 

「ふむ、流石は今代のナイト。理解が早くて助かる」

 

「そりゃどーも。てか、いい加減ナイト呼びは止めろっての」

 

「失礼。では、改めて……流石は御剣だな」

 

「ん、良し」

 

苗字呼びなのは若干気になるが…まぁ、仕方ねぇ。

それぐらいは譲歩してやら。

 

「…オリヴィエが学校へ行くのはわかったわ。でも、何故私達の町なのかしら?学校ならパリにもある筈だけど……」

 

「それはアレだ。サラマンダーのちょっとした親心ってヤツだ」

 

「親心?」

 

「あぁ。サラマンダー、言っても良いよな?」

 

「構わん。元より私からは言う気が無かったからな」

 

ケッケッケ、本当に言う気が無かったのかねぇ。

 

「なら言うぜ。サラマンダーの親心…、それは自分達を助けてくれたつぼみ達がいる学校へ行かせた方がオリヴィエが喜ぶからだ」

 

捉え方によっては随分と甘くて都合の良い話かもしれねぇが俺は良いと思う。

 

現に今もオリヴィエはつぼみ達…まぁ、主につぼみとだが楽しそうに笑いあっているからな。

 

「とどのつまり、オリヴィエにとっては故郷よりも大切なもんがある此方の方が良いって事だな」

 

「まぁ、そうゆう事だ。御剣が殆んど説明してくれて助かる。私はどうにもこの手の事を言うのが得意ではないからな」

 

「ふふふ、サラマンダーも随分と丸くなったわね」

 

「あぁ、どうして牙が抜けるだけじゃなく羽根も抜けちまったみてぇだぜ」

 

「あら、そうなるとそれはもうただただ大きい火蜥蜴ね」

 

「ちげぇねぇ」

 

『ふふふふふ(ははははは)っ!』

 

「…ふむ、お前達の仲が以前よりも近くなった様な気がするな」

 

『そうか(しら)?』

 

「あぁ」

 

なんてこった、そいつは嬉しいねぇ。

 

「それについては後で話してやるよ。それよりもサラマンダー?」

 

「何だ?」

 

「オリヴィエが此方の学校へ通うって事は向こうの院から引越たって事だよな?」

 

「あぁ、向こうを出る時に手向けの花束を貰った」

 

「ふふふ、素敵な手向けね」

 

「だな。んで?此方での家と仕事はどーすんだ?」

 

「それらについては既に解決済みだ。博士、」

 

「あぁ、私から説明しよう」

 

お、英明さんが説明すんのか。

 

「明君は近所の21番地にある空き家の事は知っているかい?」

 

「えぇ、一応は」

 

確か、外観は綺麗なのに中で人が住んでる気配が……

 

「成程、だいたいわかった」

 

まさかのパート2。

今回はやけに豪華だな。

 

「はは、実はその空き家は学会の知り合いが所有している物件なんだよ。でも、建ててから今日(こんにち)まで使わずどうしたものかと持て余していたのだが……」

 

「今回のサラマンダーの引越話を聞いてその知り合いから譲ってもらったって事ですね?」

 

「あぁ、知り合いも空き家を壊さずに済んで良かったと喜んでいたよ」

 

「しかもその知り合いは使いはしなかったが、掃除などは欠かさなかったらしく家の外も中も新築同然。引越てきた私達にとっては実にありがたい物件だ」

 

成程、常に綺麗なままだった謎が今解明されたぜ。

 

「サラマンダー達が近くに引越して来たのは嬉しいけど、折角建てた家を一回も使わないだなんて……」

 

「きっと研究とかが忙しくて頭ん中から抜け落ちてたんだろうな。んで?家の事はわかったが、仕事の方はどーなんだ?」

 

「ふふふ、それについては私が説明するわ」

 

おっと、今度は薫子さんか。

 

「実はサラマンダーには私の仕事を手伝ってもらう事になっているわ」

 

「薫子さんの…」

 

「仕事?」

 

てことは植物園の管理か?

 

「えぇ。ほら、私も結構歳だし体力的な問題があるじゃない?だからどうしても出来る量に限界があるのよ」

 

「あー……」

 

「そういえばそうでしたね……」

 

フラワーの強さがアレだったからどうしてもまだまだ健在だと思っちまってたぜ。

 

「だからサラマンダーが手伝ってくれたら随分と負担が減るし、私が出来ない分のカバーもしてくれるって事よ」

 

「そうなんですね。サラマンダーはそれで良いのか?」

 

「あぁ、此処なら静かで穏やかな場所だし花を見ていると不思議と心が落ち着く。それに……オリヴィエがお前達と会う場所としても此処は最適だからな」

 

そう言って空を見上げるサラマンダーの顔は出会った時とは違ってどこまでも穏やかな顔だった……と、ちょいと小説っぽく纏めとく。

 

てか、サラマンダーもだいぶ変わったもんだな。

 

「ふふふ、サラマンダーもすっかり父親ね」

 

「あぁ、サラマンダーならぬパパマンダーってな?」

 

「ふふ…パパマンダー……ふふふっ!」

 

お、どうやらパパマンダーはゆりのツボにヒットしたみてぇだな。

 

「御剣、今回は見逃すがその名は二度と口にするなよ?」 (ゴゴゴゴゴ……

 

おーおー恐い恐い。

面は笑顔だがサラマンダーの背後にいつぞやのドラゴンが幻覚として見えるぜ。

 

「へーへー、わーったよ。んじゃま、最後に一つ聞いても良いか?」

 

「何だ?」

 

「実は会った時から気になってたんだが、オリヴィエって何歳なんだ?」

 

「あ、私も気になっていたわ」

 

「だろ?」

 

みなさんご存知の俺の冴えに冴え渡る勘で考えるとオリヴィエの年齢は13歳の気がするんだが……

 

「そういえば言っていなかったな。オリヴィエの年齢は……」

 

 

―いや、これでも僕は13歳なんだけど……―

 

―え……?―

 

―だ〜か〜ら!僕はつぼみ達の一歳年下なんだってば!―

 

―ええぇぇ〜〜!?―

 

 

なんてこった、やっぱり俺の勘の通りオリヴィエは13歳だったか。

 

てか、随分とまぁタイミング良いカミンクアウトだな。

 

「フッ、どうやら私が言う必要はなくなったな」

 

「ふふふ、オリヴィエが私達やつぼみ達の後輩になると今以上に学生生活が楽しくなりそうね」

 

「ケッケッケ、だな」

 

 

【終わり】




オマケ1

〜その後〜

オリヴィエ:「ゆりとももか以外に四人も恋人が出来たんだ……」

サラマンダー:「ふむ、やはりお前達二人は結びついたか。どうやら初めて会った時にナイトとアンジェの面影を感じたのは私の気のせいではなかったようだな」

ゆり:「…うるさい、分かりやすくて悪かったわね」 (ぷい

サラマンダー:「…御剣、彼女は本当に月影か?私の記憶にある人物とは少々異なるのだが?」

明:「ケッケッケ、良い事を教えてやるよ。女ってのはな、恋をすると以前よりもより魅力的な存在に生まれ変わるもんなんだよ」


オマケ2

〜体質故に〜

わー!わー!
キャー!キャー!

明:「おーおー、ももかは兎も角、瑠璃達もはしゃいでやがるな」

菖:「それよりも明君、あの二人って……」

明:「お、やっぱり気付いたな」

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