花を護る騎士 ブレイドナイト   作:葵祈つばめ

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ダーク(妖精):「今は九時なのに一時か?」

明:「バーロ、一時じゃなくて“ひととき”だ」


〜一時〜

とある平日の朝、俺は早起きをした者だけが味わう事が出来ると言われている出発するまでの束の間の一時を堪能していた。

 

「(ペラ…ペラ…)成程、狙い目はえのき、ベーコン、鮭、豚肉、キャベツだな」 (ズズズ…

 

欲を言えば刺身も買っておきてぇが……お痛い値段なんで今回はお流れするが、その代わりに菓子用の材料を購入。

 

昨夜在庫を調べたら底を尽きかけてきたもんがちらほらり。

 

俺みたいな甘いもの好きにとって材料の不足は死活問題だから早めに補充しとかねぇといかんのですよ。

 

てか、朝から茶を飲みながらスーパーのチラシを見る男子高校生ってのは自分の事ながら中々にシュール(?)光景だよな。

 

「けどまぁ、一人暮らしだからしゃねぇか」

 

それに若い内にこの手のスキルを身につけていれば大人になってもモーマンタイってな?

 

「…一人暮らしではなく二人暮しの間違いじゃないのか?…ふあぁぁ……」

 

おや?

何やら後ろから俺の間違いを訂正する眠そうなお声が聞こえなさった。

 

さてさて、お声の主はいったい誰でしょーか。

 

「ケッケッケ、悪い悪い。そーいやそうだったな」

 

振り返って確認してみると、

そこには妖精姿のダークが寝起き度100%でフラフラフラ〜と不安定な飛び方でリビングに来ていた。

 

「おはよう明……」

 

「おう、おはようさんダーク。昨日もよく眠れたか?」

 

「くっ!明と博士の合作ベッド…アレは実に良いベッドだ……」

 

「サンキューな。作ってそれなり過ぎた今でもそう言ってもらえると作り手として汗水流して甲斐があったってもんだ」

 

それに俺や博士も日曜大工でいい経験値を貯められたから両者共にwin-winってヤツな。

 

「で、話が変わるのだが明は何を……成程、そうゆう事か」

 

「あぁ、茶を飲みながらスーパーのチラシで今日の買い得品の目星を付けてた所だ」

 

まぁ、菓子関係のは買い得品じゃねぇがな。

 

「いつもながら精が出るな。それと見たところ明は大分寛いでいるが時間は大丈夫なのか?」

 

「おう、今日はいつもより早く起きたから殆んどの事が終わってるぜ」

 

掃除、洗濯、仕込み、乾燥機掛け、アイロン掛け、その他色々etc……

 

当然と言えば当然なんだが、本当に我ながら主夫っぷりが板についちまってると思うぜ。

 

「ふむ…昨夜は私より明の方が明らかに遅く寝たなのによく早く起きれるな。寝不足になったりはしないのか?」

 

フッ、“明の方が明らかに”か…。

ダークは意識して言った訳じゃねぇのに中々言葉遊びが決まってるぜ。

 

「しねぇな。それにダークは基本時に9時頃に寝てるから知らねぇ事だが、俺はそんなに夜更かしはしてねぇぞ?」

 

「くっ?そうなのか?」

 

「あぁ、しても精々11時ぐらいまでだな」

 

前にももかが“明日は休日だし仕事もお休みだから長電話しよ〜”って電話してきた時も11時までにさせたからな。

 

「成程…。明は色々とアレだが、根は真面目なんだな」 (うんうん

 

「ケッケッケ、当たり前田のクラッカー。何せ俺はラブ&ピースを謳う家庭的な青年だからな」

 

ダカラワタシ、アラソイヤボウリョクキライデース。

 

デモ、イザトナッタラワタシハアシュラヲモリョウガスルソンザイトナッテトコトンヤリマース。

 

「フッ、私は出来る奴だから野暮なツッコミはしないぞ?」

 

「そりゃどーも」

 

「ところで明?今現在寛いでいると言う事は朝飯の用意は……」

 

「あぁ、勿論用意出来てるからよ。冷めない内に食べてくれや」

 

「わかった。…因みに聞くが、今日の朝飯の献立は何?」

 

「ご飯

豆腐とワカメの味噌汁

焼き魚(ほっけ)

レタスとトマトときゅうりのサラダ

昨日の肉じゃがの残り

そんでもってデザートは牛乳寒天だ」

 

いくら一汁三菜とは言え、若干全体の量が多い気がしなくもねぇが、 俺もダークも大食らいだし、俺は夜になったらいつきん家や修練の場でドンパチすっから朝からこれぐらい食わねぇと逆に腹が減っちまう。

 

だからホットケーキやハニートーストが朝飯の時なんかも結構食ってたりする。

 

「くっ!献立を聞いただけで腹が減ってきた!明の言う通り時間がある内に早速戴くとしよう!」

 

なんてこった、言い終わるや否やダークは“ピューン!”と効果音が似合いそうな速さで翔たダークさんを見て俺は……

 

「………」

 

 

―戴きます!―

 

 

「………」

 

なんかいい感じの事を思い浮かべ様としたが、この光景は既に見慣れた光景となっていたんで今更思い浮かぶ事がなかった。

 

こうゆう時に気の利いた事が言えねぇ(又は思い浮かばねぇ)所が他の奴等…例えば博士辺りと俺の致命的な差なのかもしれないな……。と、この時心の中で僕はそう思いました まる

 

「んじゃま、まだ時間がある内に俺は引き続きチラシチェックをするとしますかな」

 

ついでに今晩の献立も決めねぇとな。

 

「(ペラ…ペラ…)さっき言ったヤツ以外で買い得なのは……」 (ズズズ…

 

 

【終わり】




オマケ

〜その後・玄関にて〜

ピンポーン!
ピンポーン!
ピピピポーン!
ピピピポーン!

ダーク(妖精):「私達が玄関にいる事をももかは知っているのか?」

明:「かもな。んじゃま、行くとしますか」

ダーク(妖精):「くっ!」

ガチャ!

ももか:「おはよ〜♪明君♪ダークちゃん♪」

明:「おう。ももか、ゆり、おはよう」

ダーク(妖精):「くっ!おはようコロン」

コロン:「あぁ、おはようダーク」

ゆり:「出てくるのがやけに随分と早かったわね。もしかしてもう玄関にいたのかしら?」

明:「そーゆこと。明君は時間に余裕を持って行動する男の子だからな」

ゆり:「ふふふ、今日も朝から絶好調ね」

明:「そりゃどーも。んじゃま、今日も一日頑張って行くとしますか」

ゆり:「えぇ」

ももか:「うん♪」

コロン:「あぁ」

ダーク(妖精):「くっ!」

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