あと多少加筆しました
「さあランク戦第4試合夜の部、B級上位チームの試合が始まります。司会は私三上が。解説にはA級一位部隊の出水隊員と、最年少A級隊員の黒江隊員に来ていただきました」
「よろしく」
「よろしくお願いします」
司会の三上は風間隊のオペレーター、出水はA級一位太刀川隊所属の天才シューター、黒江は最年少A級隊員で、A級唯一のガールズチームの加古隊所属のアタッカーである。
「さて、始める前に入ってきた情報なのですが真田隊に新しく隊員が入ったそうです。お二人は何か聞いていますか?」
「いや、俺は聞いてないね」
「それなら私が加古さんから少し聞きました。狙ってた子を真田さんに取られたー、って」
「なるほど。新しい隊員はA級部隊に誘われるほどのセンスをもっているということですかね。ポジションとかは聞いていますか?」
「すいません、そこまでは…」
その情報に答えたのは黒江だった。というのも彼女は隊室で隊長のグチを聞いただけというものだが、それでもこの場では唯一の情報源だ。
「ということはこの試合が完全にその隊員のデビュー戦となる訳ですね。それにしても真田隊長はスパルタみたいですね、デビュー戦をB級上位とのランク戦にするなんて」
「やー、あの人のことだからその辺は特に気にしてないっしょ。壁にぶち当たるのはいつでも同じだとか言う人だし、デビュー戦を遅らした訳じゃなくて本当に最近加入したんでしょう」
この質問は観戦者の大半が思っていたことであろう。普通集団戦のデビュー戦がB級上位はあり得ない。しかも相手は過去A級にいた実績のある影浦隊と、過去にA級一位部隊を率いたことのある東がいる東隊が相手なのだ。これは流石にスパルタ過ぎると思われてもおかしくはない。それにランク戦期間始まって4試合目の途中加入というのも普通ではありえない。
しかし出水は真田との過去からそれを否定した。
「そういえば噂になっていましたね。真田隊長と戦い認められれば加入出来るというのが」
「あ、それ関連でメール貰ってるわ俺。真田さん曰く、別に隊員は募集してないから来てもランク戦やるだけで入れるつもりはないぞ、スカウトなら自分でする、だって。解説でその話出たら広めといてって言われてたんだ」
この噂が流れていると知った真田は、次のランク戦の解説である出水に事前にメールで否定しておいて欲しいと送っていたのだ。
「なるほど。それならより気になりますね、どうしてこのタイミングで新隊員が加入したのか」
「多分だけど理由分かるよ?」
「え?それは?」
「ノリ」
周りは冗談だと思い笑っていたが、付き合いの長い連中の何人かは思った。
『(ありえる!)』
と。
◆◇◆◇◆
「さあ各隊一斉に転送されました!そして東隊と絵馬隊員、そして噂の新隊員、筧隊員はバッグワームを起動しマップ上から消えた!」
「ステージは市街地のAか、完全にスタンダードなフィールドだな」
「この意図はどう読みますか?」
「筧さん?がバッグワームを使ったのはスナイパーか、それか真田さんと合流するまでの時間稼ぎだと思います。集団戦に慣れてないなら尚更」
そしてステージでは早速真田が動き出していた。
「あっと!?いきなり真田隊長ステージを爆撃し始めた!?」
これには観戦者も結構な人数が引いている。が、食らっている方は堪ったものではない。
『クソッ!あの野郎!ユヅル!真田は!』
『爆撃の煙のせいで視界が利かない、レーダーで確認して』
『あ、東さん!?』
『冷静にいけ、2人とも。この煙のせいで援護は大変だがフォローはしっかりやる。まずは合流を急げ。奇襲は警戒しろよ』
『『了解!』』
「これは撹乱と狙撃封じが狙いかな?」
「ということは筧隊員はスナイパーではないと?」
「いや、あの人の場合はそう思わせてスナイパー何てこともあるから断言は出来ない。まあ影浦隊にも東隊にもスナイパーはいるから結局狙撃は警戒しなきゃいけないんだけどね」
そしてフィールドが煙に覆われた所でレーダーから反応が消える。状況から真田がバッグワームを発動させたのだろう。
『2人とも、この煙に乗じて合流を優先して。近くに影浦隊の反応はないわ』
『了解です摩子さん!』
『クソッ!あの野郎消えやがった!』
『カゲ深追いすんなよ!罠かもしれないかんな!』
『分かってるよ!』
この煙のせいで戦線は膠着する、筈だった。
戦場に一条の光が閃く。
ドン!
