とりあえず学校が終わるのを校門のところで待っていたら、学生にめっちゃ囲まれた。そしてめっちゃ写真をせがまれた。
俺、別にイケメンじゃないんだけど……?まあそれくらいはいいか。
ツーショットもしてあげるよー!
「何してるんですか?真哉さん」
「おお、沙霧ちゃん。なんかすげー写真せがまれちゃって。俺芸能人じゃないんだけどねー」
はははー!と笑い飛ばす。なんとか怖い人ってイメージを払拭しなければ…!
「そんなにサービスするならトリオン体になればいいじゃないですか?」
ざわわ!
「いやー、さすがに域外で戦闘以外でトリガー使うのはマズイでしょ」
ざわわ…
「ほら沙霧ちゃんも。こんなシャッターチャンス滅多にないぞー!」
わー!わー!
めっちゃ写真撮られた。そんで沙霧ちゃんにめっちゃ怒られた。どうやら恥ずかしかったらしい。まあしょうがないよな、周りは同級生か後輩ばっかだったし。
ちなみに今は三雲と空閑と一緒に本部に向かってる。空閑はなぜかついてきたが、俺としては好都合。色々と聞かせてもらおうかね。
「三雲くん、空閑くん。今から俺が言うことは絶対に他言無用。俺たちはただ自己紹介しながら本部に向かってる。OK?」
「…?わかりました」「OK」
「で、空閑くん。本当はお前がやったんだろ?あのモールモッド」
「なんで?あれはオサムだぞ?」
「つまらん問答は時間の無駄だ。一応C級の連中はちょくちょく見てるがあんなこと出来る奴は今のC級にいない。いたとしたら顔覚えるし、俺」
視線が交錯する。
俺はこいつの真意を見極めなければならない。別にこいつは悪いことしてるわけじゃないが、ボーダーは組織だ。組織の前に個人は潰される。俺がこいつを守るべきか無視するべきか、はたまた潰すべきか。
そして彼は諦めたかのように視線を外し、ため息をつく。
「そんなに確信を持ってるってことは、もうわかってるんだろ?」
「ああ。空閑、お前ネイバーだろ?」
「さ、真田先輩!待ってください!こいつは…!」
「うるさい、話の腰を折るな」
「で、でも!」
「いいよオサム。この人は確信を持ってる、誤魔化すだけムダだよ」
ふむ。こいつは一昨日転校してきたんじゃなかったのか?仲良くなり過ぎじゃね?三雲が世話焼きで仲良くなったのか空閑がボーダーのこと知りたくて三雲に近づいたか……後者はないな。だって沙霧ちゃんも三雲がボーダーなのすぐには知らなかったし、ボーダーの個人情報をどっかで見なきゃわからないだろ。サイトにはB級以上からしか名前のらないみたいだし。
「ちゃんと認めてくれてよかった。改めて礼を言うよ、モールモッド倒してくれてありがとう。俺じゃギリギリ間に合わなかった」
「うん?聞いてたのと違うな」
「何がだ?」
「学校だとネイバーの評判は最悪だった。ボーダーなら俺のこと捕まえたりやっつけたりするんじゃないのか?」
「あー、それ大体城戸司令のせい」
「城戸司令?」
とりあえず説明しないと話が進まないのでおおまかに説明してやる。城戸司令とはボーダーの現トップでネイバーを絶対許さない主義の人間で、ボーダー隊員の大部分がその派閥に属している。あと根付さんのメディア操作のことも。
三雲も驚いていたが、まあC級じゃあ知らない裏事情だろう。まだ中学生だからそんなこと考える時期でもないし。
ちなみに沙霧ちゃんは知ってる。あと彩香ちゃんも。俺がちょくちょく言ってるし。
「ふーん。そんな人がいるのか」
「おう。まあそんなのどうでもいいんだけどよ、お前ネイバーでも今回のと戦ってくれてたろ?ありゃなんでだ?敵対勢力だから?それともただ単に襲われたからか?」
「普通に襲われたから。別にどこの勢力に属してるわけじゃないし」
「なるほどな。じゃあなんでこっち来た?親と一緒か?」
「いや、親はいない。親父の知り合いがボーダーにいるって言ってたからこっちの世界に来た」
「んー、ということは初期メンバーの人たちかな?その知り合いの名前って?」
「ソウイチ。モガミソウイチだよ」
モガミ?今いないよな?でも聞いたことはあるような……誰だっけ?
