明:「何でも良いぜ」
オリヴィエ:「それなら……明みたいに背が高くなりたい」
明:「クハハ!待て、しかして希望せよ!」
とあるの平日の昼、俺はばんちょー君やオリヴィエに誘われて屋上で一緒に弁当を食っていた。
「そういえば番さん、昨日ななみさんと植物園にいたよね?」
「うっ、見てたんだ……」
「バッチリとね。手を繋ぎ合ったりしてさ、中々微笑ましかったよ」
「恥ずかしい……」
と言っても、今はこんな感じでばんちょー君とオリヴィエが弁当食うのそっちのけでお喋りの花を咲かしてら。
若干だが元々内向的な節のある二人がいつの間にかこうして弁当を一緒に食べる……。
こりゃ中々泣けるぜ。ケッケッケ
「明さん…顔……」
「どうせまたゆり達をどう照れさせるか考えてるんじゃないの?」
「成程…来海の言ってた通りのワイルドっぷりだね……」
「ワイルド…そっか、明は狼だったね」 (悪笑
おっと、オリヴィエ君からまさかのブラックユーモア。
自分が狼人間だった事があんのにさらりと狼発言してくるとはな。
「ケッケッケ、言ってくれるぜ。まぁ、事実でもあるから否定しねぇけどな」
「あ、否定しないんですね……」
「番さん、それが明だよ」
「あはは…成程……。……ところで明さん、」
「ん?なんじゃらほいほい?」
「少し相談したい事があるんですけど、いいですか?」
ほぉ、ばんちょー君からの相談か。
「おう、いいぜ。言ってみろ」
「はい、実は……」
きっとまた新作漫画のアイデアを求めてんだろうな。
いやはや、デキる漫画家の卵は辛そうだぜ。
「今度の休日、またななみさんと出掛けるつもりなんですけど……植物園以外で何処かオススメする場所ってありますか?」
なんてこった、新作漫画のアイデアの相談かと思いきやまさかのデートの相談だとはな。
「聞きましたかオリヴィエさん?番さん家の息子さん、またデートするらしいですぜ?」
「うん、そうゆう感じの噂話好きのおばさん近所にいるよ…。まぁ、今回は明に合わせるけどさ」
「ケッケッケ、そりゃどーも。んで?オリヴィエさん的にはどう思います?」
「さっきと同じで微笑ましいね。明達とは大違いだよ」
おーおー、そうきたか。
「ヘイヘイ、オリヴィエさんよ?俺達も胸焼けする事は初中後あるがそれでも充分微笑ましいと思わねぇか?」
「いやいや、明達のイチャイチャは微笑ましい通り越してるよ。番さんもそう思うでしょ?」
「あぁ…、なんて言うか、こう…イチャイチャしてて当然。寧ろイチャイチャしてない方がおかしい、って感じかな?」
「ほらね?」
「成程。俺達のイチャイチャは側(はた)から見たらそう思われてんだな」
つっても、ゆりは兎も角ももかは付き合う前からもあんな感じでグイグイっときてた気がするけどな。
アレか、所謂気持ちの問題ってヤツか。
なら是非もないよネ!
「僕のクラスでも男子達がいつも言ってるよ?“高等部の御剣先輩達はヤバい…。何であんなに堂々とイチャイチャ出来るんだ……!”ってさ」
「おーおー、尊敬してんのか呆れてんのかどっちにも解釈出来るコメントだなそりゃ」
「多分両方だね」
「ケッケッケ、泣けるぜ」
「あはは…。でも、尊敬する気持ちはわかります。明さん達はどうしていつもあんなに堂々と仲睦まじく出来るんです?」
「番さん、素直にイチャイチャって言っても明なら大丈夫だよ。なんたって明は基本的には鉄心だからね」
「ケッケッケ、本当は“おっと…心は硝子だぞ?”って言いたかったりするんだけどな」
それでも言えないのが現実。
何故なら明さんは……結構、鍛えてますから (ビシッ!
「あはは…そうですか……」
「そうなんです。んで?どうして恥ずかしくもなく堂々とイチャイチャ出来るかって?」
「え?あ、はい」
「そんなのはエレメンタリー・マイ・ディア(初歩的な事だよ、友よ)」
「…え?」
「明……」
「ケッケッケ、悪い悪い。今のは“初歩的な事だよ、友”って言ったんだよ」
「…初歩的な事?」
「おう、それは俺がゆり達の事を心の底から愛しているってハッキリと言えるからだ」
「「………」」
「そも、恥ずかしい気持ちってのはまだ心の中で好きと言う事に迷いや恐れ、その他etc…とかがあるからだ」
因みに恥ずかしい気持ちについては自分自身の容姿や性格、そんでもって自分を取り囲む環境が影響したりしていなかったり。
「けど、俺はゆり達を愛する気持ちに迷いや恐れは全くねぇ。だから堂々とイチャイチャ出来んだよ」
「「………」」
「流石に俺みてぇになれとは言わねぇが……まぁ、ばんちょー君も今よりもうちょい自分自身に自信を持ってみろ。そーすりゃ恥ずかしくもなくなるぜ…ってなんでい、その驚き顔は」
「いや、明は相変わらずだな〜って思ってさ」
「え、えっと、とても参考になるなと思いました!」
「ええー?ほんとにござるかぁ?」
「本当だよ」
「本当です!」
「ケッケッケ、そーかい。ならこれ以上は追求しねぇよ。んで、答えるのが随分と遅くなっちまったが行く場所ははらやはどうだ?あそこは最近お子供向けの新メニューが出たらしいからな。なみなみだけじゃなくなみなみの妹も連れて行けるぜ」
因みに今の情報ははらやの店員さんから聞いた。
向こうは俺の影響力を知ってるし実際にその効果でかなり店が潤ってる。
んで、俺とダークは甘党だからよくお世話になってるからな。
これぞまさにWIN-WINの関係ってヤツだ。
「成程!」
「良かったね番さん」
「うん!オリヴィエ君の言う通り明さんに聞いて正解だったよ!」
おろ?
オリヴィエの言う通りって事は……成程、だいたいわかった。
「ケッケッケ、他の奴なら兎も角、弟分のばんちょー君ならいつでも相談に乗ってやるよ」
「本当ですか!ありがとうございます明さん!」
「それとオリヴィエ、お前も俺の弟分の一人だからな。困った時はいつでも相談に来て良いぜ?」
「…ありがとう明」
「気にすんな。なんやかんやでお前らに頼られるのも悪くねぇからな」
「や、なんやかんやって何なのさ」
「なんやかんやは……なんやかんやです!」 (悪笑
「言うと思ってた……」
「あはは……」
「ケッケッケ」
鉄板は大事ってな?
んじゃま、ビシッと決まった事だし弁当タイムの続きっと。
【終わり】
オマケ1
〜その後〜
明:「ばんちょー君、手ぇ出せ」
番:「はい?」
明:「ほれ」 (財布から樋◯一◯〜
番:「あ、あ、あ、明さん!?!?」
明:「釣りはいらねぇからばんちょー君の小遣いにでもしろ」
オリヴィエ:「…器大き過ぎ。明って本当に高校生?」
明:「おう、明さんは何処からどう見ても青春を謳歌中の高校生だぜ」 (ケッケッケ
オリヴィエ:「だよね……」
オマケ2
〜その日の放課後〜
ななみ:「え、るみもいいの!」
番:「うん。三人で行こう」
ななみ:「ふふっ、ありがとう番君♪」
えりか:「ぐおぉぉぉ…甘ったるい……」
つぼみ:「明さん達とはまた違った甘さですね」