「な!?あ、東隊長がベイルアウト!一体何が!?」
「あー、ちょっと戻してもらっていい?煙上がったとこ。そうそこ。で、少し進めて……あやっぱり」
「出水隊員、解説お願いできますか?」
「はいはい。まず真田さんは周辺を合成弾のトマホークで爆撃して視界を封じた。ここまではみんな分かるでしょ?で、少ししてレーダーから反応消えたじゃん?その少し前からグラスホッパーを使って空に飛んで追加の爆撃してる。ホラそこ」
そう言って指差した画像には見難いながらも確かに人影が見える。
「で、空まで駆け上がったらもともと視覚支援でもしてあったのかな?上空から敵を探して、東さんのベイルアウトの一瞬前にレーダーに映ったからその瞬間にバッグワームから狙撃系のトリガーに換装して狙撃、ってとこかな?こんな爆撃しまくれるとか、相変わらずトリオン量がおかしいな」
「凄いですね、一瞬でそこまで見抜いたんですか?」
「いや、似たの太刀川さんにやって失敗したの見たからね。改良したんじゃない?」
これはその通りだ。これはグラスホッパーで上空に飛んだ後、狙撃して更に追撃までが出水が見たパターンだが、その時に飛ぶ瞬間を見られて普通に対策を取られたら上位陣には意味がないと確信したためそこの対策を考え改良したのだ。
流石に初見の相手だと、上空から狙撃なんて発想がないので対応はどうしても遅れる。そしてその隙をライトニングで逃さなかったのだ。
「何はともあれ真田隊長一点獲得、一歩リードです」
『狭霧、俺が言うところをマップにマークしてくれ。そして彩香、俺がタイミングを測るからマップのマークされたところにハウンドを上空から降らせろ。そのすぐ後にバッグワーム解除してハウンド+メテオラの合成弾をもう一回、全力で』
『はい!』
真田は先ほど空中に飛んだ時に小荒井と奥寺も捕捉しており、動きなどから合流を優先しているのを読んでいた。そしてもうすぐ合流するのでそこを一気に叩こうとしたのだ。そのおおよその合流地点を三好に伝え、マップにマークさせる。
ちなみにもうかなり煙も薄くなってしまったので誰かは判別出来ないが、誰かがいるのはわかるレベルになっている。
『今だ!』
『はい!』
「おっと?ここでハウンドを放ったのは筧隊員、その射線の先には合流をしたばかりの小荒井奥寺両隊員。しかしこれはバッグワームを解除した2人のフルガードに防がれてしまった!」
『クソ!何だこの量!トリオン量どうなってんだよ!』
『愚痴るな!この隙を真田さんが逃すわけないぞ!』
そう言いながら2人は上空から降り注ぐハウンドの雨を防ぎながら全周を警戒する。いつでも不意打ちに対処できるように。
『!もう一回来たぞ!』
『分かってる!今度は回避しながらだ!狙撃に気をつけろ!』
『おう!』
『違う!フルガードだ!』
しかし東の声は間に合わず、ハウンドだと思って回避したものが炸裂した。
「こ、ここで小荒井奥寺両隊員ベイルアウト!今のはまさかハウンドとメテオラの合成弾ですか?」
「そうみたいですね。でもあれそんな簡単じゃないんだけど……」
それは合成弾の得意な出水も戸惑うほどだった。普通、合成弾に慣れてない人だと数十秒から数分はかかる。それなのに彩香はラグが10秒もなかったのだ。
「まさかスパルタで叩き込んだのか…?」
「と、とにかく筧隊員は2ポイント獲得!そして東隊は全員ベイルアウト、衝撃の結果です」
この短期間にこんな技術を叩きこんだと思った出水は戦慄する。実際はそんなことはないのだが、ついそう考えてしまうのは真田の日頃の行い故だろうか。
そしてこれで残りは影浦隊3名と真田隊2名となった。ポイントは真田隊が3点獲得だ。
「そしてここで真田隊が合流。そのすぐ側には影浦隊長が接近している!」
『やるじゃねえか真田さん。まさかこんな風になるとはよ』
『お?おしゃべりタイム?やっさしー(彩香、アステロイドとメテオラ斉射)』
『(はい!)』
筧が斉射した瞬間に10時の方角から筧に向けて狙撃された。しかしそれは真田のフルガードで阻まれる。
『おい、口と行動が一致してねーぞ』
『え?戦闘中におしゃべりとか馬鹿なの?本気で信じてんの?』
『そんぐらいわかるわ!』
『ですよねー』
HAHAHA!と小馬鹿にするように笑う真田に、キレる影浦。
