花を護る騎士 ブレイドナイト   作:葵祈つばめ

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つばめ:「最初に言っておきます。人狼ゲームについての細かい事やルール等は粉々に噛み砕いて提供しております」

明:「つまるところ、いつものつばめクオリティーだな」


〜人狼〜

とある平日の放課後、俺は教室でゆり、ももか、瑠璃、萌香と一緒に人狼ゲームをしていた。

 

あ、知ってはいると思うが人狼ゲームってのは……

 

 

“ある村に、村人に化けた狼が潜んでいる。

 

見た目は村人と同じな為、誰が狼なのかはわからない。

 

狼は夜になると村人達を一人ずつ攻撃して食べていく。

 

一人…また一人と減っていく村人達……。

 

いったい誰が狼なのか?

 

村人たちは協力し、話し合いをしながら狼と思われる人物を一人ずつ処刑していく……”

 

 

まぁ、噛み砕いて言うと疑心と暗鬼がお友達。

人理ならぬ人の輪を破壊する魔のゲームだ。

 

本来の人狼ゲームは預言者やら騎士やら色々役職があるが、今回はそーゆー面倒なのは省いてやり方もちっとだけ変えたモンをやっている。

何故なら色々と面倒だからだ。

 

そんで今は瑠璃が二人目(一人目は萌香)の犠牲者になった事が判明した所だな。

 

「夜が明けました。皆さん目を開けてください」

 

進行役は人狼ゲームをやるって事になって早々に立候補した月音。

 

相変わらず空気を読む事と自分の逃げ道を確保するのが上手い奴でその手際の良さを明さんも見習いたいぜって思ってたり思わなかったり。

 

ん?

博士はって?

彼奴はオリヴェと一緒に図書室で歴史のお勉強中だ。

 

オリヴィエは今までパパマンダーと一緒に世界横断ツアーをしてたからな。

そのツアーの中で見聞した事を元に博士がこれまで書いてきた遺跡レポートを更に事細かく補完するんだとさ。

 

最早やってる事が大学の教授クラスだよな、と此の頃明さんは思ってたりする。

 

「この三人が残ったのね……」

 

さて、脱線していた話をそろそろ元の軌道に戻すとしますか。

 

今ゆりが言った通り、残っているのは俺とゆりとももか。

 

二人目の犠牲者が出たって事は人狼この中に紛れてる訳だ。

 

「むぅ〜、こうなるとやっぱり明君が人狼なんでしょ〜?」

 

「なんてこった、いつも俺の事を狼扱いしてるからって今回も狼扱いするのはあんまりじゃねぇか?」

 

泣いちゃうぞ?

悲しくて明さん泣いちゃうぞ?

“あんまり”繋がりで某奇妙な冒険の炎の柱の男みてぇに泣いちゃうぞ?

 

「明の言う通りよももか。気持ちは分からなくもないけど今回ばかりはその考えは単純過ぎるわ」

 

「は〜い……」

 

「ケッケッケ、流石はゆりだ。疑心と暗鬼がお友達のゲーム中でも相変わらず冷静でらっしゃるぜ」

 

「ふふふ、こうゆうゲームは冷静さを欠いたら駄目だということは充分理解しているもの」

 

「おーおー、頼りになる発言だな」

 

やっぱ、この手の魔のゲームをやる時には冷静な奴がメンバーには必要不可欠だな。

 

ん?俺は冷静な奴じゃないのかって?

