ワールドトリガー 全てはこの手で   作:ジュナス

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十六話

あの後直ぐオペレーターと繋げてもらった。相手は嵐山隊の綾辻だ。正直木虎避けてたから嵐山隊自体と関わり薄いんだよな。でもワガママ言ってられん。

 

俺は空をグラスホッパーとテレポーターを駆使し、翔け抜ける。

 

そしてものの数分で現場が見えた。確認出来るトリオン兵は中庭に一匹。射線も通って障害物もない。遠くても撃つ!

 

「現場を目視、モールモッド一体確認!攻撃に移る!」

 

言うが早いか、校舎を登ろうとするモールモッドをバイパーによって叩き落とす。もちろん周りに被害がいかないよう校舎に対して平行に、地面に対して垂直になるような角度で当てる。

 

校舎崩落での二次被害を抑えるため威力を抑えたせいかまだ活動しているが時間は稼げた。現着だ。

 

「旋空弧月!」

 

上空からモールモッドのコアを正確に一刀両断し活動停止させる。

しかし出現時を確認してない、何体ここに来た!?

 

すると校舎の中から衝撃音が聞こえた。

最悪だ…!C級ごときがこいつに勝てるはずがない!誰かやられたのか!?沙霧は無事か!?

 

不安が押し寄せるがそれをもねじ伏せる。後悔すんのも戦いが終了してからだ。

 

 

すぐに音がした階にグラスホッパーを使って、窓を破って突入する。中の人が怪我しようが死ぬよりマシだろう。

意識を切り替え思考加速を最大にし、現場の状況を把握にかかる。見るとモールモッドは撃破されている。そして白髪の少年がメガネの少年にトリガーを渡して、メガネの少年が慌てているのが表情からわかる。しかし白髪の少年は一切慌てていない。多分見られても分からないと思ったのだろう。しかし残念思考加速している俺の目からは逃れられんぞ。というかなんでトリガー渡してんの?まあとりあえず何も知らないフリはしてやろう。

 

「そこのC級、ネイバーは何体来た」

「は、はい!二体です!」

 

俺が聞くとメガネの方が答える。メガネの方がボーダー隊員なのか。

まあいい。とりあえずこれで終わりか。間に合った、のか?

 

「よし。ならネイバーの排除は完了だ。とりあえず外に行くぞ。歩けるな?」

「は、はい!」

「そっちの白髪の少年は?大丈夫か?」

「ああ。大丈夫だよ」

 

一応こいつらは無事か。他に怪我人がいなきゃいいんだが。

とりあえず報告だな。

 

「こちら真田。ネイバーはモールモッド二体とのこと。排除完了」

『了解しました。回収班を向かわせます』

「ああ、頼む。あと何かあるかもしれないから嵐山隊はそのままこちらに向かわせてくれ」

『了解しました』

 

んー、完全に事務的な会話のみだったな。向こうも俺のこと苦手か嫌いなんかね?同じ隊の木虎のこと露骨に避けてるから。まあ嫌われてても仕方ないか。

 

 

その後、シェルターや屋上に避難していた生徒も校庭に集まり、怪我人などがいないかなどの点呼をとっている。

すると学校の教師、結構お偉いさんっぽい人が来た。

 

「いやー、助かりました。一瞬でネイバーを倒すなんてさすがですね」

「ええ。間に合ってよかった」

 

出来る限り安心してもらえるよう、完全に外行きの言葉使い、笑顔で話す。ちょっと戦闘の熱で興奮気味だけどなんとか抑えられている。

 

「失礼ですがお名前をお聞きしても…」

「ああ!これは失礼しました。A級真田隊隊長、真田真哉です」

「おお!あの真田さんでしたか。たしかうちの学校のものが真田さんのオペレーターでしたな」

「ええ。とても優秀で、普段から助かっていますよ」

 

端から聞くと父兄の会話に聞こえるようなやり取りをしながら点呼が終わるのを待つ。

 

「校長!全校生徒全員無事が確認できました」

「そうですか…よかった」

 

ほ、死者なしか。ゲートのことが掴めなくてメディアとかに何か言われるだろうが、それでも逆にここまで守れると証明したのだ。根付さんならそこら辺をうまく使ってくれるだろう。