とりあえず忍田さんと林藤さんに話してみるか。あの二人なら知ってることあるだろ、多分。城戸派にバレると面倒だから、その辺は気をつけないとな。
「分かった。一応確認してみる。もしかしたらその人も他の世界にいるかもしれないから、何かわかったら連絡する。俺が直接連絡すると気付かれやすくなりそうだから沙霧ちゃん経由にすると思う。その辺はよろしく」
「わかった。迷惑かけるね」
「気にすんな、こっちは助けてもらった側だし。まあトリガー使う時は気をつけろよ?ボーダーでこんな対応すんの、俺とあと迅とかの玉狛の連中くらいだからな」
「了解」
ふむ。それにしても、初期メンバー(仮)の知り合いにネイバーいんのになんで城戸さんはネイバーを目の敵にすんのかね?トップが私情に囚われてるのは組織として困るんだが。有能である分面倒だな。
あと空閑も別にこの世界に敵対してるわけじゃないのがわかってよかった。味方よりの中立だろうからやりようによっては味方に引き込めるだろ。この辺は唐沢さんを見習いたいんだが、あの人城戸派だしな〜。まあなるようになるしかないな。
「じゃ話おしまい。このことは他言無用」
「あ、あの真田さん!」
「どうした三雲?城戸派に気取られないためにも学校のはお前の手柄のままだぞ?」
「そうではなく…今日、なぜ警戒区域外にネイバーが?」
「んー、C級には言うのマズイし忍田さんに口止めされてんだよなー」
でも空閑もいることだし、何か分かるか?でもこいつの正義感は俺の手に余るんだよな。言うのと言わないの、どっちがいいか……
しょうがない教えてやるか。
「じゃあこれも口外禁止な。現在この街にはどこでもゲートが開く危険性がある。俺も今日は非番だったが忍田さんの特命で街中にいたんだ。まあ今回はギリギリの距離だったが忍田さんの勘は間違ってなかったな」
一応参考に話を聞くために空閑にボーダーのゲートをどの様にしているか、話していると背後の河川の上空にゲートが開いた。そこから現れたのは今までに見たことがない型のトリオン兵だった。
「おいおいおい、なんて日だよ…こうも立て続けとか…」
そしてすぐにトリオン体に換装する。新型でどんな攻撃をするのか分からないのが痛いな……
「沙霧、本部の誰かに電話。俺にオペと本部長を繋げて」
「了解です」
「空閑、あいつ知ってるか」
「あれはイルガー。爆撃型のトリオン兵だよ」
「ばく!?マジかクソ!」
空閑から聞くや否や、その場からトリオン兵の下に向かう。すでにもう市街地上空に達していた。速すぎる…!装甲も厚そうだし、街の上で倒せば被害は免れない。それにやつは爆撃型、自爆する可能性もあるだろう。
とりあえず爆撃だけは抑えて避難を待つしかないか。
『真田、私だ』
「忍田さん!新型で爆撃型です!今は上空で爆弾撃ち落としてるけど手が足りない!避難状況も分かんねえ!」
正直情報も手も、何もかもないない尽くしだ。ヤバイなんてレベルじゃねえ。
今は川の上の橋のアーチの上から、ライトニングを使って爆弾を撃ち落としているが、それが限界だ。
どうにも手が足りん。
『……真田、何分持つ?』
「何分でも、って言いたいけど爆風で建物に被害が出てる。最悪死者が出てるかもしれない」
『ならすぐに倒せるか?』
「倒せなくはないだろうけど爆撃型だ、自爆の恐れもあって避難状況も分からないのに手が出せない」
しかしこいつ、どういうつもりだ?カーブしながらこっちに戻ってきやがった。
いや円状に動いいやがる?ということは人がいるところに向かってるわけじゃないのか?それなら好都合、川の上で落とすか。
「忍田さん、新型は旋回しつつ河川上空に入ります。ここで落とします。」
『頼む。責任は私が持つ』
「いやはや、失敗できないっすね」
全く、あんな風に言われちゃ、ねえ。自分のクビかけるとか。ミスったら沢村さんに何されるかわかったもんじゃねえぞ。
「しょうがない、久しぶりに全開でいこう」
橋の上留まり、足場をしっかり確保。射程圏内にはいったが、まだ川の真ん中ではない。
……ここだ!
「旋空弧月!」
全力で放った旋空弧月により、新型は爆発飛散した。
橋の上にいたせいで爆発により吹き飛ばされたが、まあシールドを張っていたので大事には至らなかった。だが橋は損傷していた。こりゃ根付さんとかに頑張ってもらわにゃ。
「忍田さん、新型撃破完了。被害の確認や救助お願いします」
『ご苦労。すぐに向かわせる』
ふう。後は市民の救助に説明か、これ俺の仕事なのかね?特別ボーナスくれるよね?さすがに。
そして後処理に向かうのであった。