ワールドトリガー 全てはこの手で   作:ジュナス

15 / 27
十四話

俺たちがA級に昇格してから少し経ったが、特に変わったことはない。というかそうそう変わったことが起きる方が困るのだが。

今は隊室でゴロゴロしながら小説を読んでいる。思考加速を使えば速く読めるが、時間つぶしも兼ねているのでそんなことはしていない。

ちなみに今日は平日の為2人は学校で、別に任務はないのだ。それにしても暇である。

 

「お邪魔しまーす」

「おー、なんか用かー?」

 

入ってきたのは太刀川だった。この時間にいるということはおそらく講義がないのだろう。それか任務前後の空き時間か。

 

「真田さん、レポート「パス」まだ言い切ってないんですけど」

「どうせ手伝えとかかわりにやってくれだろ?パスだパス。そんなに面倒いなら大学なんて辞めちまえ」

 

実際はそんなこと思ってはいないが、甘やかしは良くないと学んだ。こいつ分からないことは全部誰かに聞くようになりかねない。

 

「真田さーん、いるー?」

「おうなんだ?」

 

そして続いて入ってきたのは加古ちゃんだった。なんだ?今日は大学休みなんか?

 

「レポート課題出たんだけどいい本持ってない?」

「なんの課題?」

「経済学の―――」

「ああ、それなら―――」

 

そんなやり取りをし、今度貸してやることになった。まあもう読まないようなもんだから返却の催促はしないだろう。多分上げてそう。

 

「ちょっと!対応の差が激しい!」

「あら太刀川くん、いたの?」

「なんだ本借りたかったのか?それならそう言えよ。で、なんの本がいい?ミクロ?マクロ?それともマルクス?あ、意表をついてユングの心理学とか?それともニーチェの哲学?残念だが法学はもってないなー。理系は守備範囲外だからエンジニアの人に頼むといい。あ、数学教えるくらいなら余裕だぞ?微分積分とその応用、行列や確率分布までな」

「ミクロ?マクロ?マルクス?ユング?」

「加古ちゃん、あれが大学生だってよ」

「笑っちゃうわね」

 

と、軽く小馬鹿にしたように笑う。実際大学生なら聞いたことはあってもおかしくないレベルなんだがな。むしろ知らないとおかしい。

 

そして手伝ってくれないのが分かったからか、太刀川はすごすごと帰って行った。まあ残当。

 

「というか真田さん、そんなに本持ってるの?」

「ああ。サイドエフェクトのおかげで本読むのも速えーし、時間も金も余裕があったしさ。般教の参考書とかも指定されてたのは大体買って全部読んだし」

 

「真田さん、いるか!?」

 

……今度は諏訪かよ。

 

「お前ら大学生は暇なのか?」

「今日は学祭の前日準備で休講なのよ。覚えてるでしょ?」

「ああ〜」

「それよりも真田さん!課題なんだけど―――」

 

 

このあとめちゃくちゃ説教した。

 

 

 

 

 

 

「んあ?」

 

あれ?寝てた?今日何してたっけ……ああそうだ、大学生組がいっぱい来てその相手をして、そのあとは今回の小説がクソで眠くなったから寝てたのか。

 

徐々に意識が覚醒してきたので体を起こし伸びをする。するとかけてあったらしい毛布が床に落ちた。

……寝落ちだから誰かがかけてくれたのか。

 

「あ、真田さんおはようございます」

「ん、おはよう狭霧ちゃん。毛布ありがとね」

 

お礼を言うと、照れながらもどういたしましてと言ってくれる。というか今日は俺ら防衛任務ない日だけどどうしたんだろう?

まあ何か用事でもあったのだろう。

スマホを見てみるが、特に誰かから連絡が来ているということはなかった。さて今日はどうしようか……

 

「あの、真田さん」

「ん?どした?」

「もし時間があるなら勉強を見ていただけませんか?」

 

ん、そういや狭霧ちゃんも彩香ちゃんも今年受験生なんだよな。高校選びってのは結構大事だもんな。でもまあ多分ボーダーの提携校に行くのだろうが。

 

「うん、いいよ。何からやる?」

「はい!じゃあまずは―――」

 

 

 

 

沙霧ちゃんの区切りがちょうどついた辺りで止めに入る。

 

