明:「ケッケッケ、ドンマイ」
とある平日の放課後、俺は帰宅して早々にある匂いに気がついた。
「…何か煮込んでんな」
この風味からして匂いの元はスープだと思うが……まさかダークが作ってんのか?
それだったら驚き桃の木山椒の木。
気紛れクッキングにしては中々凝った事をしてくれるぜ。
「おーい、作業はどーだ?順調か?」
「…む?帰ってきたか。おかえり」
「おう、ただいま…って何してんだ?」
玄関からてちてち歩いてリビングに来てみればなんということでしょう。
リビングに置かれたテーブルの上には手当てされた黒猫、そしてその傍らにはわざわざ画用紙で作ったナースキャップを被ったダークさんがおりました。
「見ての通り看病だ!」
「そーかい、なら質問を変える。何で猫の手当てしてんだ?」
「よくぞ聞いてくれた。これには訳があるのだ!」
「ほうほう、その訳ってのは?」
「なんと!」
「あぁ」
「実は!」
「うむ」
「まさかの!」
「先に着替えてくるぜ」
「む、ノリが悪いぞ明〜」
「うるせ。無駄に勿体振るダークが悪りぃ。それと皺付けると面倒なんだよ」
「ならば仕方ない…。だがしかし!45秒で支度を終えろ!」
「ケッケッケ、断る。3分間待てやがれ」
………
……
…
んで、着替えその他諸々を終えた3分後、何処ぞの六連や八連の如く話の軌道が変わるダークの話をまとめると……
・この猫は近所の空き地で見つけた
・既に動物病院へ連れてき診察や治療済み
(因みに費用はダークの小遣いから)
・元々は隣町の猫だが縄張り争いに負けこの町へ
・名前はまだない
いやはや、猫社会も中々どーして大変なんだな。
「んで?ダークはこの猫をどうするつもりだ?」
「うむ。私のシマで見つけたのも何かの縁だ。体力が戻る間だけでも私が面倒を見るつもりだ!」
おーおー、感動のあまり涙が出そうになる程ご立派だこと。
「という訳で明も暫くの間協力してくれるか?」
「おう。俺でよければな」
とは言ったものの、もしもダークがこのまま猫を飼うつもりだったらそれはそれで要相談案件待った無しだけどな。
ん?何故かって?
そりゃアレだ、弱った猫を助けたい気持ちはわかるが飼うとなるとそれはそれで別問題だからだ。
あ?薄情だって?
バーロ、たかが猫一匹されど猫一匹。
飯、寝床、躾、玩具、その他エトセトラエトセトラ、子供に玩具買うのとは訳も額もちげぇんだよ。
それに今は何も起きてねぇが俺若しくはダークが猫アレルギー持ちの可能性も否定出来ねぇ。
そんで、一番問題なのがただ可愛いからっつー安易な気持ちで飼ったものの、問題発覚したらやっぱり捨てるっつー最低な輩だ。
もしも今後ペットを飼おうとしている奴、飼おうとする前にもう一度根本的な事を見直してくれ。
お兄さんとの約束だぜ?
「明?」
っと、いけねぇいけねぇ。
滅多に出ねぇ明さんの暗黒面がこにゃにゃちわしてたぜ。
「どうかしたか?」
「いんや、どうもしてねぇよ。…てか、この猫に名前は付けなくていいのか?」
暫くとはいえ、一緒に暮らす以上名前は付けといた方がいいからな。
まぁ、名前を付けちまうとサヨナラする時に情が沸いちまうかもしれねぇが……ダークなら大丈夫だろ。
俺と同等かそれ以上に図太い精神の持ち主でいらっしゃるからな。
「む、名前か。……名前……」
ケッケッケ、ダークさんのシンキングタイムスタートだぜ。
「こいつは黒猫、そして青い目……」
「青っつーか水色だけどな」
「ふむ…。……はっ!」
「お?閃いたか?」
「あぁ!聞いて驚け!」
「見て笑え」
「我ら月影ゆり様の一の子分」
「明ベエ」
「ダクスケ」
「そしてコイツが…」
「アオネ!ではなく!ラピスだ!」
成程、体の黒と目の青でラピスラズリを連想したって訳か。
「ケッケッケ、いいネーミングセンスだな。流石はダークだぜ」
「当然だ!ダークさんはデキる女だからな!」 (ドヤァ
「だな。んじゃま、暫くの間よろしく頼むぜ、ラピス?」 (なでなで
「ンニャァ〜……」
【終わり】
オマケ1
〜2日後〜
ラピス:「ミャァァァ〜!」
ダーク:「立った!ラピスが立った!」
明:「ケッケッケ、クラ〇かっての」
オマケ2
〜1週間後・植物園にて〜
ゆり:「それで?ラピスはどうなったの?」
明:「ダークの新たな子分としてファミリーに加わったぜ。勿論、他の子分達同様ファミリーのルールを確り教え込んで上でな」
ゆり:「ふふふ、そうなの」
オマケ3
〜近所の空き地にて〜
ラピス:「ミャァァ……」 (ふにゃ〜
ダーク(妖精):「くっ!今日も平和だな!」 (なでなで