本日、三門市の警戒区域外でイレギュラーゲートが開くといったことが数件発生しているらしい。今のところ付近の非番の隊員が撃退したらしいがボーダー上層部はこの件を重く見て対応に当たっているがまだ手掛かりが発見出来ていないらしい。まあ一日で発見出来りゃ苦労ねえだろうよ。
「状況は把握しました、忍田本部長。なんで俺にそれを?」
「真田にはこれからは警戒区域外でも気を配って欲しい」
「……まあ理由は分かりましたけど、具体的にはどこを?俺的には病院かB級以上の隊員が所属していない学校が危ない気がするんですけど」
「その辺りの判断は任せる。これは正式な任務ではないが嫌な予感がするからな」
まあそんな状況なら俺も警戒するのは吝かではないが、休みが減る以上何かしらの補填は欲しい。……今度忍田さんに奢ってもらうか。それ以上は無理だな、組織的に。正式任務ではないし。
「あと忍田本部長、イレギュラーゲートのことなんですけどアプローチの一つとして考えがあります。今まで向こうの連中がどうやってゲートを開けていたかは技術面に詳しくないんで分かりませんが、多分向こうの世界からこっちの世界の大まかな場所にゲートを開けようとしていたんだと思います」
「それはおそらくそうだろう。だから我々もそこに介入しゲートの出現位置を限定できているのだ」
「ならこっちの世界から向こうにゲートを開かれたら?」
「…!それは!」
「ああ、別に裏切り者とかそういう考えではありませんよ。ただ、連中がその手の新型トリガーやトリオン兵を運用している可能性を考慮すれば対策が取れるかもしれません。まあ向こうの技術が単純にこっちを大きく引き離した可能性もありますが」
あっぶね。確かにあの言い方だと裏切り者がいるかもね、って言ってるように聞こえるな。だからっていきなり殺気を出さないで欲しいよ。俺でもあなたは怖いんだからさ。
「…この件は技術部と話してみる。あと今回の話は他言無用だ、他の隊員にもだぞ」
「了解です。早いうちにいい報告が来ることを祈ってます」
失礼しますと言って退出する。
それにしても面倒なことになったもんだ。イレギュラーゲートなんて。これじゃ最悪犠牲者が出るぞ。
それにしても行くところは俺の判断に任せるとか、責任大き過ぎじゃね?
で、行くところとしてはまずこっちの事情として一番マズイのは病院が襲われることかな?なにせ殆ど動けない人たちが結構な割合でいそうだし、人数的にも学校よりもまずそう。でも向こうの事情としてはどうなんだろう?トリオン器官だけ抜くならいいけど効率的には子供を攫うのがいいだろう。そうすれば向こうでも兵士として運用も出来るし、なによりトリオン器官を鍛えることでトリオン量の増加も見込める子供の方がいいだろう。
こう考えると小学校が最優先、第二に病院。その次に中学校か。いや中学校の方が優先順位高いか?でもどの学校にもC級位ならいるだろ。最悪C級一人で少しくらいなら足止めは出来る筈。規則だと普段のトリガーの使用は禁止だが命かかっててそんな規則守るのは頭おかしいから考慮する必要はないな。C級一人プラス一般人数人と隊員の犠牲ゼロで市民数人とかなら後者の方がマスコミは叩くだろうし、前者は最悪美談になるだろうが後者はどうしようもなくただの失態だ。世論を味方に付けるのはまず無理だ。やっぱり優先順位はこんな感じか。そんなことが起きないことが一番なんだがな……
翌日、本部もまだ原因は掴めていないと忍田さんは言っていた。
そして俺はボーダー隊員が駆けつけるまで一番時間がかかるであろう小学校に近いビルの上で日中を過ごしている。問題点は暇すぎてヤバイ。こういう時は相手の狙いでも考えるに限る。
まずゲートを開けるにしても何故非番の隊員がいるところに開けたか。
こっちの偵察、なわけないよな?それだと今までと同じようなもんだし。対応力を図るため?それならわざわざ非番の隊員の近くになんか開けずに無作為にやるもんだ、警戒区域外にゲートを開けられるなら隊員がいないところで開けばいい。むしろ指定して開けたわけじゃない?じゃあなぜゲートを開けた?ゲートが開いたという地図をもらって場所を見たが、パッと見共通項はなかった。ダメだ、混乱してきた。順番に纏めよう。
まず場所について。これは本部から遠い位置に何かしらの装置なりなんなりでこちら側からゲートを開けようとしたことは間違いない。そうじゃなければ技術格差が出来たことを意味し俺が考える必要がなく、技術部に頑張ってもらうしかない。
で、俺が攻める側なら態々戦闘員の近くにゲートなんぞ開けない。それより今いるような病院や学校の方が人は攫えそう。だが向こうはそれをせず地図的には無作為に見える場所に開けた。これから考えると、奴らは場所を選んでいないか選べないか、もしくは選べたうえであえて基地より離れたところにいるボーダーの調査、それかトリオン能力の高い人間の近くに無作為に開けている。この四つが考えられる。
まず場所を選べない場合、何かしら自走型のものにゲートを開ける機能だけ持たせてトリオン能力の高いものの近くで開くように設定されている。……可能性はなくはないが違うな。それだと何かしらの反応があって然るべきだし。……反応?普段どうやって捉えている?奴らがバッグワームみたいなステルス性能持っていたら反応を消すことなど簡単だ。サイズが小さくて今の索敵網から漏れているっていう可能性もあるか?クソ、どんな風に索敵しているのか調べときゃよかった。…まあいい。
