とある日の放課後、俺は博士に呼び出されて屋上に来ていた。
博士曰く、
“出来れば二人だけで話しがしたい。先に言ってるから後で来てくれ”
とのことで。
こりゃ、遂に博士のライフワークでもある遺跡調査の護衛の依頼でも来なさったかねぇ。
それならダチの誼みで初回の依頼料は良いところの甘味で手を打ってやんよ。
まぁ、絶対にそんな用事じゃねぇってのはわかりきってるが、とりあえず明さん節を言っとかねぇと話が始まりませんってな。ケッケッケ。
「んで?話しってなんだ?俺はグレートティーチャー御剣じゃねぇから迷える若人の悩みを解決出来る自信はあまりねぇぞ?」
「あはは、また随分と懐かしいネタだね。確か元々は漫画で過去にアニメ化が一回、ドラマ化が二回だっけ?」
「おう。ポイズンの方はたまーに観てたがダンサーの方は殆んど観てなかったな」
映画やドラマの…所謂リブート作品ってのか?
そーゆーのってかなり当たり外れあるよネ!
グレートティーチャーが当たりが外れかは……ケッケッケ、テメェで考えろってな。
んじゃま、軌道修正するとしますか。
「逸れた話を元に戻すぜ?いったい俺に何の用なんだ?」
「あ、うん、話したい事は……りんちゃん達の事なんだ」
「りん達?」
「うん。…厳密にはりんちゃん、かれんちゃん、いつきちゃん、エレンちゃん、瑠璃さんだね」
若干照れ臭そうにあはは、と笑う博士を見て俺は直ぐに確信した。
そも、これで確信しなかったらそいつは相当の鈍で感な奴だな。
「そうか、漸く博士にも春が訪れたって訳だな」
「…やっぱりあまり驚かないんだな」
「あぁ、この間博士がダークやコロンと話している所をりん達がそーゆー目で博士を見てたからな。てか、いつの間にそこまでの仲になってたんだ?」
「それは勿論、明君の知らぬ間にだね。ほら、流石の俺だって休日は毎回遺跡調査してる訳じゃないからさ」
そりゃそーだ。
自他共に認める戦闘狂の明さんだって毎回パレスでドンパチしてる訳じゃねぇからな。
「成程、りんやかれんやエレンとは休日に、いつきとは出稽古や他流試合の時に、瑠璃とは俺がゆりやももか達とイチャイチャしてる時に仲を深めてたって事だな」
確かにそれなら俺の知らぬ間にだな。
「あはは、流石は明君。相変わらず鋭い先読みだ」
「ケッケッケ、そりゃどーも」
今までゆりと一緒に結構死線を潜り抜けて来たからな。
そのおかげで元々鋭かった先読みに磨きが掛かっちまったぜ。
「んで?そうやって仲を深めていくにつれて誰か一人に決めないといけない、と内心で悩んでいた博士君は重婚法が法律として正式に認められたのを機に決心したと?」
「うん。どうやら俺は明君と同じで、好きな人を一人に決められない情けない男だったらしい」
「ケッケッケ、一人に選ばなかった分、恋人達を絶対に幸せにする覚悟があれば情けなくても結構コケコッコーってモンだぜ?」
ピーキャーピーキャー騒てぇ奴はどーぞご勝手に騒いでろ。
生憎こちとら鉄心の持ち主。
フッ、別に騒いでる輩達を無視してしまっても構わんのだろうのスタイルだぜ。
「あはは!そうだね。…あ、それで明君?俺は近々りんちゃん達に告白するんだけどいいかな?」
「ん?いいも悪いも何でわざわざ俺に聞くんだ?」
「いやほら、明君はりんちゃん達の兄貴分じゃん?だから告白する前に言っておきたくてさ」
なんてこった、真面目がウリの博士はここまで真面目だったとはな。
「バーロ、んな事わざわざ言う必要はねぇよ。てか、りん達は兎も角、瑠璃は俺の許可はいらねぇだろ」
「あ、確かにそうだったね……」
ケッケッケ、博士さんったら珍しくやらかしたな。
「まぁでも、確かに俺はりん達の兄貴分だからな。一応、一言言っておくぜ?――――菖、りん達を必ず幸せにしろよ?」
「あぁ、必ず幸せにするよ!」
オーケーオーケー、いい返事だ。
それでこそ俺のダチだぜ。
「んじゃま、時間も時間だしそろそろとんずらしよぜ博士」
「流石は明君…。珍しくいい感じには終わらないか……」
「おう。知っての通り真面目に不真面目、老若男女無差別が俺の主義だからな。シリアスが長続きしないのも当然と言えば当然。是非もないよネ!」
「だよな……。まぁ、もう慣れてるから明君のソレも面白いと感じるし、出たら出たで楽しいから良いんだけどな」
「おーおー、嬉しい事言ってくれるぜ。いいぜ、今の明さんは気分が良いからな。帰りにはらやで何か奢ってやるよ」
「本当か?ありがとう明君」
「ケッケッケ、どーいたしまして」
【終わり】
オマケ
〜その後〜
明:「そーいや、博士はいつの間に重婚法が適用される程の経済能力を手に入れたんだ?」
菖:「明君と同じさ。俺にも今まで培った杵柄があるからな」
明:「なーるほろ。確かに、博士は国内外の遺跡調査関係でたんまり銭を貰ってそうだもんな」
菖:「あはは。殆んど貯金しておいて良かったと心底思うよ」