花を護る騎士 ブレイドナイト   作:葵祈つばめ

92 / 741
つばめ:「…おろ?日常編100話近し?」

明:「ケッケッケ、ガンバガンバ」


〜本屋〜

とある平日の放課後、俺はゆりと一緒に商店街にある本屋に来ていた。

 

「私の用事なのに付き合わせて悪いわね」

 

「気にすんな。実を言うと俺も本屋に用事があったからな」

 

「あら、そうだったのね」

 

「あぁ」

 

まぁ、用事つっても本を買うかどうかまでは決めてねぇからな。

 

軽く読んでもし気に入ったら買うとしますかね。

 

「んで?ゆりのお目当ては何の本だ?前に教えてくれた旅人の小説か?」

 

「いいえ、それとは別。今回は私好みの小説が無いか探しに来たの」

 

「成程。それで好みのモンがあったら買うって訳か」

 

「そうね、できればそうしたいのだけど……」

 

おろ?

珍しくゆりにしては歯切り悪いな。

 

「何か訳ありか?」

 

「…今月は別件でそれなりに使ってしまったから懐が寒いのよね」

 

「ケッケッケ、ある意味あるあるネタだな。ドンマイゆり」

 

「そうね。………ふふふ、きっと毎日が幸せ過ぎるものだから知らないうちにお財布の紐が緩んでいたのかもしれないわ♪」 (ボソッ

 

「……ゆり」

 

「それじゃあ明、私は少し探すからここからは別行動しましょう」

 

なんてこった、こっちが何か言う前にゆりさんってばそそくさと別の棚の方へお逃げなさっちまったぜ。

 

あの様子から察するに自分の言った事に対して一気に恥ずかしかなっちまったんだろうな。

 

ケッケッケ、折角ゆりの呟きを聞き逃さなかった明さんがイジってやろうとしたのに愛(うい)い奴だぜ。

 

まぁ、そーゆーところがゆりの隠れた魅力なんだけどな。

 

「さてっと、んじゃま俺も自分の用事を済ませるとしますかね」

 

メンズの雑誌の棚は……っと、意外と近くの棚だったな。

 

こりゃ結構結構、ニワトリはコケコッコー。

 

「できればこの場で済ましてぇ所だが……えりか部長から三つも宿題を出されちまったからな。やっぱ、買ってくとするか」

 

流石の明さんとて専門外の事に関しては記憶力も人並み、もしくはちょい下になっちまいますってな。

 

「とりあえず、ファッション雑誌と小物アイテム雑誌は買うとして、後は……お?」

 

何か宿題を片すのにいい雑誌がねぇかと辺りを見回したらある雑誌を発見。

 

成程、ここらの棚はメンズのファッション雑誌だけじゃなくレディースのファッション雑誌も置いてあるからあってもおかしくはねぇな。

 

「ケッケッケ、表紙はやっぱりももかか。まぁ、ももかは現役女子高生カリスマモデルだから当然と言えば当然だよな」

 

それにしてもアレだ、

ファッション誌・BiBiはこれまでに何冊も見せてもらった事があるが、モデル仕事の時のももかはやっぱいつものももかとは違うよな。

 

「ほぉほぉ、成程成程。キュート系からクール系まで様々だな」

 

ペラペラとめくっていく度におしゃれコーデに身に纏いビシッとポーズを決めてるももかの写真がずらずらずら〜り、ずらずらり。

 

さっきも言ったが現役女子高生カリスマモデルの実力は伊達じゃねぇな。

 

「まぁでも、雑誌には載せられねぇ様なももかの姿や写真は明さんの頭の中のメモリーに確りと保存されてたりするけどな」

 

これぞ所謂“彼氏又は恋人特権”ってヤツだな、ケッケッケ。

 

「んじゃま、折角見つけたこの雑誌も含めて合計で三冊お買い上げといきますか」

 

「ふふふ、メンズ物のファッション雑誌を買う明も新鮮で良いわね」

 

「お、その声は……ケッケッケ、いつの間にこっちに来てたんだ?」

 

この俺に気付かれずに背後をとるとはゆりも中々の手練れだぜ。

 

「ついさっきよ。それで?その三冊が明の用事だったのかしら?」

 

「あぁ。メンズ物のファッション雑誌はそうだが、BiBiの雑誌はももかが表紙を含めて出てるから折角なんで買う事にしたぜ」

 

「ふふふ、また表紙に選ばれるだなんてももかも頑張り屋さんだわ」

 

「だな。んで?そっちは好みのモンは見つかったのか?」

 

「えぇ、見つかったのだけど……ね?」

 

成程、そーいや今月は懐が寒いって言ってたな。

 

「それなら俺が買ってやるからよ、その小説を持ってこい」

 

「あら、良いのかしら?」

 

「おう。幸いにも今の明さんの懐は温かいからな。三冊から四冊に増えてもモーマンタイ。それに……」

 

「それに?」

 

「毎日が幸せ過ぎるもんだから財布の紐もついつい緩んじまうぜ」 (悪笑

 

「っ!?」

 

おーおー、ゆりさんってばいい顔しやがるぜ。

 

「聞こえてねぇと思ったか?ところがぎっちょん、確りと聞こえてましたぜ」

 

「……地獄耳ね」

 

「なんてこった、そんな事よりも明さんに言う事があるんじゃねぇのか?」

 

「…そうね。……ありがとう、明……」

 

「ん、よく言えました。後でご褒美やろうか?」 (悪笑

 

「……えっち」

 

「ケッケッケ、勝手にそっちの事を考えたゆりの方がえっちじゃねぇのか?」

 

「……うるさいばか♪」

 

 

【終わり】




オマケ1

〜その後〜

明:「そーいや、ゆりはどんな小説を選んだんだ?」

ゆり:「“時世界”というタイトルなのだけど。 聞いた事あるかしら?」

明:「いや?聞いた事ねぇな」

ゆり:「そう、少し読んだけど中々面白い小説だったわ」

明:「ケッケッケ、そりゃ良かったな」


オマケ2

〜翌日・明の部屋にて〜

ももか:「あ、これBiBiの最新刊!」

明:「あぁ、昨日本屋に行ったら見っけたからな。折角だから買ってみたぜ」

ももか:「も〜♪明君ってば私の事大好きなんだから〜♪」

明:「ケッケッケ、そのとーり。今もももかに悪戯したくてうずうずしてるぜ」 (悪笑

ももか:「いやん♪明君のエッチ〜♪」


オマケ3

〜3日後の放課後〜

明:「ほれ、言われた通り、デザイン案用意したぞ」

えりか:「え!?期限までまだ4日残ってるんだけど……」

明:「バーロ、この手の宿題は早めに片付けた方が楽なんだよ」

えりか:「そっか〜。それじゃあこれからもバンバン宿題を出すっしゅ!」

明:「なんてこった、程々に頼むぜ」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。