とある日の休日、修練の場でムーンライトミラージュとの手合わせ(まぁ、殆んどが決着がつかずに引き分けなんだけどな?)後に他愛ない話をしてるとムーンライトミラージュがこんな事を言い出した。
「外の世界に行ってみたいわ」
「や、そりゃ無理だろ」
「青い空に白い雲、草木は歌い鳥は鳴く……」
「ムーンライトミラージュ?」
「風はそよぎ、花は舞う……」
「おーい、ムーンライトミラージュさーん?」
「万年薄暗い此所とは違い、様々な色に満ちた世界……」
「おりゃ」
―パシッ!―
「…お見事」
こいつ、トリップしてるくせに俺の老若男女無差別チョップを防ぎやがった…
「か弱い乙女をいきなり攻撃してくるなんて、貴女随分と酷い男になったわね」
「よく言うぜ。なーにが“か弱い乙女”だ」
「あら、貴女は私がか弱い乙女じゃないと言うのかしら?」
「いんや?お前が乙女なのは認めるがか弱くはねぇだろ」
少なくともか弱い奴は相手のチョップをトリップしながら受け止めたりなんて絶対にする筈がない。
あ、でもルミナスはやれるか。
いや、でもやれるのはルミナスの時であって変身してない時は無理か。
「………」
「って、なーに顔を赤くさせてんだよ」
「う、うるさいわね。なんでもないわ」
………、
はっはーん、なーるほど。
「…なによ」
「いや別に?ムーンライトミラージュも随分と可愛らしい所があるんだなって思っただけだが?」
―グギギギギ!―
「おーおー、こりゃまた随分と強い力で俺の手を捻るのな」
「…少しは痛がりなさいよ」
「残念だったな。“可愛い乙女”には俺の無駄に鍛え過ぎた腕をどうこうするなんて無理な事だぜ?」
「っ!?」
あ、手を離した。
「…貴方って本当に狡い人よね」
おぉう、かなり鋭い目で睨んでらっしゃる。
「ケッケッケ。そんな目を鋭くしても頬を赤らめてたら全く怖くないぜ?寧ろ益々可愛いく見えるだけだぜ」
まぁ滅多に見れねぇもんだから俺的にはウェルウェル、カムカムだぜ。
「………」
「………」
「………」
「………」
「……フフ」
ん?
「……フフフ」
急に顔を伏せて笑い始めるもんだからかなり不気味だぜ。
「……フフフフ、良いわ。そんなに私と遊びたいのなら喜んで貴方と遊んであげるわ」
そう言って伏せた顔を上げたムーンライトミラージュは完全にプッツンしてた。
こりゃ少し弄り過ぎたかもな。
「さぁ、いらっしゃい。明の気の済むまま、それこそ“ごめんなさいムーンライトミラージュ様”って言うまで相手してあげるわ」
にしてもあれだな。
たとえ“ミラージュ”であってもこいつはやっぱりゆりなんだなって感じるぜ。
何せ弄った時の反応がゆりと同じだぜ。
「どうしたの明、早く遊びましょ?」
「あぁ、そうだな」
まぁでも、ゆりはこんなに積極的じゃねぇけどな。
あ、でも積極的なゆりってのもそそられなくはないな。
「フフフ、じっくりそしてたっぷりと楽しませてあ・げ・る♪」
「お手柔らかに頼むぜ」
そして俺達は再び手合わせを始めた。
「ハァァァァッ!!」
「オォォォォッ!!」
…てか、俺達何の話をしてたんだっけ?
【終わり】
最終的に物理的な話合になった件( ̄▽ ̄;)