ケッケッケ、確かに俺も冷静だが俺の場合は後ろに“道化師”がつくタイプの奴だ。

 

「ふむふむ〜…。モカっちは誰が人狼だと思う?」

 

「分からないな。私達は既に犠牲者だからゲームからは下りているが、月音は人狼の正体を教えてはくれないからな」

 

「あはは、教えちゃうと二人がゲーム中に反応しちゃいそうだからね」

 

「それは一理あるな。だが、月音?瑠璃なら兎も角、私はポーカーフェイスは得意な方だぞ?」

 

「うん、それは僕も充分知ってるよ。だって、この間の夜の時も表情を崩さないように必死に頑張っていたもんね?明君みたいに言うと、あの時の萌香さんは中々可愛らしかったよ」

 

「言ってくれる。やはり月音は明と同じSっ気の節があるな」

 

「そうなるのは萌香さんにだけだけどね。Sっ気な僕は嫌いかな?」

 

「フッ、最初から答えを知っているのに聞いてくるか。無論、好きに決まっている」

 

「ありがとう萌香さん。僕も好きだよ。普段の時の萌香も、夜の時も萌香……」

 

「月音……」

 

「萌香さん……」

 

「月音……」

 

「萌香さん」

 

「月音……」

 

「萌香さん……」

 

なんてこった、まさかこのタイミングで二人だけのザ・ワールドを発動するとはな。

 

「ねぇねぇ明君?進行役が止まっちゃったけどどうする?」

 

「どうもしねぇ。イチャついてるが、アレはあのまま見つめ合うだけの無害なもんだから俺達は気にせずゲームを続けるぞ」

 

「アイアイサ〜!それじゃあ進行役はルリルリ、君に決めた!」

 

「合点承知の助!世紀の名進行役と謳われている私に任せて!それこそ泥船に乗ったつもりでドーンと!」

 

『それ(だと、じゃあ)沈む(だろ、わよ、でしょ〜)』

 

「あはは〜!三人ともナイスツッコミ〜!」

 

 

―キーンコーンカーンコー!―

 

 

「およ?」

 

「ほぇ?」

 

 

―下校時間だぞー!教室に残ってる悪い子はいねえーかー?―

 

 

「…なんでなまはげみたいな言い方なのかしら?」

 

「ケッケッケ、先生なりの遊び心なんだろうよ。てか、もうそんなに時間が経ってたんだな」

 

こうゆう事を“光陰矢の如し”って言うんだろうな。

テレレレテッテッテー!

明さんは賢さがまた少し上がったってな。

 

「ねぇねぇ明君?見回りの先生が来ちゃうけどどうする〜?」

 

なんてこった、瑠璃さんがさっきのももかと同じ様な質問をしてきたぜ。

 

「どうするもなにも、時間なら終わりにするしかねぇだろ」

 

「同感だわ。それに、正直に言いうともうこれ以上人狼ゲームをやりたくなかったわ」

 

「疑心と暗鬼がお友達の魔のゲームだもんな。んじゃま、若干ぐだぐたな気もするが今日はここいらでお開きだ」

 

「えぇ」

 

「うん!」

 

「月音君とモカっちはどうす……っていつの間にか終わってたね」

 

「まぁ、いつもの事だからな。今更特に言うことはねぇよ」

 

「あはは、ありがとう明君」

 

「話はだいたい聞いていた。素早く支度して帰るとしよう」

 

「おう」

 

「えぇ」

 

「うん!」

 

「ほいほ〜い!」

 

こうして俺達の輪は人狼ゲームによって破壊される事がなく、この後下駄箱で合流した博士をメンバーに加えて賑やかに下校するのであった。

 

めでたしめでたし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうだ、最後に一応言っておくが俺のポジションは“村人”だぜ?

まぁ、信じるか信じねぇかはそっちの判断だがな。ケッケッケ……

 

 

【終わり】




オマケ

〜その後〜

明:「んで?今回はどんな話をオリヴィエとしてたんだ?」

菖:「イギリスはシャーウッド森、って言えば明君もピンとくる筈」

明:「顔のない王(ノーフェイス・メイキング)祈りの弓(イー・バウ)っしょ?よーく存じ上げてるッスよ」

菖:「見事にFG○…。いや、合ってるんだけどね…。てゆーか、相変わらず直ぐに対応してくる……」

明:「そーゆう性分なんですわ」

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