 

っと。嵐山隊のご到着か。さすが広報担当、めっちゃざわつくな。

 

「真田さん、」

「先生、ボーダーの話があるので少し失礼します」

 

そういってなにか言おうとした嵐山を強引に引き離す。

 

「真田さん。どうしたんですか?話って」

「ああ。悪いんだが時枝と木虎、校舎の中を検分してきてくれ。モールモッド二体を倒したのはいいんだが生徒の側を離れるわけにはいかなくてな、まだ確認してないんだ。よろしく頼む」

「はい」「…了解しました」

 

ふぅ。自然にやつを排除出来た。あとはこいつと口裏合わせだな。

 

「まず今回の一件、世間にどう伝わるか分からないから俺らの情報流すなよ。世間話にでも普通に漏れるから。特に俺が今日非番だったとか」

「なぜです?」

「どうなるか分からないが、根付さんが脚色しやすいようにするんだよ。今の段階ではどうするか分からないから脚色しても矛盾しないように情報は隠す。広報任務やるならわかるだろ?」

「了解です」

「よしそんだけ。じゃ行ってこい」

「…!失礼します!」

 

すると嵐山は妹と弟のところに突っ込んで行った。嵐山の妹、弟ラブっぷりは桐絵に聞いてるし、この学校にいるってのも聞いてたので好きにさせてやる。話中もそわそわしてたし、よほど心配で大事に思ってるのだろう。

 

「すいません、恥ずかしいところを……一応人に見られることがどういうことか、一番分かってる隊のはずなんですがね……」

「いえ、大丈夫ですよ。嵐山さんもご兄弟のことが不安だったんでしょう。それに真田さんがいらっしゃいますし生徒も安心でしょう」

 

あら、嵐山の兄弟のことも知ってんのね。やっぱりボーダーのことは詳しく聞いてるのかね。

あと俺が態々こうして戦闘装備してる理由も分かるとは、さすが校長だね。人の心がよく分かってる。

 

「うちのオペレーターとも話をしたいので、また少し失礼しますね」

 

そう言い、校長の元から離れ俺は三年生の集団っぽいところへ向かう。まあ身長的に三年と判断しただけだが。

すると集団の後ろの方にいたさっきのメガネ君がなんか慌てている。お前隠し事下手だな、すげえ分かり易い。ヤブヘビになったら困るから突っ込まないけど。

 

「沙霧ー、どこだ?」

 

パッと見渡してもすぐ見つかんなかったので声をあげる。すると周りが凄いざわつき出した。黄色い歓声が聞こえるのは何故だろう。

オレ、ロリコン、チガウ。

 

「よ、災難だったな」

「はい…」

「労ってやりたいが聞かなきゃいけないことがある。少し離れるぞ」

 

そう言って学生の集団から離れる。一応普通の声で聞き取れないくらい距離を取る。

 

「今から俺が聞くことは誰にも言うな。なにを聞かれたかも誤魔化せ。確実に面倒なことが起きる」

「はい」

「じゃあ聞くぞ。あの白髪のやつとその隣のメガネのやつのことを教えてくれ」

 

 

沙霧曰く、白髪の少年の名前は空閑遊真。最近転校してきてあまり詳しいことは知らないらしい。

メガネの少年は三雲修といい、同じクラスらしい。最近ボーダーに入りC級隊員になったらしい。あとトリガーを使用しモールモッドを食い止めていたのを見た人がいたらしい。

 

「ふーん、あいつか。あ、そーだ。モールモッドもう一体倒したのあいつだからそのことみんなに言っといて。このままだと俺の手柄になりそうで嫌だから。あと罰も見逃すつもりないし」

「わかりました。それは普通に言っても?」

「いいけど一応明日ね。今日本部に行って根付さんとメディア対策考えてから」

「わかりました」

「あとあの空閑くんのこと、些細なことでもなんでも。知ってることは教えてくれ」

 

 

