オリヴィエ:「?どうかしたの?」
妖精ダーク:「……うむ、何か強い存在を感じるぞ」
サラマンダー:「…確かに、これは中々の存在感だな」
ナイト、獄炎ノ男ト相見エル
毎度お馴染みオールスターズでの賑やかな集まり。
そんな時、ふと空間が斬られ、いわゆる次元の境目と呼ばれる空間からまるで巌のような男が現れた。
その場にいる誰よりも真っ先に危険を感じた明がみんなの前に出て男に問いかけた。
すると、その男は噂で聞いた明の実力を確かめに来たと言い、己の得物である太刀を構えて挑発した。
「御剣 明!貴様の実力を示してみろ!」
売られた喧嘩は言い値で買うのがモットーの明はその誘いに乗り、みんなを下がらせてブレイドナイトへと変身した。
「…ケッケッケ、こりゃいつもとは違う祭りになりそうだぜ」
「フッ…」
危険を感じ取った上で臆せず戦いの意思を示したナイトに男は笑みを溢し炎の、いや、それよりも強大な炎……そう、喩えるなら獄炎の闘気を解放した。
「ゆくぞ…!」
「っ!」
そこから始まった勝負を見ていたオールスターズは……
誰一人例外なく驚愕した。
「ナイト!?」
何故ならあのナイトが苦戦を強いられるだけでなく、相手に一太刀も浴びせる事が出来ていないからだ。
「…おいおい、なんてこった……」
そしてその驚愕はナイト自身も感じていた。
ブレイドナイトの道を進む事を選んだあの日から今日に至るまで何度も何度も様々な相手と戦い、その都度、心技体に磨きをかけてきた。
その過程で戦闘でも軽口を叩く事で相手のペースを崩す独自のスタイルも作り上げれる程、自分の実力に自信もついていたが……この男にはまるで通用していなかった。
「ウム、噂通り…いや、噂以上の実力者だな」
「…俺には嫌味みてぇに聞こえんだが?」
「気のせいだな。そもそも俺はお前の実力を認めているぞ」
「…へーへー、それならもーちょい手加減してくれてもバチは当たらねぇと思うぜ?」
「生憎だが、これ以上どう手加減しろと言うのだ?片手だけで相手をしろと?」
「…んなろっ……!」
軽口を軽口で返されるも傷ついた体を起き上がらせ再度果敢に攻めるナイト。
だが、やはりこちらの攻撃は当たらず、それどころか……
「豪炎…獅子墜爾ッ!」
「がはっ!?」
先ほどよりも強く重く、そして獄炎を纏った連撃を食らい再度膝をついてしまった。
「ナイト……!」
見てるだけなのが我慢できなくなったムーンライト達がナイトの元へ駆け寄ろうとするも、ナイトはそれを拒んだ。
「…気持ちはありがてぇがよ、もうちょい待っててくれねぇか……」
「ナイト……」
「…あと少し、あと少しで何か掴めそうなんだよ……」
それは持ち前の直感から来るものなのか、殆んど満身創痍に近い状態ながらもナイトには謎の手応えを感じていた。
「何か掴めそう、か……。ならば!それを是非とも見せてもらおうではないか!」
「…あぁ、見せてやるぜ……!」
次がナイトにとって最後の踏ん張りどころなのだろう。
悲鳴をあげる体を無視してまたしても起き上がるナイト。
その姿は側から見たら弱々しく映るが、相対する男はそうは映らなかった。
何故なら男はよく知っているからだ。
何度も傷つき、倒れても決して諦めずに立ち向かってくる者の強さを。
そう、それこそまさに今のナイトの如く……。
「………」
緩りとした動作で刀を上段に構え、力を込め始める男。
一見すると攻めるチャンスと思えるがナイトは今日一番の冷や汗をかいた。
恐らく、いや、確実に大技が放たれる事を肌に感じ取っていたからだ。
「構えろ、ブレイドナイト。そして、この技を破ってみるがいい!」
「…上等!」
男に応えるべくハートフルブレイドを構えるナイト。
その体は薄くだが光を纏い始め、目は男だけでなく先程までは見えなかったモノも見据えていた。
「獄炎ノ浄……呀落那ァッ!!」
「ッ!」
刀から放出された獄炎が炎刀となって降り落ちてくる。
だが、それはあまりにも大き過ぎた。
大きく、
分厚く、
重く、
見る者を圧倒するそれは炎刀というよりは炎の柱だった。
………
……
…
結論から言うとこの勝負はナイトの負けだった。
「あの一撃を越え、あまつさえこの俺に一撃入れるとは……やはり御剣はたいした男だ」
だが、男が言った通り明はあの巨大な攻撃を凌ぎ、男に確かな傷跡を残したのだった。
男曰く、
あの一撃は自身の上級技の一つであり、それを破る者…ましてや人間は明が初めてと称賛した。
尤も、その明は今現在力尽きて気絶しており、ゆりの膝枕にも男の称賛にも気付いていないのだが。
「…貴方、本当は噂よりももっと明や私達の事を知っているわよね?」
「む?何故そう思う?」
「…貴方から敵意を感じない事もだけど、何よりも明や私達を見る目が柔らかいのよ」
それこそ、友を見る目の様に…と言うゆりに男はほくそ笑んだ。
「そういえば、お前の聡さも中々のものだったな」
「…はぐらかさないで教えて。貴方は誰?そして私達の何を知っているの?」
気絶程度で済んだものの、大切な仲間を倒されて内心穏やかではないゆり達。
その彼女らの強い視線を受けても男は平然とし、それどころかやはり来た甲斐があったと思っていた。
「それは言えぬ。だが、敵ではない事は確かと言っておこう」
「…そう……」
男からの応えにゆりは嘘は言っていない、と感じた。
いまだ存在自体は怪しい人物だが、性格はどこか明と似ている所があると思ったからだ。
「さて、本来ならば御剣が目を覚ますのを待ちたい所だが、生憎と時間が来たようだ。元の世界へ帰っても構わないだろうか?」
「それなら、最後に一つだけ言わせて。……もしまた次やってきた時は、明だけでなく私達が相手をするわ!」
そうだ!と言わんばかりに男を見つめるオールスターズ。
その強い意思に、男は改めて感嘆の念を抱いた。
「それもまた良し。ゆめゆめ、己を磨く事を怠るな」
そして男は来た時と同じように刀で空間を斬り、次元の境目へと入ってゆくのであった。
「さらばだ、この世界のプリキュア達。そして、この世界の御剣 明よ」
【終わり】
オマケ1
〜その後・戦艦にて… 1〜
ツナギの男:「ケッケッケ、まさかこっちの世界のアキも一撃入れるたぁなぁ!」
大柄な男:「ガハハハ!宴の用意は済んどるぞ!」
帽子の男:「でもまだ少し時間かかるから、適当に時間潰しといて」
男:「うむ、わかった」
オマケ2
〜その後、戦艦にて… 2〜
眼鏡の女:「フフ、その傷も治すつもりはないのね」
眼帯の女:「ヒャハハ!これでまた魔界で噂が広まるかもな」
清楚な子:「ですが、この世界の彼らは私達が必ず守ります!」
ロリっ子:「アキちゃんたちとのやくそくー!」
男:「フッ、指切りはしていないがな」