花を護る騎士 ブレイドナイト   作:葵祈つばめ

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眠〜い……


〜撮影〜

とある平日の放課後、俺はももかと一緒に駄弁りながら帰宅していた。

 

「ーーーーーって言う事があったの〜」

 

「ケッケッケ、さっすが人気カリスマモデルのももかだな」

 

「まあ、マネージャーさんもわざわざお話を持ってきてくれたのは嬉しいんだけどね〜、急に……ほぇ?」

 

「ん?」

 

駄弁ってる最中にも関わらずピタッと歩みを止めっちまいやがったももかさん。

 

成程、こりゃ何か見つけたんだな。

 

「ねぇねぇ明君、アレって何の集まりなのかな?」

 

そう言いながらこの先にある公園を指差すももかにつられて俺も公園を見てみると何やら人がわんさかと集まっていた。

 

ケッケッケ、

見ろ、人が鳩のようだってな?

 

「やけに沢山いるけど……フリーマーケットでもやってるのかな?」

 

「平日のこんな時間にか?そーゆーのは休日の10時ぐらいからだろ」

 

そーいや、だいぶ前に鶴の一声ならぬえりかの一声で参加したがあれは中々面白かったな。

 

店番もそーだが開始前の陣取り合戦がな。ケッケッケ……

 

「それもそうね〜。それじゃあちょっと行ってみよっか?」

 

「だな。口では言ってねぇが、ももかの身体から“行ってみたい♪”って気持ちがビンビン出てんのを感じてたからな」

 

特に人集りを発見した直後。

 

もしも俺にアホ毛があったら今言ったももかのその気持ちを察知してブンブン反応してたかもな。

 

「いやん♪ビンビンだなんて明君のえっち〜♪」

 

そう言いながらガバッと俺に抱き着いてくるももかを難なく受け止めると、制服越しにだがももかのたわわな弾力を確実に感じる。

 

ケッケッケ、相変わらずももかさんってば良いもんをお持ちになってるぜ。

 

このままこの感触を堪能してぇところだが、明さんはイチャイチャのオンとオフの切り替えをきっちり出来る青年。

 

だからこの場は我慢して話を進める事にしますぜ。

 

「バーロ、えっちなのはお互い様だろ?ほれ、早いとこ行ってみようぜ」

 

「は〜い♪」

 

抱きつきは腕組みへと変え、俺達は公園へとスタコラサッサ、サササのサ。

 

今回に限った事じゃねぇが野郎達からの嫉妬にまみれた視線は中々凄かったがお生憎、この明さんも中々の凄い奴。

 

野郎共の視線なんざどこ吹く風。

突き刺さる悲しい嫉妬のとことん無視してももかと一緒に人集りの原因を探し、そんでもって直ぐ様見つけた。

 

「…人集りの訳はドラマの撮影だったのか」

 

「しかも今話題の青春ドラマのね♪」

 

「成程。人集りの連中が野郎共だけじゃねぇのはそれが理由って事か」

 

確かに主人公役の人もヒロイン役の人も美形だもんな。

 

けどまぁ、残念ながら俺はその手のドラマは興味ねぇからどんなに話題になってても観やしねぇがな。ケッケッケ。

 

「にしてもあれだな、都会でならわかるがまさか希望ヶ花のこんな場所で撮影するとはな」

 

しかもかなりの人集り付きで。

 

一応、警備スタッフやらが肉壁になったり規制線を張ったりしてガードしてるが場所が公園なだけに餌に群がる鳩みてぇに人集りが出来てるぜ。

 

「こうゆう都会の喧騒と関係ない所だからこそ、柔らかい雰囲気で撮影出来るんじゃない?だって私もスタジオじゃなくて外で撮影する時はそうゆう場所が殆どだもん」

 

「成程。そーいえばももかは現役の人気カリスマモデルだったな。普段が普段だからすっかり忘れてたぜ」

 

「明君ひっど〜い!絶対わざと言ったでしょ〜!」

 

「なんてこった、何のことやらさっぱりすっぱりわからねぇな。……ケッケッケ」

 

「む〜、いつもの笑いが漏れ出してる〜!」

 

「おっと失礼、我慢するつもりがつい漏れちまったぜ」

 

「む〜、ゆりっぺ直伝鳩尾突き〜!」 (ドスドス

 

「おーおー、これは鍛えたら中々の威力になりそ……おろ?」

 

「?どうしたの明君?」

 

「…なーんか撮影が止まって監督らしき人がこっちに来てるぜ」

 

歳はだいたい30前後、

身長は俺よりちょい下、

ガタイは中肉中背、

歩みはスマート、

面は……グラサンかけてニコニコしてるから表情が上手く読み取れねぇ。

 

なんてこった、俺もまだまだ修行が足りねぇのな。

 

「…本当だ。もしかして私達がうるさくて怒りに来たとか?」

 

「かもな。しかも監督自ら直々にって事は相当ウ冠もといお冠…。こりゃ大人しく頭下げるしかねぇな」

 

「だね……」

 

そんなこんなで人集りがモーゼの十戒のアレの如く左右に開き、監督が俺達の目の前に。

 

「……なぁ、お二人さん?」

 

『はい(……)』

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「……?」

 

「……?」

 

「……ちょいとエキストラとして出てみる気はあるかい?」

 

「…は?」

 

「…え?」

 

監督のこの発言には流石の御剣さん家の明さんも驚きましたとさ まる

 

 

【終わり】




オマケ1

〜その後の帰路〜

明:「まっさかエキストラとして出る事になるとは思わなかったな……」

ももか:「だね〜。しかも視聴層が十代二十代だからゆりっぺ達やなぎさちゃん達も観てるかも!」

明:「ケッケッケ、それだったら面白そうだからみんなには黙ってようぜ」

ももか:「ふふふ♪言うと思った♪」


オマケ2

〜その日の晩・とあるレストランにて〜

???:「うふふ♪随分と嬉しそうですが何かありましたか?」

監督:「えぇ、希望ヶ花という町で輝いている男女二人を見つけたんですよ。と言っても、彼女の方は既にモデルとして活動し輝いていますがね」

???:「まぁ、それは良かったですね♪(希望ヶ花という事は……うふふ♪これは先に手を打っておいた方が良さそうですわ♪)」

???:「(ホッホッホ、この監督の目に留まるとは流石ですな)」

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