そして狭霧ちゃんが教えてくれたのは、身につけてる指輪を先生が外せと言ったら親の形見なのでと言って拒否し学校も諦めようとしたこと。あと昼休みどこ出身かとの話で戦争をずっとしていたところと言っていたらしい。あと常識も知らないっぽいし、サッカーや野球も知らなかった。不良にも普通にやり返して撃退しているらしい。

とりあえず怪しいが、あれを撃退していた可能性が高いので俺は突っ込まない。味方になってくれたらありがたいし、交渉の余地くらいあるだろ。城戸司令に言うとめんどくなりそうなので忍田さんにぼかして伝えるぐらいでいいかな。あの人なら敵対しない限り悪いようにはしないだろ。

あとは接触して色々聞いてってところだな。

 

残りは三雲だな。

 

「三雲くん!」

 

呼ぶととても浮かない顔でこっちに来た。死刑台に登るわけじゃないんだから。

とりあえず小声で口裏を合わせるように言う。

 

「いやー、聞いたよ。君のおかげで人的被害が出なかったそうじゃないか。よくやってくれた!」

「え?」

「(ありがとうございますっつっとけ)」

「あ、ありがとうございます」

「なに!?そうだったのか!よくやってくれた!!」

 

すると話を聞きつけた嵐山がやって来て三雲を褒めそやす。

 

「しかしすごいな!ほとんど一撃じゃないか!こんなの正隊員でもなかなか…」

「あ、そっち俺。三雲は中のやつ」

 

き、気まずい……でもしょうがないよなあれ俺のだもん。お給料に直結するんですもん。

 

「ま、まあ三雲くんはよくやってくれたよ!」

「彼がしたことは明確なルール違反です、嵐山先輩、真田先輩。違反者を褒めるようなことはしないでください」

 

するといつの間にやら戻って来ていた木虎がなにかいきなりケチをつけ始めた。どうせ大方C級のお前よりA級の私の方がすごいんだぞ!ってやりたいんだろうが場を考えてくれよ。

その後もひたすらつらつらと何がいけなかったかを言っていく。やっぱりこいつはダメだな。

 

「木虎」

「止めないでください、真田先輩。大体あなt「キトラ」!?」

「お前もう帰れ」

「な、なんでですか!私は…!」

「ルールで命は守れねえんだよ、ガキ。信賞必罰だ、どっちがデカくなるかは上の判断次第、俺ら下っ端がとやかく言うことじゃねえんだよ」

「え?あんたらエリートじゃないのか?」

「あん?エリートっつっても戦闘のだ。組織運営なんかこいつが知ってるわけねえだろ」

「ふーん。じゃああんたは?」

「わからなくはないが幹部ではない。擁護はするが決定は上だからな、ボーダー辞めさせられるってことまではさすがにいかねーだろ」

「あんたいいやつだな」

「誰も困んねえように転がそうとしてるだけだ。態々危険を顧みずに庇ったんだ、それを見て見ぬフリは出来ねえよ」

 

あーあ、やっちまった。せっかく場をよくして子供たちからボーダーの評価を上げようとしたのに、台無しじゃねえか。

それもこれも全部木虎のせいだ。やっぱりこいつキライ……

 

「真哉さん、口調」

「あー…とりあえず三雲くん、よくやってくれたよ。君のおかげで人的被害はゼロだ。俺だってギリギリアウトだったからね、間に合わなかったらと思うと背筋が寒える」

 

するとさっきの木虎の言に不満を感じていたらしい生徒たちが賛同の声を上げる。

よし、流れは変わったが少しは引き戻せた。あのままボーダーを敵視されるのはかなりまずいからな。木虎一人が悪役ならまだマシだ。

 

「嵐山、お前はまだ任務が残ってるだろ?もう戻っておけ。あとお前視点からの報告書も頼む。意見が偏るといかん」

「了解です。真田さんは?」

「俺はまだここに残る。平気そうに見えてもふとした瞬間思い出すだろう、俺がいてやりゃ少しは安心できるだろ」

「わかりました。二人とも戻るよ」

「はい」「……」

 

これで一件落着。あとはあれだけだな。

 

 




木虎さんの出番は消えました
でも木虎が修のことを敵視というかライバル視していることには変わりません
これでこの先どう変わるかはお楽しみです
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