「よし、これでOKだな。結構時間も経ったし少し休憩しよう」

「あ、ホントですね。それならお茶淹れてきますね」

「いや、俺が淹れてくるよ。何がいい?」

 

そう言い、遠慮される前に席を立つ。

それに今回は俺は勉強を教えているだけだったのであまり疲れていないから俺がやるべきだろう。

 

「あ、ありがとうございます。それなら紅茶を……」

「ん、了解」

 

それから少しかかったが紅茶を淹れ、お茶請けになりそうなものを俺の棚から漁る。

ん~紅茶に合いそうなもの……お、いいのあんじゃん。

 

「はいどうぞ」

「ありがとうございます」

 

そして狭霧ちゃんは紅茶を口に含む。すると幸せそうな顔になる。

満足してくれたようで何よりだ。

 

「真田さんの淹れる紅茶はやっぱり美味しいですね」

「ん。ありがとう。でもこれくらいなら練習すれば淹れられるさ」

「でも私はまだまだ真田さんには及びません……」

「ま、そこは練習だね。頑張れば俺よりも美味く淹れられるようになるさ」

 

俺はいつの頃からか、飲み物は大体自分で淹れるようになった。そのおかげか、緑茶と紅茶は結構上手になったのだ。まあ少なくとも三年はやっているから上手くなるのは自然だが。それに紅茶などの美味しい淹れ方なんて今日日ネットで検索できるからそれ見て練習すれば結構簡単に美味しく淹れられたが。

 

そのまま少し休憩しながらおやつのクッキーを食べていると、彩香ちゃんも隊室に入ってきた。

しかしその顔には少し疲労が伺えた。

 

「お疲れ彩香ちゃん。なんかあったの?」

「あ、真田さん。それがですね……」

 

聞くところによると、まず普通にソロランク戦をしていたところに木虎に勝負を挑まれた。そしてそれに勝ち越してしまい、色々と言われたらしい。

あいつは同年代以上にはひたすら自分を大きく見せようとしている節があるからな。俺はそういうところが関わりたくないんだよ。

 

「そういや彩香ちゃんって前にもあいつに絡まれてなかったっけ?」

「そうですね、以前まだB級だった時に色々言われました。でもあの時は半分初心者だったのでとくに気にしてなかったんですけど、最近は少し……」

 

あ、そういえば彩香ちゃん他人とのコミュニケーション自体得意じゃないんだよな。それなのにそんな風に言われれば嫌にもなるか。

俺なら煽りに煽ってキレたところをいたぶるんだが、彩香ちゃんはそういう事するタイプじゃないし。そうすると無視するしかないのか。あ、まだあるか。

 

「ならあいつが何も言い返せないくらい強くなろう」

「はい!これからいいですか?」

「いや、今日は狭霧ちゃんの勉強みるって言ったからまた今度ね。それとも彩香ちゃんも勉強みようか?」

「……そうですね、今日はそれでお願いします」

 

そのまま三人で勉強会を行った。

狭霧ちゃんは進学校を余裕をもって合格できるが、彩香ちゃんはギリギリくらいだったので今度からも勉強はしっかり見てやらないとな。仲いい子と高校が別々になるのは悲しいし。

 

その後は三人で夜まで勉強会を行った。彩香ちゃんがギブアップしそうだったがなんとかやり切ることはできた。このまま勉強を続けられるなら進学校への進学も問題ないだろう。

 

 

それにしても木虎なー、あいつと彩香ちゃんは確か同い年だったな。それ関連でライバルとかでマークされちゃってんのかな。でもそれに対して彩香ちゃんはあいつのそういう行動はあまり好ましくないみたいだし。この辺は今度嵐山に会った時にでも相談しとこう。

 

そして彩香ちゃんの強化プランか。こっちはどうしようか。とりあえずシューターとしては及第点はあるが、木虎に安定して勝つために何をしようか……いや、新しい戦法やトリガーなどを覚えさせるよりも俺がアタッカーとして戦うか。そしてアタッカーにはどのような戦法が有効か、自分で考えてもらおう。

まあ木虎はアタッカーではなくオールラウンダーだけど、あいつが使うガンナートリガーのタイプはハンドガンだからほぼアタッカーと考えてもいいだろう。

さて、そうと決まれば今度の練習のためにトリガーセット変えとこう。

 

さて、色々予定組んでやんないとな。

 

 




今回は少し作中時間が過ぎましてあと少しで原作が始まるところです
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。