そんな口の応酬と並行して援護の絵馬の狙撃をシールドでガードし、北添のメテオラをライトニングで撃ち落とす真田。対して筧はアステロイドを体に当てるように放ち、たいしてメテオラは進むのを妨害するように影浦の周辺に着弾させる。それを影浦は時に躱し、時に斬り伏せ、時にシールドで守る。トリオン量の消費は真田隊の方が激しいが集中力の消耗は影浦が一番キツイだろう。
いや、もしかしたら一番経験の浅い筧かもしれない。なにせこんな弾幕の中進んでくる相手など今まで経験したことないだろうから。
『(真田さん、弾道解析終わりました。マップにマークします)』
『(ん、ありがと)』
そこで逆転の一手が齎される。オペレーターの三好が狙撃手の位置を弾道から特定したのだ。
そこで真田は狙撃とメテオラ迎撃のわずかな時間の隙間を縫い、トマホークを合成、絵馬と北添がいるであろうポイントを爆撃する。
『そら援護が途切れたぞ?』
『チッ!』
援護がなくなり不利になることを察した影浦が撤退しようとする。しかし
『読んでるんだなー』
北添に飛んだと思われたトマホークの一部が戻ってきて影浦の退路に着弾、炸裂する。これで退路が塞がれた形となった。
『そして、これでチェックメイト』
『……チッ』
そこへ筧と真田、2人のシューターのフルアタックにより影浦はベイルアウトした。
『ゾエさんどうしよっか。真田さんの防御抜けそうにないよね?』
『というかメテオラ撃ち落とされるとかどういう事!?それと一緒にユズル狙撃も防いでたよね!?』
『どうすんだよ!完璧に防がれるから分断も出来ないぞ!』
『フム。ゾエの方に行くと狙撃がうぜーし、かといって絵馬の方に行こうとするとメテオラを迎撃出来そうにない。どうすんべ』
『あの、私が囮になりましょうか?』
『それは多分読まれるし、狙撃されたら俺が追いつくまでに姿を隠されるかもしれないから保留。ん~、どうしようか……』
「戦況が膠着しましたね。これはどう読みますか」
「まず影浦隊の二人は真田さんの防御を抜けないからね。攻撃はいったん止めて居場所を特定されないようにして方針の話し合いでしょう」
「それで真田さんの方は、4ポイントで満足して無理をしないのかもですね」
「そうですね。このままいくと真田隊が4ポイント、東隊影浦隊が0ポイントになります」
「ランク戦自体上に行くためには失点よりも得点が大事だけど、影浦隊はリスクを冒しても点を取れるビジョンがなければ、これ以上点を取られないように隠れてるかもね」
そしてその出水の言葉通り、両者は仕掛けることをせずタイムアップとなった。
「ここで試合終了です。最終スコアは4対0対0で真田隊の勝利です。本日の試合を振り返ってどうでしたか、お二方」
「やー、やっぱり最初に東さん落とす手際が良かったね。あれでまず優位に立てたでしょ」
「そうですね。それに筧さんの合成弾は脅威でした。本当にB級上がりたてなんですかね?」
「それ俺も思うけど、まあ事実だし。これからはマークされるだろうけど真田さんならそれも跳ね返す位鍛えるんじゃない?」
「作戦についてはどう思いますか?」
「あれを作戦って言っていいのか……まああんなこと考えて実行できるのはトリオンが豊富にあって、なおかつ空中で精密射撃出来る人がいるチームだけだね。真田さんの力技と言ってもいいし、参考には出来ないね」
それをわかっていても聞かなければいけない司会の三上は乾いた笑いしか出ない。黒江も頷くだけだ。
「ではお二方、ありがとうございました」
「「ありがとうございましたー」」
こうしてランク戦第四戦が終了した。
ホントは四つ巴を書きたかったんですけど原作と同じ組み合わせはどうかと思ったんでこうなりました。完全に同じじゃないからいいよね?(目線そらしー
他のB級上位の戦法が分かればよかったんですけどね
で、今回二チームを圧倒したわけですけど、東さんなら爆撃の煙越しでも狙撃してきそうじゃね?って思った人、実は俺もそう思いました。13巻でも似たようなことしたし。
ですがあの時との違いとしてはかなりの範囲に爆撃を行い、広範囲かつ大量の煙のせいで流石の東さんも狙撃は厳しかったと思って下さい
こうでもしないと東さんの倒す方法思いつかないんで
なにせ初見のラービットからもジェットゴリラからも逃げ切る人なもんで……
あと書いて思った。この人頭もいいから書きたくない
あ、もちろん東さんは好きですよ?
ではまた次回