次、場所を選んでいない場合。これは選べるが選んでいない場合と選べないから選んでいない場合の2パターンある。後者はさっきのと同じだからいい。前者の場合、選べるが選んでいないのはつまり選べるということ。そこから考えるに偵察出来る仕様のはずで、そうじゃなければ選べる必要性がない。つまり遠隔操作が出来るか、簡単なAIが組み込まれたトリオン兵の可能性がある。そしてその情報を向こうに送ることが出来る可能性もある。…ん?よくよく考えてみればこれの後者って矛盾してるか?いきなり今日数件起きたってことは自走型のではあり得ないんじゃないか?。地図を見た限りそれらは近くであったという感じではなかったし、これは遠隔操作できる可能性が濃厚だな。そうじゃなければイレギュラーゲートは本部付近で発生する可能性があるし、何より警戒区域外に同日に発生するなんて、可能性が低すぎる。と思う。
で、あえて基地より離れたところにいるボーダーの調査のためという場合。これはさっきの前者と同様だな。
これらから考えられることは何かしらの理由で現在のレーダーに映らない、索敵とゲートを開くことが出来るボーダーの確認していないトリガー、またはトリオン兵が用いられているということ。しかも情報を送れる可能性が比較的高く、遠隔操作できる可能性もある。
では次にこれがどのようにこちらに来たか、だ。まずゲートを開いて警戒区域外に来たというのは論外。それだとボーダーが感知する。出来ない方法があるなら初めからそれを使って攫いに来た方が早いので省略。他に方法としては他のトリオン兵と一緒に来ている。これなら可能性がある。つまりデカイ捕獲用、または戦闘用トリオン兵に注目を集めさせ、こいつらを各地にばら撒いていたという可能性が出て来た。戦闘中にトリオン兵を見逃すとは思えないのでかなり小型のタイプになるだろう。そうするとゲートを発生させるエネルギーなんて足りるのか?…もしかして今まで非番の隊員の近くに開いていた理由はそいつらから僅かながらでもトリオンを吸収していた?となるとあまりゲートを開くタイミングは選べない訳だ。だから今までボーダー隊員の近くに発生していたのか。
ここまで想定した中で、もし俺の想定通りのトリオン兵ならなぜ投入されたか。
一つ目、敵情視察。二つ目、トリオン能力の高いやつを攫うため。三つ目、このようなことを頻繁に行い市民の不安を煽ったりボーダー隊員を疲弊させる。四つ目、何かを探している。
一つ目の敵情視察はまんまなので省く。二つ目のトリオン能力の高いやつを攫うというのは、あまり得策ではないと思う。なぜなら一発目で当たればいいが外れれば警戒され、成功率はどんどん下がる。だからこの作戦である確率はかなり低い。三つ目は長期的なスパンでの侵攻準備だろう。だがこれの確率もそこまで高くない。そんなことして他の国に漁夫の利される可能性がそこそこあるからだ。四つ目は……分からん。
可能性順は敵情視察、探し物、陽動、誘拐だと思う。
で、この敵情視察はなにを見ているのか、だ。人員?使用トリガー?黒トリガーの所持数?各人の戦闘能力?そんなものいつものでも把握できるし、態々新型出すまでもない。なら何故?対応力を測ろうってのか?だったらボーダー隊員の近くにゲートが発生するのは設計ミスで作戦ミスだ。
俺たちからして警戒区域内と外の違い。これは戦闘員だけかそうでないか、だな。あと普段はチームで動いていないってとこかな。…ん?トリオン能力云々で行くとこれってC級の連中でも反応する…?もしかしてあいつら、戦闘員は街に住んでるということを把握してる?だから街には戦闘員未満の見習いもいると予測を立ててそいつらを狙っている、のか?いや、でもそんな非効率な。だってベイルアウトがないことなんて知らないだろ?というかC級は基地外でトリガー使用禁止だから情報は漏れてないはず。こっちのトリガーが全てベイルアウトがついてると思っててもおかしくない。いや、まて。どこの世界に見習いに正規兵と同じ装備を与える軍がいる。これまさかC級連中、見習いの装備に対する調査か?となると情報が漏れるのはマズイぞ。あいつらはトリオン兵から身を守る術はないしベイルアウトも出来ない。狙われたら格好の獲物じゃないか。これはマズイ。C級だけしかいない学校が一番ヤバイ…!?
そこに移動した方がいいな。
その瞬間、辺りにサイレンが響き渡った。
これは、市街地にゲートか……!
直ぐさまトリオン体になるが場所が分かんねえ……一体どこにゲートが開きやがった……!非番だからオペもいないし……!
……繋がった!
『真田か「忍田さん!場所!」』
『三門第三中学校だ、行けるか?』
「もち!オペ誰かに頼んで!」
忍田さんに場所を聞いた瞬間にグラスホッパーを使いその場から飛び上がる。
つーか第三中学って沙霧ちゃんいるところだしB級以上いなかった学校じゃねえかよ!無事でいてくれよ……!
ということで原作始まりました
あと文中のラッドの考察、書いてて自分も面倒に思いました。原作読んでる人にはいらないですね
あとこの話、もともとプロローグの後に書いたものなので書き方も荒いですね
一応何度か修正は加えてるんですけどね
ではまた次回